舞台とTVアニメの“二層展開式”作品『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は、それだけに留まらず、すでに二度の音楽ライブを行っている。昨年12月に行われ、4月17日にリリースされた2ndライブ「Starry Desert」のBlu-rayと同日発売の舞台版2ndシングル「百色リメイン」ついて、2019年5月号では華恋役の小山百代と真矢役の富田麻帆に振り返ってもらった。ここでは、本誌に掲載しきれなかったロング版を紹介する。
舞台少女の成長が刻まれた2ndライブBlu-ray ――2ndライブを振り返ってみた率直な感想は?
小山 舞台に立っている時間はあっという間でした。1日2公演あったので、ライブが始まるまでは大丈夫かなと不安もあったんです。でも、やればやるほど元気になってきて、単純な感想になっちゃいますが、楽しかったです。ラストの曲へと進むにつれてパワーが出てきたのは、観に来てくださったみなさまの熱量だったのかなとも思います。きっと、舞台の上って“パワースポット”なんですね。
富田 パワースポット! いい言葉だね。
小山 ありがとうございます。
富田 1stライブのときは、公演後に身体のあちこちが痛くなるようなこともあったんです。でも、今回は私もそれがなかったので、きっと自分たちもパワーアップしていたのかなと思います。だからこそ、ライブ中に楽しめる時間がどんどん増えていったんじゃないかな。
――2ndライブのハイライトとしては、TVアニメのレヴューをすべて実演して見せたことは外せないポイントです。
富田 百代の出続ける時間の長さたるや。
小山 未知の世界でしたね。でも、生で披露できる初めての機会でしたから、全曲できることはすごくうれしかったんです。ただ、殺陣もダンスも歌も、さらにセリフもあるから、実際にどうなるのかが想像できなくて。
富田 ドキドキが詰まったレヴューだったよね。とくに華恋はみんなと戦っていて、1話から12話までのレヴューを休みなくやったので、感情の変化についていくのも大変だったと思います。でも、百代だったからできたんじゃないかな。
小山 みんなが助けてくれたからですよ。
富田 (舞台から)はけては出てきての繰り返しだったのは、本当にすごかった。
小山 考えるヒマもなく体が勝手に動いている感じだったんです。水を一瞬飲んで「もう行かなきゃ」って思っちゃって。
富田 レヴュー曲「スタァライト」のリハーサルのときは、私たちは客席から観させてもらったんです。百代が歩いていくところにどんどん光が当たっていって、百代が歌っているだけでも泣きそうになっちゃって。きっと観てくださった舞台創造科(ファンの総称)のみなさまもそうだったんじゃないかなと思います。
――華恋と真矢は「誇りと驕り」で直接対決をしています。華恋の剣を真矢が弾き飛ばすシーンは衝撃的でした。
富田 あのシーンは、百代がタイミングを合わせて剣を投げてくれているんです。対決ではあるけど、互いを信じて呼吸を合わせた協力プレイなんです。
小山 「誇りと驕り」は、アニメを観てくださった方はわかると思いますが、絶対に華恋では勝てない迫力が“真矢さま”にはあるんです。レヴューでも麻帆さんが圧巻のパフォーマンスをしてくださったので、華恋が負けるのも当然かなと。
富田 でも、私も毎回、緊張はしておりましたよ、とても。
――アニメ本編に登場した「This IS 天堂真矢」の名乗りのときは、会場がどよめいていました。
富田 「すごかった」と、あとになってスタッフの方から聞きました。舞台上だと自分のことでいっぱいいっぱいだったり、イヤモニ(イヤーモニター)もつけていることもあって、あまり声が聞こえないんです。
小山 ハイになっていると聞こえにくくなりますよね。ライブであれば、一緒に楽しもうという気持ちも強いですし、意識的に客席の声を聞こうと思っているから、けっこう聞こえるんです。でも、レヴュー中は完全にキャラクターに憑依されていて、周りの音が聞こえなくて。
富田 まさに舞台少女として、役にちゃんとなりきっている時間だったよね。すごい集中力だったと思う。
――殺陣は気を抜くと危険ですよね。
小山 そうなんです。ケガはさせたくない、自分もしたくない……。もちろん、相手を負かす気持ちはあるんです。
富田 殺陣って相手があってのものだから、敵対していたとしてもその気持ちをくみ取らないといけないんだよね。
小山 信頼がないとできませんよね。
富田 うん。『スタァライト』に登場する舞台少女も、相手が憎いのではなくて、信頼しているからこそ戦っている部分もあると思うんですね。だから、私たちがステージに立ったときも気持ちは変わらないのかなと思います。
レヴューではアニメに負けない迫力を出したかった
――実際にレヴューを行うにあたって、どんな意気込みで臨みましたか?
小山 アニメの動きを完璧に再現できるわけではないんです。高いところから飛び降りたり、何かすごいものに乗ってきたりというのは私たちにはできなくて。
富田 真矢は白鳥に乗ってきていたけど、あれは無理だったね。
小山 そうそう(笑)。演出にしてもガラスを割るわけにはいかないし……。でも、レヴューをやるからには、アニメと比べて物たりないとは思われたくない気持ちがありました。もちろん、アニメあっての私たちではあるんですが、「アニメのほうが、迫力があったよね」とは言われたくないなって。
富田 うん、負けたくないっていうのはあるよね。
小山 でも、それを映像や照明、スモークなどで補っていただきましたし、振り返ってみれば今までの舞台やアニメで積み重ねてきたキャラクター作り、キャスト同士の信頼関係で、負けないくらいのものにはできたんじゃないかなと思っています。
富田 自分が出ていないレヴューは、観ていてすごく楽しかったよ。ライブのBlu-rayが発売されることになって、事前に映像を観させていただいたときも、普通にお客さんとして楽しんじゃって。早くみなさんにGETしてほしいなという気持ちがいっそう強くなりました。
――Blu-rayの個人的な推しポイントは?
富田 先ほども少し話しましたが「スタァライト」の歌のシーン。百代が歌っているところで泣きそうになるんですよ。「うん、いけるよ!」って声をかけたくなっちゃう。
小山 「スタァライト」はめちゃくちゃ難しいんですよ。スタジオや練習だと声が出ないんです。でも、舞台の上だとなぜか歌えて。
富田 パワーが出るんだろうね。
小山 1話から連続でレヴューをやって、みんなと戦ってきたからこそ歌えたんじゃないかなと思うんです。
富田 そういう蓄積ってあるよね。私はじつは「誇りと驕り」が歌えないんですよ。キーが高くて、ほぼずっと歌っているので。それが本番になると「あ、歌えた」ってなる。
小山 わかります(笑)。
富田 「ありがとう、華恋!」って思いました。ただ、映像チェックのときに気づいたんだけど、私ずっと怖い顔しているよね。
小山 あの曲は怖い顔にもなりますよ! 私のオススメは演出。弓の演出も、レーザーをすごく使ってくれてかっこいいんですよ。
富田 はるちゃん(露崎まひる役・岩田陽葵)と百代が一緒に歌った「恋の魔球」で、ふたりが空振りしまくるところもよかったよ(笑)。
小山 「恋の魔球」は、まひるが好きなキャラクター・スズダルキャットも出てきて、いろいろ楽しかったです。
富田 レヴューは観ているだけでもすごく心が動くよね。楽しさなのか、つらさなのか、笑顔なのか、涙なのかは、人によって違うかもしれないけれど、何かしら心が動くものだったんじゃないかなって思います。百代の演じる華恋を通して九九組のみんなを観ることになるから、華恋の気持ちにもなれるという不思議なステージでした。
――Blu-rayの発売を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
富田 まず、2ndライブは俯瞰定点映像も入りますので、そこにも注目してください。あと、本当に百代の「スタァライト」は絶対に観てほしい。
――推しますね(笑)。
富田 本当に大好きなんです! 観るたびに必ずウルウルしちゃうし、鳥肌も立つし、無条件に涙が出そうになるんです。とにかく観ていただき、私が抱いている感情をひとりでも多くの人に感じていただきたい。誰かに借りてもいいので!
小山 やさしい(笑)。
富田 でも、一度観たら、絶対にBlu-rayがほしくなると思う。出演しておいてなんですが、そのくらいよくできているライブだったんです。なので、ぜひ、みなさんに観てほしいなと思います。
小山 2ndライブのBlu-rayは、約2年間、手を取り合って私たちが作り上げてきた作品の、ひとつの集大成のようなものだと感じています。私たちは日々成長し、進化したいと思っているので、同じ演目をやったとしても次は違うものになっていると思うんですね。だからこそ“あのときの私たちにしかできなかった、あのときの私たちの最高”を観ていただきたい。舞台少女の成長の記録としてもチェックしていただけたらうれしいです。
舞台少女の“今”と“これから”をロックに乗せて歌い上げる舞台版2ndシングル
――舞台版2ndシングル「百色リメイン」はスピード感のある“劇ロック”に仕上がりました。
小山 前作「99 ILLUSION!」も、それまでのスタァライト九九組になかった、にぎやかでかっこいい曲でしたが、この曲は明るいなかに、レヴュー中の舞台少女を描いた雰囲気もある、ライブで盛り上がりそうな曲です。
富田 舞台『#2』に直結した曲なので、『#2』を観てくださった方には耳なじみのあるワードがけっこう入っています。聖翔音楽学園を裏切ったメンバーと裏切られたメンバーがペアで出てきたりもするのも面白いんですよ。きっと舞台を観た方には、その情景が思い浮かぶような歌なんじゃないかなと思います。
――今回、カップリングにはトリオ、ペアのバージョンも収録されます。
富田 私は今の段階では、まだ自分のペア曲を聴いていないんだけど。
小山 少人数で歌うことはなかなかないので、声がはっきり聴き取れますよ。歌い方の違いとかも聴いていてすごく面白いです。
富田 ニュアンスが違うからね。まひるだったらかわいい感じになると思うけど、きっと私(真矢)だったら強くなるとかありそうだよね。全部のパターンを聴き比べていただけると、より味わい深いかもしれません。
――レコーディングの思い出は?
小山 この曲は「エンドウ.」さんが作曲をして、レコーディングのディレクションもしてくださって。ふだんからテンションが高い方なので、私もつられて楽しい気持ちで歌えました。しかも、エンドウ.さんはすごく私たちのことを褒めてくださるんですよ。
富田 「いいですね!」っていうワードをレコーディング中にたくさん聞くよね。褒め上手な方なので、レコーディングはずっと笑顔だったと思います。
――カップリングの「Bright!Light!」はとてもキラキラした曲です。
富田 「マジカルガール」といったような、ファンシーなワードがすごく多いんです。(これらのワードは)あまり舞台少女としては発したことがなかったので、今までとは違った“かわいい舞台少女感”が味わえる曲になりました。
小山 きっとライブだと、さらに変わりますよね。この歌を歌うときの表情は、スタァライト九九組の1stシングル「Star Divine」ではできない表情だと思います。
――「99 ILLUSION!」に続き、実写のジャケットも目を引きます。
小山 仕掛けがある、面白いジャケットですよね。
富田 まず、並べるとつながっている。
小山 そして、『#2』で裏切った人がカメラを見ている。たぶん、つながっていることにはみなさん、すぐ気づかれたと思います。『#2』で裏切った人がカメラ目線だというのに気づかれた方は、100点満点です!(笑)
――舞台版2ndシングルは、どんどん進化し続ける舞台少女の雰囲気を強く感じられる1枚になりました。
富田 「百色リメイン」を聴けば、舞台『#2』のことも思い出せます。さらに、歌詞を見ると、これからの舞台少女のことを歌っている曲でもあるのかなと感じられるので、そんな先へ進もうとする私たちの姿を、歌でも感じ取ってもらえたらと思います。
小山 「百色リメイン」は、今まで舞台を観てくれた人が聴けば「おお!」となり、7月に行われる『#2』の再演で初めて舞台を観る人は、先に聴いておけば「おお!」となれるような曲になりました。きっと聴いていただければ、舞台を観たことがある方もない方も、さらに『スタァライト』を好きになっていただけると思います。
取材・文/野下奈生(アイプランニング)
【PROFILE】
小山百代【こやま・ももよ】11月30日生まれ。北海道出身。スターダストプロモーション所属。
富田麻帆【とみた・まほ】6月1日生まれ。東京都出身。サンズエンタテインメント所属。
【Information】
Blu-ray『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』2ndスタァライブ“Starry Desert”
ポニーキャニオンより発売中 7,800円(税別)
舞台版2ndシングル『百色リメイン』
ブシロードミュージックより発売中 全4Ver. 各1,667円(各税別)
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少女☆歌劇 レヴュースタァライト公式サイト
https://revuestarlight.com/
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