「ONE PIECE」の劇場版最新作でありアニメ放送20周年記念作品でもある劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(スタンピード)。ルフィたち麦わらの一味だけでなく、 “最悪の世代”のキッドやベッジ、ホーキンスにボニーらも登場、さらにロー、バギー、ハンコック、スモーカー、サボ、ルッチとルフィが共闘することが発表されるなど、話題に事欠かない本作が8月9日より公開となった。
超!アニメディアでは、劇場版の公開を記念し、モンキー・D・ルフィ役の田中真弓とウソップ役の山口勝平にインタビュー。アニメ放送から20年一緒に駆け抜けてきたお二人に映画の見どころと「ONE PIECE」の魅力についてお話いただいた。
――「ONE PIECE」の劇場版としては3年ぶり、アニメ放送としては20周年の記念作となります。本作をやるという話を聞いたときはどのようなお気持ちでしたか?
山口 「またやるんだ!」……というのは一番面白くない答えですよね(笑)。でも、「ONE PIECE」の劇場版はここ最近3~4年周期でやっていたので、やっぱり「よしっ!」っていう気持ちになるんですよ。テレビシリーズとはまた違う気持ちで盛り上がりました。
田中 「ONE PIECE」のストーリーって、大河ドラマのように20年ずっと続いているものじゃないですか。だから劇場版を作るときになかなか触れにくい部分もあって。しかも今回はキャラクターがたくさん出てくると聞いたから、正直に言うと「大丈夫かな」って気持ちがあったんです。ただ、「海賊万博」というアイデアはすごいですね。色々なキャラクターが出てくることに無理がないですから。
山口 ロジャーのお宝を絡めることで、無理なく一同が会する理由もありますからね。
――原作者の尾田栄一郎先生も太鼓判を押されています。
山口 まだ完成版が出来上がっていない状態でご覧になって「面白かったよ!」とおっしゃられていたので、僕らも楽しみにしています。
田中 おだっち(尾田)の「面白かったよ」って言葉で、スタッフさんも我々も胸をなでおろすような気持ちになりました。
――尾田先生も「面白かった」という本作。シナリオを読んだ時の感想を教えてください。
山口 派手だなと思いました。キャラクターがたくさん出てきて、ドリームマッチみたいな作品になっているのが、お祭りっぽくていいなと思いました。
田中 ルフィがサボやローだけじゃなく、スモーカーたちとも共闘するっていうのが面白いよね。
山口 ですね! その分、変な言い方になりますけども、麦わらの一味個々の活躍は減るんですよね(笑)。
田中 色々なキャラクターたちが活躍するからね。いつもだったら、最強の敵VS麦わらの一味って感じだけども、今回は海軍も、革命軍もいますから。
山口 そういういう意味ではこれまでの「ONE PIECE」の劇場版作品とは違います。「もしこの人たちが麦わらの一味だったら……」みたいな楽しみ方もできる気がするんですよ。
――確かに、このメンバーが共闘したらどうなるのかってワクワクしました。
田中 ね。ワクワクするよね!
――続いて、アフレコについて教えてください。今回は山口さんは別録りだったんですよね。
山口 そうなんですよ。スケジュールが合わなくて。
――いつもの仲間がいない中での収録は気持ちが違いましたか?
山口 もう20年も一緒にやらせていただいているので、台本を読んでいるだけでルフィのセリフは真弓さんで聞こえますし、ルフィならこうやって言うんだろうなっていうのが、自然と聞こえてくるんですよ。だから、やりにくさというのはなかったです。ただ、掛け合いが生でできないのは難儀だなと思いました。あとはみんながいないと、やっぱり寂しかったです。ウソップは何だかんだ言ってルフィと近いところでわちゃわちゃしてきたキャラクターなので、より寂しさを感じました。一緒にやりたかったですね。
――寂しさはあれど不安はなかったんですね。一方の田中さんは山口さんがいない中での収録はいかがでしたか?
田中 いつも一番そばにいてくれる人なので、いないと寂しかったですね。これまでいて当たり前だったので。勝平だけがいないというのは恐らく初めてじゃない?
山口 そうですね。
田中 勝平がいないからその代わりをしようと頑張ってくれたのが(ナミ役の岡村)明美ちゃんと(チョッパー役の大谷)育江ちゃん。私が映像を追うのが苦手で、セリフのタイミングを勝平がいつも取ってくれているのですが、それを二人が率先してやろうとしてくれたんですよ。「船長、今日は私たちが頑張りますよ!」って。
山口 (ロビン役の山口)由里子さんじゃなくてよかったですね(笑)。
田中 そうそうそう、彼女が教えてくれるタイミングは間違っていることがあるんですよ(笑)。パッと見て何秒というタイミングが取れるのは勝平で、その次が育江ちゃんかな。
山口 明美ちゃんもできますよ。
田中 そっか! あとは(ゾロ役の)中井(和哉)くん。彼もできるんですけども、聞かれるまでは何も言わないんですよ(笑)。そこもゾロっぽい。
山口 そうですね。アフレコをしているとき、きっとキャラクターにみんな似てくるんですよね。キャラクターに近くなるというか……スタジオでの居方が似ている気がします。
――その振る舞いは別作品の現場とは異なる、「ONE PIECE」の現場ならではのもの?
山口 違いますね。
田中 (ブルック役の)チョーさんと(サンジ役の)平田(広明)さんと別現場で一緒になったときは全然居方が違いました。そういうもんだよね。
山口 作品によって自分の立ち位置も変わってきますから。麦わらの一味の声優はキャラクターと似ています。
――最初の頃から似ていましたか?
山口 やっていく中でキャラクターに寄ってきたというのはもちろんあります。何せ、始まった当初でいえば中井くんはそんなにアニメ作品に出ていませんでしたから。
田中 まだまだ新人だったもんね。でも満場一致で中井くんに決まったんだよね。
山口 中井くんもゾロという役に出会って、そして仲間が増えていく中でどんどんゾロらしくなっていった気がします。
田中 中井くんってイベントでも遠慮しちゃうんですよ。だからある日、「年齢じゃなくてキャラクターでしょ。私がボケたらさ、『うるせえババア』ってツッコまないといけないんだよ」って伝えたら、「言えません~」って(笑)。
山口 でも、ちゃんと言えるようになりましたよね。「うるせえババア」って。(笑)
田中 そうそう。ゾロっぽく黙らせてくれるようになりました。
山口 真弓さんは大先輩で大ベテランなのに、やんちゃ(笑)。いたずらが大好きなんですよ。でも、そこも含めて今の麦わらの一味の声優はバランスがすごくいいんですよね。
――さすが、麦わらの一味です! 「ONE PIECE」はアニメ放送から20周年、原作はもっと長く連載しています。お二人は「ONE PIECE」がここまで多くの人に長く愛されるのにはどんな理由があるからだと思いますか?
山口 尾田先生が紡ぎだすストーリーとキャラクター。それに尽きますよね。
田中 そうだね。
―ーそんな魅力的なキャラクターが今回の作品ではたくさん登場します。
田中 この人に会いたかった、というキャラクターに会えるはずです。
――今まで作品を観てきた人たちもそうですし、「ONE PIECE」を観たことがない人もここで好きなキャラクターが見つかるかもしれません。
山口 そうですね。劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』のストーリーはすごくシンプルでわかりやすいんです。海賊万博に来てみんなが海賊王の宝を巡って戦うという展開です。その分、たくさんのキャラクターたちが出てきてそれぞれに活躍の場面があるという、このオールスター感がすごい。そこにちゃっかりいるのが、バギー(笑)。
――「ONE PIECE」の初期から登場するキャラクターですよね、バギーは。
田中 最初の頃にやられる敵役で、バギーなんて怖くないって感じでしたが……。
山口 気が付いたら七武海(笑)。
――海賊には運も必要だということがよく分かります。
山口 バギーを見ていたらそう感じます。
田中 ちょっとラッキーを持っているよね。
――ただ、ルフィも運はあったのかなと思います。
田中 もちろんそうですね。
――ここまで色々とお話をうかがってきましたが、お二人はルフィとウソップの魅力についてはどう感じていらっしゃいますか?
田中 ルフィって、海賊だから、海軍だから、革命軍だから、っていう線引きがないんです。自分が思うまま、その人自身が好きか・嫌いかで判断するんですよね。普通の正義の味方という感じがしない、自由な考え方をしているんです。私はこれまで少年役をたくさんやってきましたが、その中でもルフィはいわゆる正義の味方じゃない、自由であるとういうところが魅力だと思います。
――敵対しているはずの勢力とも、敵対しているように感じないことがあります。
田中 勢力に関係なく、人間関係で板挟みになっているということがない。スモーカーなんて大変そう。自分の思うようには動けなくて。
山口 中間管理職っぽいですよね(笑)。
田中 そうね(笑)。大変なんだろうな……。ルフィはそんなことがなくて、周りからどう思われようが自分の意思を貫けちゃう。
山口 ルフィは「この海で一番自由な奴が海賊王だ」って言ってますから。
田中 そうそう。それがルフィなんだと思う。逆にウソップが魅力的だなと思うのは、人間らしいところ。怖いときは怖いっていうし、色々と気にしながら冒険している。
山口 ウソップは恐らくこの物語において一番“普通”なんです。読者の方々が「ONE PIECE」の世界に入ったら、きっとウソップの立ち位置だと思います。怖いときは怖いって言いますし。それでも彼は最後の最後に逃げ切れないで立ち止まるという勇気があるんですよ。そのウソップの勇気が僕はすごく好きですね。
田中 怖いからこその勇気。
山口 怖いけども、ここで逃げたらあいつらと一緒にいられない、だから立ち止まる。最後に踏ん張れる彼はある意味、「ONE PIECE」の世界で一番勇気があるんじゃないかな。
――本日は貴重なお話をしていただきありがとうございました。最後に改めて劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の見どころについて、教えてください!
山口 あのキャラクターたちが派手に戦います。色々なキャラクターたちが登場しますが、みんなも海賊万博に参加する気持ちで観に来てくれると嬉しいですね。今回の映画は応援上映なんかあれば楽しいかもしれません。
田中 あとは、あのシーン!
山口 (笑)。あのシーンですね!
田中 二つあるのですが、ここでは言えないです。
山口 さて、それはどこでしょうか!? 劇場に足を運んで確かめてみてください!
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』は全国各地で上映中。
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』8月9日(金)公開
原作・監修:尾田栄一郎
監督:大塚隆史
■出演
田中真弓 中井和哉 岡村明美 山口勝平 平田広明 大谷育江 山口由里子 矢尾一樹 チョー 磯部勉
ゲスト声優:ユースケ・サンタマリア 指原莉乃 山里亮太 (南海キャンディーズ)
主題歌/ WANIMA「GONG」(unBORDE / ワーナーミュージック・ジャパン)
公式サイト
onepiece-movie.jp
ⓒ尾田栄一郎/2019「ワンピース」製作委員会