伊達勇登監督が明かすTVアニメ『群青のマグメル』の楽しみ方「毎話ごとにいろんな意見を言い合ってもらえたら」【インタビュー】 | 超!アニメディア

伊達勇登監督が明かすTVアニメ『群青のマグメル』の楽しみ方「毎話ごとにいろんな意見を言い合ってもらえたら」【インタビュー】

新大陸マグメルを舞台に、危険な目に遭った探検家たちを助ける“拾人者”として生きる少年・因又。彼が危険な生物と戦いながら、欲望にまみれた人間と向き合う姿を描くTVアニメ『群青のマグメル』から、伊達勇登監督のインタビューが …

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 新大陸マグメルを舞台に、危険な目に遭った探検家たちを助ける“拾人者”として生きる少年・因又。彼が危険な生物と戦いながら、欲望にまみれた人間と向き合う姿を描くTVアニメ『群青のマグメル』から、伊達勇登監督のインタビューが「アニメディア6月号」に掲載中。超!アニメディアでは、掲載しきれなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――まず原作を最初に見たときの感想を教えてください。

 単行本の帯にマンガ家の冨樫義博さんがコメントを寄せていたのですが、まるで富樫さんが描いたようなマンガだなと思いました。中国のマンガのクオリティーもここまで来たのかと、感嘆しました。

――本作の世界観は独特ですし、キャラクターの関係性も複雑に見えます。アニメでは、どう描いていこうと思いましたか?

 とにかく、原作者の第年秒先生の考える『マグメル』の世界観が、とても壮大なんです。それをアニメですべて描こうとすると、毎回の話数が説明だけで終わってしまうほどでした。そこで、今回は壮大な世界観のなかで活躍する因又とゼロのふたりの関係にスポットを当てることにしました。本作は「拾人者」という仕事をしている因又と、そんな因又にくっついて手伝いをするゼロという子がいて、突然出現した新大陸・マグメルで遭難した冒険者をふたりが助ける物語だということを、観てくださる方に覚えてもらいたいと考えました。アニメ化にあたり、原作サイドからキャラクターやモンスターをたくさん出したいという要望もあったので、そこはいろいろと打ち合わせをして、厳選することに決めました。


――監督が考える因又の魅力について教えてください。

 クールで淡々としている感じと、いたずらっ子のような少年っぽさの両方を持っているところかな。今回は、シリアスな話数とギャグ話数を使って、その二面性がはっきりとわかるように描いています。彼自身は、ふとしたときに考え込んでしまうタイプです。因又がそうなったとき、視聴者が「因又が何を考えているのかわからない」とならないように、工夫しています。

――因又自身は、「拾人者」という仕事にものすごく熱心というふうにも見えません。

 彼には、まだそれほど目的意識のようなものはないのかなと捉えています。「依頼者に『助けてくれ』と言われたから」という、すごく些細なことだけが目的になっているかもしれない。その日暮らしをしているような雰囲気が強いんですよね。今回のシリーズでは因又の目的意識をそこまで深くは描けませんが、それでも彼は「拾人者」という仕事をしている以上、自分がどんなに頑張っても、マグメルで年に何十万という人が死んでいくという状況には矛盾を感じているのではないかと、僕は思っています。

――ゼロの魅力については?

 子どもっぽいところと大人ぽいところを共有しているところでしょうか。なぜ少女のような外見をした彼女が大人っぽさを備えているのか、それはひとつの謎だと思いますし、その謎めいたところも魅力的なのではないかなと思います。

――因又に関わる重要な人物として、2話と4話の回想シーンで拾因というキャラクターが登場しました。

 彼に関しては観たままで、どこかで因又と出会い、彼を拾った存在という描き方しかしていません。原作マンガでも明かされておらず、アニメでも触れられないので、拾因がどんな人物なのかは、みなさんに想像して楽しんでほしいところですね。

――因又は、マグメルのなかでかなり派手なバトルを繰り広げますが、バトルシーンの注目ポイントを教えてください。

 僕はバトルシーンを描くのが苦手なので、バトルシーンを描くのが得意な人が好きに描けるように、尺を取ることを心がけています(笑)。実際、担当してくれたみんなはとても頑張ってくれていて、すごくかっこいいバトルシーンになりました。

――物体を自由に構築・創造でき、因又が使えるという「構造力」については、それほど細かく説明はしていませんね。

 「構造力」の能力は、これもすごく複雑なので懇切ていねいに説明しようとすると、逆にわけがわからなくなるんです。なので、因又の「構造力」に関しては極力わかるように描いていますが、それ以外はそういう力があるよ、くらいにとどめました。

――マグメルの世界は生物や風景的にも独特ですよね。

 そうですね。背景やモンスターに関しては、もちろん原作マンガを参考にしています。ただ、先生の描かれるモンスターは、現代のアニメにしてしまうと、どこかかわいさが残るんですね。襲ってきたら怖いものだというのがひと目でわかるようにしたくて、リライトをさせてもらっています。あと、オリジナルのモンスターも出てくるのですが、最初はこちらで描いて先生にチェックをしていただいていたんですよ。そうしたら、先生が「それならラフを描きます」とおっしゃってくれて、先生の描いたラフからモンスターを起こしています。

――アニメの1話は、原作マンガでは2~4話で描かれたエピソードでした。

 (原作マンガの)2~4話のエピソードのほうが因又の能力やマグメルの世界観を見せるのにわかりやすいなと思ったので、入れ替えました。個人的には、最近のアニメはしゃべりすぎだと思っていて。僕は観た人に、キャラクターがなぜそうしたのか、何を考えていてそうなったのかを考察してほしいので、今回も極力モノローグは省きました。1話のエピソードにしても、依頼人の兄はなぜ依頼人(弟)を殺さなければならなかったのかを想像してみてほしい。今はSNSが発達していて、他人の意見も見やすいですから、ぜひ毎話ごとにいろんな意見を言い合ってみてもらえたらと思います。

――5話で登場した田伝は、原作と名前の読み方が変わっていました。

 日本語の読みとして「たでん」というのがしっくりこなかったので、「でんでん」に変更させてもらいました。それ以外にも、ゲストキャラクターは原作マンガに登場するキャラクターも多いのですが、変えている部分もそれなりにあります。その違いもチェックしてもらいたいです。

――ちなみに、マグメルが現実にあったら、監督は行ってみたいですか?

 行きたくないですよ、怖いじゃないですか(笑)。因又が一緒にいないかぎりは無理だし、一緒にいたとしても、行かなくていいのであれば行きません。

――ほかに、本作で注目してほしいポイントがあれば教えてください。

 僕が監督をした『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のころ、ガヤ要員としてずっと参加してくれた河西健吾くんが主役をやってくれているのは、感慨深いですね。それから、これまでの作品で長く付き合ってくれていたキャストの方に、ちょこちょこゲストをお願いしています。1話は根本圭子さんと加瀬康之さんが出てくれていて、わかる人にはわかるお楽しみも入れこんでいますので、そちらもチェックしてみてください。

――今後はどう展開していきますか?

 基本的には因又が依頼をされて、それを受け、マグメルに向かうというストーリーです。ですが、これから先は、ゼロの周りの人たちが見えてきます。クライマックスに向けて、少しずつ準備をしながら、本作の世界観とキャラクターの説明をさらにていねいにしていきますので、ぜひ毎話、観ていただければと思います。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

〈TVアニメ『群青のマグメル』情報〉
TOKYO MX  毎週(日)22:00~放送
BSフジ  毎週(月)24:00~放送
AT-X  毎週(金)23:00~放送
リピート放送:毎週(月)15:00/毎週(木)7:00

≪ストーリー≫
突如、世界の中心に現れた新大陸・マグメル。未知なる生物や資源が眠る大陸の出現に、世界は再び探検家時代に突入!そんな欲望渦巻くマグメルで少年・因又(インヨウ)は、探検家達の救助を生業としていて・・・。

TVアニメ『群青のマグメル』公式サイト
http://gunjyo-magumeru.com

TVアニメ『群青のマグメル』公式twitter
@magmell_anime

©第年秒/翻翻動漫・群青のマグメル製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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