「仮面ライダーのキャラクターに命を吹き込む」夢を叶えた伊藤美来、新たな挑戦への原動力は「誰かのためになるなら」というヒーロースピリッツ【インタビュー】 | 超!アニメディア

「仮面ライダーのキャラクターに命を吹き込む」夢を叶えた伊藤美来、新たな挑戦への原動力は「誰かのためになるなら」というヒーロースピリッツ【インタビュー】

アーティストデビュー5周年記念シングル「パスタ」をリリースする伊藤美来にインタビュー。

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 2016年10月のソロデビュー以降、8枚のシングルと3枚のアルバムをリリースしてきた声優アーティストの伊藤美来が、2021年12月22日(水)に9枚目のシングル「パスタ」を発売。本曲は、自身にとって5曲目となる作詞楽曲であり、初めて作曲にもチャレンジした意欲作だ。

 超!アニメディアでは、アーティストデビュー5周年を記念してリリースされる本曲に合わせてインタビューを敢行。デビューしてから変化した音楽への向き合い方、そして、「仮面ライダーのキャラクターに命を吹き込む」という夢が叶った心境などについて、お話を聞いた。


伊藤美来(撮影:相澤宏諒 ヘアメイク:大久保沙菜 スタイリスト:川端マイ子 衣装:mite)【画像クリックでフォトギャラリーへ】

自信を持ってアーティスト活動ができるようになった

――アーティストデビューしてから5年が経ちました。これまでの活動を経て成長したと感じていることはありますか?
 技術的な変化は自分ではあまり分かりませんが、こういう曲を歌ってみたい、こういう曲が自分には合っているんじゃないか、というのが分かるようになってきた気がします。そういうことをスタッフさんに提案できるようになった点も、成長したと言えるかもしれません。

――以前は受け身だった。
 前はファンの方や大人たちが喜んでくれるなら、みたいな気持ちが強かったです。今はそれにプラスして「こうしたい」ということを思い描けるようになって、それをスタッフさんに伝えられるようにもなりました。

ーー転機になったと思うタイミングはありましたか?
 2ndアルバム『PopSkip(ポップスキップ)』をリリースしたときですかね。あのアルバムでは、「こういう曲を歌いたいです」ということを初めて楽曲会議で話すことができたんです。それを受けて、ディレクターさんが私の意向に沿った作詞・作曲家さんを提案してくださいました。私の想いが形になった嬉しさもありましたし、自分が意見を出してもいいんだという自信にも繋がりました。

――デビューしたばかりの頃はあまり自信がなかった。
 音楽に関する習い事をやっていた訳でも、バンド活動をやっていた訳でもなかったので、アーティスト活動をするという話を聞いたばかりの頃は自信がなかったです。デビューしてからも1人でステージに立っていることに、違和感しかありませんでした。でも、ライブやレコーディング、そしてこういう取材の機会で音楽に対する想いを話すことで、ちょっとずつ自信を持てるようになりました。

――今はあまり不安を抱えることはなくなった?
 もちろん、ライブ前は緊張しますし、間違えたらどうしようという不安もあります。それでも、5年一緒にやってきた音楽チームのみなさんが支えてくださるので、以前よりもパフォーマンスに集中できていますね。

――そういう安心感は、お客さんに対しても抱いている。
 そうですね。前はライブ中のMCを事前に考えて、間違えずに言わないとダメだと思っていました。ただ、自分はそんな器用にMCの文言を覚えられないと分かってからは、その場で感じたことを言うようにしています。それをお客さんが受け入れてくれたので、とても助かりました。みなさんを信じられるので、ステージ上でも安心して自分の言葉で話せます。「伊藤美来のMCゆるいなー」という方も中にはいらっしゃると思いますが、これが私なので、大目見てください(笑)。

――そういう気持ちも相まって、先日行われたワンマンLIVEツアー「伊藤美来 Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU」のMCで、「『これが私です』と、胸を張って言えます」とおっしゃられていたんですね。
 はい。以前は飾った言葉を使うことが多かった気がします。変に思われたどうしよう、ファンの方々に嫌われたらどうしようと思って、なかなか自分の言葉で喋れませんでした。でも、私のゆるいMCを聞いて嫌いになるファンの方はいないと分かったので、今は自分の言葉で喋れますし、パフォーマンスもより自分らしく、のびのびできるようになりました。

――ライブMCで感極まっていらっしゃったのも印象的でした。
 久しぶりの有観客ライブだったのに、たくさんの方が見に来てくださったことに感動したんです。そういう想いをMCで喋っていたら「いま、いいコト言っているなー」って思えてきて、泣いちゃいました(笑)。あのライブはセットリストや演出などで関わらせていただいた部分も多く、自分の「やりたいこと」をたくさん詰め込むことができたんです。とても思い入れのあるライブになりました。

楽曲が生まれたきっかけは「その時に食べたかったから」

――そんな活動を経てリリースされる9枚目のシングル「パスタ」。今回、初めて作曲にも挑戦されています。
 今回のシングルがアーティストデビュー5周年記念のものになるということで、今後の活動にもつながる思い出の曲にしようと、スタッフさんから提案があったんです。そうして、作曲にチャレンジすることとなりました。最初は自信がなかったので、「まだ早いんじゃないですか?」「正直心配です……」という相談をしていたのですが、ディレクターさんが「僕たちも協力します。きっとファンのみなさんも喜んでくれると思います」と後押ししてくださったので、決心しました。私、イエスマンなんです(笑)。

――イエスマン(笑)。実際に作曲してみていかがでしたか?
 すごく難しかったです。楽器を習ったことも、何かの機材を巧みに使えるわけでもないですし、そもそもどうやって作ったらいいのか分からなくて……。ただ、悩んでいても前に進まないので、まずは何度か経験のある作詞からやっていくことにしました。今回の作曲は、詞を作って、それに合うメロディを歌いながらボイスメモに録音して、ディレクターさんに送ってそれを形にしてもらう、というスタイルで進めました。

――作曲にはどのくらい時間をかけましたか?
 
提出期限ギリギリまで粘りました(笑)。制作中に何度も「どうですか?」「どこまで仕上がっていますか?」と聞かれましたが、「とりあえず、歌詞はできました!」「ワンフレーズできました」「サビができました」などと小出しにして、スタッフさんには一旦お引き取りいただきながら作曲したのは、今となってはいい思い出です。

――そんな延ばす術を持っているとは……! 私もやってみようかな。「とりあえず600文字書きました」とか(笑)。
 とにかく提出しておけば、やっていることは伝わるので、いいと思います(笑)! 私は大学の提出物をそれで乗り切ったので。学生生活で身に着けた術ですね。あっ、良い子は真似しないでくださいね(笑)。

――(笑)。先に仕上げたという詞のコンセプトを教えてください。
 5周年記念シングルということで、最初はこれまでの活動への想いや感謝を伝える詞がいいと思っていたんです。ただ、これまで作詞した楽曲でもそういうことは伝えてきたので代わり映えしないかも、という話になって。それなら、擬人化してみて詞を書いてみるのはどうですかと、ディレクターさんがアドバイスしてくださったんです。その方向性で詞を書こうと一度は思ったのですが、何を擬人化すればいいのか悩んじゃって。そうしたら今度は、「書きやすい・書きづらいは置いておいて、今何になりたいか言ってみてください」とディレクターさんがおっしゃったので、私は「パスタ」と答えたんです。そのとき、ものすごく食べたかったから。

――食べたかった!
 そうなんです。正直、深い考えも何もなく、その場のひと笑いが欲しくて言ったことでした。それなのに、「いいね!」という反応が来ちゃって。「またまた~、で、どうする?」っていう反応を待っていたので、受け入れられたのは想定外でした。

――そんな経緯があったとは。
 そうして題材が決まったあとは、まずパスタのいいところを思い浮かべていきました。パスタは簡単に作れてパッと食べられる手料理のひとつ。それなのに、私みたいにパスタの大ファンがいる食べ物なんですよ。つまり、簡単に作ることもできるけれど、とてもおいしくて愛されている食べ物。それってすごいなと思ったんです。そこから、料理は手間がかかっているものが絶対においしいとは限らない、簡単でもおいしければそれでいいのでは?という発想へと発展していき、そこから詞のイメージを膨らませていきました。

――なるほど。
 頑張りなさいって言われて、必要以上に働いたり、勉強したりして褒められる。これが必ずしも間違っているという訳ではないと思いますが、身を削って、無理して大変なことをしなくても、幸せになる道はあると思うんです。パスタの擬人化を通じて、そういうメッセージが伝わればいいなと思いながら、詞を書きました。

――もっと気軽に生きてみてもいいんじゃない、というメッセージ。
 ですね。パスタの擬人化を考えたときにそんな難しい奴には思えなかったんです。だから、気軽にということをイメージしながら、私も深くは考えずに詞を書きました。

――レコーディングはいかがでしたか?
 この曲、すごく難しいんですよ。レコーディング中は「誰がこんな曲書いたんだよ……あぁ、私だったわ」と思いながら歌っていました。転調するわ、節は変わるわ……あぁ、難しい!

――リズムを取るだけでも難しそうです。
 ちょっとトリッキーなリズムになっているんですよね。作曲しているときは伊藤美来が歌うことは考えておらず、好みで作っちゃったので苦戦しました。とはいえ、自分が作詞・作曲したものがこうやって形になったことは、とても嬉しかったです。自分で書いているからこそ、その場で歌詞を変えたり、歌い方も考えたりできたので、「アーティストやっているなぁ」という気持ちにもなりました(笑)。

――限定盤には、本曲のMVが収録されたDVDが同梱されます。
 パスタが主役のMVです。とにかくパスタがいっぱい出てきます。純度100%のパスタMVに仕上がりました。

――「ここもパスタなんだ」というシーンがありますよね。
 カーテンやバスタブもパスタ。ずっとパスタと一緒にいました。MV撮影は本当に、ただパスタを食べに行っただけでしたね(笑)。

――MVのなかでパスタを作るシーンが出てきましたが、ふだんからパスタを作ることはある?
 あります。とはいえ、乾麺をゆでて、ソースを温めてかけるくらいですが。その作り方しかやったことがないので、私はパスタを簡単なものだと認識していたのですが、凝っていらっしゃる方からは「パスタは難しい料理だ」とも聞きます。パスタって奥が深い食べ物でもあるんですよね。

――でも、簡単に食べられておいしいという魅力は間違いなくあると思います。
 ですよね! ソースを温めてかけるだけでおいしい。その素晴らしさに変わりはないですよね!

――カップリング曲「傘の中でキスして」はどのような楽曲に仕上がっていますか?
 メロディが好きです。歌詞はちょっと切ないのですが。曲のリズム感はオシャレで、とても楽しい仕上がりになっています。ミュージカルっぽさもあり、情景が思い浮かべやすい楽曲ですね。感情をスッと入れて歌うことができました。自分が作った曲よりも断然歌いやすかったです。今回、作曲にチャレンジしたことで、ふだんから作詞・作曲されている方は、誰が歌うのかをちゃんと知ったうえで作ってくださっているということがよく分かりました。私の得意な音域や出したいところを把握したうえで作ってくださっているので、もっと感謝しなければ! ありがとうございます!

「仮面ライダー」のキャラクターに命を吹き込む夢を叶える!

――先日、「仮面ライダーリバイス」でキュートな悪魔・ラブコフの声を演じることが発表されました。「超!アニメディア」でも長きに渡り特撮の愛を語る連載を持っていた伊藤さん。コメントも出されていましたが、夢が叶いましたね!
 声での出演が決まった時、「そんなことある!?」って驚きを隠せませんでした。以前に『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』でアナウンサー型ヒューマギア役として、生身の状態で出演させていただきましたが、今度は声優として『仮面ライダー』に出演できるなんて……。嬉しすぎてはしゃぎまわりました! それだけに、アフレコはめちゃくちゃ緊張しました。「仮面ライダーリバイス」も、声での出演が決まる前から一ファンとして欠かさず見ていたんです。ファンとして見て、応援している作品にポンと飛び込める……夢見心地でした。

――自分の好きな世界に入れたってことですもんね。
 そうなんです! その世界に生きていると感じられて、とても幸せですね。しかも、今回演じるのはヒーローに力を貸すポジションのキャラクター。求めていたもの・やりたいと思うキャラクターだったので、感無量でした。言葉に表せないくらいに喜んでいます。

――そんな夢をひとつ叶えた伊藤さんですが、今後チャレンジしてみたいことは?
 まだやっていないことがたくさんあるんですよね。朗読劇や舞台、ナレーションのお仕事などはまだあまり経験がないので、やってみたいです。今やっていることに自信が持てるようになれば、そういったことにもチャレンジしたいですね。……「自信が持てるようになってから」なんてワガママ、ファンの方やマネージャーさん、事務所やレコード会社の方たちはきっと「新しいことをやらないと成長できないよ!」と思っていらっしゃるでしょう。そりゃそうだ。そりゃあそうなんです。ただ、今は目の前にあることをしっかりと頑張りたいんです。ちゃんと頑張ってから、自信を持ってから次のチャレンジをしたいというのが、素直な私の気持ちでして。

――自信を持ってから次に進みたいというのは、多くの人間がそうだと思います! 私もそうです!
 気を遣わせてしまい申し訳ございません(笑)。フォローありがとうございます!

――とはいえ、これまでも音楽活動、今回の作詞作曲、12月は写真集の発売と、何だかんだチャレンジをしていますよね。
 私、「これをするとファンの方が喜ぶよ!」「喜ぶ人がたくさんいるよ!」という言葉に弱いんです。イエスマンなので(笑)。

――みんなの期待に応えたいんですね。
 応えられているかどうかは分かりませんが、必要とされていることはとても幸せなことだあと思います。必要としてもらえるならば、それに応えたいんですよね。

――その感情の抱き方は、スーパー戦隊ヒーローを見てきた賜物と言えるかもしれません。
 ですね! 多くのヒーローは「俺が倒したいから」じゃなくて、「守りたいから倒す」なんです! うん。これです。ヒーローは俺が倒したいからで倒さない。みんなを、平和を守るために戦うんです。その精神が私の中にもきっとあるんだと思います!

――これからの活躍にも期待しています! 最後に、伊藤さんにとって「声優」「音楽」とはどういうものか、教えてください。
「声優」は生きる糧。生活の中心ですね。そもそも声優になれたことが嬉しいですし、作品や役のことを考えている時間が多い日々に、感謝しています。自分が人間として心を動かされるのはお芝居をしているとき。大変なこともありますし、不安なときもたくさんありましたが、それでもずっと続けられています。生活のなかにないと困るものになりました。

「音楽」は……自分を出せる場所ですね。声優活動では役や作品と向き合いますが、音楽活動は自分自身を表現する場所。私自身を発信する場として、こちらもないと困ります。今は両方ができているから、明るく生きていられるんじゃないかな。このふたつがあることで、自分を保てていると言っても過言ではありません。それくらいの存在ですね。


伊藤美来【画像クリックでフォトギャラリーへ】

取材・執筆=M.TOKU
撮影:相澤宏諒 
ヘアメイク:大久保沙菜 
スタイリスト:川端マイ子 
衣装:mite

プロフィール
伊藤美来
【いとう・みく】10月12日生まれ。東京都出身。主な出演作は『プリンセスコネクト!Re:Dive』コッコロ役、『五等分の花嫁』中野三玖役、『明日ちゃんのセーラー服』神黙根子役ほか。スタイルキューブ所属。

「パスタ」リリース情報
2021年12月22日(水)発売
【DVD付き限定盤】CD+DVD
価格:2,090円(税込)

【通常盤】CD
価格:1,430円(税込)

【収録内容】
<CD>
01.パスタ
02.傘の中でキスして
03.パスタ(off vocal ver.)
04.傘の中でキスして(off vocal ver.)
<DVD>
「パスタ」Music Video、メイキング映像

伊藤美来 Live Tour 2022 『What a Sauce!』 開催決定
2022年4月9日(土) 大阪:大阪国際会議場(グランキューブ)OPEN 17時 / START 18時
2022年4月16日(土)東京:東京国際フォーラム ホールA. OPEN 17時 / START 18時
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《M.TOKU》
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