――舞台からアニメになって、演じるキャラクターへの印象は変わりましたか?
TVアニメの放送前から、2度の舞台上演されるなど、話題の『少女☆歌劇レヴュースタァライト』。演劇学校に通いスタァを目指す少女たちの暑い思いを描く本作のOPテーマとEDテーマのCDが、好評発売中だ。メインキャラクター9人で結成されたユニット・スタァライト九九組の愛城華恋役・小山百代、神楽ひかり役・三森すずこ、露崎まひる役・岩田陽葵に楽曲の魅力を語ってもらったインタビューが、「アニメディア8月号」に掲載された。「超!アニメディア」では、ご紹介しきれなかった部分を含めたロング版をご紹介する。
9人の声の個性が歌のさらなる魅力を引き出す
小山 華恋はセンターに立ちたいという思いはなくて、ひかりちゃんありきで物事を考えている部分がもともとすごく強いんです。舞台に立つのもひかりちゃんがいるからなんですね。アニメのアフレコをしてみて、ひかりちゃんと“ふたりでひとつ”だと思っているんだなという印象がさらに強くなりました。
三森 舞台のときは、ひかりちゃんは意思が強い子なんだなと思っていました。でも、アニメでは舞台で描かれなかった学園生活や寮の様子がすごくていねいに描かれていて、舞台以外のひかりちゃんの様子が見えてきて。じつは幼い部分があるんだなということもわかって、愛すべきキャラクターになりつつありますね。
岩田 まひるちゃんへの印象はほぼ変わっていないんですが、アニメだと華恋ちゃんからひかりちゃんへの思いがより深く描かれていて、ふたりの絆もすごくしっかり見えるので、まひるちゃんの嫉妬の気持ちもより強く見えてきました。
――OPの「星のダイアローグ」は転調の多さに驚きました。
小山 いろんな曲調を詰め合わせた宝箱みたいな曲なんですよ。曲調がコロコロ変わるので、フルで聴いてほしいです。
三森 途中でワルツのリズムが入るし、すごくドラマチックだよね。それでいて、サビはみんなが乗れるようなポップさもあるんです。私はアウトロがすごく好きです。不穏な感じで、思わず作詞をした中村彼方さんに「これは不幸の始まりですか」って聞いてしまったほどで(笑)。作中に登場する戯曲で、フローラとクレールというキャラクターが塔から落ちるシーンがあるんですが、このアウトロは塔から落ちた音なのでは……と。
小山 それは考えすぎ(笑)。
岩田 そうだね(笑)。私たちも舞台に立っているから、歌詞に共感できる部分が多いよね。私はとくに2番のサビ部分が好きなんです。ちょうど舞台に出る前の自分たちの想いを歌っているような気がして、胸にグッときます。
――キャラクターとして歌っているわけですが、歌うときにはどんなことを心がけていますか?
三森 ひかりちゃんは舞台のときのイメージをずっと引っ張ってしまっていたんです。ひかりちゃんは過去の経験から、自分でこうと決めていることがあって、それに真剣すぎて明るい子ではないんですね。だから、歌うときはあえて明るくを心がけています。舞台にいるときの幸せなひかりちゃんをイメージしないと、シリアスモードになって悲壮感が漂っちゃうんです。
小山 私は、地声は低いんですけど、高くしようと思わなくても『スタァライト』の歌のときは自然と高くなりますね。
三森 華恋モードになっちゃう?
小山 なのかなぁ? まひるちゃんは?
岩田 まひるちゃんは引っ込み思案なので、最初はそれを意識しすぎてレコーディングで暗い声を出しがちだったんです。でも、彼方さんに「華恋ちゃんを大好きっていう気持ちで歌っていいよ。華恋ちゃんを思いながら歌って」と言ってもらえて。まひるちゃんは舞台に立つことも、華恋ちゃんのことも九九組のことも、そして舞台創造科(ファン)のみなさんのことも大好きなので、その気持ちを届けられるように歌うことを心がけました。小山 9人の声にはそれぞれ個性があって、全員で歌っても誰も埋もれないので「いま、クロちゃん(西條クロディーヌ)の声がした」とか「(石動)双葉の歌だ」とか思いながら聴いてもらえるんじゃないかなと思います。
――EDの「Fly Me to the Star」は、しっとりとした曲ですね。
三森 私、この曲が大好きなんです。戦いに疲れた少女たちが、夜に星を見ながら歌っているような感じがするんですよね。曲の構成も素敵なんですよ。
岩田 たしかに九九組にはなかったさっぱりした曲ですよね。
小山 アニメは謎のオーディションに翻弄された女の子たちが、レヴューで熱くなるので、そのあとにこの曲が流れるとちょっと安らげる感じがします。
岩田 本編は怒濤の展開だからね。
三森 ひと休み感はあるよね。ひかりちゃん的には明るくしなくていいから、一番歌いやすかったかな(笑)。
小山 華恋的にも、歌いにくくはなかったですよ。静かな曲調なので、いつもとちょっと違う華恋を見せられるかなって思っていたんです。でも、実際に完成した音源を聞いたら、それでも明るさが残っていて、華恋ってこういう曲調でも明るいんだって気づきました。
岩田 人ごとみたい(笑)。でも、それが華恋ちゃんらしくてよかったよ。まひるちゃん的には、こういうしっとりした歌には思いを込めやすかったです。
――OPのシングルに収録されるカップリング「Discovery」はアプリゲームの主題歌ですね。
小山 これは、すごくハッピーな曲で、アイドルっぽさが強い気がします。
岩田 爽快感があるよね。
小山 ゲームの曲だけど、アニメの曲みたいな感じがする。
三森 うん、アニソンっぽい。
小山 新たな一面が見られる感じ。振り付けもかわいいんですよ。女の子たちの魅力が詰まっているんです。
岩田 振り付けは自由な部分が多くて、9人集まってこうしたいねって考えながら作っていくのが楽しいです。舞台創造科の人たちとも盛り上がれるかな。
三森 合いの手が入れやすいから、きっと盛り上がれると思うよ。
小山 何人かで歌うパートもあって、その組み合わせが面白いので、そこにも注目してほしいです。
――EDシングルのカップリング1曲目「よろしく九九組」は、それぞれの個性が活きた自己紹介ソングですね。
小山 テーマパークに来たようなワクワク感があります。
岩田 幕が上がる感じもあるよね。
小山 華恋とひかりちゃんとまひるちゃんが連続で歌うのもいいし、3人で歌うパートもあるからすごく楽しいです。
三森 きゃぴきゃぴしてるよね。
岩田 私、まひるちゃんとひかりちゃんが華恋ちゃんのことしか歌っていないのが気になって。自己紹介の歌なのに、自分を差し置いて華恋ちゃんの話をするっていうのがもう……。
小山 そういえば、名乗っただけだね。
三森 ふたりともどれだけ華恋のことが好きなのか……。もっと自分を持ってほしい!(笑)まひるちゃんは言葉に詰まっただけで終わっちゃってたよね。
岩田 自分のことも何かしら言えたと思うんだけどなぁ……。
三森 言えないところがめちゃくちゃ面白いよ(笑)。
小山 ほかのみんなは、自分の好きなこととか得意なこととか言っているのにね。
三森 せっかくのチャンスなのに(笑)。
岩田 アピール力が足りないんだよね。
小山 華恋は愛されすぎなんですよ。無意識のうちにみんなを好きにさせる、無意識の魔性感。
三森 人たらしだから。
岩田 罪な女だよね。みんなに平等だし。
三森 それでいて、みんなに好かれていることに全然気づいてないのがずるいんだよね。
岩田 でも、まひるちゃんはそういう華恋ちゃんにあこがれているんだろうな。
――もう1曲のカップリング「ロマンティッククルージン」については?
三森 80年代っぽい感じの曲で、すごくかっこいいです。
小山 星の名前がたくさん出てくるので、ライブではみんなに言ってみてほしいですね。ディスコっぽさもあって、盛り上がれると思います。
三森 星の名前が入っているのって、ロマンティックだよね。聞けば聞くほど好きになれる。
岩田 するめみたいな曲ですね(笑)。あと、踊りもレトロな感じですごくかわいいです。
――『レヴュースタァライト』はこれまでにもダンスチューンやロックテイストの曲など、幅広いジャンルの歌を歌ってきていますよね。
小山 『スタァライト』の曲は歌詞も素敵ですし、「舞台少女心得」は耳に残りやすいですよね。どの曲もライブ映えしそうなので、CDで聴いてもライブで聴いてもすごく楽しいと思います。
岩田 口ずさみたくなる曲ばかりなんです。いろいろなジャンルの曲を歌えるから、9人の魅力もいろいろな形で見せることができて、すごくうれしいです。
三森 1年でこんなに曲が増えると思わなかったし、最初のライブでこんなに歌える曲があるとも思わなかったよね。来年になったらどうなるのかな。
――さらに盛り上がる曲が増えると思うので、今後の展開もすごく楽しみです。楽しみといえば、アニメの放送目前です。冒頭の見どころを教えてください。
小山 冒頭から、かなりたくさんの謎が散りばめられていきます。でも、その謎は後半につれてスッキリしていくはずなので、いろいろな謎を疑問に思いながら観てほしいです。
三森 きっと、1回観ただけでは謎とすら思わなかったようなことが、ある日突然引っかかる日が来ると思うんです。そして、もう1回1話から観ようと思う人も多くなると思っています。
岩田 あるとき突然不思議に思うようになりますよね。舞台も観返したくなるんじゃないかな。
小山 うん、わかる。舞台もアニメとリンクしている部分がすごくたくさんあるので。あと、それぞれのキャラクターのリアクションも注目しておくといいと思います。
三森 女ってこわいよ~って思うんじゃないかな(笑)。あとは、キリンの存在も気になるかな。なんでキリン? キリンじゃなくてもよくない? いい声だけど? みたいな疑問は舞台のときからずっとあったもんね。
小山 あと、普通の高校生から舞台少女になる変身バンクも要チェックです。名乗り口上は、舞台版だと華恋にはあったんですが、9人分ちゃんと用意されているんですよ。
――では、最後に読者にメッセージを。
小山 アニメでも歌がキーになりますし、日常のシーン、レヴューシーン、OP、ED、いろいろなところに仕掛けが施されているので、謎とそのヒントを探してみてください。『スタァライト』を見るために1週間頑張ると思えるくらい素敵な作品になるように頑張ります。
三森 アニメは、映像も音楽も素敵だし、レヴューシーンの曲もすごくかっこいいです。日常シーンでは、女の子ってこんなことでイラッとしたり敵対心を持ったりするんだ、みたいな乙女の想いに触れてください。ライバル意識バリバリなところも、でも場合によっては団結するところも青春っぽくてスポ根感もあるので、その部分も楽しんでください。
岩田 女の子9人のかわいさだけじゃなく、ひとりひとりの葛藤などにも焦点が当たります。目指すところは同じでも、目指す理由は人それぞれで、その思いのぶつかり合いも魅力的です。9人のうちに共感できる子を見つけて、ぜひその成長を見守ってもらいたいです。できれば、9人全員を応援してください。
取材・文/野下奈生(アイプランニング)
〈リリース情報〉
OPテーマ「星のダイアログ」
発売中
1,500円(税込)
EDテーマ「Fly Me to the Star」
発売中
2,000円(税込)
発売元/ポニーキャニオン
〈TVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』情報〉
TBS 毎週(木)深1時28分〜
CBC 毎週(木)深2時35分〜
BS-TBS (土)深1時〜
MBS (土)深3時08分〜
RKB 毎週(水)深2時30分〜
◆スタッフ
原作:ブシロード/ネルケプランニング/キネマシトラス
監督:古川知宏
シリーズ構成・脚本:樋口達人
キャラクターデザイン:齊田博之
副監督:小出卓史
プロップデザイン:高倉武史/谷紫織
グラフィックデザイン:濱祐斗/山口真生
色彩設計:吉村智恵
美術監督:秋山健太郎/福田健二(studio Pablo)
3D監督:秋元央(T2studio)
3D舞台照明:カミヤ ヒサヤス
撮影監督:出水田和人(T2studio)
編集:黒澤雅之
音響監督:山田陽
音楽:藤澤慶昌/加藤達也
戯曲脚本・劇中歌作詞:中村彼方
アニメーション制作:キネマシトラス
◆キャスト
小山百代(愛城華恋役)
三森すずこ(神楽ひかり役)
富田麻帆(天堂真矢役)
佐藤日向(星見純那役)
岩田陽葵(露崎まひる役)
小泉萌香(大場なな役)
相羽あいな(西條クロディーヌ役)
生田輝(石動双葉役)
伊藤彩沙(花柳香子)
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