『五等分の花嫁』ED曲「Sign」のアンサーソング「Destiny」を手掛ける金子麻友美・松坂康司が語る内田彩の魅力「曲によって主人公が違う」「ギャップ」「天才肌」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『五等分の花嫁』ED曲「Sign」のアンサーソング「Destiny」を手掛ける金子麻友美・松坂康司が語る内田彩の魅力「曲によって主人公が違う」「ギャップ」「天才肌」【インタビュー】

「Sign」のアンサーソングとなる「Destiny」について、金子麻友美さん、松坂康司さんにインタビュー。

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 声優の内田彩さんが5枚目となるシングル「Pale Blue」を2021年6月2日(水)に発売。本CDには、放送中のアニメ『やくならマグカップも』エンディングテーマ「Pale Blue」に加えて、TVアニメ『五等分の花嫁』のエンディングテーマ「Sign」のアンサーソングとなる「Destiny」がカップリング曲として収録される。

「Destiny」は、作詞を金子麻友美さん、作曲・編曲を松坂康司さんという「Sign」の作家陣が手掛けており、まさに続編ともいえる新曲となっているのが特徴だ。

 そんな本曲の魅力に迫るべく、超!アニメディアでは、金子さん・松坂さんの両名にインタビュー。「アンサーソング」ならではの制作工程やこだわり、そしてアーティスト・内田彩さんの魅力について語ってもらった。

金子麻友美
金子麻友美さん
松坂康司
松坂康司さん

音楽を作る道を目指したきっかけ


――まずは自己紹介をお願いします。

金子 金子麻友美です。ふだんは作詞・作曲を主に仕事としてやっております。最近は初めて編曲も1曲担当させていただきました。あとはアーティストさんの仮歌やコーラスなどをすることもありますね。……あの、こういう感じで大丈夫ですか? 緊張しております。

――そのまま使えるくらいパーフェクトな回答です。 

金子 ありがとうございます(笑)。

――そもそも音楽は好きだった? 

金子 そうですね。高校生のときは軽音楽部に所属して、アコースティックギターで弾き語りをしていました。大学生になってからも音楽は好きでしたが、自分で歌うよりも裏方がカッコいいなと思うようになりまして。そして、新卒のとき音楽関連の会社に入社して、その後、作詞や作曲をやりたいと思うようになり今に至る、という感じです。

――裏方に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 

金子 ライブに行ったとき、ステージに立っているアーティストさんを見て楽しむのはもちろんなのですが、応援しているファンの方々を見るのも好きで。元々は3次元の女の子アイドルを応援していたのですが、そのライブでは、ビシッとしたスーツ姿の明らかに会社から直行してきたであろうサラリーマンの方が急いで上着を脱いで、ビジネスバックからペンライトを出していたんです。
 人それぞれに事情があって、色々な人が応援のためにライブ会場へ駆け付ける。この空間って、なんだか夢があるなって思ったんですよね。それを作る仕事ってカッコいいと思ったのが、きっかけとなりました。

――音楽もアーティストさんのことも好きだったことに加えて、ファンの方たちを見て自分もああいう空間を作りたい、空間を作れる曲を提供したいと思うようになった。 

金子 そうですね!

――続けて、松坂さんも自己紹介をお願いします。 

松坂 僕は作曲・編曲を主にやっていて、たまに作詞もやったり、鍵盤を伴奏で弾いたりします。

――音楽の道を目指したきっかけは? 

松坂 小さい頃から音楽教室に通っていたのですが、中学生のときに「作曲をしてみよう」という授業がたまたまあったんです。その授業で作った曲は、クラスの合唱曲として文化祭で歌ったんですよ。そのときにテープレコーダーで録音した音源を紆余曲折あって県の作曲コンクールに応募したら、金賞をいただけたんです。振り返ってみると、それがきっかけだった気がします。

――金賞を受賞したときの体験が忘れられなかった。 

松坂 素直に嬉しかったですし、「自分はこういうことが向いているのかもしれない」と思った瞬間でもありました。元々鍵盤を弾くことが好きだったのですが、もしかしたら音楽を作ることもやりたいのかも、と思うようになったんです。

――そして今ではアニメ・ゲームや声優さんの曲も多く手掛けられる音楽家になっています。元々こういったジャンルはお好きでしたか? 

松坂 昔から好きで、大学生の頃にピークを迎えました。当時は毎クール全アニメの一話は見ていた気がします。最も好きだったのは、『コードギアス反逆のルルーシュ』ですね。また、声優さんのラジオも頻繁に聞いていました。
 そうしているうちに、こんなに素晴らしいものをもっと世の中の人に知ってもらうために、自分に何かできないかな、と思うようになって。徐々に、自分の能力で業界に貢献するには、これまで頑張ってきた音楽しかないんじゃないかなと思うようにもなりました。そして、音楽を通じて業界を応援していこうと決意し、今の仕事をするようになったんです。

――金子さんはアニメや声優さんは元々お好きでしたか? 

金子 実は仕事に関わるまではあまり詳しくなくて。それこそ、内田さんの2ndアルバム『Blooming!』に収録されている「ハルカカナタ」という曲を書かせていただいたときに、初めて声優・アーティストというジャンルを意識したんです。そこからアニメを見るようになりました。頻繁に見るようになったのはここ5、6年くらいですかね。
 見始めて思ったのは、「あっ私、性格的に2次元向いていたんだ」っていうこと。ひとつの作品を掘り下げたり、裏の設定を考えたりすることが好きだったので、アニメは私にピッタリのエンタメでした。アニメや声優さんのお仕事をさせてもらっていて、ファンの方々が一生懸命に聞いてくださるなと感じています。「この曲のここがいい!」「ここはこういう解釈なのかな」などをおっしゃってくださるのが、作っている側としてはとても嬉しいですし、刺激にもなっていますね!

――先ほどもお話がありましたが、元々はアイドルが好きだったんですよね。 

金子 色々なアイドルの方が好きですが、でんぱ組.incさんのファンクラブに入会して早9年になります(笑)。

――おぉ! 今ではアイドルの方にも楽曲提供されていますね。 

金子 そうなんです! 今はアニメも声優さんもアイドルも好きなので、それらに関わらせていただけているのが、幸せですね。

内田彩

アーティスト・内田彩の魅力


――金子さんは2015年に内田さんに曲を書いたとおっしゃられていましたが、松坂さんは内田さんと最初にお仕事したのはいつでしたか? 

松坂 2015年に内田さんが出演された作品のキャラクターソングで作曲をしたのが最初の出会いでしたが、声優・アーティストとしては「Sign」で初めて関わらせていただきました。

――最初に内田さんとお会いしたときの印象を教えてください。 

松坂 一言で言えば……お茶目(笑)。あたたかいフランクさを感じました。

金子 「ハルカカナタ」のレコーディングで初めてお目にかかったのですが、当時はそもそも女性声優さんにお会いするのも初めてだったんです。だから、「こんなに声がかわいい人って、この世の中に存在するんだ」って素直に思いました。加えて、歌が上手い。お芝居を演じるお仕事をされている方が、「こんなにも!?」と思うくらい歌も上手なことに驚きました。

――続けて、アーティスト・内田彩さんの魅力について語ってください! 

金子 私も時々歌の仕事をしますし、曲を作るときは自分で歌いながらが多いのですが、内田さんは忖度なしで歌が上手です。だから、自分で歌えない曲も提供しちゃうんですよね。例えば、アルバム『ICECREAM GIRL』に収録されている「Close to you」。あの音の運び方などは、私は歌えないです。「Sign」も私が仮歌を歌っていたのですが、実は難しすぎて歌えなかったんですよ。この曲を歌えるだけでもすごいなと思いました。

松坂 想像の上をいきますよね。

金子 ですよね! ライブでもそのクオリティを発揮されているので、驚きの連続です。あとは、歌によって主人公が違うこと。内田さんは60曲以上も持ち歌があるのに、それぞれの楽曲で主人公が違うことが分かる歌い方をされているんですよ。先日もぐんまちゃんさんとコラボされた「∞リボンをギュッと∞」の歌詞を書かせていただきましたが、その時も知らない内田さんの歌声が聞こえてきたんです。まだ違う内田さんがいるんだと思いました。

――それはもしかすると、役者としても精力的に活動されているからかもしれません。 

金子 そうだと思います!

松坂 ギャップも魅力ですよね。ちょっとミスをしてしまったとき「てへっ」と言っちゃうお茶目な面がありつつも、ライブなどで魅せるパフォーマンスはものすごい。ここぞというときの集中力、そしてそれが発揮されたときのレコーディングやライブは、鳥肌物です。

金子 以前に内田さんのライブパンフレットに載る対談を、今回のCDの表題曲も手掛けていらっしゃるhisakuniさんとさせていただいたのですが、その集中力やレコーディングについては「スポーツですごくいい記録が出るときみたいな感じ」と話題に出た記憶があります。 

松坂 まさに! いわゆる「ゾーン」ってやつですよね。

金子 そうです、そうです!

松坂 その「ゾーン」に入ったときの集中力がものすごい。言葉が適切か分かりませんが、天才肌の方だなと思いました。

――「ゾーン」に入ることを感覚で掴んでいる。 

松坂 もちろん、積み重ねてきた努力もあると思いますが、感覚的に掴んでいらっしゃる部分も大きいんじゃないかな。掴むまでも速くて、「そこも掴めるんだ!」と思うこともあります。例えば、「Sign」のDメロの盛り上げ方。とても高い音なのですが、あの高さをあんなにも歌いこなして盛り上げていけることに感動しました。あの感動は、きっとこれからも忘れないと思います。

内田彩

「Destiny」と「Sign」の関係


――今回発売となる「Pale Blue」のカップリング曲「Destiny」もおふたりが手掛けられています。こちらは「Sign」のアンサーソングということですが、どういう流れで曲が完成しましたか? 

松坂 まずシンプルに「Sign」のアンサーソングを作りたいというお話をいただきました。加えて、多幸感のある曲にして欲しいというオーダーもいただいたんです。それなら、「Sign」はややシリアスな部分もある曲だったので、「Destiny」は思い切り幸せ要素がたくさんの曲にしようと思って。結婚式で「Sign」に続けて「Destiny」が流れることをイメージしながら、製作を進めていきました。

――なるほど。 

松坂 また、アンサーソングということでしたので、「Sign」と同じフレーズは絶対に入れたいと思ったんです。ただ、同じ箇所ではなく違う箇所に入れて、変化を持たせたくて。とはいえ、あまりにも同じフレーズを使い過ぎると似通った曲になってしまうので、その塩梅は、スタッフさんを通じて内田さんとも相談してまとめていった感じです。なるべく「Sign」と共通する部分、異なる部分を分かりやすく表現したつもりなので、聞いてくださる方が「ハッ」となってくれれば、嬉しいですね。

――その他、曲を作るうえでこだわった点を教えてください。 

松坂 内田さんって声のレンジがとても広い方なんですよ。「Sign」のとき、低い声から高い声まで出る幅の広さに驚きました。実は、「Sign」は元々予定していた高いキーから、さらに上げてレコーディングをしたんですよ。

金子 「こんなキーで歌えないなぁ」と思っていたら、レコーディング現場でさらにキーが上がっていたので驚きました(笑)。

松坂 あんなに高いキーを綺麗に出せる方ってなかなかいないですよ。今回はそのときのことを踏まえて曲を作ったので、完全に内田さんのキーに併せています。アンサーソングという立ち位置はもちろん、なるべく内田さんが歌うということも意識して、魅力をたっぷり詰め込もうと思いながら曲を作りました。楽しかったですね!

――そうして、ある程度曲が完成したところで、次は金子さんが作詞をするという流れになる。 

金子 そうですね。

――金子さんは最初に曲を聞いたとき、どう感じましたか? 

金子 先ほど松坂さんがお話されていた「Sign」のフレーズの入れ具合がいい感じで、ワクワクしました。例えば、「Sign」のイントロ部分のフレーズを「Destiny」ではDメロに持ってきているんですよ。それならDメロは、「Sign」のイントロ部分と同じ歌詞にしたいなと思って。だから、「Destiny」は実はDメロから歌詞を書き始めたんです。

――それは、普段はあまりやらないやり方? 

金子 やらないですね。それ以外の部分もフレーズを意識して歌詞を書きました。パズルのような感じで、「ここが同じフレーズだから、こうやって」と組み立てていきました(笑)。

――フレーズを意識しつつも、歌詞全体はどのような想いを込めて書きましたか? 

金子 私は歌詞を書くとき、いつもWordを使うんです。そのWordのファイルには、「ここをこう変えた」という部分や、「ここはボツ」「ここはこうしたいな」といった思いついたことを、基本的にはぜんぶ履歴として残しているんですよ。
「Sign」のときもそれをやっていたなと思って、当時のWordファイルを開いてみたら「あなたのためにこれからも変わり続けていく、っていうところまで書きたいけど尺が足りない」ってメモが残っておりまして。その時に「そっか、当時は尺が足りなかったんだ」ということを思い出したんです。そんな「Sign」のアンサーソングが書けるなら、当時は尺の都合で伝えられなかったことを書きたいなと思い、それが全体の軸となりました。

――そういう意味では、まさに「Sign」の続編となるような曲に仕上がっているんですね。 

金子 そうですね。あと私から伝えたいのは、「運命」という言葉。タイトルを「Destiny」にしようと思ってから、「運命」という言葉には、こだわりました。「Sign」のときは「元から決まっている運命」という側面が少しありましたが、実は私的にはもうちょっと言いたかったことがあって。というのも、私は内田さんに歌詞を提供させていただくとき、「すごく幸せで強い女の人」であって欲しいと思いながら書いているんです。だから、今回は「神様が決めた運命」ではなく、どうしても「運命は自分で作っていく」という女性像にしたくて。それを3Cの歌詞に込めました。

――松坂さんは金子さんの詞についてはどう思われましたか? 

松坂 まず、こちらの狙い通りやっていただけたので、「流石だな」と思いました。それは全体的な流れはもちろん、細かい部分でも。僕がいちばんグッときたのは、「Destiny」の歌詞に”Sign”って言葉が出てきている点ですね。あそこは、先ほどもお話した「Sign」にも使っていたフレーズを採用している部分なのですが、「Sign」だと同じフレーズの部分に”Destiny”って歌詞が使われているんですよ。その言葉のチョイスが素晴らしすぎました。

金子 やった、褒められた(笑)。

松坂 (笑)。もちろん、ひとつの曲として完成された詞になっていますが、ロジカルにすごいことをやっているなと驚愕しました。

――松坂さんはレコーディングにも立ち会われたかと思いますが、いかがでしたか? 

松坂 やはり、ここいちばんの集中力に驚かされました。曲を録り終えたあと、内田さんが「最後にもう一回歌ってもいいですか?」とおっしゃられて、現場では“記念受験”と称してまるっと一曲歌うことになったんですよ。そのテイクがものすごくよくて。聞いている我々も拍手しかできないくらい、文句のつけようがない素晴らしいものでした。通常のレコーディングって何度か収録をしていい部分をOKテイクとして選ぶんですよ。ただ、今回はその通しで歌ったものをほぼほぼ使っているとエンジニアさんから聞きました。内田さんの集中力には脱帽です。

「Destiny」ジャケット

――もしおふたりが内田さんに新しい楽曲を提供できるなら、どういう曲を書きたいですか? 

松坂 自分がジャジーな曲が好きというのもありますが、ちょっと大人っぽい曲を書きたいですね。難しめの大人の魅力が感じられるような曲であっても、内田さんなら僕の期待を絶対に超えてくると確信しています。

金子 内田さんには幸せであって欲しいので、私が内田さんに書かせていただく曲は「幸せ」を感じる曲や前向きなものが多いんです。寂しさを感じるのは、「笑わないで」くらいかな? 失恋の歌もありましたが、それも「失恋したけど、頑張っていくぞ」という終わり方にしています。だから、いよいよ切ない曲を書いてみたいですね。

松坂 切ない曲があったほうが、幸せが引き立ちますよね。

金子 さすが、いいこと言いますねー(笑)!

松坂 ありがとうございます(笑)。

――最後におふたりから内田彩さんへメッセージをお願いします。 

金子 そうだなぁ……あの……お会いするとき、恥ずかしくてうまくお話ができないのですが、いつもめちゃくちゃすごいと思っています。内田さんがいらっしゃらないこういう場でしか言えていないですが、いつも素晴らしいなって思っています!

松坂 まだお会いした回数は少ないですが、内田さんのマイペースな部分が魅力だと思っていて。マイペースでいることでパフォーマンスの真価を発揮されるタイプだと思うんです。あれ、これメッセージではないですね(笑)。

金子 なんか、占いみたいでした。「マイペースがいいでしょう」みたいな(笑)。

松坂 (笑)。つまり伝えたいことは、内田さんの作品のクオリティを上げるためだったら、我々は内田さんのペースに併せて精一杯頑張ります!尽くします!ということですね。



取材・執筆=M.TOKU

内田彩 Playlist Single「Destiny/Sign」リリース情報
2021年6月2日 (水)
1. Destiny(「Sign」アンサーソング)
作詞:金子麻友美、作曲・編曲:松坂康司
2. Sign
作詞:金子麻友美、作曲・編曲:松坂康司
3. Destiny (Instrumental)
4. Sign (Instrumental)

内田彩 5th Single「Pale Blue」リリース情報
2021年6月2日 (水)
限定盤 (CD+DVD):2,090円(税込)
通常盤 (CD):1,430円(税込)
<CD>
1.Pale Blue 作詞・作曲・編曲:hisakuni
※アニメ「やくならマグカップも」エンディングテーマ
2.Destiny 作詞:金子麻友美、作曲・編曲:松坂康司
※「Sign」アンサーソング
3.Pale Blue (Instrumental)
4.Destiny (Instrumental)
<DVD>
1.Pale Blue (Music Video)
2.Pale Blue MV & Jacket Making Movie

「Pale Blue」
《M.TOKU》
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