7 月7 日。それは天の川を隔てて向かい合う織姫と彦星が年に一度だけ逢うことが許された運命の日。そんな七夕伝説に興味津々なホーキのリクエストによって、4 人は笹飾りを作ることになりました。
【みんなの願いが叶いますように】
ホーキ「ふむふむ……、ベガが織姫で、アルタイルが彦星、そして2人を隔てる無数の星が天の川ですか。地球人はなかなかおもしろい見立てをするものですね☆」
かるな「でもなんで短冊に願いごとを書くの? 1年に1回しか逢えない2人に頼みごとをするなんて酷な話じゃん」
沙羅「たぶん最初は機織りが得意な織姫にあやかって『裁縫がうまくなりますように』みたいな願掛けから始ったと思うんだけど、そのうち『とりあえず願いごとを書いておけ』みたいに変わっていったんじゃないかしら」
和美「おお、なんだかそれっぽいですね! さすが部長」
沙羅「実際はどうか知らないけどね。そんなわけだから、私たちは細かいことは気にせずに楽しみましょ」
ホーキ「ですー☆」
かるな「んじゃ、あたしは『格闘技の名勝負がたくさん見られますように』と」
和美「うん。『女子力がアップしますように」ですかね』
沙羅「私は……、『大仏マスクを被らなくてもいい日が早くきますように』かな」
かるな「あはは、それは確かにな!」
和美「……あら? ホーキさん、どうしました? 手が止まっているようですが」
ホーキ「……書けないです」
沙羅「え? 何が書けないの?」
ホーキ「地球の言葉、書けないです……」
かるな「言われてみれば盲点だった!」
和美「それなら私たちが代筆してあげますから願いごとを教えてください」
ホーキ「自分で書きたいです! 文字、教えてほしいです!」
沙羅「……そうね。せっかくのお願いなのだから他人任せはいやだものね」
ホーキ「はいです☆」
かるな「わかった! まずはホーキの願いを聞いて、こっちでお手本を作る。それをホーキがお手本にしてまねして書く。これでどう?」
和美「ナイスアイデアです! それでホーキさんの願いごとってなんですか?」
ホーキ「ふふふ、です☆ 宇宙を股にかける私の願いごとはですね……、ごにょごにょ☆」
沙羅「ふむふむ……。それはねー、こう書くのよ」
ホーキ「名前の書き方も教えてほしいです☆」
和美「ホーキさんの名前は、こう書きます」
ホーキ「おお、これが『ホーキ』ですか! なんだか左右対称でかっこいいです☆」
かるな「あはは……、宇宙人にはそう見えるんだな」
こうして完成した笹飾りには色とりどりの願いごとが踊っています。そのなかのひとつ、ヘタな字ながら一生懸命さが伝わってくる黄色の短冊にはこう書かれていました。
『みんな、えがおになれますように☆ ホーキ』
原画/シノ屋(TENKY) 仕上げ・背景/isumi(TENKY)
原作/古里尚丈(おっどあいくりえいてぃぶ) 文/たなかつ
(C) おっどあいくりえいてぃぶ・たなかつ/ラキりすプロジェクト