超!アニメディア

  • RSS
  • twitter

超!アニメディア

  • RSS
  • twitter

MENU

ニュース

【インタビュー】ラノベ界の大作が装いも新たに再始動!『ラグナロク:Re』の作者・安井健太郎が、再び筆を取った経緯を語る。

2018/4/20


 数々の人気作が怒涛の勢いで刊行された90年台後半のライトノベル界にあって、圧倒的なバトルシーンと、アクの強いキャクターたちが織りなす物語で大人気を博した『ラグナロク』。そんな本作が、2018年4月25日、全編改稿のもと再始動する。それに先駆けて、『アニメディア5月号』では作者・安井健太郎に、再始動の経緯を赤裸々に語っていただいた。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めた、インタビュー全文をご紹介する。

――『ラグナロク:Re』の刊行決定、おめでとうございます! 現在の心境をお聞かせください。
 ありがとうございます。不安と期待の入り交じった、20年前のデビュー時と同じ緊張感で少し胃が痛いです(笑)。

――まず、どのような経緯で本作を刊行することになったのでしょうか?
 デビュー作の『ラグナロク』が、自業自得とはいえ、不本意な形で幕を下ろしてしまったことがずっと心に引っかかっていました。その後、何度か再始動の試みはあったんですが、いずれもうまくいかずに頓挫してしまいまして。「いつかは」と強く思いながらもどうしようもなかった、というのが正直なところでした。ですが昨年、恥ずかしながら仕事が途絶えまして、そのときに「もう一度、チャレンジしてみよう」と思ったんです。初心に返って「とにかく自分が楽しいものを書こう、好き放題にやろう」と。

――そんな本作は、『ラグナロク』から大幅に改稿されているそうですね。
 一度止まってしまった物語を動かすのは非常に困難なうえに、続きを書こうとすると、どうしても昔の思考をトレースしてしまい、勢いがなくなってしまう恐れがありました。以前に読んでくれていた人は当然、続きが読みたいと重々承知していたのですが、おそるおそる続きを書いていたとしても、望まれていたものを作り出せる気がしなかったんです。それならば最初から、”今活きている、今面白いものを書こう”と決めました。とても自分勝手な決断だと思っています。

――改稿にあたって、主人公のリロイとその相棒であるラグナロクと向き合うのは何年ぶりでしたか?
 先ほどお話したとおり、何度か再始動を試みていたので、刊行が途切れてからまったく触れていない、というわけではありませんでした。それでもおそらくは5、6年ぶりでしょうか。執筆当時は自分と同じぐらいの年齢に設定していたんですが、僕もずいぶん歳をとったので、本当は全員の年齢を10歳ぐらい上げたかったんです(笑)。でも想像していたより違和感もなく、自分としてはとくに悩んだりせずにスッと書けたと思います。ただ、リロイが昔に比べて丸くなった気はします。

――『ラグナロク』執筆時と現在とでは世相やライトノベルのユーザーも大きく変化しました。安井さんご自身の執筆活動への向き合い方はどのように変わりましたか?
 よいとは思わないんですが、あまり変わっていません。とにかく不器用で、やれることとやりたいことしかできないので、むしろもう開き直ってやってます。時流に合わせてもたいしたものは作れないと思いますので。

――では実際に執筆するにあたり、どのようなことを心がけられましたか?
 物語の部分と同様に、『ラグナロク』のキャラクターをなぞるようなことはしないようにしています。本作を書き始めたころ、理由はとくになかったんですが、『ラグナロク』を読み返すことをしなかったんです。今になって、それでよかったんだとわかりました。読み返して以前のキャラクターとの整合性を気にしていたら、活きたキャラクターにはならないですからね。

――本作を執筆していて楽しいこと、逆に苦労していることを教えてください。
 楽しいのは、やはりもう一度、彼らを書けること。これに尽きると思います。リロイとラグナロクだけでなく、ほかの面々も、誰をどこで出そうかと考えるだけでもう楽しい(笑)。自分で思っていた以上に、『ラグナロク』とそのキャラクターたちに思い入れがあったことに気づきました。苦労していることは、やはり”執筆速度”です。こればかりは笑っていられませんが、急に2倍、3倍と書けるわけではありませんので、堅実にスピードを上げていきたいと考えています。

――本作でも凄絶なバトルシーンは健在のようですね。バトルシーンを書くときのこだわりについて教えてください。
 当たり前なんですが、文章なので効果音はありませんし、ゲームのコントローラーのように振動したりもしないんですけど、それをどうにか感じてもらいたい、と思っています。
 そのためには微に入り細を穿つ描写が必要になるんですが、全部書くと表現の重複が頻繁に出てしまいます。一連の動きのなかで”どの表現をどの順番で読んでもらえば一番、迫力やスピード感が生まれるか、そのためにどの表現を削るか”は、いつも意識しています。まだまだ映像には敵わないですが、まだまだうまく書ける余地もあると思うので、研鑽を積んでいきたいです。

――また、本作は2017年8月から小説投稿サイトで連載されています。読者から即座に感想が届くのはどうでしょうか?
「すごい時代だなあ」と驚いています。本当に、書き手と読者との距離が近いですね。自分が書いたものにすぐ反応がある、というのはモチベーションにとてもよい影響があると思います。その反面、酷い言葉もそのまま届いてしまいます。僕がデビューしたころは、編集部に届く手紙は編集者がチェックしてくれていましたが、WEBではそういうフィルターがないですからね。若い書き手の方や繊細な人はショックを受けることもあるだろうな、という危惧はあります。難しいとは思いますが、よい言葉だけ受け取って、批判は無視できるといいかなと思います。

――読者との距離感が近くなったぶん、執筆時にその読者を意識されることはありますか?
 器用な作家さんであれば読者を意識しつつ物語をコントロールできるのかもしれませんが、僕の場合は間違いなく悪手になってしまいますね。書いたものに対する反応や感想はとてもうれしいですし力になりますが、いざ書くときはそのことを頭から追いやるようにしています。そのほうが混じりけのない真っ直ぐなものが書ける気がするんです。あくまで気がするだけですが(笑)。

――小説投稿サイトがユーザー(読者)に浸透したことで、ライトノベルの有り様も変化していると感じます。プロとして長年活動されている視点から、最近のライトノベル、その読者についてのご感想を教えてください。
 現状についてのいろいろな意見があるのは承知していますが、少し乱暴に言うと、結局読者が求めるものは自分にとって心地よいもの、面白いもの、という点については昔からなにひとつ変わっていないと思います。僕たちはそれに対し、求められるものを様々な形に加工して送り出すか、あるいはまったく違うものを「これはどうだ」と投げつけてみるかのいずれかを選択する。それも変わっていません。ただ、昔と比べて明らかに出版点数が多いので、読者の選択肢が多すぎるのは唯一、違うところかもしれません。正直、今自分が若かったとしたら、なにを基準にどう選べば自分の好きなものに巡り会えるのかわからず途方に暮れそうです。そういう意味では、無料で読めるWEB小説が書籍化して人気を博するのも自然な流れなんでしょうね。

――本作を刊行するにあたり、キャラクターデザインも一新されていますね。巖本英利さんが描くリロイたちをご覧になった感想をお聞かせください。
「あ、かっこいい!」と素直に喜びました。そもそも僕は巖本さんのシャープな絵が好きだったんですが、想像していたよりもずっとしっくりきたというか、すごく納得感がありました。僕はキャラクターをあまりリアルに想像して書いていないので、イラストレーターの方にデザインしてもらうことで初めて明確な像を結ぶ感じがします。それがあのレベルのクオリティーであることには、ただただ感謝しかありませんね。

――そしてついに、第1巻が4月25日に発売されます。第1巻では、リロイたちのどんな物語が描かれているのでしょうか?
 物語としてはまさに序章で、『ラグナロク』でも第1巻に敵役として登場した犯罪組織”深紅の絶望(クリムゾン・ディスペアー)”との確執が中心なんですが、そこへさらに”ヴァルハラ”という第2の勢力が絡んできます。それぞれの思惑がアクションを引き起こす起爆剤となってストーリーが展開していくのですが、なかでも”深紅の絶望”の首領であるカルテイルとリロイの対立は、この物語のまさに骨子として次巻以降にも引き継がれていくことになります。

――最後に、『ラグナロク』ファン、そして新たな読者にメッセージをお願いします。
 とにかく、アクションにこだわって書きました。さまざまなシチュエーションで繰り広げられる戦いを堪能してください。そして、どこまでも暴走気味に突き進む主人公の生き方を楽しんでいただければと思います。よろしくお願いします。

●プロフィール
安井健太郎【やすい・けんたろう】ライトノベル作家。兵庫県出身。主な著作は『アークIX』など。

●書籍情報
『ラグナロク:Re 1.月下に吼える獣』
オーバーラップより4月25日発売。745円(税込)
http://over-lap.co.jp/reboot-projectR/
STORY 人類に仇なす怪物が跋扈する世界を放浪する傭兵リロイ・シュヴァルツァーと相棒のラグナロク。彼らが訪れた都市・ヴァイデンには、巨大な犯罪組織が根を張っていた。そして組織はリロイに牙を剥く。だが、リロイはそれに圧倒的な力で立ち向かう。



PAGETOP