『鬼滅の刃』下野紘&松岡禎丞から見る炭治郎、善逸、伊之助の関係性「絆みたいなものは生まれつつあるのかなと」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『鬼滅の刃』下野紘&松岡禎丞から見る炭治郎、善逸、伊之助の関係性「絆みたいなものは生まれつつあるのかなと」【インタビュー】

TVアニメ『鬼滅の刃』にて、鬼の中でもとくに強力な鬼舞辻の直属の配下である「十二鬼月」に対抗するため、那田蜘蛛山での任務にあたる炭治郎と善逸、そして伊之助。初めての仲間との出会いは、それぞれにどんな変化や成長をもたらし …

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 TVアニメ『鬼滅の刃』にて、鬼の中でもとくに強力な鬼舞辻の直属の配下である「十二鬼月」に対抗するため、那田蜘蛛山での任務にあたる炭治郎と善逸、そして伊之助。初めての仲間との出会いは、それぞれにどんな変化や成長をもたらしたのか。現在発売中のアニメディア9月号では、善逸役の下野紘と、伊之助役の松岡禎丞の対談を掲載中。超!アニメディアでは、本誌に入らなかった部分を含めたロング版をお届けする。


――原作漫画を読んだ印象を教えてください。

下野 人を殺す鬼=悪とは限らないことや、炭治郎と禰 豆子の兄弟愛など、深いテーマ性を持った作品だな、というのが第一印象でした。さらに、読み進めていくうちに、ひとクセもふたクセもあるキャラクターたちの個性が際立ち始めて。メインキャラだけでなく、サブキャラにいたるまで独特で一風変わった個性を持っていて面白いなと思いましたね。

松岡 下野さんが言うように、「善悪とは何か」を改めて問われる作品だなと感じました。人を殺める鬼は、たしかに「悪」です。でも、人は誰しも人生のなかで挫折したり、絶望したりすることがあると思いますが、もしもその境遇を変える力を得られたとしたら……? たとえ鬼になってでも、その力にすがってしまう気持ちもわかるんです。そうなると、鬼にも同情する余地があるのではないか……。いろいろと考えさせられる作品だと思います。

――おふたりは善逸と伊之助ついてどんな印象を持っていますか?ますは、善逸からお願いします。


下野 まず善逸というキャラクターを始めて見たとき、こいつをどういうふうに演じていこうか、ワクワクしました。表情は目玉が飛び出るほど豊かで、ただのやかましいヘタレかと思ったら、妙にかっこよくなる瞬間もある。よく言うとギャップの面白さ。悪く言うと顔面崩壊(笑)。そんないろいろな面をもっている善逸を、全力で演じてみたいって思いました。善逸のアドリブで間をつなぐシーンがあったりすると、がぜん燃えますね!最初に、善逸をどう演じていこうか考えていたときにイメージしたのが、かつて千葉繁さんがやられていたTVアニメ『北斗の拳』のナレーションだったんです。声が裏返ろうがつぶれようが、とにかく全力を尽くすしかないって。実際、アフレコに臨んだ時は、炭治郎役の花江夏樹くんの全力さも相まって、「これは余力を残すことなんか考えてたらダメだな」と思い、それこそ死力を尽くしてやらせていただきました。

松岡 善逸はある意味、とても人間らしいヤツだって思うんです。人間、誰しも命の危機にさらされたら「死にたくない、生きたい!」って思うじゃないですか。でも、プライドや体裁が邪魔して、なかなか口に出しては言えない。その点、善逸は全力で泣き叫びながら生に執着する。ある意味、ものすごく自分に正直なヤツなんですよね。いろいろな感情や本能をどストレートに出しているという点では、伊之助以上に「猪突猛進」しているかもしれないですね(笑)。


――では、伊之助については?

松岡 「猪突猛進」。この一言がすべてを物語っています。育ててくれた人などなく、獣たちを相手に山の縄張り争いをしながら生きてきた伊之助にとっては、強さこそが唯一のアイデンティティーなんです。そんな彼は強いヤツにしか興味がないし、鬼殺隊に入ったのも「鬼」という強いヤツと戦えるから。思考もシンプルで、ひたすらひとつのことに真っ直ぐ全力で向かっていく。そんな伊之助の生き方は、まさに「猪突猛進」そのものなんです。

下野 伊之助はただの粗野な乱暴者というよりも、精神年齢が低めな「幼子」なんだなって思います。「誰が一番か決めようぜ!」っていうところもそうですし、「食いもん、うめー!」とか「もう考えられねー。寝る!」とか、やることなすこと子どものようにシンプル。顔だけじゃなくて、じつは中身もかわいいヤツなんです。

――伊之助も善逸と同じく、叫びっぱなしで演じるのが大変そうですね。

松岡 たしかに大変ですけど、感情や芝居を爆発させる伊之助のような役は、大好物なんです。そんな役を花江くんや下野さんと一緒に演じられるなんて、最高ですよ。お互いがお互いの芝居を引き立て合う相乗効果で、何倍もいいものに爆発するんです。

下野 ほんとにね。アフレコブースに3人そろうと、うるさいのなんの(笑)。

松岡 隣のマイクだから多少距離が離れているはずなのに、演者の声で耳がキーンとなったのなんて、『鬼滅の刃』が初めてですよ(笑)。

――炭治郎と善逸、そして伊之助の3人組は、どんなチームなのでしょうか。

下野 本当は味方なのに、殴ったり殴られたりというおかしな出会い方をしたわりには、なんとかチームの形になっているんじゃないかと。伊之助は炭治郎に負けてはいないけど、勝ってもいないから、ずっと変に意識しているし。

松岡 「お前にできることは、俺にもできるんじゃボケー!!」ってね。

下野 なんだかんだ言いながら、善逸もふたりと一緒に行動しているし。気が付いたらツッコミ担当になっているけど、いつもスルーされるし(笑)。でも、少しずつではあるけれど、絆みたいなものは生まれつつあるのかなと思います。

松岡 あんなふうに、お互いに好き放題言い合いができるのも、仲間意識が芽生えているからなんでしょうね。よくケンカもするけど、悪意ではなくただ自分の意思をぶつけ合っているだけだから、まさに「仲よくケンカしな」状態という感じです。

下野 善逸は伊之助にボコボコに殴られたことをネチネチ根に持ってはいますけど、悪意や恐怖は抱いていないんです。とくにそんなセリフが作中にあるわけじゃないけれど、お互いがお互いのよさを認め合っている部分があるのかな、と思いますね。

――そんな善逸と伊之助は炭治郎と出会って新たな表情をのぞかせるようになったのかなと思います。おふたりは、どう変わったと感じますか?まずは伊之助からお願いします。

松岡 炭治郎は鬼に対しても、倒すときは慈悲の心を見せるじゃないですか。あんなヤツのやさしさに触れちゃったら、さすがの伊之助も面食らうしかない。これまで人のやさしさに触れたことがないから、炭治郎と接していると、なんだかわからないけれどホワホワしてしまって、それが気持ち悪くてしょうがない。だから、「俺をホワホワさせんじゃねー!」って叫ぶしかない。きっと、このホワホワに触れて自分が変わってしまうことを、本能的に恐れているんでしょうね。

下野 3人で初めて(「鬼殺隊をサポートしてくれる」)「藤の花の家紋」の家に泊まって以降、伊之助のしゃべり方がすこしだけ柔らかくなっているんです。松岡くんの音圧がやさしくなっているんですよ。あの時を境に、伊之助は少し変わったように思います。


――続いて善逸について、現在の炭治郎とは、どのような関係だと思いますか?

下野 善逸はその人の「音」を聴いただけで、どんな人物かわかってしまう能力があります。炭治郎の「音」は、きっと今まで聴いたことがないくらいやさしい音がしたんでしょうね。だから、彼が持つ箱の中に鬼がいることを知っていても、「炭治郎が命よりも大切にしている箱なんだから、きっと何か事情があるに違いない」って思って、必死に守った。出会ったばかりだったけれど、善逸はそれくらい炭治郎のことを深く信頼したんだと思います。

松岡 伊之助にボコボコにされながらも、(炭治郎の妹の)禰豆子が入った箱を守り抜いたあたり、善逸もまた他人のために身体を張れるやさしいヤツなんですよね。

下野 箱の中身が美少女だって知ってからは、善逸はできるだけ炭治郎の側にいたいって思い始めてるよね。はたしてそれが清い心から生まれた思いかどうかはわかりませんが……(笑)。

松岡 (禰豆子が)かわいけりゃ鬼でも関係ないという。これはもう本能としか言えませんね(笑)。

――今後の見どころについて教えてください。

下野 今やっている那田蜘蛛山での戦いが終わったら、シリアスな戦いとは打って変わって、なごやかでコミカルなお話も描かれるので、ここで心を休めつつご覧いただければと思います。

松岡 次の戦いへのつなぎの話数となります。ここで炭治郎が見せる行動力と善逸が見せる「アレ」、そして伊之助が見せる「ア゛レ゛」にご注目ください。

※本文中の禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。

取材・文/福西輝明

<プロフィール>
【しもの・ひろ】4月21日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属
【まつおか・よしつぐ】9月17日生まれ。北海道出身。アイムエンタープライズ所属。

『鬼滅の刃』公式サイト
https://kimetsu.com

『鬼滅の刃』公式ツイッターアカウント
https://twitter.com/kimetsu_off

©吾峠呼世晴/集英社 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

《超!アニメディア編集部》
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