いよいよスタート!シリーズディレクター・長峯達也が明かす『ワンピース』ワノ国編の見どころ「とにかくかっこいい『ワンピース』を作るのが現場のスローガーン」【インタビュー】 | 超!アニメディア

いよいよスタート!シリーズディレクター・長峯達也が明かす『ワンピース』ワノ国編の見どころ「とにかくかっこいい『ワンピース』を作るのが現場のスローガーン」【インタビュー】

7月7日(日)から『ワンピース』の「ワノ国編」がスタート。新たにシリーズディレクターを務める長峯達也が、「ワノ国編」について語ったインタビューが、「アニメディア7月号」に掲載中。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれな …

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 7月7日(日)から『ワンピース』の「ワノ国編」がスタート。新たにシリーズディレクターを務める長峯達也が、「ワノ国編」について語ったインタビューが、「アニメディア7月号」に掲載中。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――いよいよワノ国編がスタートしますが、新要素が多いシリーズになりそうですね。

 ワノ国編は侍や忍者など、時代劇に登場しそうな強者ばかりが出てくるんですよ。ほかにも将軍とか大名とか、それぞれの役割分担がハッキリしている。原作の尾田(栄一郎)さんが作った個性的なキャラクターたちがたくさん活躍します。セリフも「ござる」口調とか、方言っぽい言葉とかが出てきますね。演じる役者の方々にも、独特な口調のセリフで“強者感”とか格の違いを出してもらっているので、役者自身の腕の見せどころがキャラクターの魅力としても表れるシリーズになると思います。いわゆる歌舞伎で言うところの「待ってました!」的な“見得”を楽しめるものになるんじゃないかなと。

 ストーリーも面白くて、隠してあったカードが毎週オープンされて「そうだったの!?」っていう展開になりますね。僕は仕事として原作連載のゲラを毎週いただいていて、みなさんより早く読ませてもらうんですけど、もう仕事関係なく楽しんでいますからね(笑)。ただ、先の展開はあまり知りすぎないようにしているんですよ。わかったうえで作っていると、落ち着いちゃうし。

――原作のワノ国編は今も連載中ですが、先々の展開は監督もご存知ない?

 そうですね。そもそも原作が今後どう転がっていくのかは、きっと描いている尾田さんもまだわからないところがあるだろうし、描きながら変わっていく部分もあるだろうし。そもそも週刊連載のマンガというのは、瞬間瞬間の面白さを取り込んでいくライブ感があるので、アニメでも毎週ごとの面白さを目指してやっていきたいんですよね。そのライブ感を大事にしたいので、あえて先のことは聞かないようにしています。だから最近、シナリオの打ち合わせでも原作の考察ばかりしちゃうんですよ。週刊少年ジャンプを読んだ日の放課後の中学生みたいな、そんな会話をしています(笑)。


――独特な和テイストの作品世界に合わせて、演出や音楽などもこれまでと変わるのでしょうか?

 音楽の田中公平さんにワノ国編のために、新たに和楽器を採り入れた劇伴を製作していただきました。あと、原作を読んでいると、効果音が「ドン!」から「べべん!」に変わっていたので、尾田さんに「べべん!」ってどんな音なのか聞いたんですよ。結果、どんな音かはアニメを見ていただければ、「なるほどな」と思っていただけるかと。そういうこだわりがあるので、アニメの演出でも細かいところにこだわっていこうと思いますね。たとえば、キャラクター同士の関わりを描く芝居をちゃんと見せるとか。

 長く続いている作品って、どうしてもストーリーを追いかけるだけのアニメになりがちなところもあると思うんです。でもワノ国編では、歌舞伎とか任侠映画の世界でよく描かれる「お前やるな」「お前もな」っていう、相手に対するリスペクトや当人同士の関わり合いから生まれる細かいドラマも絵コンテに取り入れていきたいなと。『ワンピース』って、キャラクター同士の相互作用が楽しめないといけない作品ですしね。僕の感覚だと、ストーリーはキャラクターを生かすための舞台であって、その意味ではワノ国編は最高の舞台だと思うので、そこに乗っている役者=キャラクターはちゃんと描写していきたいんです。ルフィなり四皇のカイドウなり、そのキャラクターがどういう思いでそこに立っているのか、たとえ“共感”はできなくても“理解”はできるような演出にしていきたいなと思います。

――時代劇や歌舞伎にもあるような“型”を感じますね。

 マンガを読んでいる人は、いい場面になるとワクワクしてくるじゃないですか。アニメでも絵と音と動きを活用して、そのいい場面がどんな感じで来るのかを楽しませたいんですよ。型が決まった“見得”の瞬間を楽しむ歌舞伎のように。たとえばバトルでは、どういう経緯でこういう動きになるのか、キャラクターの技はどういう動きによってああなるのかは、アニメだからこそちゃんと描かなきゃいけないし。やっぱり『ワンピース』が好きな人は、アニメの出来がよければ喜んでくれると思うんです。もちろん尾田さんが観ても喜んでくれるアニメになればいいなと。尾田さんがマンガを描いているとき、頭のなかではキャラクターたちが動いているだろうから、それに迫るような映像を作りたいんですよね。もちろんコストの問題はあるけれど、そこは演出で面白味を表現できればいいかなと。アニメを作る側としては、そういったことにも責任をとらなきゃいけないと思っています。

――侍が登場するので、チャンバラなど今までにないバトルシーンもありそうです。

 バトルシーンに関しては、今までの『ワンピース』よりは『ドラゴンボール』っぽいというか、単純に演出を派手にしようというのはありますね。画面をもうちょっと光らせたり、全体の色味が地味になりそうなときは、覇王色とか見聞色とか悪魔の実の効果を派手な色の光で表現したり。じつはワノ国編から撮影作業をお願いする会社が変わるので、画面にかけるフィルターとかエフェクトの雰囲気も変わるかなと。そういう意味では、映像的に「今までの『ワンピース』と違うぞ」と感じてもらえるものになると思います。ワノ国編は新しいシリーズものが始まるように、新鮮な感覚で観てもらえる作品にしようと考えています。

――今回は新たなシリーズということで、制作陣にもかなり熱が入っているとか?

 今回はキービジュアルひとつにしても、スタッフみんながこだわっていますね。背景美術の色塗りやイメージボードを作る人が新しくなったんですけど、同じく新しい撮影さんも優秀な人で、双方がこだわった色味やフィルターについて意見がぶつかって、その間に入った僕がなぜか自分のパソコンで色調整までさせられるという……(笑)。そのくらいスタッフ陣が熱くなっちゃっているというか、盛り上がっているというか。だからとりあえず、みんなでアイディアとか希望を持ち寄って、ワノ国編のビジュアルを作っていきましょうという話をしました。僕は監督というよりマネージャー状態ですね。みんなの希望をどうやって『ワンピース』という作品に反映させるのか。その上で、みんなが楽しくアニメを作る体勢を整えられたらいいなと思っています。

 あと、僕個人がとくにブチ上げていきたいのは、かっこいい『ワンピース』です。今までもそうだったけど、制作現場のスローガンとしては、とにかくそれ以上にかっこいい『ワンピース』を作りましょうと。お客さんもそういう『ワンピース』が観たいはずですからね。

――ちなみに、ワノ国編で注目のキャラクターは誰でしょうか?

 錦えもんが今まではドジっ子キャラだったんですけど、ワノ国では意外と求心力がある人なんですよね。その辺のギャップが面白いかなと思います。あとは、カイドウの部下として登場するバジル・ホーキンス。彼も「最悪の世代」として“ワンピース”を追い求めていたけど、心を折られてカイドウの部下になってしまったのか、それともカイドウの首を狙っているのか……と気になっています。まだ原作でも明かされていないところですけど、舞台が変わればキャラクターの行動も変わるというのが一本調子ではなくて、考えた尾田さんはすごいなと思います。「最悪の世代」だと、ユースタス・キッドも出てきますし。そうやって新キャラだけでなく、なじみのあるキャラが出てくるところも注目です。

 ワノ国編は全体的におっさん度が高くて、おっさんの魅力がいっぱいですよね。おっさんだと異形の姿でもバリエーションがあるから、キャラクターとしての可能性も広がるのかなと。「あのキャラはじつはこうでした」という展開も多いですし。今回、錦えもんの存在が光るというのも、そこに通じるのかなと思います。

――レヴェリー編以降、観ている人が考察したくなる展開が続きますよね。

 そういうのを僕自身も楽しんでいますからね。マンガを楽しく読んでいる雰囲気がアニメに表れて、アニメも楽しく作っていますと感じられるものになればいいなと。とりあえず画面が派手で、毎週チャンネルを合わせれば面白いアニメが観られると思ってもらえる作品にするのが一番かなと思います。

――では、ワノ国編の見どころはどこでしょうか?

 アクション的な見どころは、ルフィと四皇のカイドウとのバトルです。ワノ国編・第一幕のクライマックスにあたる部分で、序盤はそこに向かって盛り上がり、その過程でいろんなドラマが組み上がっていく感じになりますね。ルフィにとってはビッグ・マムに続く四皇との対決です。ホールケーキ・アイランド編でのルフィはビッグ・マムとの戦いと回避しようとする流れだったけど、今回は早々にカイドウという存在が目の前に立ちはだかり、そのバトルをきっかけに覇気がパワーアップしていく展開になります。

――最後に、監督が思うワノ国編の魅力をお聞かせください。

 “見得”を切るといった歌舞伎のような様式美があるところです。あとはルフィが細かいことは考えず、強いやつに突っ込んでいく姿に観ている人たちの気持ちが乗っかっていけて、そこが一番かっこいいところかなと。ルフィは強いやつと戦って倒されても、次に頑張ればいいと、勝つための力をさらに特化させようとするのが彼の強さだと思います。厳しい状況でもへこたれないルフィの姿を、ワノ国編でも観てほしいですね。

 尾田さんもワノ国編は新世界篇のピークと位置づけているので、アニメ『ワンピース』としても、現状最大の見せ場を迎えることになります。今までバラバラだった麦わらの一味の9人がようやく集まり、パンクハザード編で初登場した錦えもんの新事実が明かされたり、ついにカイドウが姿を見せたり、新世界以降のさまざまな伏線が集約されて、作品全体としても大きな意味を持つエピソードになると思います。その頂点を映像化するために、スタッフの布陣もさらに強化して制作していきますので楽しみにしていてください。

取材・文/株田馨

〈アニメ『ワンピース』〉
毎週日曜日朝9時30分よりフジテレビ系列で放送中

■キャスト
モンキー・D・ルフィ:田中真弓 
ロロノア・ゾロ:中井和哉 
ナミ:岡村明美 
ウソップ:山口勝平 
サンジ:平田広明  ほか

■スタッフ 
原作: 尾田栄一郎 「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載 
企画: 狩野雄太(フジテレビ) 櫻田博之(東映アニメーション) 
制作:フジテレビ・東映アニメーション

<尾田栄一郎公認ポータルサイト> 
https://one-piece.com/

<ONE PIECE.com 公式ツイッター> 
https://twitter.com/opcom_info

<劇場版『ONE PIECE STANPEDE』>
http://www.onepiece-movie.jp

(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

《超!アニメディア編集部》
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