2017年10月よりTOKYO MXにて放送がスタートしたアニメ『EVIL OR LIVE』。中国大手Webコミックサイト「テンセント漫画」にて、累計3.8億PVを獲得した『理想禁区』を原作した本作は、とある事件がきっかけで「ネット依存症」になってしまった主人公が、「ネット依存症」患者の集まる施設で生き抜く姿を描いた作品である。
そんな本作の世界観をまさに表現したOPテーマ曲を担当しているのは、シンフォニックロックユニット「NormCore」だ。今回は、「NormCore」のボーカルであり、「UMI☆KUUN」名義で個人活動も行っているFümiにインタビューを敢行。OPテーマ曲「それでも僕は生きている」のことに加えて、「NormCore」としてデビューした経緯などについてもおうかがいした。
NormCore
「NormCore」は“芸術”
――本日はよろしくお願いします。Fümiさんはソロ名義「UMI☆KUUN」としても活動されていますよね。Youtubeでアップされている「歌ってみた」などの動画を拝見したことがあります。
ありがとうございます! 「UMI☆KUUN」名義のときは音楽だけでなく、MCやリポーターなど様々な活動を行っていました。
――TVアニメ『ヤング ブラック・ジャック』のOPテーマも担当されていましたよね。そんな「UMI☆KUUN」名義ではなく、「NormCore」としてデビューするに至った経緯について教えてください。
実は元々、所属しているレーベル会社から「音楽大学出身で、高音も出るんだから、もっとアートっぽい活動も視野に入れてみたら?」と提案されていたんですよ。そこで、折角やるならよりアーティスティックな活動をやりたいと思って、「NormCore」を立ち上げようと考えるようになりました。今後は、「UMI☆KUUN」は“芸能”、「NormCore」は“芸術”という位置づけで活動していければいいかなと思っています。
――なるほど。そんなアーティスティックな活動に特化した「NormCore」はシンフォニックロックユニットと銘打っています。色々なジャンルがあるなかで「シンフォニックロック」にこだわろうと思った理由を教えてください。
僕自身が映像と音楽のシンクロに感銘を受けたからというのが大きな理由ですね。
――映像と音楽のシンクロでしょうか?
はい。僕が音楽を始めたきっかけは、アニメ『もののけ姫』の久石譲さんの音楽に感銘を受けたからなんです。作品を見ていて、音楽と映像がシンクロすると、これほどの感動が生まれるんだと、とても衝撃を受けましたね。僕もそういう音楽と映像がシンクロした作品を作りたいと常々思っているので、「シンフォニックロック」というジャンルにこだわることにしました。
また、「クラシック」は音楽大学出身の「NormCore」の3人が、長年付き合ってきたジャンルでもあります。そういう意味では「シンフォニックロック」にこだわることが、僕たちがユニットとして活動する意義でもあると思っています。
――メンバーのTatsuさん、Natsuも音楽大学出身なんですね! まさに芸術にこだわったユニットなのだと感じました。しかし、編成はボーカル、ヴァイオリン、クラシックギターと少し異質な組み合わせにも思えます。こちらの編成には何か意図があるのでしょうか?
編成自体にそれほど意味はなく、僕がたっちゃん(Tatsu)、なっちゃん(Natsu)とユニットを組みたかったからというのが大きな理由です。
――色々な音楽仲間の方がいらっしゃると思いますが、なぜこのお二人だったのでしょうか?
人として素晴らしかったというのが一番の理由ですね。音楽をやっている人の中には、どうしても意思が固すぎる方がいらっしゃいます。それが悪いことではありませんが、僕が音楽活動をするときはいつも“面”で動かすので、意思が固すぎることで納品が遅れたりすると、全体の動きが狂ってしまうんですよね。
――“面”というのは先ほどもこだわりとおっしゃられていた映像などのこと?
その通りです。僕は自分がやりたい音楽だけを貫くより、映像など様々なことを同時に進行させて、大きなプロジェクトとして動いていきたいタイプなんですよね。だからこそ、しっかりとコミュニケーションを取れる人と活動したいと思っています。たっちゃん、なっちゃんは技術面はもちろんですが、人間性の面でも信頼できて、フィーリングも合う二人だったので、「この二人じゃなきゃきっとダメなんだろうな」と思い声を掛けました。
デビューシングルはメッセージ性の強いダークな曲
――「NormCore」としてデビューした経緯、また3人の関係などについてお話いただきありがとうございました。そんな信頼をおけるメンバーが揃った「NormCore」のデビューシングル「それでも僕は生きている」が11月22日にいよいよリリースされます。
今回の曲はアニメ『EVIL OR LIVE』のOPテーマ曲にもなっているので、アニメとのリンクも考えて作詞しました。曲調も作品に併せてダークな感じになっています。
――とても強烈な言葉が歌詞に使われていて、アニメ同様、メッセージ性の強い作品だと感じました。
作詞する前に台本をいただいて、「生死」がテーマにもなっているアニメだと感じました。アニメの主人公であるヒビキたちは「ネット依存症」で、それまでは生きていることはどういうことなのかということを曖昧にして過ごしてきた若者です。「ネット依存」は現代社会においても通ずるところがあると思うので、そういう方々にも共感してもらえればという想いを込めて作詞しました。強烈な言葉を使っているのは回りくどくならないよう、分かりやすい言葉を使って想いを伝えたかったからですね。
――まさに「生死」に関するストレートな歌詞が印象的です。先ほど「ネット依存症」という言葉が出てきましたが、Fümiさんは自分が「ネット依存症だな」と思ったことはありますか?
高校を卒業して大学に入学するために東京へ上京した頃、カルチャーショックで家にひきこもっていました。その時は僕もFPSやMMOといったジャンルのオンラインゲームばかりやっていたので、ヒビキたちの気持ちはすごく分かります。
――なるほど。Fümiさんは今回、OPテーマ曲を担当するだけでなく、アニメで小桓(ガン)役の声も担当されます。7話に登場するとのことですが、収録はいかがでしたか?
かなり楽しかったですね。小桓(ガン)はヒビキたちがいる更生施設を仕切っている鬼教官の兄の息子というポジションなのですが、彼も実はネット依存症なんですよ。だから心情を察するのに難航はせず、むしろ共感しながら演じることができました。
――以前「声優を目指す」という番組もされていましたよね。
そうなんですよ! 声優さんはアニメを作るうえで欠かせない存在なので、今回声優に挑戦できて、とても光栄でした。
――今後、声優としての活動もしていきたい?
そうですね。自分の声で表現することに関して、チャンスがあればやってみたいです。
――「UMI☆KUUN」での活動もそうでしたが、本当に様々なことに挑戦されていて、尊敬します。続いて、「それでも僕は生きている」のカップリング曲「天空の涙」についてもおうかがいできればと思います。
この曲、実は3年ほど前に作ったものなんです。普段はストックしている曲を使わないようにしているのですが、今回は「それでも僕は生きている」が仕上がってきた時に、ふとこの曲がカップリング曲として頭によぎったんですよね。歌詞もほとんどない状態でしたが、曲調としては、絶望のなかにちょっとした希望があるというイメージだったので、絶望感のあるリードシングルと相性がいいのではと思ったんです。
――ある意味で、「それでも僕は生きている」ありきでこの曲がカップリング曲になった?
そうですね。「それでも僕は生きている」がリード曲でなければ、「天空の涙」がカップリング曲にはなっていなかったと思います。
――今お話をうかがったどちらの曲もFümiさんが作詞・作曲を担当されていますが、普段、曲や映像作品を作る際、どのようなところから着想を得ますか?
色々とありますが、普段見ているアニメからインスピレーションを受けることが多いような気がします。
――どういう作品をよく見ますか?
具体的なタイトル名になってしまいますが、『文豪ストレイドッグス』や『亜人』が好きですね。最近はTV版の『交響詩篇 エウレカセブン』を一気見して感動しました。あとは、『苺ましまろ』を定期的に見て癒されています(笑)。
――かなり幅広いジャンルを見ていますね!
一番好きな作品は『NARUTO -ナルト-』かな。『NARUTO -ナルト-』は僕がひきこもっていた時代に心の支えとなった作品です。すごく心を掴まれました。
――こういったアニメトークはユニットメンバーのお二人とはされますか?
メジャーな作品の話はしたことがあった……かな? もしかしたらアニメがかなり好きかもしれないので、今後もっとアニメの話もできればと思います(笑)。
――もし、お二人がそれほどでもなければまた私にお声がけください(笑)。最後になりますが、今回のデビューをきっかけに、今後「NormCore」としてどういった活動をしてきたいのか、目標を教えてください。
目下の目標としては、世の中で流行している曲などをクラシカルな要素を入れてアレンジし、YouTubeなどに投稿してみたいですね。
――それはすごく聞いてみたいです!
期待している方がいるので、頑張って、自分を追い込んでいきますね(笑)。あとは皆さんにもっと僕たちを知っていただくために、アニメのタイアップ曲をたくさんやりたいです。今後の夢としては、ゲームやアニメの劇伴など、ひとつの作品の“音”に関することすべてを担当してみたいですね。そして、最終的には映像を流しながらオーケストラでリサイタルができるようなユニットになりたいです。
<デビューシングル「それでも僕は生きている」情報>
発売日:2017年11月22日(水)発売
料金:初回限定盤1,500円 通常盤1,000円(税別)
※初回限定盤はアニメイラストステッカージャケット仕様
【CD収録曲】
M1.それでも僕は生きている
M2.天空の涙
【DVD収録内容】
・「それでも僕は生きている」MV
・「それでも僕は生きている」MVオフショット
<プロフィール>
NormCore【ノームコア】。ボーカルFümiが指揮を執る音楽プロジェクト。Fümi(ボーカル)、Tatsu(ヴァイオリン)、Natsu(クラシックギター)の3人で構成されるシンフォニックロックユニットである。メンバー全員が音楽大学卒業という華麗な経歴を持つ。激しいロックサウンドをベースにしながらも確実な音楽偏差値の高さに裏打ちされたメロディーとシンフォニーの美しさが唯一無二のアンサンブルを織りなす。Fümiのハイトーンボイス、Tatsuのヴァイオリン、Natsuのクラシックギターという個性が3人でしか表現できない「NormCore」の麗美な世界へ誘う。