『ワールドエンドヒーローズ』今だから話せることと、ユーザーへの感謝【ロングインタビュー】 | 超!アニメディア

『ワールドエンドヒーローズ』今だから話せることと、ユーザーへの感謝【ロングインタビュー】

2018年11月13日より配信がスタートしたシチュエーションスタイルRPG『ワールドエンドヒーローズ』。今回は、スクウェア・エニックスのプロデューサー・水町稔規、プランナー・深澤瑠衣子、デザイナー・杉山麻美に思いの丈をお話いただいた。

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『ワールドエンドヒーローズ』 (C) 2018-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
  • 『ワールドエンドヒーローズ』 (C) 2018-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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 2018年11月13日より配信がスタートしたシチュエーションスタイルRPG『ワールドエンドヒーローズ』。発売中のアニメディア11月号では、スクウェア・エニックスのプロデューサー・水町稔規、プランナー・深澤瑠衣子、デザイナー・杉山麻美といった本作の開発陣にお話を聞いたインタビューが掲載中だ。超!アニメディアでは、サービスが終了した「今だから話せる」ことを聞いた、ロングインタビューを掲載。

大変だったけど楽しかった時間


――『ワールドエンドヒーローズ』全体を振り返っての感想や思いを教えてください。
水町 私が女性向けのタイトルに関わったのは『ワールドエンドヒーローズ(以下、ワヒロ)』が初めてでした。「このときにはこんなことがあった」って自分の年表が作れるくらい、いいことも悪いこともいろいろありましたが、これまでのキャリアとは違うチャレンジがたくさんできてとても楽しかったです。

深澤 本当にいろいろありましたよね……。『ワヒロ』の企画自体が始まったのは2017年くらいで、そこから3年、ずっと『ワヒロ』に100%の力をつぎ込んできました。たくさんの土日祝日もつぎ込みました(笑)。開発者人生で「忙しすぎて死んでしまうかも」と思うことが3回ほどあったのですが、そのうち2回はこのタイトルだったかも(笑)。そう思うくらい大変でしたが、ファンからのメッセージにはげまされ、気力をもらいながら、メインストーリーを最後までゲーム内で描けました。それが本当によかったです。

杉山 おそらく多くの方が、スクウェア・エニックスってスタイリッシュなファンタジー作品を多く手掛けているイメージを持たれていると思うんです。実際私もそういうイメージだったので、『ワヒロ』みたいに従来のスクウェア・エニックスのイメージとはちょっと違う、男子高校生たちがメインのお仕事が新鮮でした。今まで見ていたものとは違うものを知ることができたので、自分の表現の幅が広がったと思います。

深澤 社内でも多くの意見交換をしながら、とても楽しく作りました。杉山とは机が隣同士なので、次のカードの絵はどんなものにしようかとか、身振り手振りでポーズを決めたりとかしていましたね。

水町 意見交換が盛り上がりすぎて、近くの席のチームからよく「うるさい!」って怒られていました(笑)。

――立ち絵がおもしろい動きをするいわゆる「立ち絵芸」もたくさん登場しましたが、どういった経緯で実装されたのですか?
深澤 シーンの暗転や、ここで首を掴む、などの基本的な指示はこちらからしていました。その指示とあわせて、スプリクターさんの方でいろいろと物語に合うように細かい動きを入れてくれました。

水町 最初は普通だったのですが、ひっくりかえった表現のために立ち絵を逆さにしてもらったところ、そこからどんどんおもしろい動きを入れてくれるようになりました。走るデコトラの揺れを表現するのにすごく揺らしたりとか(笑)。

深澤 作品に関わってくれたスプリクターさんは歴代で3名いらっしゃるんですが、みなさん表現がすごくて。初代の方がデコトラの人で、2代目の方は「イルミネーションサイレントナイト」の復刻追加で実装された、般若のお面を鳴らすと「メリークリスマス」っていうシーンの動きを入れてくれました。3代目の方はとくに表現の幅が広くて、バスケの試合が想像できるような動きを見せてくれたり、「はじめての探検隊」で煙を流してトロッコが動いているように表現してくれました。Live2Dだと制限がかかってしまうので、逆に立ち絵でイメージ補完できる方がやりやすかったのかもしれないですね。

『ワールドエンドヒーローズ』 (C) 2018-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

彼らの最後とこれから


――メインストーリーのラストは最初から決まっていたのですか? また、削った展開などはありますか?
深澤 企画でヒーローをテーマにしようと決まったときに、「記憶に残らない英雄の話」を書きたいと決めていました。なので、主人公は「誰の記憶にも残らないけど、誰かの記憶に残りたい子」にしようと思いました。
 ストーリーは、大まかな流れはあらかじめ決めつつ、あとは各シチュエーションにキャラクターを投げ込んで動いてもらうという感じで書いていたので、細部が自分の予想していない展開になることもありましたね。書き進めていくうえで、後から補完した部分もあります。月刊誌の気持ちで、毎月面白くなるよう、ストーリーに山場をもってくることを意識しました。
 たとえば、星乃慧吾はあそこまでストーリーに出る予定ではなかったんです。でも、本編やイベントストーリーを書いていくうちに「ここには彼が必要だな」と思ったので。
 その他、佐海(良輔)と北村(倫理)はキャラ設計時に主義主張が対になるようにしていたので、ふたりが最後に戦う展開は決めていました。なので101話で、最初は決着がつくまでバチバチに戦ってもらおうと思っていたんですが、どう考えても七見(薔明)のいる状況でそこまではできず……(笑)。ケンカしてる場合じゃないよねってなったので、指揮官さんに止めてもらいました。

――最後のイベントとなった「ショーは続く 怪盗Aの挑戦」や透野(光希)のサイドストーリーでの展開は、最初から決まっていたのですか?
深澤 「ショーは続く 怪盗Aの挑戦」は最後のイベントにする予定ではなく、発注後にサービスの終了が決まり、結果的に最後になりました。本来なら5月か6月に実装する予定で、締めのイベントとして発注したわけではなかったので少し調整はしましたが、シナリオをチェックしているときに、最後のタイトルが「また会おう」に偶然なっているのを見て「これで最後はかっこいいな」と思いました。
 透野のサイドストーリーの分岐も、当初は予定されていませんでした。室媛(安慈)とのシーンは、ゲームが続いていたら別の場所で語る機会があったと思います。ただ、透野と室媛の世界をつなぎ直せるのは透野だけで、つながないとハッピーエンドにはならないなと思ったので、彼には頑張ってもらいました。

――伊勢崎(敬)はサイドストーリーの後どうなるのでしょうか?
深澤 4話構成だとあそこまでしか描けなかったので、モヤモヤしてる方も多いですかね……。私たちもかなり心配しています。伊勢崎は書いていて突然「意外なセリフ」が出てくるタイプで、「ここでそんなこと言う!?」ってなることもしばしばありました。私が想定していたよりもかなり危うい印象があります。

水町 ある意味、一番世界を呪っているかもしれない子だよね。

杉山 一番の天才であり、一番ヒーローになっちゃいけない人なのかなとも思ったりします。

深澤 ずっと陽が当たらなくて、温度そのものがなくなってしまった世界を心のどこかに少しだけ持っている。しかもそれを表に出さない。もとが明るい子だから、無理なく冷え切っている部分を隠せてしまう。無理をしていたら誰かが気づいて助けられるのに、別に無理をしていないから誰も気づけない。本人も助けを求めない。だから、彼を助けるには本人が「しんどい」と思えるように変わってボロを出すか、あるいは何か事件があって強制的に仲間が介入しないといけないのかなぁ……。
「ゴールデンウィーク防衛戦!」のカードストーリーでは、周りのあたたかさを実感してきたのか「昔はこんなに楽しくなるなんて思わなかった」って発言が出てきてたり、少し彼の意識が変わったように思えます。今後彼がどうなるかは五分五分な状態かなと個人的には思ってます。書いたら変わるかもしれませんが(笑)。



細かな気遣いとこだわり


――キャラクターについて、出てこなかった設定や裏話を教えてください。
深澤 いずれなにかの形で公開したかった設定はいくつかありますね。「矢後(勇成)さんのバンダナは誰にもらったのか」とか。設定自体は決まっているので、どこかほかの機会で明らかにできたらいいなと思っています。
 角来(東伍)は、最初は何度倒しても向かってくるしつこい悪役にしようとしていたんです。噛ませの悪役には絶対したくなくて。それで最後は矢後と決着をつけさせたかったのですが、全部をイメージ通り描こうとするとかなり本筋から脱線しそうだった。それに伊勢崎たちと死闘を繰り広げたあとに角来が生きていると、立てるべきヒーロー側がちょっと立たなくなる。なので、本物の角来と矢後の最終決戦はカットし、「本当の再戦はあの世でな」という形にしました。

水町 当初は敵側も3Dモデルを作る予定だったので、UNKNOWNS全員分の攻撃モーションも決めていました。室媛さんは武器が足に付いていて、蹴りで戦う予定でした。

杉山 武器のデザインも出来上がっていたので、戦闘立ち絵も「いざ描こう」というとこまでいったんですけど、画面に入らなかったんですよね。

深澤 基本的に登場するのが立ち絵のバストアップで、足まで映らないですからね。足を入れようとすると、ずっと足を上げているポーズになってしまうので断念しました。

――作中では「エグゼクティブバカ」など、さまざまな愛ある「バカ」の表現がありましたが、ああいう特徴的なワードはどういう経緯で生まれたものでしょうか?
深澤 もともとパワーワードが好きで(笑)。そのなかで語感がいい感じにできたのが数々の「バカ」です。ものを変にたとえるのがうまいというか、とくに浅桐(真大)と武居(一孝)は命名センスがあるので、多様な表現が出てきますね。「エグゼクティブバカ」とか「エレクトリカルバカ野郎」とか。いいツッコミを入れてくれます。頭のいい子を書くのもおバカな子を書くのも楽しいです、うちは結構両極端に存在しますよね。

――両極端なのですね(笑)。「普通な子」はいないのでしょうか。
深澤 久森(晃人)なんかは普通っぽいですけど、実際は勉強含め基本能力が平均より高い。無意識に「普通」を自分に押し付けてるだけ。まあ、何人かはそういうのを察している。北村なんかはよくは思わないですかね、「そんなにいろいろ持っているくせにね」ってなる。

――イベントについての裏話を教えてください。
水町 じつは、ゲームをリリースして一番最初に実装されるイベントは「透野の運動会(仮名)」でした。リリースが11月になったので、11月に運動会か……という空気になり、運動会はなくなってしまいましたが。イベントではできるだけ同じキャラクターが連続でメインにならないようにしていたのですが、当初はイベントの組み換えの影響で、同じキャラクターが続いてしまうこともありました。当時は気づいたら武居が少し多かったのですが、別に運営がひいきしていたとかではないんです……!

深澤 それに関わらず、変に続いてしまったり、というのはだいたいやむを得ない組み換えの影響だったりしましたね……申し訳ないです。イベントシナリオに関しては、私がひとりで書いているわけではないので、お話としては問題なかったとしても、キャラクター性がぶれている場合はかなり調整しました。「このキャラクターはここでこういう行動はしない」と思われないよう、ユーザーのみなさんが不快な気持ちにならないように気をつけました。

――具体的にはどのようなことでしょうか。
水町 お話やイラストのほか、プロモーションでもファンが不快な気持ちにならないよう気をつけました。全員出せるときは全員出したり、ピックアップするときは意味を考えたり、並びに変なイメージがつかないように、など、かなり細かく配置を調整したりしました。

深澤 シナリオを作る際のルールとして、「下ネタNG」「キャラクターを下げる表現NG」「スラング多用NG」など、いくつかの条件をライターに共有しました。さらに上がってきたものを、自分がいち読者の目線で読んでみて、嫌な気持ちにならないかチェックしました。いつでも心に全キャラのファンを住まわせて厳しめにチェックしていたと思います。
 あとは、男女どちらの性別でも読めるよう、指揮官の性別を規定しないように気をつけてもらいました。また、性差表現も注意しています。ただ、言葉遣いはキャラクターの魅力につながるケースもあるので、グレー含めてすべて排除するという判断はせず「キャラ性を損なわず、言葉選びで解決できるようなワード」を主に調整しました。こちらが気をつけたのはそれくらいで、あとはキャラの素直な言葉そのものが良かったというケースが多いと思います。
 たとえば斎樹(巡)のヒーローショーのカードストーリーで、「男の子とか女の子とか関係なしに、好きなものは好きでいいんだよ」って言うところは、斎樹が合理的な考えを持ち、「普通」を押し付けられて苦しかったという経験がある人だからこそ、自然に出てきた言葉なのだと思います。
 また、矢後が「ドキドキ!保育体験学習」のカードストーリーで「男に二言はない」という慣用句を「二言はない」と略して言ったことに関しては、純粋に彼の語彙セットから長めの慣用句が出てこなかったんです。漫画なんかで鍛えた語彙力はあるものの、長い言葉を覚えるのは苦手。「二言はない」は出てきたけど、「男に」をセットで覚えるほど”男性”性のこだわりもなかったのかなと思います。
 ほかには、簡単にほだされてしまうとか、キャラクターの芯となる部分が折れてしまうような展開もNGにしていました。たとえば北村がやさしく諭されて救われてしまうとかですね。やさしい言葉で救われる人ももちろんいるけれど、彼はそれで救われるべきではない。一般常識で救われる、ということが嫌な人もいます。多様性です。

杉山 イラストの方でも、表情やシチュエーション、ポーズなど厳しくチェックしてもらいました。でも、私が得意なジャンルは好きなように描かせていただけました。

――イベントカードのイラストや衣装についてはいかがでしょうか?
杉山 イラストについての裏話は……「夜間任務と小さな満月」の御鷹(寿史)のパジャマは、最初は色が違いました。あと、これは本編のスチルなども含めてなのですが、いろいろな衣装を着せながらも、普通の高校生ではできないようなことをさせてあげつつ、男の子っぽく見えるよう気をつけました。筋肉を硬そうに描いたりとか、ピンチのシーンでも弱々しくなりすぎないように構図を工夫したりとか。あと、深澤さんが詳しい衣装のジャンルと私が詳しい衣装のジャンルが結構違うので、意見交換が白熱することがたまにありましたね(笑)。

深澤 恒常SSRの「執事シリーズ」衣装とか、最初に出てきた案では色とりどりな感じで、みんなで並ぶと執事というよりは執事レンジャー的な(笑)。途中までデザインが進んでいたのは、北村と霧谷(柊)のウェスタン衣装ですね。あと、本当はアラビアンとかもいつかやろうと考えていました。

杉山 「執事シリーズ」の伊勢崎が絵本を読んでくれている【悪夢からも守る者】のイラストは、最初はこちらに目線を向けていたんですが、すごく自慢げな表情で絵本を読む感じになってしまいまして(笑)。「読み聞かせをするお兄ちゃんのような感じで」ということで、実装時の、目線を外したイラストになりました。

深澤 さすがにちょっとドヤ顔すぎたので(笑)。あとは、戸上(宗一郎)の【楽しい気配】は、開花前は本を読んでいて開花後にはこちらに気づくイラストになるんですけど、実装前のイラストでは読んでいた本を後ろにまわしていたんです。それが、別にそういう意図はなくてもなぜか隠しているように見えてしまった。とくに戸上はそういうタイプではないので、本は体の前でキープしてもらいました。

杉山 「北村倫理の永久」の【夢幻探偵、参上】で手前に浅桐(真大)が写っていたり、3Dモデルには制限の関係で実装できないけれど細かな飾りが足されていたりと、カードイラストならではの遊び要素も描いています。そちらも、じっくり見ていただけると楽しいかと。

――衣装についてのこだわりを教えてください。
杉山 佐海と倫理は対になっている人たちなので、佐海には倫理が着れない鮮やかな赤マントを着せて、かつヒーローっぽい衣装になるようにしています。また、月末ガチャの戦闘服で佐海が着けているイヤリングは、妹の梨奈ちゃんと半分ずつわけ合ったものです。

――そのほかの月末衣装についても教えてください。
杉山 ラ・クロワ学苑は家族のような雰囲気なので、似たようなデザインのゴシック系の衣装にまとめています。白星第一学園は、生まれやポジションを重んじています。御鷹と志藤(正義)は生まれがはっきりしているので戦闘服の色を白にして、居候や養子である透野と伊勢崎は濁った色にしています。また、武居の戦闘服が黒いのはダークホースという意味なども込められていますね。ちなみに、慧吾が生きていたら、白と青を使うかなと思います。一部武居と同じパーツなんかも使うかも。

――今だから言える、ここだけの話を教えてください。
深澤 幼少期の伊勢崎は「伊勢崎」の家に入る前だったので、襟足を少し伸ばして結ぶ設定にしようかという話も出ていました。ただ、その髪型にすると佐海が追いかけている感じになってしまったので、長髪案はなくなりました。あとは、キャラクター原案からキャラクターデザインまでの間で変わった設定もあります。御鷹は原案の段階では「自分がかっこいいことに無自覚」という、今よりも天然度の高い設定でした。頼城(紫暮)さんは、キャラ原案では前髪がありました。その後、ミュータント手術をしたので目を誇るように前髪をあげようということになり、AKIRAさんにご許可を頂いた上で前髪を上げました。佐海も初期イラストよりだいぶ変わりましたね。最初はもっとかわいい系の子でした。

――キャラクターの名前に由来などはありますか?
深澤 普通の名字から一文字変えたものが多いですかね。「みたか」だったら、普通は「三鷹」にするところを「御鷹」にするとかっこいいとか。あとは家柄や名付け人のセンスを想像してつけています。ちなみに、イーターやブリンカーはイギリスの数学者が考案したシミュレーションゲーム『ライフゲーム』からとっています。『ライフゲーム』を知っていたあの世界の科学者が、イーターたちに名付けました。全部の名前は、その世界の誰かが名付けているはずなので、彼らの名前にも、それぞれに背負わされたものや祈りがあったりなかったりします。

――誰が名付けたかも決まっているんですね。
深澤 そうですね。親からの期待をかなり背負わされているし、それをしっかり受け止めているのは志藤です。三津木(慎)と浅桐は運命的な偶然の一致がほしかったので、三津木 慎の「小さい真」と浅桐真大の「真が大きい」は対比になるようにしました。浅桐のお父さんが伊達男なので、おしゃれな読みになりましたね。矢後は、お母さんの「好き」がつまった名前になりました。その他、生まれたときの季節が込められている名前もあって、頼城さんは、美しい紫暮時に生まれたので「紫暮」。霧谷は寒い時期に生まれたので、お母さんが「柊」と名付けました。伊勢崎は捨て子なので区長の名付けで、斎樹はお母さんがパッと決めてます、とか……きりがないですね。

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ヒーローとは何か


――みなさんにとっての「ヒーロー」はどういうものですか?
水町 人によってヒーローって違うので、難しいですよね。私は自分の目線とは違うヒーローを見て育った世代ですが、今は自分に近いところにいる、等身大のヒーローを求めているんじゃないかと感じています。『ワヒロ』は「世界目線で見るとすごい人かもしれないけど、本人自体はそんなにすごくない」というヒーローを描いているので、案外そういうヒーローを求めているみなさんに合ったのかもしれません。

深澤 最初は、浅桐が言っているようにざっくりとヒーローは「かっこいいもの」だと思っており、だからこそ『ワヒロ』にはヒーローはかっこいい、でもそれだけじゃない、という気持ちで「ヒーローなんてかっこいいもんじゃない」というキャッチコピーをつけました。彼らの物語を書き終わった今は、ヒーローとは「何かのために自分の全部をかけられる人たち」だと思っています。慧吾・三津木のふたりは「全部かけて・全部使って戦うよ」と自然に発言したのが印象的でした。でも、たしかにヒーロー15人全員が、きっと何かのために全部をかけられる人なんですよね。

杉山 「その都度自分を奮い立たせてくれる存在」でしょうか。いろいろな人がいる中で、自分が「かっこいい」と思える人。それは人によってはアイドルだったり、命をかけて戦っている人だったりすると思います。表立って活躍する人だけでなく、たとえば自分に声をかけてくれた先生や友達、自分を押し上げてくれた人たちは、自分にとっての「かっこいいヒーロー」だと思います。

――最後に、作品を応援してくれるファンへのメッセージをお願いいたします。
水町 サービスが終了しているという作品ではありますが、みなさまの応援でこうした機会を再びいただけて、とてもありがたく思っています。私たちも『ワヒロ』をこのまま終わらせたくないし、なにかしたいという思いはありますが、約束できないことは言いたくないので、「次の作品をお待ちください」とは言えません。今は、配信されているオフライン版を楽しんでいただければと思います。

深澤 サービス終了を発表したときに、アクセス数が下がることはみんな覚悟していました。でも、サービス終了を発表して課金も出来ない状態になったのにアクセス数が減らず、むしろ増えたこともありました。申し訳ないことですし、お叱りの言葉はいくらでも受けるつもりでしたが、逆にたくさんの温かいメッセージをいただいてしまいました。本当にありがとうございました。自分の人生で忘れられない経験になりました。今後に関しては難しい状況ですが、いずれなにかの形でお知らせできたらいいなと思っております。

杉山 ユーザーの皆様にも、チームのみんなにも恵まれたからこそ、私も最後まで走りきれたんだと思います。ファンの方々に最後まで見ていただけて、今も応援していただけてありがたいです。あたたかい反応や待ってくれているファンがいるという思いは、制作していくうえでとてもはげみになりました。ありがとうございました。

取材・文/パワフルプロダクション

プロフィール
水町稔規【みずまち・としのり】スクウェア・エニックス所属のプロデューサー。手がけた主な作品は、『スクールガールストライカーズ』プロデューサー、『エンゲージソウルズ』プロデューサー、ほか。

深澤瑠衣子【ふかざわ・るいこ】スクウェア・エニックス所属のプランナー。手がけた主な作品は、『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』シナリオ、『スクールガールストライカーズ』シナリオ、ほか。

杉山麻美【すぎやま・あさみ】スクウェア・エニックス所属のデザイナー。手がけた主な作品は、『BRAVELY DEFAULT FAIRY'S EFFECT』コンセプトアート、『スクールガールストライカーズ』衣装・2Dデザイン、ほか。

ワールドエンドヒーローズ
●オフライン版、iOS/Androidで配信

CAST
戸上宗一郎/日野 聡 浅桐真大/吉野裕行 佐海良輔/内山昂輝 三津木 慎/天﨑滉平
志藤正義/竹内良太 伊勢崎 敬/内田雄馬 武居一孝/石川界人 御鷹寿史/鈴木拡樹
透野光希/緒方恵美 頼城紫暮/梅原裕一郎 斎樹 巡/堀江 瞬 霧谷 柊/小林裕介
矢後勇成/赤羽根健治 久森晃人/島﨑信長 北村倫理/岡本信彦 ほか

(C) 2018-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
《M.TOKU》
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