超!アニメディア

  • RSS
  • twitter

超!アニメディア

  • RSS
  • twitter

MENU

ニュース

TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』石原立也監督×松田彬人さん(音楽)×外囿祥一郎さん(ユーフォニアム奏者)スペシャル座談会企画をお届け

2016/10/26


 

 2016年10月から放送中のTVアニメ『響け!ユーフォニアム2』。高校吹奏楽部を舞台に、新しく赴任した顧問の厳しい指導の下、吹奏楽部女子たちが部活を通して本気でぶつかる青春の物語が話題を呼び、2015年4月からはTVアニメ第1期が放送。その好評を受けて、2016年10月から第2期がスタートしている。

 そんな本作の石原立也監督、音楽の松田彬人さん、そして自身もプロのユーフォニアム奏者として活躍、作品を1期から見ていたという外囿祥一郎さんの座談会が行われたという。吹奏楽というジャンルについて、ユーフォニアムについて、さらにはアニメとしての表現と楽曲の関係について、幅広い話が展開されたそうで、今回、そのロングインタビューが到着したので紹介する。

(以下、敬称略)

■石原立也(いしはら・たつや)
アニメ監督・演出家。京都アニメーション所属。
演出・監督として多数のアニメ作品にたずさわる。アニメ「響け!ユーフォニアム」では監督を務める。

■松田彬人(まつだ・あきと)
1982年生まれ。作編曲家として数多くのアニメ劇伴を担当。
明るく軽快なポップスからへヴィなロックまで、ジャンルにとらわれない幅広いタイプの楽曲に定評がある。信条は「作品の為だけの最高の音楽を追求」。

■外囿祥一郎(ほかぞの・しょういちろう)
日本が世界に誇るユーフォニアム奏者。
92年第9回日本管打楽器コンクール第1位および大賞受賞、97年フィリップ・ジョーンズ・ブラス・コンクールのユーフォニアム部門優勝。N響、東響、東京佼成ウインド、大阪フィル、九響、札響、名フィル等と共演。航空自衛隊航空中央音楽隊在籍中は数多くの公演でソリストを務める。ソロ活動のほか、テューバ奏者の次田心平と結成したユニット「ワーヘリ」、ブラス・ヘキサゴン、ザ・テューバ・バンド等でも演奏活動を展開。

<石原立也監督×松田彬人さん(音楽)×外囿祥一郎さん(ユーフォニアム奏者)スペシャル座談会>
――吹奏楽をテーマとする作品も、最近はいろいろとありますが、なかでも「響け!ユーフォニアム」は音楽そのものをメインに据えた本格的な作品だと思います。そうした、いわばパイオニア的な作品を手がけられ、あるいはご覧になられての思いやお考えをお聞かせいただくところから、お話を始めていただけますか?

石原:僕の場合はアニメ作品を作るという側面からのアプローチでもあり、これまで吹奏楽とはほぼ無縁でしたから、あくまで「高校の吹奏楽部」に限っての話なんですが、吹奏楽は描く対象としてとても魅力的だと思います。部活というのは、高校野球もそうですし、オリンピック選手なんかもそうかもしれませんが、若い頃にひとつのことをめざして成し遂げようとするわけで、大変な努力をしなければならない。
それはもちろん吹奏楽だけじゃないと思いますが、この仕事に参加して初めて、それまで抱いていたイメージとだいぶ違うことに気づいたんですよ。僕自身の高校のころを思い出しても、楽器を吹いている女の子はとっても可憐に見えましたし、どちらかというと、お嬢様がお上品に楽器をやっているというような印象があったんですが、今回、いろいろ話を聞いてみると、実質体育会系だったり、練習時間もかなりハードだったり。「あ、そういうもんなんだな」と勉強させていただいて、今では涙あり葛藤あり、自分のなかでは、かつての“スポ根アニメ”に近いイメージもあるかもしれません。

外囿:コンクールの審査や部員の皆さんの指導をさせていただいている立場から言いますと、それは……もう“スポ根”そのものですよ(笑)。みんな青春かけてやっている! っていう感じだからこそ、今こうしてクローズアップされ、題材になるんじゃないかなと思いますね。部活というごく身近なところに、本当に劇的なドラマが埋まっている。
そのあたり、アニメの1期や映画を拝見して「こういうこと、本当によくある! まさに、吹奏楽あるあるだなぁ」と感心したんですが、監督はどこでああいうネタを仕入れるんですか?

石原:うーん、どうやってるだろう(笑)。僕としては、取材での情報のほかに、なるべく身近な人に聞いたりしていますね。じつは、京都アニメーションにも吹奏楽経験者は結構いるんですよ。そういう人間から聞いた話をなるべく活かすことで、雰囲気とか空気感を出せれば、と思っています。

外囿:特に感動するのが細部の描写で、たとえば部室なんかの何げない背景が、本当に素晴らしい。誰もいない廊下のカットで、吹奏楽の空気感みたいなものが感じられるのにはびっくりしました。

石原:たとえば、ポンとメトロノームが置いてあったり、楽器だけが並んで置いてあるカットを入れることで、たとえ一瞬でも吹奏楽そのものを感じてもらうことができる。吹奏楽をやった人であれば、みんなそう思うんじゃないかなって、そういう意識はしましたね。
幸い学校さんも、いくつか取材をさせていただいたので、練習風景だとか部室だとか、楽器置き場だとか……音楽室は当然ですが、楽器置き場っていうのが、吹奏楽部っぽいんですよね。生徒さんたちが書いた「チューバ大好き▼」なんていう落書きがあって(笑)。そういうディテールは、取材する側からしたらとても美味しいネタなので、なるべく画面に出すようにしているんです。

外囿:なるほど! そういうところに目がいくっていうのがすごい。取材で楽器置き場へ行かれたとして、全体は見ても、ふつうは落書きまで目がいかないんじゃないですか?

石原:それは逆に、僕が吹奏楽部についてほとんど知らないからで……吹奏楽経験者の方からしたら当たり前に見えるものが、僕としてはとても珍しかったんですよ。ひょっとしたら、そういうところが良かったのかもしれませんね。

松田:僕にとっても、今回の作品は初めて本格的に吹奏楽の作編曲に挑戦したという点で、すごく大きい意味があります。もともと、学生時代に吹奏楽部に入っていて、トロンボーンを吹いたり、簡単な編曲もやっていたんですが、そのときに培った吹奏楽のイメージと、これまでアニメの仕事中心でやってきたノウハウが、今回いい具合に出会ったような気がしているんです。おかげで、アニメの曲であり吹奏楽の楽曲でもあるという、ちょうど中間をいけたんじゃないかなと思います。

外囿:それは、作中に登場する楽曲を聴いていても、本当に感じます。まさしく吹奏楽のアレンジでありつつ、曲によってはポップス的にすごく聴きやすいですし、実に的を射ておられますよね。僕としてはそのほかにも、何げない学校のシーンで遠くのロングトーンの練習の音がフワーッと入ってきたり。そのフレーズとか、音色の感じが本当にゾクゾクするんですよ。

石原:ああいうSE、効果音的なものは、「こういうときはどんな効果音がつくかなぁ?」って、スタッフの皆さんに相談していましたね。特に、鶴岡(陽太)音響監督が、音の距離感みたいなものまで、こだわって音をつけてくださっているんで、そういうところも良かったんじゃないかと思います。僕にしても、高校のときの放課後を思い出すと、どこか遠くのほうで、吹奏楽部の練習している音がいつも聴こえていたなぁっていう記憶はありますし。

――それとともに、視覚表現としてのアニメーションと音響表現のマッチングも、この作品では大きなテーマだったと思うんですが、そのへんはいかがでしょうか?

石原:これは、いろいろなところで言っているんで、もうあまり言いたくはないんですけれど(笑)、物として楽器をアニメで描くっていうのは、じつは相当ハードルが高いんです。金属の管が複雑につながったのを、手でひとつひとつ描くのは結構大変で……でも、音楽をテーマにしている作品である以上、その部分は適当にはできませんし。
こんなことを言ってなんですが、もう少し低年齢層向けの作品だったり、音楽がメインでない作品であれば、楽器もデフォルメしたり、音と指の動きが必ずしも合っていなくて大丈夫だったりもすると思います。しかし、この作品ではそうはいかないので、実際にその瞬間に鳴っている音とピストンの動きは完璧に合わせているんです。

外囿:しかも、それを一方向から描くだけじゃなくて、当然いろんな方向で描かなきゃいけないわけですよね? 特にホルンだとか、ユーフォニアムなんかは僕自身いつも見ていてややこしい形だなぁって(笑)……それを描かれるだけでも大変なのに、手の動きだとか、アンブシュア(楽器を吹く際の唇の形)までも意識しておられるのには、ひたすら驚くしかありません。

松田:音響表現と視覚表現という点では、劇中の楽曲と劇伴を区別するため、劇伴にはあえて管楽器を使わず、ピアノや弦だけのシンプルな編成にしています。劇伴については、最初に鶴岡監督から指示があって作曲をしたんですが、シナリオを読んだり、絵に合わせて作ってくれというのではなく、たとえば「積層する思い」とか、そういう抽象的な単語をリストのかたちでいただき、あとは自由に作ってもらいたい、と。そうは言っても、本当に自由に曲を作ってしまうと絵に合わないし、普通の劇伴にもしたくないし……ちょうどいいバランスを見つけるのに、初めのうちは苦心しました。
ただ、1期の方針として、ストーリーの核になる「三日月の舞」を、全体に流れる通奏低音のようにしたいというのがあり、その変奏を随所に使うことで、ある種のよりどころができたという感じはありますね。

外囿:「三日月の舞」で言うと、例のトランペットのソロがとても素敵なフレーズですね。しかも、高校生にとってはかなり難易度が高いという(笑)。

松田:ソロの部分については、ストーリー的にオーディションの場面につなげる必要がありましたので、ある程度は難しくという前提がありました。と同時に、アニメファンの目線も意識しつつ、ある程度キャッチーにしようということで、ああいうフレーズになったんです。流れ的にも「さあ、どうぞ!」っていう感じでドカンと入ってきますので、クライマックスになるコンクールの場面でもきちんと存在感が出せたと思います。

石原:あのソロは、原作でも重要な部分にかかわってきますので、松田さんにはその点を意識してもらうよう、最初の打ち合わせでお願いしました。これは、僕だけに当てはまる話かもしれませんが、先に音があるほうが発想しやすいというか、絵をつくりやすい面があるんです。ですので、オーディションのシーンなんかは、松田さんの書いてくださったソロありきで、スムーズにいったなぁと。
むしろ、どの作品でも最初につくるオープニングでは、いろいろ考えたり、ネタ集めもしているのに、いざ音と合わせてみると、何となくかみ合わないことが多い(苦笑)。結局、大あわてで手直ししたり……個人的には音から発想するタイプなんだなぁ、とあらためて思ったりしますね。

外囿:松田さんとは、これまでに何度かご一緒されているんですか? そういう場合、作曲や編曲のクセというか、手の内がある程度わかっていると、絵がつくりやすいことってあるものでしょうか?

石原:松田さんとは、これまでに何度もご一緒させていただいていますが、それ自体はあまり関係ないかもしれません。ただ音楽プロデューサーの斎藤(滋)さんから「次は、松田さんでいきます」って聞くと、「ああ、松田さんなら大丈夫だな」っていう部分があって、こんな感じで曲がくるのかなっていう予想をしたり。まぁ、結局そのとおりっていうことはないんですが(笑)、そういった安心感はありますね。



この記事のキーワード

PAGETOP