TVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』の広がり続ける世界を柳川あかりプロデューサーが紐解く【インタビュー】 | 超!アニメディア

TVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』の広がり続ける世界を柳川あかりプロデューサーが紐解く【インタビュー】

好奇心旺盛な主人公・星奈ひかるが、宇宙人の少女・ララと出会い、伝説の戦士プリキュアとして戦う姿が描かれるTVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』。物語はロケットに乗って地球を飛び出し、さまざまな宇宙人と出会いが描か …

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 好奇心旺盛な主人公・星奈ひかるが、宇宙人の少女・ララと出会い、伝説の戦士プリキュアとして戦う姿が描かれるTVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』。物語はロケットに乗って地球を飛び出し、さまざまな宇宙人と出会いが描かれているが、物語の世界が大きく広がる今、改めて柳川あかりプロデューサーに解説してもらったいインタビューが「アニメディア5月号」に掲載中。超!アニメディアでは誌面に掲載できなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――『スター☆トゥインクルプリキュア』(以下『スタプリ』)は、宇宙に飛び出したり宇宙人が登場したりと、シリーズ初となる要素がとても多いですね。

 『プリキュア』シリーズは、プロデューサーが企画の骨子を考えるのですが、私は最初から宇宙に行ったり、宇宙人を登場させたりしたいなと考えていました。もともと私自身が宇宙や星座が好きということもありますが、プロデューサーを担当することになって、まず「プリキュアとはなんなのか」ということを考えたんです。明確な答えは出ていませんが、いろいろ考えた結果「女の子がパワーをもらえるような作品にしたい」という目標にたどり着きまして。それから、私が子どものころにアメリカで暮らしていたこともあり、日本だけでなく世界の子にも受け入れられる作品についても考えました。近年、海外では女の子でも科学や数学などを学ぶSTEM教育が盛んで、既存のコンテンツにも理系の要素が入ってきているので、それを『プリキュア』に取り入れたら面白いのではないかと思いました。ロマンチックに星座に憧れる女の子というパターンも考えたのですが、スタッフ陣で議論を重ねて、宇宙の要素もプッシュすることになったんです。

――ひかるは星座はもちろんですが、宇宙という未知のものにも興味津々ですね。

 彼女は想像力があり、好奇心旺盛で、フットワークが軽い。その性格で、価値観の違いや文化の壁、種族の垣根を飛び越えるキャラクターにしたいと思っていました。自分が好きであることが第一で、人の意見に流されないタイプですね。

――だから、展望台の管理人・遼じい(空見遼太郎)とも話が合うんですね。

 視聴者の方には「ひかるは同じクラスに友達がいないんじゃないか」と心配されているようですが(笑)、たまたま自分と同じ熱量で同じものを好きな子が学校のクラスにいないだけで、別にクラスで話をしないとかそういうわけではありません。子どもって家族と過ごしたあとで、保育園や幼稚園に行き、小学校に入学する。ほかの世界を知らないから、そのコミュニティー(の価値観や考え)がすべてになりがちなんです。本作では、そういった既存のコミュニティーに縛られなくてもいいという意味を込めて、ひかるは学校外によき理解者がいる子だということを、1年かけて描いていこうと考えています。


――ララは、ひかると比べると、未知のものに対して警戒心が強いですね。

 そうですね。彼女の常識は地球の常識とは違いますが、彼女なりのルールで動く真面目な存在になっています。ひかるとララは対になる存在なので、性格も真逆に近いです。

――ララの話が出たところで、キュアミルキーの色合いについても教えていただきたいです。普通の緑よりは、青っぽさが強い印象です。

 『プリキュア』シリーズも16作目ですから、いろいろなデータの蓄積があり、そのなかでどういった色合いを使うかを考えました。そこでキュアミルキーは青緑にしてみたんです。ブルーがメインカラーの子がいないことを補っている形にもなっています。スカートに女の子が好きな紫を入れてみたり、好かれる工夫をしています。じつは、キュアスターもミルキーとの色のバランスを考えて、、マイアミピンクという色合いにしました。

――本作は冒頭から家族の話も多い印象です。家族構成もそれぞれバラバラで。

 企画当初は「多様性」をテーマにしていたこともあります。今は「多様性がある世界で生きていくためには、“イマジネーション”が必要だ」というところに落ち着いているのですが、当初のテーマであった多様性を家族構成にも活かしたくて、なるべく似通わないようにしました。だから、えれなのお父さんは外国人であり、ひかるのお父さんは年中どこかに行ってしまっていて、なかなかおうちに帰ってこない。いろんな家族像を肯定できればと思っています。

――お父さんが外国人というのもこれまでになかったパターンですよね。

 宇宙人がいれば、外国人であっても同じ地球人であることが際立つと思えまして。私も宮元宏彰シリーズディレクター(SD)も、画一的なキャラクターに違和感を持っていたんですね。それで、できるだけ新しさを求めたいと思ったんです。外見も、キャラクターの目の形などは、宮元SDがかなり細かく指示をしてくださいました。

――まどかは父に隠し事をすることになってかなり引け目を感じていますが、香久矢家も家族仲が悪いわけではない?

 そうです。まどかは父親を憧れの大人として慕っています。今まで家族を窮屈に思っていたこともありませんし、お父さんを嫌っているわけでもないです。

――まどかの父は宇宙人にかなり敵対的な目を向けていますが、この世界の宇宙人はどのくらいメジャーなのですか?

 ファンタジー上の生き物として知られているけれど、実際にいるかどうかは不明という、現代とほぼ変わらない認識です。実際にいるかもしれないから、まどかのお父さんは極秘に捜査をしているというだけですね。

――敵キャラクターもとても印象的です。とくにアイワーンは単眼というところにインパクトがありますね。

 宇宙を舞台にして、宇宙人もたくさん登場しますし、価値観もさまざまですから、敵も人間と同じような姿でなくてもいいと思い、妖怪をモチーフにしたんです。アイワーンは当初、もっと等身が低くなる予定でしたが、キャラクターデザインの高橋晃さんがとてもかわいい女の子を描いてきてくださって。それをそのまま採用しました。怖さに関しては、スタッフでも議論があったんです。怖くなりすぎると子どもたちが観られなくなるけど、かわいすぎると危機感や使命感が薄くなってしまう。でも、カッパードのような愛敬のあるツッコミキャラクターもいるので、バランスは取れていると考えています。

――ここからは制作体制についてお聞きします。スタッフに関してはどのように選ばれたのでしょうか?

 最初にSDを決めました、宮元さんは、『ONE PIECE FILM GOLD』の監督を手がけられていて、画面は暗いけれどきらびやかで、テンポがよくて楽しい作品になっていたんです。『スタプリ』は星座や宇宙がテーマなので、夜のシーンが多く、画面が暗くなるというのが懸念だったので、『FILM GOLD』で暗い画面のなかでも黄金のきらびやかな色味やカジノの華やかさをうまく描かれていた宮元さんのバランス感覚なら大丈夫だろうと。キャラクターデザインの高橋さんは、SDも私もプリキュアに関わるのが初めてということもあり、プリキュアのことをよく知っている人高橋さんにお願いしました。

――メインタイトルとプリキュアの名前に「スター」のように同じ言葉が入るのは、今回が初めてです。

 星をモチーフにするにあたり、どういうタイトルがいいか検討したのですが、使えない組み合わせも多く、試行錯誤の結果決まりました。「スター☆ト」となっているのを16年目の再スタートと結びつけて考えてくださるファンの方がいらして、それを気に入ってるスタッフも多いです(笑)。

――キュアトゥインクルというプリキュアがいたことも、名前の被りとして議論になりましたか?

 なりました。ですが、プリキュアに関しては、観ていた子たちが3~4年で卒業するという認識があるので、直近のものでなければ、多少の被りは致し方ないという感じでした。たとえば、まどかも『スマイルプリキュア!』の青木れいかも弓道をやっていますが、これだけたくさんのプリキュアが入れば、習いごとが重なっていてもおかしいことではないと思うんですね。

――キャスティングはどのように決めていかれたのでしょうか?

 今回も、もちろんオーディションです。ひかる役の成瀬(瑛美)さんは、好きなものを気にせず、全身を使って表現するところが、ひかるというキャラクターとピッタリでした。じつは、オーディションの段階で、変身シーンの歌も歌っていただいたんです。そうしたら、成瀬さんは踊ったんですよ。振り付けもありませんし、吉と出るか凶と出るかわかりませんから、ふつうなら臆してやらないことですが、自分が思う「好き」のすべてを全身で表現する姿に感銘を受けたことを覚えています。テレビと映画の合同記者会見を行ったときに、キャストが立ち位置を間違えてしまったことがあったんですね。立ち位置を正しいところに移動する際、成瀬さんが率先してみんなで電車ごっこをするような形で移動をして、トラブルもひとつのショーにしてしまえるところは、ライブアイドルをされている成瀬さんならではの力だなと感じました。

――ほかの3人についてはいかがですか?

 ララ役の小原好美さんは、成瀬さんと対になる存在ということもあり、声のバランスを考えました。透明感のある素敵な声だなと思っています。

――あまり歌い慣れていない感じも、ララらしくてかわいいですね。

 そうですね。今は他作品でかなり話題になっていますが(笑)。

――えれなとまどかのふたりは、声優業としては成瀬さん、小原さんの先輩になるという意味でも、キャラクターどおりという印象です。

 安野さんと小松さんは、まず歌がずば抜けてお上手でした。もちろん、歌がうまいから選ばれたわけではなく、キャラクターとして歌えていたことも大きなポイントです。さらに、おふたりともこれまでにも何度か『プリキュア』シリーズのオーディションを受けてくださっていて、より熱量がありましたし、その思いの強さが本作で描くドラマにも重なりそうだなというのも大きかったですね。

――変身シーンでの歌の話が出ましたが、なぜ今回は歌を導入したのでしょうか?

 『スタプリ』では、子どもたちがなりきりやすくするということも念頭に置いていました。変身シーンってどうしても描かれない部分があるのですが、そこが子どもたちにとっては手持ち無沙汰になってしまうんですね。歌が入ると流れが途切れませんし、ペンダントとペンがあることで両手をちゃんと使うことができるので、より楽しく変身をマネしてもらえるかなと思っています。

――今後の展開について教えてください。

 ロケットが直って、8話から惑星をめぐるようになっていますが、惑星ごとに違う価値観の宇宙人が登場します。これまでは出会ったことのない存在と接したときに4人がどう反応するかが見どころになっていきます。今回、コンセプトアーティストを立てて、ゲスト宇宙人の原案を描いていただいているんです。本当にいろいろなビジュアルの宇宙人が登場しますので、次はどんな惑星に向かい、どんな宇宙人に出会うのかを、ワクワクしながら見守っていただけたらと思います。


〈TVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』情報〉
毎週(日)朝8時30分 ABC テレビ・テレビ朝日系列にて放送!

【スタッフ】
シリーズディレクター:宮元宏彰 
シリーズ構成:村山 功 
キャラクターデザイン:高橋 晃 
音楽:林ゆうき/橘麻美 
美術:増田竜太郎/いいだりえ 
色彩設計:佐久間ヨシ子

【キャスト】 
キュアスター/星奈ひかる:成瀬瑛美 
キュアミルキー/羽衣ララ:小原好美 
キュアソレイユ/天宮えれな:安野希世乃 
キュアセレーネ/香久矢まどか:小松未可子 
フワ:木野日菜 
プルンス:吉野 裕行 

公式サイト(東映アニメーション)
http://www.toei-anim.co.jp/tv/startwinkle_precure/

プリキュア公式 YouTube チャンネル
https://www.youtube.com/c/precure

プリキュア公式 Instagram
https://www.instagram.com/precure_curesta

©ABC-A・東映アニメーション

 

《超!アニメディア編集部》
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