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太宰治の名作『人間失格』を狂気のSF・ダークヒーローアクション作品に再構築した劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』監督・木﨑文智&脚本・冲方丁が語る「紆余曲折あった」制作裏話【インタビュー】

2019/11/26


 日本文学の傑作と言われる太宰治の『人間失格』がSF・ダークヒーローアクション作品『HUMAN LOST 人間失格』として再構築された。本作は昭和111年の日本を舞台に、死を恐れることがなくなった世界で生きる人々の苦悩や諦観、そして未来への希望を描いていく。ダイナミックなCGアクションも魅力的な本作について、監督の木﨑文智と脚本の冲方丁に制作について聞いた。


●提案があったときは、原作を読んだことがあるのか疑いました(笑)

――まず、今回の『HUMAN LOST 人間失格』という作品について、どのような形でオファーがあったのでしょうか。

木﨑 本作の企画・プロデュースの1社であるスロウカーブの尾畑さんから、「太宰治の『人間失格』をSF作品にしたい」というお話をいただきました。『AKIRA』や『攻殻機動隊』のような、歴史的なSFの次に続く作品を作りたいというお話でした。

冲方 正直、最初にお話を聞いたときは、「何を言っているんだろう?」っていう感じでしたよね(笑)。『人間失格』を読んだことがあるのか、疑ってしまいそうになるくらいで。

――そのぐらい、突飛な提案だった。

冲方 そうですね。

木﨑 僕も冲方さんと同じで、『人間失格』をSFエンターテイメントにできるのか、懐疑的に見ていました。でも、企画書の段階で既に冲方さんの名前があって、僕は冲方さんがいらっしゃるならできるんじゃないかと思ったんですよ。

冲方 SFエンターテイメントにするだけならいろんな手法があるけれど、『人間失格』が原案である理由はちゃんと見極めなければいけないと思ったので、一回原作を読み直して、無理だと感じたら断ろうと思ったんですよ。でも、実際に読んでみると、思った以上に現代に通じるテーマがたくさん込められていて、リブートする意味があると感じました。それから、もとになる物語があるとはいえ、SFにするということはオリジナルをゼロから作るのに等しい作業でもあってやりがいを感じましたし、何より日本の明治から大正、昭和にかけての文学をこういう形で受け継ぐこともできると証明できたならば、コンテンツが飛躍的に幅広くなり、業界への貢献にもなるのではないかと考えたんです。ただ、それでもまだ「いつ空中分解するかわからない」という気持ちはありましたね(笑)。

木﨑 シナリオ会議やプリプロは難航しましたもんね。「本当に実現するのかな」と思った時期もありました。

冲方 行きつ戻りつつ、シナリオの完成まで1年半ぐらいかかりましたからね。その間木﨑さんにも案を出していただいて。僕のほうでそれを受けて……と、とにかくやれることは何でもやりました。

――物語や設定には監督の案も入っているんですね。

木﨑 基本的には冲方さんに考えていただいて、こちらからも数回案を出したくらいです。

冲方 決めなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことがいっぱいあったので、それはしんどかったです。ただ、SFにするとはいっても、人物配置を動かしたら『人間失格』ではなくなるので、そこは気にしていました。

――今回、スーパーバイザーとして本広克行さんが入っています。

木﨑 本広さんからは企画の方向性についてアイデアをいただきました。インサイド・アウトサイドとか、今回のキーになるアイデアは本広さんの発案ですね。

冲方 差別構造をはっきりさせたほうがいいとかも、本広さんが出してくださったんですよね。

木﨑 そうですね。貧困層と富裕層の差をはっきりさせたいとか。方向性が決まるところまでいていただいて、そこから冲方さんに受け継いでいただく形でした。東京の俯瞰の地図を出して、ここまでがアウトサイドでここがインサイドで、イチロク(貧困エリア)が環状なん号線で……と決めた覚えがあります。

冲方 その当時、僕は目黒駅の近くに住んでいたんですが、首都高を挟んで家賃が1.5倍になるんですよ。環状の中央に金持ちが集まるようにできていて。そんな世知辛いことをアニメでやるっていうのは、木﨑さんが言い出したんでしたっけ?

木﨑 みんなで意見を出し合って、取捨選択していく形でしたから、もはや誰が発案かわからないんですよね。まさにみんなで決めてというのが正解ですね。

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