アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のEDテーマ「サヨナラムーンタウン」をリリースしたシナリオアート。その制作秘話を聞いたインタビューが、発売中の『アニメディア10月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。
ーーアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のEDテーマ「サヨナラムーンタウン」が好評ですが、最初に話を聞いたときの印象は?
ヤマシタ 『BORUTO』は、僕らが子どものころから慣れ親しんでいる少年ジャンプの作品で。僕らはジャンプで育った世代ですから、EDテーマのお話をいただいたときは、すごくうれしかったです。
クミコ 私も、『NARUTO』は知っていました。今回を機に、舞台を観に行かせていただいたら、「『BORUTO』やばい!」って、すっかりハマってしまいました。
コウスケ 僕はアニメ全般が好きなので、こうしてアニメに関われることがすごく光栄です。OPテーマもEDテーマも、アニメが回を重ねるごとにどんどん愛おしくなるものなので、今回の曲がみんなにとってそういうものになったらうれしいですね。
ーー楽曲とEDの映像が、すごくハマっていて感動しました。みなさんは、ご覧になったときにどう感じましたか?
クミコ ファンの方からの反響が、ものすごいです。「EDがヤバイ!」って。
コウスケ 音のキメとかブレイクとかのタイミングと、映像がすごく合っていて。「さよなら」という歌詞のところでは、(本作のヒロインである)サラダが手を伸ばすシーンがあったり。歌詞と映像のストーリーが、バッチリ合っていてすごくうれしかったです。
ヤマシタ サラダの心情や両親とのことも重ねられていて、「この先どうなっていくんだろう?」と、EDの映像だけで、物語の想像が膨らむものになっていると思いますね。
ーーシナリオアートの曲は、どれも独自の物語や世界観を持った歌詞が特徴ですが、タイトルの「サヨナラムーンタウン」は、どういうイメージで付けたのですか?
コウスケ 満月の日に物が消滅していく“サヨナラムーンタウン”という架空の街をイメージしています。物が消えて行く世界で、サヨナラを重ねながら生きていく、そんな主人公の切ない想いを歌っています。
ーーそれを、『BORUTO』の世界観とも重ねて聴いてほしいと。
クミコ はい。ボルトはすごく良いとこの子なんですよね?
ヤマシタ そうそう。里いちばんの実力者=ナルトの息子で、すでに実力があって。
コウスケ そういう部分でも、ナルトとは違う。ナルトは親がいなくて落ちこぼれだったし。
ヤマシタ ボルトは、おしゃれにも気を遣う、今どきの子どもだよね。
コウスケ 『BORUTO』は、『NARUTO』とは違う新しい時代の物語で、キャラクターの考え方や生き方も、まるで違います。それを僕らのような『NARUTO』世代から見たときに、ともすれば「昔は良かった」と揶揄されそうな危険性もあるわけですけど、今の子どもたちの目線では、きっと『BORUTO』の感覚が当たり前で普通のことなんだと思います。そういう“サヨナラと出会い”みたいなものが、この曲では同時にうまく表現できたかなと思います。
ーーレコーディングでは、どんなことを意識しましたか?
コウスケ 実は、曲の原型は僕が中学生のころに作ったもので。このバンドを組んでから、何度か手直しをしていて、今回やっとお聴かせ出来る形になったという感じです。それで、1年前に一度レコーディングしたんですけど、その時はシングルになるという意識では録っていなかったので、もっと1曲単体として鋭く目立って、キャッチーさのある音にしたいと思って、今回新たに録り直ししました。
ヤマシタ EDテーマの89秒のなかで、サウンド的な聴きどころや耳をひく部分を増やしたということです。もともとは、コードを弾いているだけのような、シンプルで動きのないアレンジだったので。
コウスケ 僕の中でアニソンって、ベースのフレーズが激しく動くのが特徴だと思っていて。実際に、王道のアニソンばりに動いているものになりましたね。
ーーイントロの頭でズギャーンズギャーンと鳴っているギターは、中学生のころの衝動なんですね!
コウスケ いえ、そこは今回のレコーディングで新たに加えたところで(笑)。
クミコ でも、言われてみると、そういうところがあるかもしれないです。今回のレコーディングにあたってアレンジを詰めたときも、若いギターバンド感を出そうというのがあったし。
ーードラムに関しては?
クミコ ギターとベースが激しいぶん、ドラムはシンプルなほうがバランスがいいと思って。とは言え、シナリオアートらしさも忘れず、シンプルだけど単調ではないドラムも聴きどころです。
ーー間奏で転調して、セリフが入ったり、Dメロがあったりするところは、すごくシナリオアートっぽいですね。
コウスケ 確かに間奏は、濃いですね。
クミコ バンドでセッションして作ると、良い意味でどんどん濃くなってしまうんです。この間奏も、「もっともっと」という感じで、セッションしながら作りました。EDを聴いて気になった方は、ぜひフルサイズも聴いてほしいです。
ーーちなみに『BORUTO』で、好きなキャラクターはいますか?
ヤマシタ 秋道チョウチョウです。ぽっちゃり体型のギャルで、言うことがマセていて。何を言っても、口では絶対に勝てなさそう。いつも何か食べているところは、クミコさんと似てるかも(笑)。
クミコ そこは確かに(笑)。私は、ボルトの妹のヒマワリちゃん。まだ小さいのにお母さんと同じ“白眼”の能力があって、ボルトも吹っ飛ばしちゃうくらい強くて。そんな風には見えないというギャップが、すごく良いですね。
コウスケ 僕は、結乃イワベエです。人との関係を築くのが下手で損をしているような、不器用なキャラクターに惹かれるところがあって。最初は嫌なヤツだけど、絶対にあとで仲良くなるパターンだと思って見ていたら案の定でした(笑)。ケンカして仲間になるのは、ジャンプ漫画の王道だなって思います。
◆プロフィール
シナリオアート【しなりおあーと】 ハヤシコウスケ(G,Vo,Programing)、ハットリクミコ(Dr,Vo)、ヤマシタタカヒサ(B,Chorus)による男女ツインボーカルの3ピースバンド。インディーズ活動を経て2014年にミニアルバム『night walking』でメジャーデビュー。2015年にはアニメ『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』のEDテーマ「ナナヒツジ」を手掛けた他、今年アニメ『四畳半神話大系』特別版のOP「迷子犬と雨のビート」、ED「ラブマゲドン」を歌った。
<ニューシングル「サヨナラムーンタウン」情報>
発売中
Ki/oon Music
1,258円
表題曲は、アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のEDテーマ。激しいギターのイントロから、ピアノとギターを主体にしたシンプルなサウンドが響き、ドラマチックに楽曲が展開。コウスケとクミコのツインボーカルが入り乱れながら、切ない物語が紡がれていく。カップリングには、明るく前向きな予感が詰まった「ハローグッバイ」を収録。初回仕様のみ、BORUTO描き下ろしワイドキャップステッカー封入。