岡田麿里監督×MAPPA「アリスとテレスのまぼろし工場」上田麗奈&久野美咲も登壇!プレミア試写会レポ | 超!アニメディア

岡田麿里監督×MAPPA「アリスとテレスのまぼろし工場」上田麗奈&久野美咲も登壇!プレミア試写会レポ

岡田麿里の監督最新作で、スタジオMAPPA初のオリジナル劇場アニメとなる『アリスとテレスのまぼろし工場』が、9月15日から全国公開される。これに先立ち、9月4日に舞台挨拶付きのプレミア試写会が行われ、声優の上田麗奈と久野美咲、岡田監督が登壇した。

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『アリスとテレスのまぼろし工場』舞台挨拶付きプレミア試写会(C)新見伏製鐵保存会
  • 『アリスとテレスのまぼろし工場』舞台挨拶付きプレミア試写会(C)新見伏製鐵保存会
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  • 『アリスとテレスのまぼろし工場』舞台挨拶付きプレミア試写会(C)新見伏製鐵保存会
  • 『アリスとテレスのまぼろし工場』本ポスタービジュアル(C)新見伏製鐵保存会
  • 中島みゆきアーティスト写真
  • 『アリスとテレスのまぼろし工場』(C)新見伏製鐵保存会
  • 『アリスとテレスのまぼろし工場』(C)新見伏製鐵保存会

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『さよならの朝に約束の花をかざろう』で知られる岡田麿里の監督最新作で、スタジオMAPPA初のオリジナル劇場アニメとなる『アリスとテレスのまぼろし工場』が、9月15日から全国公開される。これに先立ち、9月4日に新宿ピカデリーにて舞台挨拶付きのプレミア試写会が行われ、声優の上田麗奈と久野美咲、岡田監督が登壇した。

『アリスとテレスのまぼろし工場』本ポスタービジュアル

話題作だけあって、満席の観客席はプレミア上映への期待感と興奮に空気が張りつめていた。だが、ラジオDJ役として登場しているMCの吉田アナウンサーが「皆さんがあまりにも緊張感を持っているとご登壇者がめちゃめちゃ緊張してしまうので、『親戚の人が登壇する』くらいの気持ちで迎えてあげて」と会場の笑いを誘い、場を和ませる。なんと、この日上映された「劇場公開バージョン」が完成したのは、実は前日9月3日の夜だったそうだ。できたてほやほやの本編であることが告げられると、会場からは感嘆の声が漏れた。

そんな中、ある日突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町で暮らす14歳の主人公・菊入正宗の同級生でミステリアスな雰囲気の佐上睦実を演じた上田麗奈、町の製鉄所に閉じ込められている野生の狼のような少女・五実を演じた久野美咲、脚本・監督を務めた岡田麿里が登壇。割れんばかりの盛大な拍手で迎えられた。

「先行上映バージョン」の映像で既に行われている試写会で、「震えが止まらない」「感情が爆発する」といった絶賛の声が多く上がっていることに、岡田は「ありがとうございます」と少し照れた表情を見せる。

本作の魅力のひとつである“変化を禁じられた町”という設定をどのように思いついたのか、という問いに対しては「世代もあるのかもしれないけれども、変わっていくことがいいこと、変わらないことはダメなこと、と言われて育ってきた。でも変わるってことに対して焦る部分やマイナスに思ってしまう気持ちもあったんです。時代的になんとなく閉塞感を感じる中で、変化をできないことってこうゆうことなのかなと思うようになった。変化って勝手にしちゃんうんだな、と思ったりしたので、そういったことを書いてみました」とコメント。“変化”に対する岡田の疑問が着想のきっかけであることを明らかにした。

「もし、“変化を禁じられた町”で生きるとしたら?」と聞かれた上田は、久野に「どっちだろうね? ポジティブに受け取るのか、ネガティブに受け取るのか」と問いかけつつ、「私はポジティブに受け取ると思う。それはうちに猫ちゃんがいるから。ずーっと変わらずに、ずーっと一緒にいられるなら幸せだなって」と答える。すると久野も「確かに~すごく幸せだね」となんとも微笑ましいやり取りをみせ、思わず会場はほっこりした空気に包まれた。

久野は「初めて脚本を読んだ時にこの世界観が息苦しく感じてしまって。でもネガティブって訳じゃなくて、私たちの日常でも望んでいる状況じゃないけど、でも安定して毎日暮らせているなぁって、誰しも感じているんじゃないかな」と、日常生活と重なる部分があると回答する。

変化のきっかけとなった、少年少女たちの「恋する衝動」について、MCから「恋愛の作品が作りたかった?」と聞かれた岡田は「…作りたかったですね! 恋愛って恋より愛が偉い、みたいな感じがあるけれど、比べられるものじゃない。恋って本当に落っこちるっていうか、恋って誰もができるものじゃないんじゃないかな。否応なく好きになっちゃう、そのよく分からないパワー、恋のトリガーというかその衝撃度って本当に“恋する衝動が世界を壊す”んじゃないかな。これまで愛情に繋がる恋愛を書いてきた。恋とはご無沙汰になった日々の中で、その激しさを書いてみました」とコメント。キャストをはじめ、観客たちが岡田ならではの世界観に惹きこまれていた。

MCから「衝動が抑えられないくらい何かにのめり込んだり感情が抑えられないような経験はあるか?」を聞かれた上田は「カフェイン取りたーい、とか(笑)」と即答する。「物理的に世界を壊すってことではないけど、自分の世界が昨日と違ってしまう。カフェイン一つにしても、無いと落ち着かないとか、生きてられない、ってなると恐ろしい。自分の世界が壊れるってそうゆう小さいことでも思ったりしたりする」と答えると、久野も「一つの言葉、行動で世界が変わるって日常でもあるもんね~」と深く共感した。

“恋する衝動”をどう感じるかと聞かれた上田は、ネタバレしないように悩みながらも「恋っていいな、ってやっぱり思いました。もどかしいなぁ、とか、苦しいなぁとかも観ていて感じたんですけど、それがあるから…んあぁぁぁ…!世界が変わるって言い方で難を逃れますかね?」と苦笑いしつつも、「観終わった後はホッとするような。なぜホッとするのかは観ていただいて、『これかな?』って思ってもらうのがいいと思う」と回答する。岡田が「上田さんはアフレコの時に本当に入り込んでくださって、終わった後の表情が印象的でした、安心したような感じに見えました」と語ると、「それは睦実視点でこの映画を観ると…そうなるかも…」と上田は収録時を回顧した。

最後まで演じてどんな気持ちになったかと聞かれた久野は「自分の人生と重ね合わせた瞬間があって、演じた私だけでなく、もしかしたらこれからご覧になる皆さんもその瞬間を味わえるのがこの作品なんじゃないかと思いますね」と、本作の魅力を熱く語った。

5月に行われた「MAPPA STAGE 2023」では、主人公・菊入正宗役の榎木淳弥と上田、久野の3人がトライアングルになって、お互いの目を見ながらアフレコをしたことが話題になった。これについて、上田は「3人の肉体というか、リアルを感じながら演じたいシーンだったので、画面や台本越しにキャストが見えるようにアフレコしたいと提案して。休憩中に3人で話し合って、3人で提案した」と誰か一人のアイディアではなく、3人の提案だったことを明かす。

そんな熱量あふれる収録を目の当たりにしていた岡田は「お互いに見ながらってこうゆう作用をもたらすのか。他の声優さんたちもみんな見ていて、終わった後『うわぁ…』って感動していました。本当にあのシーンをいただいたから、スタッフもみんなすごいやる気で、作画監督の石井さんも一生懸命描いた」と、3人の演技を称賛した。

ここで、本作のために主題歌を書きおろした中島みゆきからの音声メッセージが到着。会場から驚きの声が上がる中、中島の熱いメッセージが流れると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。中島の大ファンである岡田は「中島は、とにかくもう岡田麿里さまを尊敬申し上げております」というメッセージに顔を覆い、「毛穴が開きまくって…本当にありがとうございます! 本当に凄いいい曲なんですよ!!」と終始恐縮しっぱなしだ。

しゃべり声と歌声が違うことを表現するため、MCが主題歌のサビを一節歌うと岡田は「そんな真似しないでください!」とすかさずツッコみファンぶりを発揮し、会場の笑いをさらった。

最後に上田は「(本作には)決して爽やかではない少年少女たちの青春というイメージがあるんですけど、曇り空が似合うなぁとか、さびた匂いが感じられるなぁとか、そんなふうにこの映画にどっぶり浸かると色んな感情が心の中に渦巻いて、感情が爆発しそうになる、そんな気がしました。睦実というキャラクターは不思議にあふれている子なんですが、睦実視点で観るとちょっと違った風に観える、そんな面白さもある作品なので、ぜひ、一回目、二回目、三回目と膨らませながら観てほしいなと思います。私たちもまだ観れていない本編、ぜひ楽しんでいってください!」と呼びかける。

久野は「この日を迎えられたのは本当にたくさんのスタッフさん、そしてキャストのみんなの熱量と愛と勇気と色んな感情が合わさってできている作品で、画面の隅から隅までそれが伝わってくる。五実に関して詳しくは言えないんですが、最後まで演じて完成した作品を観て、誰かをまっすぐに好きになる気持ちって素敵なことだし、好きっていう気持ちって色んな事を飛び越えちゃうんだなぁって感じられて。皆さんの心にがっしりと届くものがあったらいいなと願っています」と述べた。

岡田は「制作過程は簡単なものではありませんでした。本当に完成するのかな、スタッフ一人一人が不安だったと思う。でもみんなの熱が途切れなかった。一人一人が走り切れた。声優さんたちの声をいただいて、みゆきさんの曲もいただいて、スタッフがみなさんの想いをいただいて、力に変えて最後まで走り切った映像をこれから観ていただきます。少しでも引っかかるものがあったらいいなと思います。何卒、『アリスとテレスのまぼろし工場』を宜しくお願いいたします」と深々とお辞儀しアピール。会場が熱気に包まれる中、イベントは幕を閉じた。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『さよならの朝に約束の花をかざろう』で知られる岡田麿里の監督最新作で、スタジオMAPPA初のオリジナル劇場アニメとなる『アリスとテレスのまぼろし工場』は、9月15日から全国公開される。

<以下、音声メッセージ全文掲載>


【中島みゆき】



こんばんは、中島みゆきです。
このたび主題歌として「心音(しんおん)」という楽曲で、参加させていただきました。
アニメーションの世界と中島みゆきっていう組み合わせは、なんだか異種格闘技みたいな気がするんですけど、そのへんのビックリ感も含めてお客さまに楽しんでいただけたら、とっても嬉しいです。
中島は、とにかくもう岡田麿里さまを尊敬申し上げておりますので、映画の完成を、期待に満ち満ちて、お待ちしているところです。



アリスとテレスのまぼろし工場 (角川文庫)
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)


<『アリスとテレスのまぼろし工場』舞台挨拶付きプレミア試写会 概要>

■日時:9月4日(月)19:00~19:30 *上映前

■場所:新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3丁目15−15)

■登壇者:上田麗奈(佐上睦実役)、久野美咲(五実役)、岡田麿里(監督)

■MC:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)

『アリスとテレスのまぼろし工場』

公開日:9月15日(金)全国公開

配給:ワーナー・ブラザース映画 MAPPA

(C)新見伏製鐵保存会

《仲瀬 コウタロウ》
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