神谷浩史が語る『えいがのおそ松さん』「『えいがの』というタイトルに偽りない作品です」【インタビュー】 | 超!アニメディア

神谷浩史が語る『えいがのおそ松さん』「『えいがの』というタイトルに偽りない作品です」【インタビュー】

現在大ヒット公開中の『えいがのおそ松さん』から、「アニメディア4月号」では三男・チョロ松役を演じる神谷浩史にインタビュー。「超!アニメディア」では、本誌には掲載しきれなかったロング版を紹介する。 今回は“6人でひとり” …

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  • 神谷浩史が語る『えいがのおそ松さん』「『えいがの』というタイトルに偽りない作品です」【インタビュー】

 現在大ヒット公開中の『えいがのおそ松さん』から、「アニメディア4月号」では三男・チョロ松役を演じる神谷浩史にインタビュー。「超!アニメディア」では、本誌には掲載しきれなかったロング版を紹介する。


今回は“6人でひとり”という活躍の仕方が多いです


――『えいがのおそ松さん』のご感想をお聞かせください。

 面白かったですよ。むしろ、よかったです。TVシリーズでやっていた「こぼれ話集」みたいな展開を延々と見せられたらしんどいですけど、ちゃんとひとつの話としてまとまっていたので、6つ子だけで長編の話ができるんだなと思いました。劇場版と聞くと、新たなオリジナルキャラクターが大活躍、みたいな作品を想像しやすいじゃないですか。でも今回は決してそういう話ではなく、あくまでも6つ子たちがメインで。本当におそ松さんたちの話だなと思いました。

――6つ子の高校時代が描かれるという点については、どう思われましたか?

 面白い試みですよね。どういう高校生活を経て「おそ松くん」が「おそ松さん」になったのか。その成長過程が明らかになるんですが、『おそ松さん』という作品のフィルターを通しての成長過程だから、なんでもアリというか、ぶっちゃけて言うと、そこに取り立てて意味はないんです(笑)。だから「こういう高校生だったんだな」くらいの感覚で楽しむといいのかなと思います。

――では、18歳の6つ子たちについては?

 18歳のおそ松は、やっぱりおそ松なんだなと。この人が何もブレずに長男でいてくれるから、ほかの5人が好き勝手できるんだという象徴ですね。逆に、おそ松がブレていると、もう何がなんだかわからないものになっちゃうと思います。今回もおそ松だけはブレずにいてくれたので、逆にほかの5人はブレまくりですね。なんでそうなったのかというくらい、どのキャラクターも全員ブレています。どうブレているのかは、劇場で観ていただければと思います。


――アフレコはいかがでしたか?

 僕らはTVシリーズのときも1本取るたびに、やりきって疲れて、誰も飲みに行かずに帰る……というサイクルで録っていたんですけど、とにかく『おそ松さん』は消耗するんです。映画は単純にTVシリーズ6本目の尺があると考えると、スタッフに「2日で録ります」と言われても「無理でしょ!?」って感じでした。実際、初日は9~10時間くらい収録しましたけど、予定の半分くらいしか行かなかったですからね。次の収録はさらに開始時間を早めてスタートという事になったんですけど俺らはスプリンターみたいなもので、長い時間かければいっぱい走れるわけじゃないんです。あまりの長丁場に、スタッフは何か勘違いしているんじゃないかとみんなでそういう話をしていました(笑)福山潤だけは元気でしたけどね。長い時間やっていると、つまらないミスが増えてくるんです。『おそ松さん』のようなギャグ作品は本番の集中力が凄く必要なので、普段はわりとトチらないんですけど、疲れてくると意味がわからないところでみんな……おもに僕がトチるんですよね(笑)もう完全に電池切れしているような、そんな収録でした。

――過去と現在の6つ子が出会うという、今回のお話ならではの苦労はありましたか?


 今回の6つ子はそれぞれ過去の自分と対峙しなきゃいけないので、ニュートラルな20代と、ちょっと個性が特化した18歳が同時にしゃべるところは大変でした。その特化した部分がずっと特化し続けてくれればいいんですけど、シーンによってはそうもいかないというか。20代のおそ松たちが18歳のおそ松たちに助言めいたことを言うとき、それに対して特化したしゃべりで受け答えするのは想像がつきにくいですよね。ある程度は神妙な芝居もしなきゃいけないわけで、そこのさじ加減が難しかったように思います。改めて、18歳のときと20代のときって、ほかの5人のキャストはどう演じ分けていたのかなと思い返すと、みんな“そういう設定だから”でやれちゃう人たちなので、6つ子のメンバーって凄いんだなと。キャラクターがこういう芝居をするときにどうやるのかは、その人自身からしか派生しないし、それが正解だし、絶対に間違えたものは出してこない。どうやっていたのか思い出せないのは、そのくらい自然だったということですね。

――チョロ松を演じるにあたって、意識されたことなどはありましたか?

 チョロ松に関しては役作りで苦労したことがないので、今回もとくに何かをやったということはないですね。ただ、18歳のチョロ松は、難しいだろうなと思いました。チョロ松って6つ子のなかでは普通なので、わりと当たり前のことを言う人になっちゃっているんですよ。だから、ちょっとしたボタンの掛け違いで彼のなかの当たり前がブレると面白くなるんですけど、周りからは「チョロ松どうした?」と見えてしまうので、そのブレさせる加減が難しいんです。今回、18歳の6つ子たちはそれぞれに、とんでもない方向にブレていくんですけど、チョロ松に関しては想像しやすいブレ方をしていると思うんです。ある意味“チョロ松”らしさを誇張しているような感じで。ただ、ほかの兄弟たちが20代と全然違うものをやらされているなか、チョロ松は今まで見せてきた方向性を特化させているだけなので、今までと何か違うことを伝えるのはすごく大変なんですよね。TVシリーズでもチョロ松が変なことを言い始めたとき、それをわからせるのが難しいから、見た目を茶髪にさせたりしたわけじゃないですか。ビジュアル的な変化でなんとかしようとしているだけだから、そこを僕の芝居で面白くしようと思ってもできないなと、そういうジレンマがありました。でも、今回は個性を特化させたことで、芝居の方向性で頑張れば笑ってもらえる雰囲気にはなれたので、いいブレ方をさせてもらえたのかなと思います。

――チョロ松は6つ子のなかで、ツッコミ役を担うことも多いですよね。

 どうなんでしょう。正直、ツッコミ役ってもうチョロ松じゃなくてもいい感じになっていて、むしろトド松も切り込んでいっているし、カラ松も大きい声を出したりするから、とくにチョロ松がツッコミ役という認識はないんですよ。とはいえ、最初の設定ではそういう認識でしたから、ツッコミを任されると緊張はしますし、彼にとっては当たり前の“得意なところ”としてやれないといけないんだろうなと思いますね。今回も自分なりに切れ味よくやっているつもりですけど、そこは観てくださる方に判断を委ねたいなと思います。

――今回6つ子のなかで、ひときわ輝きを感じたキャラクターはいますか?

 物語の導入としてカラ松がフックになってはいますけど、やっぱり六者六様なんですよね。“6人でひとり”という活躍の仕方が多いので、とりわけ誰かが目立つことはなかったです。ただ、それぞれに見せ場があって、突拍子もないことをやらされているので、絶対に笑えると思います。チョロ松も少し意外な役作りをさせてもらっているのでけっこう叫びましたけど、そこで笑いを取れなかったら僕がスベっているだけみたいで嫌だなと(笑)。だから個人的には、あまり注目されすぎず「なんでこんなことやってんの?」と思われるくらいが、観られ方としては正しいような気がします。

――読者へのメッセージをお願いします。

 何も考えずに楽しい時間を過ごしたいなと思ったら観に来てください。それに関しては絶対的な自信を持ってお届けできます。僕は劇場って特別な空間だと思うので、そこで観せられる映像というものに、とても期待しちゃうんですよ。言葉にできないスケール感というか感覚的なものですけど、『えいがのおそ松さん』はそれが感じられる内容になっていると思います。『えいがの』というタイトルに偽りない作品です。劇場での鑑賞に耐え、なおかつ単純に楽しいだけの時間がそこには間違いなく流れるはずなので、だまされたと思って劇場へ足を運んでいただけたらうれしいです。

取材・文=株田馨

PROFILE
【かみや・ひろし】1月28日生まれ。千葉県出身。青二プロダクション所属。主な出演作は、『進撃の巨人』シリーズ/リヴァイ役、『夏目友人帳』シリーズ/夏目貴志役、『続・終物語』阿良々木暦役など。

劇場版『えいがのおそ松さん』 
全国ロードショー 
配給:松竹

劇場版『えいがのおそ松さん』 公式サイト
https://osomatsusan-movie.com  

劇場版『えいがのおそ松さん』 公式Twitter
@osomatsu_movie 

©赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019

《超!アニメディア編集部》
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