TVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』安齋剛文監督が語る“ぼっち”の友達の作り方【インタビュー】 | 超!アニメディア

TVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』安齋剛文監督が語る“ぼっち”の友達の作り方【インタビュー】

『三ツ星カラーズ』などを手がけた、カツヲの同名漫画が原作のTVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』が放送中。極度の人見知り少女・一里ぼっちが、絶交した幼なじみと仲直りするため、進学先の中学校でクラス全員と友達になろうと奮闘 …

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 『三ツ星カラーズ』などを手がけた、カツヲの同名漫画が原作のTVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』が放送中。極度の人見知り少女・一里ぼっちが、絶交した幼なじみと仲直りするため、進学先の中学校でクラス全員と友達になろうと奮闘する。“脱ぼっち”を目指して友達作りに励む少女の物語を描く安齋剛文監督のインタビューが、「アニメディア5月号」に掲載中。超!アニメディアでは、誌面で紹介しきれなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――原作マンガの魅力はどんなところですか?
 原作マンガは、誰もが共感できる期待や不安が描かれていると思いました。主人公のぼっちは、小学校から中学校へ進学する期待と不安のなかで、突拍子もない行動をとります。共感できる動機と、予想外な行動の、ギャップが魅力だと思います。

――ぼっちには「クラス全員と友達になろう」という動機があるのですね?
 八原かいと交わした「中学卒業までにクラス全員と友達にならないと絶交」という約束ですね。ぼっちの行動には、必ずかいとの約束という動機がある。それを念頭に置いて観ていただけると、ぼっちがちょっと外れたことをしても、愛おしく感じてもらえると思います。そんなぼっちのひたむきな気持ちに触発されて周りの人たちが動きます。ぼっちが本気だから、それを応援する気持ちでみんなも動いていく。そんな微笑ましいやりとりを観ていられるのが魅力です。

――アニメ化するうえで心がけていることは?
 原作者のカツヲさんの絵を大事にしようと思っています。原作は4コマ形式のマンガなので、あえて平面的に描いている部分があったり、画面構成がシンプルであったりします。そんな原作マンガのレイアウトをなるべく踏襲して、原作の味を大切にすることを心がけています。

――アニメオリジナルの部分もありますか?
 TVアニメ1本分にするにあたっては、マンガのコマの絵だけではたりないので。そうした部分はアニメオリジナルの画面にはなりますが、そのときも世界観を壊さないように「カツヲさんならば、このように描くだろう」という気持ちで作っています。カツヲさんが「自分でもそうするな」と心のなかで思ってくれたらうれしいですね。すべてオリジナルエピソードにすることは考えていません。


――1話では、どのようなアニメならではのプラスアルファがあったのですか?
 話の流れは原作通りなのですが、構成上、少し話の流れを組み替え変えたり、追加したりした部分があります。たとえば、ぼっちがなこに「友達になって」と告白するシーンは、原作マンガでは雨なのですが、アニメは桜の季節なので桜のシーンにしています。そういうアレンジというか、演出を変えた部分もあります。

――先の放送でも、そうしたアレンジは観られそうですか?
 季節感を取り入れるだけでなく、アニメーションには映像としての「時間」という概念が生まれるので、それを利用した映像的なメリハリを楽しめるように作れればいいですね。

―― アニメ化で心がけていることは、ほかにもありますか?
 原作にあるエピソードを拾いつつ、組み替えたり膨らませたりして、より伝わりやすく、より面白くなることを意識しています。女の子を丁寧に可愛く描く、というのも外せないところですね。それから、ゆるさ。自分のなかでは「かわいく、ゆるく、テンポよく」をキャッチコピーにしています。矛盾する「ゆるく」と「テンポよく」を両立するようなリズムが出せるといいですね。それに、音楽もポイントです。原作マンガにはアルが口ずさむ歌があるのですが、アニメではそれを実際に音楽にしていたりします。

――アニメならではの注目ポイントは?
 打ち合わせで「ぼっちの友達が増えるのに合わせて音楽もにぎやかになるといいね」という話をしたら、藤田亜紀子音響監督や作曲の方が各キャラクターに楽器を設定して、ひとりひとりのテーマ曲を用意してくれました。メインテーマは五重奏で、それぞれの楽器やリズムでひとつの曲ができる形です。設定した楽器は、ぼっちがクラリネット、なこがトランペット、アルがリコーダー、ソトカ・ラキターがチェロ、倉井佳子がオーボエ(イングリッシュホルン)です。僕自身も、音響監督の音楽の使い方を楽しみにしています。また、音響効果も、足音にかわいい音を入れるなど、コミカルかつ繊細に作業をしていただいているのでお楽しみに。

――原作者のカツヲさんは、アニメ制作にも関わっておられるのでしょうか?
 カツヲさんには「自由にやってください」と言っていただいています。シナリオの段階までは一緒に打ち合わせし、その後の作業もチェックしていただいていますが、かなり自由にやらせていただいています。1話の映像を観て「とてもよかったです。何回も観ちゃいました」と言っていただけたが、うれしかったです。カツヲさんには、原作ではまだ登場していないクラスメイトのプロフィールを教えていただきました。ぼっちも含めた29人全員に個性があります。その狙いは、ぼっちがクラス全員と友達になるというストーリーなので「ぼっちが友達になろうとしているのはこの人たちです」というのがわかるようにするため。サブキャラクターのなかでお気に入りができたらいいですね。キャラクターひとりひとりに気を配っていますので、原作ファンにも見応えを感じていただければうれしいです。

――キャラクターの芝居など、絵の動きで工夫されている部分は?
 人見知りのぼっちはいつもびくびくおどおどしていますが、何事も全力で取り組む子なので、やりだすと速い。そうした動作のメリハリは意識してやっていますね。

――各キャラクターのおすすめな部分を教えてください。まず、ぼっちは?
 いつもは両手を胸の前で握ってオドオドしているけれど「そこまで本気になるのか!」と驚かされるくらい、かいとの約束を本気で実行しようとするところ。また、家では気が大きくなって強気な作戦を立てて「作戦ノート」にしたためるものの結局できないところとか、ぼっちなりの極端な解釈は微笑ましいと思います。僕も人見知りなところがあるので、ぼっちの気持ちがわかります。でも、彼女の行動は予想外ですね。「そうするんかい!?」みたいな(笑)。「ぼっちなら、こうするだろうな」とか、「その気持ちわかるな」という気持ちで演出しています。

――最初にぼっちの友達になるなこは?
 なこは、あまり人と関わらないようにするところがあるのですが、本当は名前のとおり素直な子。ちょっとぶっきらぼうで、人を突き放すようなところがあるのですが、じつはぼっちやほかの友達のこともちゃんと見ていて、必要なときには手を差し伸べてくれる、やさしい子。ふだんはボソボソしゃべりますが、ぼっちに突っ込むときだけ妙にテンションが上がります。イタズラ好きでちょっかいを出すこともあるので、そうした遊び心が、なこのおすすめポイントかな。

――では、2人目の友達であるアルは?
 彼女は外見だけでなく心構えにも、自分なりのこだわりがありますね。「完璧な自分を演じる」と言うわりには完璧になりきれず、残念な失敗をする子。ただ、全力で物事に立ち向かうところは応援したくなります。アニメならではの残念な要素も加えているので、話数が進むといろいろ出てくると思います。アクセサリーや服装、学校の授業で使うものを「それと間違える!?」とか。でも、そこで開き直って臆せずにやりきるのが、アルのいいところなのかもしれません。

――最後にメッセージをお願いします。
 いつも、観てくれる人を思い浮かべながら作っています。本作は新生活がスタートする時期に始まるので、ぼっちたちが奮闘する姿を観て、ピュアな元気を受け取ってもらえたらいいなと思います。得意と苦手の両方あってこそのキャラクターの魅力なので、その辺を感じてもらいながら、生活の励みにしていただけたらうれしいです。

取材・文/草刈勤

〈TVアニメ『ひとりぼっちの○○(まるまる)生活』情報〉
MBS・TBS・BS-TBS“アニメイズム”枠ほかにて放送開始!
MBS:毎週金曜日26:25~
TBS:毎週金曜日26:25~
BS-TBS :毎週土曜日25:30~
AT-X:毎週日曜日21:30〜
【リピート放送】毎週火曜日21:00~/4月11日から 毎週木曜日13:00~/4月13日から 毎週土曜日29:00~
※放送日時は予告無く変更になる可能性がございます。

STAFF
原作:カツヲ(「コミック電撃だいおうじ」連載)
監督:安齋剛文
シリーズ構成・脚本:花田十輝
キャラクターデザイン:田中紀衣
衣装デザイン:今田 茜
助監督:池下博紀
総作画監督:田中紀衣・小田武士
アニメーション制作:C2C
製作:ひとりぼっちの製作委員会

CAST
一里ぼっち:森下千咲
砂尾なこ:田中美海
本庄アル:鬼頭明里
ソトカ・ラキター:黒瀬ゆうこ

TVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』公式サイト
hitoribocchi.jp 

TVアニメ『ひとりぼっちの○○生活』公式Twitter
@bocchi_anime/#ぼっち生活

©2018 カツヲ/KADOKAWA/ひとりぼっちの製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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