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「ティーンではなく大人を主人公にしたほうがドラマがあるという考え方にハッとした」 -『イングレス』と「+Ultra」についてフジテレビの森プロデューサーに直撃【インタビュー】

2018/10/16


 「海外にアニメカルチャーを広げたい」というコンセプトのもと、高品質で世界基準のアニメ作品を全世界に向けて発信していくフジテレビの新アニメ枠「+Ultra」(プラスウルトラ)。その第1弾となるTVアニメ『イングレス』(正式名称:『INGRESS THE ANIMATION』)が、2018年10月17日(水)24:55(毎週水曜日24:55)より放映される。

 超!アニメディアでは新たな挑戦となる本作を深堀すべく、複数回にわたってインタビューを敢行。第2回はフジテレビの森彬俊プロデューサーに本作の魅力のほか、「+Ultra」枠にかける想いについてうかがった。

■『イングレス』INTRODUCTION
2013年、スイスの原子核研究機構『CERN』──。ヒッグス粒子発見の影で、ある秘密プロジェクトが発足した。そのプロジェクトの名前は『ナイアンティック計画』。その目的は人間の精神に干渉する未知の物質を研究することにあった。 『エキゾチック・マター(XM)』と呼ばれる事になるその物質は、古来より人々の精神・能力に感応し、人類の歴史にさえ大きな影響を与えてきたのだった。 世界各国の機関が、秘密裏にその研究に取り組んだ。 XM は、人類の希望または脅威とされ、 大国や巨大企業による争奪戦が巻き起こってゆく。 XM の力を受け入れ、人類の進化に利用しようとする『エンライテンド』。 XMを脅威と見なし、コントロールしようとする『レジスタンス』。世界はふたつの陣営に別れ、今も争い続けている。この世界で起きている争いの背後には、XMの存在があったのだ。そして、2018年──。東京、そして世界を舞台に、XMをめぐる新たな戦いが幕をあける。アニメーション、オンライン位置情報ゲーム、そして現実がリンクする、かつて体験したことのない新たな「拡張現実エンターテインメント」が、始まる。

■ストーリー
制御できないその力を隠しながら警察の特殊捜査官として働く彼は、未知の物質「XM」の研究所爆発事故現場で不可解な記憶を見る。事故の唯一の生存者、サラの指環に残されていた記憶。それは人が赤い光に飲み込まれ、消失する光景だった。巨大な陰謀に巻き込まれていくマコト。人間の精神に影響する物質「XM」を巡る戦いが、始まる――。

イングレス

――まずは『イングレス』における森プロデューサーの役割を教えてください。

そもそもはフジテレビが位置情報アプリや位置情報ゲームを製作されているナイアンティックさんが作られた世界にプレイヤーがいるゲーム『Ingress』のアニメ化という企画を進めさせていただいていました。その時はまだ放送枠や時期も決まっていませんでした。一方で『Ingress』のアニメ化とは別に、フジテレビのアニメ放送枠「ノイタミナ」に次ぐアニメ枠にチャレンジしてもいいのでは、という話があがっていまして。「ノイタミナ」は14年間やってきてある程度世間的にも認知していただき、ブランディングもできたと自負をしていたので、次の一歩に進むため新たな枠を設けるようという話になったんです。そして、「+Ultra」という枠を立ち上げることが決まりました。この枠のコンセプトは世界に訴求できるハイクオリティな作品を提供するというもの。そこでラインナップのひとつとして白羽の矢が立ったのが、『イングレス』です。

――枠が立ち上がってから『イングレス』のアニメ化企画を進行したのではなく、それぞれ別で話を進めていたんですね。

そうです。それからは本格的にTVアニメ『イングレス』のプロデューサーを担うようになりました。この作品を制作するにあたり、クオリティを求めるなら昨今素晴らしいCGアニメーションを作っているクラフターさんがいいのではと思ったんですよ。ナイアンティックさんとクラフターさんは良好な関係でしたし、クラフターさんにお任せすればハイクオリティかつ新たなものが生まれるという期待もありました。

イングレス

――道筋を立てるのが森プロデューサーの役割だったんですね。では、アニメ化企画が進行していくなかで、森プロデューサーのほうで作品に関して何か意見などは出されましたか?

シナリオ打ち合わせには僕も参加して、櫻木監督や脚本家さん、クラフターの石井プロデューサー、そしてナイアンティックの方々と議論を交わしました。シナリオ打ち合わせで重要なのはみんながフラットな意見が言えることだと思うので、僕ももちろん意見を出して、皆さんとディスカッションしました。ただ、意見を出し合いはしましたが、ゴールは同じものが見えていたもので、とても建設的な話ができたと思います。

――熱い議論を交わされたんですね……!

いやー、熱かったですね(笑)。今回特に面白かったのはハリウッド作品なども手がけているナイアンティックさんと議論できたことです。僕は「ノイタミナ」を長くやってきたので、無意識に日本のアニメのシナリオ文法になっちゃうところがあるのですが、ナイアンティックさんは、全く異なる知見からアイデアを出してくださいました。それによって物語の幅も広がったと思いますし、個人的にも非常に勉強になりました。

――ナイアンティックさんの意見が刺激になった?

特に文化性の違いについては「そういう視点があるのか」と驚きを隠せませんでした。例えばいわゆる深夜アニメのロジックだと思春期で成長の過渡期にある少年・少女が事件に巻き込まれて壁を乗り越えていくという構造がポピュラーといえる展開だと思うのですが、欧米の考え方だとその展開はあまりないんです。ティーンは成長の過渡期だから成長していくのは当たり前、むしろドラマになるのは成熟した大人が事件に巻き込まれてそこで固まってしまった価値観などを解きほぐしてワンステップ上がるほうだ、という考え方なんですよ。ハリウッド映画や海外ドラマなんか思い返してみても大人の男性・女性が主人公のことが多いですよね。これにはハッとしました。今作もその方向性で進めようとなり、『イングレス』は既に仕事をしていて自立している男性・女性が主人公となりました。

――このお話は監督や石井プロデューサーもおっしゃられていました。

そうなんですね! 同じ考え方でよかった(笑)。文化性の違いについては本当に勉強になりましたね。

――今回学んだ欧米の考え方などは今後の作品にも反映できる?

できますね。アニメの視聴者の方々の目はいま非常に肥えていらっしゃいます。これは20年、30年かけて文化が成熟していった結果だと私は感じているんですよ。昔だとひとつの作品が流行ると同じようなアニメばかりが放映されるようになったのですが、いまは非常に多様化しています。それくらい視聴者の方々の好みがさまざまになってきたと思います。そういう意味では今はどの作品が多くの人から注目を集めて人気が出る、いわゆる覇権アニメと呼ばれるものになるのか予想ができなくなってきているんじゃないかな。それでも一つ言えるのは、面白ければ受け入れられるということ。だからこそ、『イングレス』も既存のフォーマットに収まらない、ハリウッド的な考え方を導入しても受け入れられると思っています。

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