トラウマや葛藤、複雑な心境を抱える少年たちはどうなる?――オリジナルテレビアニメ『星合の空』のこれまでを振り返る | 超!アニメディア

トラウマや葛藤、複雑な心境を抱える少年たちはどうなる?――オリジナルテレビアニメ『星合の空』のこれまでを振り返る

赤根和樹が原作・脚本・監督を務めるオリジナルテレビアニメ『星合の空』。本作は廃部寸前の男子ソフトテニス部が舞台である。スポーツを題材としているため、汗が美しい爽やかな作品……という側面だけでなく(あえてそう言います)、 …

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 赤根和樹が原作・脚本・監督を務めるオリジナルテレビアニメ『星合の空』。本作は廃部寸前の男子ソフトテニス部が舞台である。スポーツを題材としているため、汗が美しい爽やかな作品……という側面だけでなく(あえてそう言います)、親子関係、これまでの生い立ちなどに悩む少年たちの葛藤、そして思春期を迎えた少年たちの心のうちを繊細に描いている。超!アニメディアではクライマックスに向かう本作のこれまでを振り返っていく。


桂木眞己がきっかけで変わる男子ソフトテニス部

 物語は、志城南中に転校してきたシングルペアレントの少年・桂木眞己が、幼馴染だった新城柊真と再会をすることで動き始める。働く母に代わって家事全般をこなす眞己。そんな眞己とは違い、男子ソフトテニス部で部長をしている柊真。彼が所属する男子テニス部は、最近退部者が出たせいで7人(柊真、布津凜太朗、曽我翅、竹ノ内晋吾、雨野樹、月ノ瀬直央、石上太洋)だけになってしまった。そんななか、「平等の基本原則」のもと分配されていた各部の活動費を生徒会が「努力と熱意にこそ対価を」へと方針転換。これにより弱小男子ソフトテニス部は夏の大会で1勝できなければ廃部することになってしまった。7人しかいない弱小チームを、なんとか立て直そうと奮闘する柊真は新しい部員を探すことにする。

「桂木、面倒臭い事は抜きで言う。ソフトテニス部に入れ」

 教室で誰も捕まえられなかったネコを一瞬で捕まえたことから、眞己の反射神経がよいことを知った柊真は、彼をソフトテニス部に勧誘する。しかし、家庭の事情などもあり、眞己は入部を固辞。諦めない柊真に対して「労働に対する対価」を要求し“厄介払い”しようとする。しかし、柊真は、「月1万円。大会に勝てば1万円。合計で4万円」の契約を提示し、強引に成立させる。断る暇もない勢いで迫られた眞己だったが、ソフトテニスをやることに対してはまんざらでもない様子だった。ここから眞己の楽しい青春が始まる……。そんな予感は彼の父親の登場により現実へと戻されるのであった。



 父親が“金の無心にくる”ことを隠しつつ日常生活を送る眞己は、柊真との契約通りにソフトテニス部へ入部する。持前の運動神経でランニング、壁打ちなどを難なくこなす眞己。そんな彼は基礎すらもおぼつかない部員たちに辛辣な言葉をかける。

「あんたたち、1年も前からソフトテニスやっていて、これ?」
「努力もしないで結果なんて出るかよ、バカでも分かる」

 入部して間もない眞己にこんな言葉を浴びせられて、悲しみ、腹を立てる部員たち。怒りのあまりラケットを振りかざして殴りかかろうとする翅だったが、眞己の正論と真剣な眼差しに一歩踏みとどまる。そして、悔しさをぶつけるかの如く、基礎練習を始めるのであった。

 何かが変わりそうな予兆のなか、男子ソフトテニス部は部内で練習試合を実施。樹の執拗な新人攻めをしのぐなど、眞己は未経験ながら部員たちに勝利する。

「あんたたち、弱すぎる」
「今まで何やってたの?」

 再び辛辣な言葉を部員たちへ浴びせる眞己。その言葉に一番反応したのは他でもない柊真であった。

「テニスやったこともないやつ相手に負けるか、普通!お前ら弱すぎるだろ!」

 マネージャーとして入部した飛鳥悠汰の「みんなも一生懸命やってたんだから」というフォローも「一生懸命でこんな結果しか出せないなら、もう何をやっても無駄だ」と怒りを露わし、練習を切り上げてしまう。そして、柊真がいない間に男子ソフトテニス部ではある事件が起きる。突っかかってきた同級生を樹がラケットで殴ってしまったのだ。シングルマザーの家庭環境について言われ、我慢ならなかった樹。そんな彼に眞己は「俺も同じだから」「でもラケットで殴っちゃだめだ。壊しちゃもったいないよ」と声をかける。

 その後、男子ソフトテニス部の顧問・桜井隆幸へ「僕が悪いので……」と冷静に報告する樹。報告を終えたあと、校門で待っていたのは女子ソフトテニス部に所属する樹の姉・雨野奈美恵であった。

「ダメじゃん、殴っちゃ」
「まあね」

 そんな会話を終えたあと、「帰ろっか」と樹に微笑みかける奈美恵。そこには姉弟の確かな絆が感じられた。

 一方の眞己は、樹のことについて部員たちから教えてもらう。背中に火傷の痕があること、それは育児に悩んでいた母親から熱湯を浴びせられてできたもの、火傷の理由を聞かれるのが嫌であまりその傷を見せないこと……。樹の行動に眞己は、改めて理解を示すのであった。

 そんな眞己は練習にこない柊真を「みんなで一緒じゃないとダメだ」と電話で諭す。その言葉に後押しされて柊真は、部活へ再び参加することとなる。眞己の提案により、ペア替えをすることになった男子ソフトテニス部。個々の性格や特性を掛け合わすことで実力を発揮しつつ、一度は負けた眞己たちに勝ったことで自信もついた部員たちは、次第にやる気を出し始める。




 そんななか顧問から提案されたのは、強豪・御崎学園との練習試合。「試合にならないよ……」という不安の声があがるなか、眞己の「もう前とは違う」「俺たちがどう変わったのか、変われるのか、それを確かめてみようよ」という言葉に部員たちは奮い立った。

 動き始めた眞己の青春。そこに再び彼の父親・京終健二が姿を現す。トラウマとなっている拳を突き上げられ、ラケットを破壊され、「俺と同じクズの遺伝子」「明日までに(金を)用意しとけよ」という無慈悲な言葉を投げかけられ、成す術のない眞己。

 しかし、次の日には何事もなかったかのように部活へと参加する。変わった様子がない眞己だが、ラケットを壊したからと新しく借りようとする。ただ、「ラケットを壊すようなバカじゃない」ことを分かっている柊真は「隠し事はなしにしよう」と声をかける。父親のことについて淡々と話す眞己。京終が来ることを母親には言いたくないと話す眞己に、柊真は優しく新しいラケットを差し出す。それを眞己はただただ、優しくギュッと抱きしめた。

 練習後、眞己の家へ訪れる京終。そこに待っていたのは眞己と柊真であった。柊真は京終に対し、「眞己は俺の大事なダブルスのペアだ!」「眞己をこれ以上苦しめるなら、俺がお前を殺す!」と強気な態度で立ち向かった。そんな一連の流れに眞己は「柊真に何かあったら、お前を殺す……」と、トラウマに対峙。京終が去ったあと、ふたりは抱き合い友情を確かめ合うのであった。

 そんななか自身の存在について悩み続けていたのは、副部長の凜太朗。彼は眞己の加入により部活が動き始めた一方で、自身の無力さを感じていたのだ。凜太朗は実の親に育てられているわけではない。実の母親は若く、未婚だったため、生まれてすぐに養家へと引き取られたのだ。養子縁組の決まりで小学5年生の時に養子である事を知らされて以降、「自分は望まれて生まれたわけじゃない」「厄介者だった。だから人一倍努力しないと」と考えるように。そんな彼はなんでもうまくいく眞己の登場で「何をやってもダメ」と自身のことを卑下してしまったのだ。しかし、いまの親から愛されていることに対して、柊真は必死になる。そして、「眞己には言うなよ……」という言葉をかけ、その場は、収束することとなった。

同じ家庭環境なんてない

 いよいよ始まった御崎学園との練習試合。格上相手に勝利はできずとも、ゲームポイントを取る志城南中。そんななか、眞己・柊真ペアは御崎学園のエースペアである王寺アラシ・須永真士郎と対峙する。「弱いやつは嫌い。だから負けるとぶん殴る」と試合前に宣言した王寺は確かな実力の持ち主。眞己・柊真ペアは見たことがないほどに速いサーブに苦戦するも、眞己が相手のコンビネーションのいびつさに気づき、試合はファイナルゲームまでもつれ込む。しかし、あと一歩及ばず。悔しい想いをする志城南中だったが、眞己は「楽しかった」と笑顔をみせるのであった。



 試合に負けるも更なるやる気を見せる志城南中。樹が眞己もいる部室で着替えるなど、信頼関係も築きはじめたメンバーたちは、顧問の提案により息抜きを兼ねたバーベキューを行うことに。英気を養う男子ソフトテニス部員たち。一方で、そんな活発になる活動に対して、直央の母親からクレームが入った。直央の母親は、何かと学校へ注文をつけることで部員たちからも有名。結果、志城南中男子ソフトテニス部は1週間の活動停止を余儀なくされてしまった。

 練習ができなくても、やれることはある……。彼らのやる気はそこまでのものとなっていた。停止期間に行ったのは夏の公式戦で対戦相手となる旗の丘中学校の偵察。この中学校には日下部ジョイという女子から絶大な人気を誇る選手がいた。

 ノーマークであることを大会で活かすために、相手に内緒で偵察することを考えるソフトテニス部。そこで、ソフトテニス部と行動を共にすることが多い御杖夏南子と、悠汰の提案で女装した眞己、悠汰が偵察することに決めた。


「姉がふたりいるから」と、ウィッグや服装を用意する悠汰。メイクも姉に教わったという。そのことについて不思議に思わない眞己に対して、悠汰は疑問を投げかける。眞己は母親の知り合いにFtMがいて、その人のことが自分も大好きで家族だと思っていることを悠汰に告白する。

「生きている違和感は同じ」
「自分にはない心の痛みはわからないさ。でも、その痛みを想像してみることはできる」

「自分はどうしたいか。何をやりたいのか」と悩む悠汰に、眞己は自身の考えを続ける。少し気持ちが晴れた悠汰を、眞己は優しく「悠」と呼ぶ。旗の丘中学校へ潜入することに成功した後も、「今は女の子になりたいわけじゃない、でもこのまま男の子としていけるのかその自信もあまりない」と悩む悠に、眞己は「俺らにはまだ時間がある」と無理に決める必要がないと伝える。

 絵を描くことを親から「普通じゃない」とバカにされながらも、どこか悩み続けていた夏南子。将来の役にたたないソフトテニスを頑張る眞己や男子ソフトテニス部員たちを見ているうちに、夏南子自身も「好きなことをやって夢を見てもいいんじゃないか」と葛藤を強くしていた。夏南子はそんな苦しい想いを美術教師でもあり男子ソフトテニス部顧問である、桜井隆幸にぶつける。そして、眞己はそんな夏南子にさりげなく寄り添う。こういった行動の数々に、相手の気持ちを想像する眞己の優しさが表れていた。

 父親との関係は良好ながらも、父の再婚相手の義母と折り合いがうまくいっていない晋吾、母親の学校への圧力から次第に虚言を放つようになってしまう直央……。そんな家庭環境があるなか、二度目となる女子ソフトテニス部との練習試合が行われる。しかし、試合を見に来た晋吾の妹・杏が行方不明に。部員たちが探すなか、直央が保健室のベッドで寝ている杏を発見する。しかし、彼はそのことを誰にも告げず、保健室の鍵を閉めてしまい、誰も保健室にはいなかったよと眞己に言うのであった。

 そんな彼の行動を怪しむ眞己。保健室の鍵を直央から取り上げ、無事に杏を見つけることができ、開始が遅れていた練習試合を実施することができた。直央の精神状態とその原因に関して、「母親の過干渉で精神的なストレスが蓄積したからだ」とを話す柊真たち。直央は自分の行動に涙するのであった。



 一方、サッカーを挫折したことで父親との関係がぎくしゃくしていた翅は、ひょんなことから父親と口論に。終いには、父親に反抗したことからビンタをされた弾みで階段から落ちてしまい、利き腕を骨折してしまう。全治二か月。それは来月行われる夏の大会には間に合わない非情な告知であった。

「試合に出たいよ……」

 悔しさから、晋吾の前で涙を流す翅。晋吾はそんな彼の話をペアとして、親友として寄り添いながら聞くのであった。

 翌日、晋吾と翅のペアが出られなくなったことで、自分たちが団体戦に出ることになった太洋と直央は不安を口にする。直央は「誰かが晋吾とペアを組めば……」と提案するも晋吾は頑なに否定する。そして、「大丈夫、今のお前たち強くなったぜ」と翅と肩を組みながら、メンバーたちを奮い立たせた。

 ……いよいよ夏の大会、旗の丘中学校の対戦がスタートする。結果はどうなるのか、男子ソフトテニス部は存続するのか。そして、さまざまな悩みを抱える少年たちはどのようにトラウマや過去、葛藤と向き合っていくのか……。その結末はぜひ読者の方々の目で確かめていただきたい。



『星合の空』はTBS・SBS・BS-TBSほかにて放送中。また、各種配信サイトでも公開されている。

『星合の空』概要
【放送情報】

TBS・SBS・BS-TBSほかにて放送中
TBSにて毎週木曜深夜1時58分より放送中
最終話は12月26日(木)深夜放送予定
SBSにて毎週火曜深夜2時25分より放送中
BS-TBSにて毎週土曜深夜2時より放送中
TBSチャンネル2にて毎週日曜深夜1時30分より放送中
【配信情報】
https://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/onair/
【スタッフ情報】
原作・脚本・監督:赤根和樹
キャラクター原案:いつか
アニメーションキャラクターデザイン・アニメーションディレクター:高橋裕一
副監督:三宅和男
場面設計:竹下美紀
色彩設計:中山久美子
美術監督:志和史織
美術設定:藤井一志
動画検査:又野貴菜
CGディレクター:生原雄次
撮影監督:頓所信二
編集:木村佳史子
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
音楽:jizue
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:エイトビット
【キャスト情報】
桂木眞己:花江夏樹
新城柊真:畠中 祐
雨野 樹:松岡禎丞
布津凜太朗:佐藤 元
曽我 翅:豊永利行
竹ノ内晋吾:佐藤圭輔
月ノ瀬直央:小林裕介
石上太洋:天﨑滉平
飛鳥悠汰:山谷祥生
御杖夏南子:峯田茉優
ほか

Webサイト
https://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/
Twitter
@hoshiaino_sora

(C)赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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