2015～2018年に「週刊ヤングマガジン」で連載され、2018年にはTVアニメ化もされたマンガ『Back Street Girls』。ヤクザがアイドルに転身するという衝撃的なストーリーで話題を呼んだ本作を実写化した映画「BACK STREET GIRLS -ゴクドルズ-」(「BSG」)が、現在公開中。アイリ役の岡本夏美、マリ役の松田るか、チカ役の坂ノ上茜のインタビューが「アニメディア３月号」に掲載中。超！アニメディアでは、掲載しきれなかった部分を含めたロング版と撮り下ろしの写真をご紹介する。
写真左からチカ役の坂ノ上茜、アイリ役の岡本夏美、マリ役の松田るか
――まずは、3人が演じるアイリ、マリ、チカの人物像を教えてください。
岡本 アイリは、とにかくかっこいいんです。弟分ふたりに「おまえら、考えろよ」って襟を正させる兄貴的な存在で、白洲(迅)さんが演じたケンもすごくかっこよくて。だからアイリになったことによって、そのかっこよさを半減させたくないとずっと考えていましたね。アイリの姿でどうやってそのかっこよさを表現するかを考えたとき、「どれだけ弟分ふたりを大事にするか」が重要なポイントでした。
松田 「兄貴」だったよ。
坂ノ上 実際の年齢は私たちの方が上なんですけど、それを感じさせなかったよね。その年齢の壁を壊したのはすごいと思う。
岡本 「兄貴」って言ってたもんね、私のこと。
松田 言ってた（笑）。
岡本 私は「るか姉」って呼ぶのに、るか姉も私を「兄貴」って呼ぶから、上下関係が意味不明なことになってた（笑）。そんなふたりだったから、「兄貴」でいられたっていうのもありますね。
――マリはいかがですか？
松田 マリはクールなお姉さまキャラなんですが、すぐ怒るんです。何かあるとすぐに「おい」って突っかかっていって、兄貴に「落ち着けよ」って止められる。たぶん、上に兄貴がいるし、何かやらかしてもカズのせいにしたらいいから、一番自由にできるんじゃないかな。あと、下ネタ担当でもあります（笑）。
岡本 セクシー担当だからね。
坂ノ上 自分の胸を触りながら「千葉真一～……」ってやってたよね（笑）。
松田 あのシーンは、数々の名優の方々に本当に申し訳なかった！（笑）
岡本 あそこを演出するときの原（桂之介）監督、めっちゃ楽しそうだったよね（笑）。
――では、チカはどうでしょう？
坂ノ上 チカは、シリアスなシーンでもちょっと的外れな言動をするキャラクターで、よく兄貴ふたりから怒られています。カズ役の柾木（玲弥）くんが、本当におかしな人なんですよ。お芝居もすごくぶっ飛んでいて。「それに負けない熱量でやらなきゃいけない」と言われたときはプレッシャーでしたが、そんな柾木くんのお芝居のなかでの奔放さや、チカのちょっとズレた部分、全部を含めて「かわいいな、憎めないな」というところがチカのポイントだと思っています。何か変なことをしても「こいつ、嫌いになれない」って思えるようなチカでいたいと思って、心がけていました。
岡本 柾木くんと重ね合うシーンでは、ふたりのかわいさがすごく出てた。あれはふたりじゃないとできないキャラクターだったなと思います。どのキャラクターも、それぞれのチャーミングさとつい見入ってしまう魅力が詰まっていたので、それを演じられるのは楽しかったよね。
松田・坂ノ上 うんうん、楽しかった。
――現場の雰囲気はいかがでしたか？
坂ノ上 お芝居をするうえで、やりたいことをやらせてもらえた現場でしたね。自分たちから提案したり、「これって、こういうことですか？」ってお話させていただくと、原監督も「いいじゃん、やろうよ！」って乗ってくださって。
岡本 もちろん、原監督の演出もいっぱいあります。監督自身の撮りたいものがすごく見えていたのでそこはブレないようにしながら、そのなかで4人で話し合っていきました。原監督は私たちを対等に見てくださっていたので、私たちも原監督の作品愛に負けないように食らいついて「ここ、こうやりたいです」と提案していって。そこで監督が「面白いですね、それ」って言ってくれたら「よしっ！」って思った。
松田 「より良い作品作り」にひたすら尽力していた気がするよね。
坂ノ上 「モノづくり」をしている感覚がすごくあった。
松田 役者をやっていて一番大事なことじゃん。それをすごく感じられたよね。
――同じキャラクターを演じる白洲さん、柾木さん、（リョウ役の）花沢（将人）さんとは打ち合わせをされたのですか？ 松田
岡本 白洲さんってお酒を飲むときに、グラスを持つ手首を少し返すんですよ。泣くときも、少し下にうつむくように泣くんですよね。そういう動作を、白洲さんが撮影している様子を見ながら、メモしたり動画を撮ったりしていました。逆にクランクインのときとか、男の子たちがお休みなのにわざわざ来てくださったこともあったし。
松田 本編中では一緒のシーンはあまりなかったんですが、同じ人物を演じるということで、頑張ったよね。
坂ノ上 カズのしぐさで一番印象的だったのは、アクションシーンの蹴りでした。手をすごく振り回して、暴れ散らしてるんですよ。あの蹴りに関しては、未だによくわからない（笑）。
岡本 でも、茜ちゃんが思う「チカ像」と、柾木くんのやるカズとすごく似ていたと思うよ。
坂ノ上 柾木くんが寄せてくれたのかもしれない。
松田 見ている方たちにも、リンクしていると感じてもらえるんじゃないかな。
――アクションといえば、マリは頭突きがすごかったですね。
松田 マリはすぐカッとなるから、そのままの勢いで頭から行っちゃうんでしょうね（笑）。頭突きのやりすぎで、首の後ろが筋肉痛になりました。
岡本 なったね～。普通、女優が作品で教えてもらうアクションって「女の子のアクション」だから、すごくきれいな型なんですよ。でも、私たちがやったのはやくざのケンかだからすごく荒っぽくて。
坂ノ上 力で相手を倒すように重心が下に落ちてないといけないんですけど、私たちはふだん、女の子として生活するなかで「重心を下にして動く」という感覚がないから、どうしてもパンチが上ずっちゃったりして。重心を下にするって感覚が難しかったです。
――ライブシーンでも歌って踊っていましたが、あちらはいかがでしたか？
坂ノ上 本編の撮影は去年の1月からだったんですが、ダンスレッスンやボイストレーニングは11月末ぐらいから入っていました。なので、クランクインで「はじめまして」でそこから作っていくわけではなく、練習のなかで自然と会話をできていたんです。ダンスレッスンがあったおかげで、3人の関係性が深まって、役作りに生きていた部分もあったので、よかったなと思います。
岡本 クランクイン前には、もう仲よかったもんね。
松田 この物語は、3人が仲よくないと始まらないもんね。それが一番ありがたかったかも。
――組長役は極道映画のベテランである岩城（滉一）さん。共演はいかがでしたか？
岡本 「ボス」でしたね。岩城さんの持つ空気で緊張感があったシーンも多かったですし、逆に岩城さんのパワフルさですごく楽しかったシーンもいっぱいあったりました。
坂ノ上 最初は怖くて、待ち時間のときも話しかけられなかったんですけど、実際はすごくチャーミングな方でした！
岡本 チャーミングだった！ 待ち時間には恋バナもしたよね（笑）。「自分が好きな人と、自分を好きでいてくれる人、どっちが幸せになれるんですかね？」と聞いたら「絶対、好きでいてくれる人だよ」って答えてくれたり。人生の先輩として、役者の先輩としていろいろアドバイスをいただきました。
坂ノ上 ほかの仕事の番組をたまたまTVで観ていたらしく、ほめてくださったこともあって。「（撮影現場では）こんな髪型（ツインテール）をしてるけど、大人っぽく見えた」って言っていただけて、うれしかったです。すごく見てくれてるんですよ、私たちのこと。
――ところで、みなさんは、ふだんからマンガやアニメはご覧になりますか？
岡本 アニメと言えば、るか姉だよね。
松田 今期なんのアニメがやっているかは、とりあえず全部必ずチェックするようにしています。とくに女の子がいっぱい出てくるアニメが好きで。最近、観て印象的だったのは『ポプテピピック』。あまりに衝撃的で「『ポプテピピック』を観ろ！」ってふたりにも勧めました（笑）。
坂ノ上 『ポプテピピック』めっちゃ好き～♡
岡本 ふたりから、SNSで『ポプテピピック』のスタンプがめっちゃ送られてくるんですよ。
坂ノ上 スタンプ、4種類くらい持ってる（笑）。私はふだん自分からマンガやアニメに触れることはあまりないんですが、こうして勧めてもらったり、何かのきっかけがあって観てみると、やっぱり面白いなと思います。最近観て好きだったのは、新海誠監督作品かな。『言の葉の庭』とか。
岡本 私は「スタジオジブリ」の作品が好き！『ハウルの動く城』！ 撮影現場でイントロ当てゲームがはやったんですけど、白洲さんとジブリ音楽対決みたいになりました（笑）。
――では、最後に読者にメッセージを。
岡本 原作を知っている方も、知らない方も、何も考えずに楽しめる作品です。そのなかには愛のあるテーマがあって、それぞれが葛藤していく姿に「こいつら、かわいいな」って感じてもらえたらと思います。この作品を観てちょっとでも元気になったら、友達同士やＳＮＳでどんどん『ＢＳＧ』の輪を広げてくださるとうれしいです！
松田 原作ファンも、アニメファンも、任侠映画ファンも、アイドルファンも、いろんな人が楽しめる映画だと思います。キャラクターの小さな表情の変化は実写でしか表現できないものですし、実写だからって敬遠しないで、ぜひ観にきてほしいです。
坂ノ上 たくさんの方に観てほしいよね。
松田 とりあえず、観に来い！
坂ノ上 話はそれからだ！
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＜プロフィール＞
【岡本夏美】1998年7月1日生まれ。神奈川県出身。主な出演作は映画『台湾より愛をこめて』メイ役（2018年）など。
【松田るか】1995年10月30日生まれ。沖縄県出身。主な出演作は映画『賭ケグルイ』皇伊月役（2019年）など。同作のTVドラマにも出演。
【坂ノ上茜】1995年12月5日生まれ。熊本県出身。主な出演作はTVドラマ『チア☆ダン』樫村恵理役（2018年）など。
〈映画「BACK STREET GIRLS -ゴクドルズ-」情報〉
全国劇場で公開中
原作／ジャスミン・ギュ(『Back Street Girls』講談社「ヤンマガKC」刊）
監督／原桂之介
脚本／増本庄一郎 伊藤秀裕
出演／白洲迅 柾木玲弥 花沢将人 岡本夏美 松田るか 坂ノ上茜 菅谷哲也 浅川梨奈 秋山莉奈 高嶋香帆 小沢仁志 桜田通 大杉漣（友情出演） 岩城滉一
配給／東映
＜ストーリー＞
山本健太郎（ケン）、立花リョウ（リョウ）、杉原和彦（カズ）の3人は、ヤクザ組織・犬金組に所属する若きヤクザ。とある事件で不始末を起こしてしまった3人は、その仕置きとして、組長からアイドルになることを命じられる。3人は性転換＆全身整形手術を受けて美少女になり、アイドルグループ「ゴクドルズ」を結成。ケンはリーダーのアイリ、リョウはお姉さまポジションのマリ、カズは「ラブラブピョンピョン」が決めゼリフのチカとして、アイドル活動に励んでいく。
©2019映画「ゴクドルズ」製作委員会
