読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらうインタビュー企画「Megami’sVoice」。2021年9月号には、『女神寮の寮母くん。』で香炉野すてあを演じる南條ひかるが登場。本Webサイト「超!アニメディア」では、本誌で紹介できなかった部分も含めた、ロングインタビューをお届けする。
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力むような気持ちで
――まず、『女神寮の寮母くん。』という作品の第一印象を教えてください。
最初にお話をいただいたときに、なぜ寮母なのに「くん」なんだろうと思ったんです。その後、寮生のお姉様方のイラストを見て「なるほど、彼女たちと関わることになる主人公の男の子が寮母だから『寮母くん』になるんだな」と思ったことを覚えています。それから、お姉様方がナイスバディだったので、露出度が高めな作品なんだろうと思っていました。実際にアフレコが始まってみると、想像していたよりも露出が多めでしたが(笑)、想像よりもドタバタしていてコミカルでかわいさもある印象でした。
――南條さんが演じるすてあに対してはどんな印象を持ちましたか?
小柄でつり目でツンデレ……プラス幼なじみということで、私のストライクゾーンのど真ん中でした(笑)。強気なキャラクターがすごく好きだったので、演じさせていただけると決まったときは、とにかくうれしかったです。寮生じゃないと知ったときは少しさびしさもありましたが、アフレコをしているうちに、いい意味で(南雲)孝士くんや周りの人に刺激を与えるキャラクターだとわかったので、正直“おいしい”って思っちゃいました。
――そんなすてあを演じるにあたって、どんなことを心がけていますか?
人と話すときは力むことを意識していました。すてあちゃんは、あまり人としゃべることが得意ではないし、女神寮のお姉様方と話すときは、間違いなく緊張していると思うんです。だからその緊張感を声でも感じられるようにと考えました。アフレコのあとは、いつも力を入れすぎて疲れていましたが、きっとすてあちゃんも同じように疲れるんだろうな……とリンクできている気持ちになれました。じつは、ずっとすてあちゃんのような強気な子を演じてみたいと思っていたので、その機会をいただけて、私にとってのすてあちゃんは、すごく大切なキャラクターのひとりになりました。
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――演じていて、すてあのどんなところが魅力的だなと感じていますか?
未熟なところです。すてあちゃんは孝士くんのことを支えたいし、これからもずっと一緒にいたいと思っているけれど、どうしても素直になれない。年相応の幼さが、彼女の持つ個性だと思うんです。その未熟さも愛されるポイントだと思っているので、ずっとそのままでいてほしいと思う一方で、素直になってほしい気持ちもあります。でも、孝士くんがいまのすてあちゃんをすんなりと受け入れているので、なかなか難しそうですね。
――すてあの一人称は「おれ」です。いきなり孝士を跳び蹴りするようなワイルドな面もありますよね。
見た目とのギャップが激しくて、演じていて楽しかったです。なんで自分のことを「おれ」と呼ぶのかは明らかになっていないので勝手に孝士くんに関わっていることなのかなぁと想像して楽しんでいます。
――アフレコではスタッフの方からどんなディレクションがありましたか?
アフレコが始まって間もないころ、人と話しているときとモノローグとで、声のトーンに差が出てしまったんですね。モノローグのときは自分を責めるようなワードが多かったからか、幼い声になってしまって。そこで「幼くならないようにしましょう」と言っていただきました。それ以外は、本当に自由にやらせていただきました。今回、私も含め、新人のキャストが多い現場だったのですが、スタッフのみなさんが温かく見守ってくださったんです。それもあって、思いきりぶつかっていこうと思えましたし、ちょっとアドリブを入れたりすることもできました。
――ほかに、アフレコ現場で印象的だったことはありますか?
ヒロインは(早乙女)あてなさんなのかすてあちゃんなのかがよく話題になっていました。メインヒロインとして紹介されているのはあてなさんですが、すてあちゃんには孝士くんとの幼いころのエピソードもあるし、圧倒的にヒロイン感が強いと言われていたんですね。中重俊祐監督も「すてあは強いね~」とおっしゃっていました。それから、すてあちゃんは第3話からの登場でしたが、ほかのキャストのみなさんがすごく温かく迎えてくださったんです。いつもすてあのことを褒めてくださって、すごく楽しくアフレコさせていただきました。
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――すてあに共感できるところはありますか?
共感しかないです。すてあちゃんを見ていると、子供のころの自分を思い出すんですね。私も小柄でからかわれることが多かったですし、必死になっているすてあちゃんを見ては、一生懸命養成所でがんばっていた自分を思い出したりもして……。自分の分身のように愛おしい気持ちになります。性格的に私もグイグイ行くタイプなので、友人からは「そっくりだね」って言われるほどでした。
――すてあと違うところはほぼない?
強いてあげれば、身長が2センチほどすてあちゃんのほうが高いです。そこはちょっとだけ残念です。
――すてあの想い人である孝士に対してはどんな印象を持っていますか?
お父さんが蒸発して、家も火事になって行き倒れかけるというつらい思いをしてきたからこそ、人にやさしくできるタイプなんだろうなという印象です。そのやさしさがあるから、あのツンツンしたすてあちゃんも思わず素直になってしまうときがあるんですよね。すてあちゃんは人との付き合いが苦手なので、孝士くんがいてくれなかったらひとりぼっちだったんじゃないかと思うんです。彼女にとって孝士くんは、なくてはならない存在だろうなと思っています。でも、あれだけツンツンしているすてあちゃんを無意識の行動で懐柔してしまう孝士くんって、魔性の人たらしですよね(笑)。
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――女神寮の寮生で、いま南條さんが気になっているお姉様は誰ですか?
フレイさんとあてなさんです。フレイさんは何かとすてあちゃんを気にかけてくれるんです。フレイさんのような好きなものに貪欲で、自分に素直になれるタイプの人は、すてあちゃんにもいい影響を与えると思うので、どうなっていくのかが今後楽しみです。あてなさんはもう、孝士を巡る恋のライバル的な意味で気になります。
――では最後に、今後の見どころを教えてください。
強気なすてあちゃんをお姉様方がどうやってなつかせるのかに注目していただきたいです。そして、すてあちゃんが女神寮のメンバーや孝士に、どうやって心を開いていくのかもぜひ見ていただきたいです!
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MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.笑顔
周りの方に聞いてみたら「笑顔」って言っていただけました。小さいころから泣かない子で、人見知りも全然しなかったそうなんです。赤ちゃんが得意ではなかった方をメロメロにさせたこともあって、家族からも伝説だと言われています。
Q.自分のニックネーム
A.南(なん)ちゃん
家族共通で「南ちゃん」と呼ばれることが多いです。下の名前ではあんまり呼ばれないので、「ひかるちゃん」と言われるとちょっと驚きます(笑)。
Q.自分の声の特徴
A.ノイジーで情緒のない声
全然意識はしていないんですが、驚いたり喜んだりしたときに声が一気に高くなるんだそうです。その音から情緒が感じられないらしく(笑)、おもちゃ箱みたいって言われます。
Q.自分の性格
A.フットワークが軽い
以前、たまたま通りがかったバスタ新宿で、10分後に出発する名古屋行きの夜行バスを見かけて、そのままチケットを買って乗ったことがありました。本当に無計画だったので移動中に名古屋に何があるのかを調べて、翌日の夕方まで満喫しました。
Q.いま、ハマっているものは?
A.筋トレ
『ダンベル何キロ持てる?』のOPテーマ「お願いマッスル」を聞きながらジムで鍛えるのがブームです。作品も曲も本当に大好きで、筋トレの勉強になるんです。最近は、筋肉痛が心地よく感じられるようになっています。
Q.すてあのように敏感なものは?
A.視線
なぜか視線には敏感で、人と目が合うことも多いですね。ただ、アイコンタクトはできても、相手が何を伝えたいと思っているのかまではくみ取れません。
Q.なかなか素直になれない相手は?
A.父
割と誰にでも思ったことは正直に伝えるんですが、父はすぐ調子に乗るので(笑)、なかなか素直になれないです。いつも感謝は伝えたいと思っているんですよ!
Q.本作のキャッチフレーズ
A.その寮母 支える 抱える 襲われる
この一文できっとみなさんにも作品のことをわかっていただけると思います! 今後、孝士くんはどんどん大変なことになっていくので、ぜひみなさんにも楽しんでいただきたいです!
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取材・文/野下奈生(アイプランニング)
『女神寮の寮母くん。』作品情報
大学の学生寮「女神寮」で寮母を務めることになった中学生の南雲孝士は、何かとかまってくる寮生たちに振り回されながらも、寮母としてがんばっていた。一方、孝士の幼なじみである香炉野すてあは、学校に来なくなった孝士のことを心配していた。
放送日:毎週水曜1時5分よりTOKYO MXほかにて放映中
プロフィール
南條ひかる【なんじょう・ひかる】12月26日生まれ。クレール所属。主な出演作は、『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』パリア・レスピーギ役、劇場アニメ『マロナの幻想的な物語り』イシュトヴァンの妻役など。
(C)2021Ikumi Hino/女神寮