原作者・五十嵐大介&監督・渡辺歩が映画『海獣の子供』×「大哺乳類展2」トークイベントに登場!専門家と“海獣”を語る【レポート】 | 超!アニメディア

原作者・五十嵐大介&監督・渡辺歩が映画『海獣の子供』×「大哺乳類展2」トークイベントに登場!専門家と“海獣”を語る【レポート】

4月17日に、〈アートから見る“海獣”たち!映画『海獣の子供』×「大哺乳類展2」スペシャルトークイベント〉が開催され、アニメーション映画『海獣の子供』の原作者・五十嵐大介と監督の渡辺歩、国立科学博物館動物研究部脊椎動物 …

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 4月17日に、〈アートから見る“海獣”たち!映画『海獣の子供』×「大哺乳類展2」スペシャルトークイベント〉が開催され、アニメーション映画『海獣の子供』の原作者・五十嵐大介と監督の渡辺歩、国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹で「大哺乳類展2—みんなの生き残り作戦」を監修した博士・田島木綿子が登壇。


 国立科学博物館にて大好評開催中の「大哺乳類展2」とのコラボイベントである今回のイベントは、漫画、アニメのふたりならではの“哺乳類をアートで表現する”という視点の話や、田島氏が感じた『海獣の子供』について、作中の海棲哺乳類の生態についてなど、濃密トークを展開した。

 田島氏は原作や映画を見た感想について「研究者としてはムムッと思うような、実際とは異なる生き物たちの表現もありますが(笑)、漫画や映画だからこそ好奇心が沸きたてられるファンタジー性と同時に、生き物や自然史の本質を描かれていたので、我々研究者と志は同じなのかなと感じました。『私たちはまだ世界のほんの一部しか知らない』という映画全体のコンセプトは、我々も研究する上で、分かっていることばかりではない、自然の一部しか見ていない、と常に思いながらやっているので、それが伝わってきて心地よかったです」と、専門家ならではの視点で感想を述べた。

 一方、五十嵐は漫画の題材に“海獣”を選んだことについて「図鑑を集めるのが好きで、よく図鑑を見ながら魚の絵を描いていました。ある時思い立って魚の隣に女の子が泳ぐ絵を描いたら、“フィッシュガール”というタイトルと結びつきました。フィッシュガール=人魚で、人魚のモデルになったジュゴンは、子供を抱えるように授乳する姿が人間に似ているということで、ではそれが本当に人間の子供だったらどうだろう、という発想から漫画へとつながっていきました。『海の子供』だと漠然とするので、『海獣の子供』にすればイメージが広がるのではないかと思い、タイトルを決めました。絵がシリアスっぽいのですが、ドキュメンタリーにはしたくなかったです。海の中はまだ解明されていないことが多いので、もしかしたらまだ見つかっていない種類がいるのでは?ということを想像しながら描いていきました。表現において、自分が描きたいと思ったことと事実がズレてたりすることがたまにあるのですが、例えば、漫画に出てくるマッコウクジラに少年が食べられるイメージは、上顎に歯があってマッコウクジラに見えるけど、未知のクジラで…という言い訳も考えています(笑)」と明かした。

 また、作品のシンボルとして描かれるザトウクジラについて、五十嵐は形が一番好きだったのと、胸ビレが長く、水中を泳いでいる姿がまるで空を飛ぶように美しく見えますし、お腹の白い部分や胸ビレを広げた時に人間に見えたら面白いと思い、意識して描きました」と語ると、渡辺は「海獣たちの描写は、実物を何度も見て佇まいや動きを突き詰め、それらしい誇張を表現するよう努めました。あえて実物のクジラのサイズよりも大きく、胸ビレも長く描くことで、よりダイナミックになるように仕上げました。映画の中のクジラの<ソング>は本物のクジラの声をベースにしながら、映画的な演出を加えて作っていきました」とコメント。田島氏は 実はクジラにも視力があり、太陽光が照る水面から30mほどの場所やブリーチング、スパイホップ時にはその視力を発揮します。劇中でも印象的な、クジラがグッと見つめる目の描写は迫力があり、実際のクジラにも見られる動作なので、よくお調べになっているなと思いました。シルエットなどを意図して誇張されている分、迫力があり訴えたいものが伝わってくるのがアニメーションの魅力ですね。クジラの<ソング>には毎年流行があります。誰が流行を作るのか詳細は分かっていませんが、彼らの中でルールがあるようで、地域によって方言のようなものが存在することも分かっています。ザトウクジラはとても優しくて、シャチに狙われているアザラシを助けたりするんです。そういうことをするのは、我々の研究ではザトウクジラだけです」と、実際のザトウクジラの生態について説明した。

  最後に渡辺が映画について「元々大好きな作品なのでハードルが高く、挑戦でした。マンガと同じ読後感にもこだわりました。原作が明確な答えや結論のない話なので、映画を作るときも、説明しすぎないようにして、なるべくふくよかに広く物語を完結させようと思いました。矛盾していますが、だからこそ琉花の目線で、琉花個人として辿り着くものに焦点を当てました。映画を観てくださる方によって見え方が変わると思いますし、そこを楽しんでいただきたいです」とアピールした。

画像ギャラリーはこちら。クリックすると拡大できます。

 

〈『海獣の子供』情報〉
6月7日(金)より全国劇場で公開

【原作】五十嵐大介「海獣の子供」(小学館 IKKICOMIX刊)
【キャスト】芦田愛菜 石橋陽彩 浦上晟周 森崎ウィン
      稲垣吾郎 蒼井 優 渡辺 徹 / 田中泯 富司純子
【スタッフ】監督/渡辺 歩 音楽/久石 譲 キャラクターデザイン・総作画監督・演出/小西賢一 美術監督/木村真二  CGI監督/秋本賢一郎 色彩設計/伊東美由樹 音響監督/笠松広司 プロデューサー/田中栄子
【アニメーション制作】STUDIO4℃ 
【製作】「海獣の子供」製作委員会 
【配給】東宝映像事業部

映画『海獣の子供』公式サイト
www.kaijunokodomo.com

映画『海獣の子供』公式twitter
@kaiju_no_kodomo

©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

 

《超!アニメディア編集部》
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