『えいがのおそ松さん』中村悠一が感じる20代の6つ子と18歳の6つ子の違い【インタビュー】 | 超!アニメディア

『えいがのおそ松さん』中村悠一が感じる20代の6つ子と18歳の6つ子の違い【インタビュー】

現在公開中の『えいがのおそ松さん』から、「アニメディア4月号」では次男・カラ松役を演じる中村悠一にインタビュー。「超!アニメディア」では、本誌には掲載しきれなかったロング版を紹介する。 あえて違う方向に行きたいのが18 …

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 現在公開中の『えいがのおそ松さん』から、「アニメディア4月号」では次男・カラ松役を演じる中村悠一にインタビュー。「超!アニメディア」では、本誌には掲載しきれなかったロング版を紹介する。


あえて違う方向に行きたいのが18歳の6つ子なのかも


――『えいがのおそ松さん』のご感想をお聞かせください。

 18歳の6つ子が出てくること自体は面白い試みだなと思いました。ただ、どういう風に登場するのかわからなかったので、ひょっとしたら18歳の6つ子がメインで、今に至る展開を見せるのかなと思っていたんですけど、まさか現在と過去の6つ子がセットで出会って何かするとは思わなくて……いやいや待て、と。映画っていうのは、ゲストキャラクターが頑張ったりする展開が多いんじゃないのか、と。そういういつものパターンで来いよ!と(笑)。だからといって、あまりゲストキャラが中心になると『おそ松さん』じゃなくなる気がするので、この形がいいんだと思うんです。思いのほか6つ子の出番が多かったです。

――18歳のカラ松は、大人のカラ松と印象が違うところもありますね。

 印象は違うけれども、奇をてらうような設定ではなかったので、僕としては普通に受け入れられたという感じでした。18歳のカラ松は、人の顔色を気にして意見が言えない性格の子になっているけど、現代のカラ松を演じているときからそういう部分がじつは見え隠れしていて、僕はそこがカラ松の魅力かなと思っていたんです。ちょっと隙だらけなところもあるけど、それを自覚していないのかなと。そこを踏まえるような形で生まれたのが18歳のカラ松なので、彼の成長過程としても、それほど違和感はなかったと思います。

――そんなカラ松を演じるにあたって、意識されたことはありましたか?

 18歳のカラ松は性格的にセリフがあまり多くなかったので、とくに意識したことはないですけど、通常のカラ松はありましたね。TVシリーズでもそうでしたけど、彼のなかでスイッチがオンになってかっこつけている描写だけでなく、ちょっと隙があるようなところもしっかりやらないと、ひとりの人間として魅力が薄くなってしまうというか……。アニメのキャラクターであっても、どこか実在しているように感じられないといけないし、ただかっこいいだけの状態では彼が人間として成立しなくなると思っていたんです。そういう台本に記載されていないことや、具体的に指示されていないことでも「ここはオフっぽい表現のほうが、カラ松の“素”みたいなで面白いのかな」と試行錯誤する作業が必要でした。


――18歳の兄弟たちについては、それぞれどんな印象でしたか?

 おそ松(櫻井孝宏)はまったく一緒なので、「一緒なんだ」くらいの感想しかないですね(笑)。チョロ松は台本に「声がキンキン」と指定されてしまっていたのでどうするんだろうと思っていたら、神谷(浩史)さんがいい塩梅で、おかしなキャラクターをちゃんと作り上げていました。そこを本当に面白くやられていたのと、今のチョロ松にも垣間見える“痛さ”みたいなものの根幹はこれだったんだなと気づかされました。一松(福山潤)は個人的に18歳の6つ子シリーズで一番好きですね。頑張って人付き合いをしていこうとか社会に適応していこうとか、無理をしているんだけど、すぐにボロが出たりしている。そこが見えるところや今との対比が面白いです。18歳単体だったらそれほどでもないんですけど、現在の自分が過去の自分にツッコんだりしていくところが、一松はとくに面白かったですね。十四松(小野大輔)はなんでこれになったのかがまったくわからないですし、設定も途中で忘れたのかな?と思うくらい活かされていないですよね(笑)このビジュアルである必要性って……何かありました? おそらく「おそ松だけ変わらない」ことにする以上、ほかを変えないといけないから、無理やり思いついたのがこれだったのかもしれません(笑)。トド松(入野自由)は「かわいい」っていう部分だけがクローズアップされています。今のトド松がかわいこぶるのは、みんなをイラッとさせて「ふざけやがって」と言われるまでがセットなんですけど、18歳のトド松は案外普通にお兄ちゃんっ子ですね。逆に18歳がこれで大丈夫なのかという疑問はあるんですけど、まだ素直なのかなと。このあと無職の大人になった瞬間に「変わっちまったな」的な成長をしたんじゃないかなと思います。

――では、6つ子たちの「18歳」と「大人」に違いがあることを、どのように感じましたか?

 これが『おそ松くん』の延長線上だとしたら、中学までは見た目もまったく同じで息ピッタリなやりとりをしていた6人が、あえて違う方向に行きたくて無理をしているのが、今回の彼らなのかなと思いました。だから18歳の6つ子が不ぞろいに見えたとしたら、それは彼らが不ぞろいにしようとした結果なんですよね。大人になって、ニートをやっている6人は、その後お互いに歩み寄る場所を見つけて、一歩進んだ関係値になったのかなと。悪口を言い合うけど、認めているところもある。頑張ってバラバラになろうとしたけど、『おそ松さん』を知っている人は結果的にバラバラにならないことをわかっているから、今回の劇場版では18歳の6人がどんなに違う方向を向いていても、安心して観ていられるのかなと思ったりもしました。

――ちなみに、6つ子たちの高校生ならではの“青さ”に共感するところはありましたか?

 この人たちに共感はなかったです(笑)。でも、たしかに高校生時代って初めて自分で分岐点を作るんですよね。将来これをやりたいからあそこへ行く、っていう人生の選択をして行動を起こすのが高校で、ある意味、自分の生き方を変えることができる場所だから、6つ子たちもそうしようとしていたのかもしれません。僕自身は中学時代とあまり変わったつもりはないんですけど、周りにはそういう人たちがいたのかもしれないなと思います。そう考えると、変わらなかった僕は「おそ松タイプ」ですかね。

――では、6つ子のなかで、ひときわ輝きを感じたキャラクターはいますか?

 今回は6人で一緒に頑張った感が強く出ているので、誰かがとくに活躍したというより、兄弟全員がMVPという感じですね。本当に、いつものTVシリーズ以上に結束力があったと思います。誰かが「結束しよう」と言ったわけじゃないけど、10代の自分たちを引っ張らなきゃいけないところもあるので、全員がおのずと同じ方向へ駆け抜けていったなと、収録しながら思っていました。

――今回、初の映画化となった『おそ松さん』ですが、TVシリーズからの変化を感じた部分はありましたか?

 そういう変化はとくになかったし、そこが僕的にはよかったですね。映画だからといって監督や脚本家が変わるわけではなく、同じスタッフで作れたことが大きいと思います。30分のTVシリーズと長尺の映画では、お話の持っていき方が全部変わるし、何より完結させなきゃいけない。そう考えるとすごく難しいけど、ちゃんと『おそ松さん』になったというのは、何も変わらなかったからこそのよさですね。あと、今回のエピソードは受け手によって評価や感じ方にバラつきが出そうで、そこがちょっと面白いなと思いました。明確に「こういうお話でした」っていう答えを提示せず、最後の最後で観ている人たちに委ねて終わるというのは、なかなか挑戦的だなと。僕は台本を最後まで読んだときに、ちょっとモヤモヤしたんですけど、「いい終わり方だよ」って言う役者さんもいたし、アフレコに参加したメンバーのなかでもそれだけ価値観の違いがあるので、今回は観ている方それぞれにエンディングの捉え方があるのかなと思います。

――では『おそ松さん』ファンへのメッセージをお願いします。

 『おそ松さん』というコンテンツを好きでいてくれる人には、満足していただける作品だと思います。ちょっと尺は長いですけど、僕はアフレコをしながら、今までやってきたことの集大成という感覚がすごくあったので、ここで一度“総括”として楽しんでもらいたいです。みなさんからの応援の力があれば、また引き続き『おそ松さん』をやっていくことができるのかなと思っています。よろしくお願いします。

PROFILE
【なかむら・ゆういち】2月20日生まれ。香川県出身。シグマ・セブン所属。主な出演作は、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ブローノ・ブチャラティ役、『BAKUMATSU』高杉晋作役、『フルーツバスケット』草摩紫呉役など。

取材・文/株田馨

劇場版『えいがのおそ松さん』 
全国ロードショー 
配給:松竹

劇場版『えいがのおそ松さん』 公式サイト
https://osomatsusan-movie.com  

劇場版『えいがのおそ松さん』 公式Twitter
@osomatsu_movie 

©赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019

《超!アニメディア編集部》
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