渡邊政治監督が明かすTVアニメ『グランベルム』の秘密「変身ヒロインが活躍する『仮面ライダー』だったんです」【インタビュー】 | 超!アニメディア

渡邊政治監督が明かすTVアニメ『グランベルム』の秘密「変身ヒロインが活躍する『仮面ライダー』だったんです」【インタビュー】

世界中の魔力が消失してから1000年近くの時間が過ぎ、すでに魔法が人々の記憶からすっかり忘れられていた世界が舞台のTVアニメ『グランベルム』が、現在放送中。「アニメディア8月号」では、渡邊政治監督のインタビューを掲載。 …

ニュース
注目記事
7fc12de5f101cf5432aceddfc218ec7d
  • 7fc12de5f101cf5432aceddfc218ec7d
  • 渡邊政治監督が明かすTVアニメ『グランベルム』の秘密「変身ヒロインが活躍する『仮面ライダー』だったんです」【インタビュー】

 世界中の魔力が消失してから1000年近くの時間が過ぎ、すでに魔法が人々の記憶からすっかり忘れられていた世界が舞台のTVアニメ『グランベルム』が、現在放送中。「アニメディア8月号」では、渡邊政治監督のインタビューを掲載。超!アニメディアでは、本誌に入らなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――「魔法少女」+「巨大ロボット」の要素が融合していますが、当初はどんな作品を目指して作られたのでしょうか?

 じつのところ、自分がどんな作品を作っているのか、いまいちわからなかったんですよ。おっしゃるとおり、魔法を使う女の子は出てくるけれど、「魔法少女もの」ではない。巨大ロボットは出てくるけれど、我々が思い描く「巨大ロボットもの」とはちょっと違う。はたして、この『グランベルム』とはなんなのか。最終話のダビングが終わった時、その正体がようやくわかったんです。じつは、これは『仮面ライダー』だったんです。

――どういうことなのでしょうか……? 

 本作に登場する魔法人形「アルマノクス」は、誰かに作られた兵器ではありません。女の子たちの心の形を、魔法人形の姿にしているんです。つまりそれは、仮面ライダーに変身して戦っていることに通じると思うんです。だから「ロボットもの」や「魔法少女もの」ではなく、変身ヒロインが活躍する「特撮作品」として観るとしっくりくると思います。


――『仮面ライダー』とは、そういう意味だったんですね。本作では魔術師同士で熾烈な戦いを繰り広げますが、ライダー同士が戦う『仮面ライダー龍騎』を思い起こします。

 じつは、企画段階も『龍騎』のことは話題にあがりましたし、僕自身も大好きな作品なんです。そこから多少は影響を受けているかもしれませんね。『龍騎』と大きく異なるのは、物語の主軸となるのが「女の子同士の友情」であることです。シリーズ構成・脚本の花田十輝さんは、何を物語の根幹となるテーマにすべきか悩んでいたんですが、紆余曲折の末にたどり着いたのが「女の子同士の友情」でした。主人公の満月が、ロボットに乗って空からやってきた魔法少女・新月に出会うところは、「ボーイミーツガール」ならぬ「ガールミーツガール」ですね。「ロボットアニメ」という縛りがなかったからこそ、自由な発想のもとにアイディアを練られたのだと思います。魔術師たちの戦いに巻き込まれた満月と、彼女を支えながら厳しい戦いに身を投じる新月。紆余曲折を経ながら深まっていくふたりの関係は、本作の大きな見どころになると思います。

――アルマノクスは等身が低いデフォルメ形体が特徴ですが、こうしたデフォルメロボを登場させることはどの段階で決まったのでしょうか?

 企画の立ち上げ時点で「デフォルメロボのアニメを作る」ということは決まっていました。むしろ「女の子同士のドラマ」は後から決まったことで、当初は男の子を主人公に据えるという案もありました。でも、そのころにたまたま観たバラエティー番組で、めちゃめちゃケンカしていた姉妹が最後に仲直りして、とてもいい感じでエンディングを迎えるのを見て、「これはいける!」と思いまして。花田さんもどちらかというと女の子同士の関わりを描くことが得意な方なので、メインキャラクターを女の子で固めた作品として制作することにしたんです。

――本作の主人公である満月と新月は、どんなキャラクターなのでしょうか?

 満月は「魔術師」や「グランベルム」のことなど何もわからない、いわば一番、視聴者に近い立ち位置の女の子です。一方、新月は「グランベルム」をはじめとする、物語の重い部分を担う女の子です。重い運命を背負った新月だけだと、どうしてもお話がシリアス方面に寄りすぎてしまうし、視聴者が感情移入しにくいと思うんです。でも、そこになんの事情も知らない満月がやってきて「『グランベルム』ってなに?」と代弁させることで、視聴者が作品世界になじみやすくなるんです。また、明るくて天真爛漫な満月と絡むことで、新月の「クールに見えるけど意外と普通の女の子」という魅力を引き出しやすくなりました。それに、僕自身がギャグを描くのが大好きなんですが、満月を使うとコミカルなシーンを入れやすくなって便利なんですよね。コミカルな日常面を担う満月と、シリアス面を担う新月は、ふたりで本作の物語を支える「ダブル主人公」と言えますね。

――今後の注目ポイントは?

 新月のライバルである魔術師のアンナ・フーゴの「顔芸」は見逃せないですね。きれいな顔をしていますが、シーンによってはものすごく険しい顔をするなど、多彩な「顔芸」を見せてくれます。アンナ役の日笠陽子さんが、酸欠で倒れるくらいの迫真の演技をしているので、彼女の行動にはぜひご注目いただきたいです。

取材・文/福西輝明

〈TVアニメ『グランベルム』情報〉
2019年7月よりMBS/TBS/BS-TBS/”アニメイズム”枠にて好評放送中。
MBS:毎週金曜深夜 1:55~
TBS:毎週金曜深夜 1:55~
BS-TBS:毎週土曜深夜 1:00~
AT-X:毎週火曜23:30~
リピート放送 毎週水曜日 14:00/毎週土曜日 6:00

【イントロダクション】
世界中の魔力が消失してから1000年近くの時間が過ぎ、すでに魔法は人々の記憶からもすっかり 忘れられていた。 そんな世界で生きる明るく元気な高校生、小日向満月は前向きに暮らしながらも、心のどこかに 不安を抱えていた。自分には何もない――。勉強も運動も得意ではない彼女は、自分だけにでき る“何か”に憧れていた。 夜空の月がやけに大きく感じられた満月の晩。彼女はもうひとりの月の名を持つ少女、新月エル ネスタ深海と出会う。それは魔法人形“アルマノクス”との遭遇でもあった。 満月の運命の歯車が、軋んだ音を立てて今動き始める――。

【スタッフ】 
原案:ProjectGRANBELM 
監督:渡邊政治 
シリーズ構成:花田十輝 
キャラクター原案:大塚真一郎 
キャラクターデザイン:今中 敬 
アルマノクスデザイン:ジミー ストーン 
音楽:末廣健一郎 
プロデュース:infinite 
アニメーション制作:Nexus

【キャスト】 
小日向満月:島袋美由利 / 新月エルネスタ深海:種﨑敦美 / アンナ・フーゴ:日笠陽子 
袴田水晶:悠木碧 / ロサ:赤﨑千夏 / 林寧々:久保ユリカ
土御門九音:石見舞菜香 / 林菜々:木村珠莉 / 林美々:春日望 
小日向希望:赤尾ひかる / クレア・フーゴ:高野麻里佳 / サーシャ:内山夕実 
土御門四翠:田村ゆかり

【音楽】 
オープニングテーマ:藍井エイル『月を追う真夜中』
エンディングテーマ:Uru『願い』

公式HP
http://granbelm.com/

公式Twitter
@granbelm

©ProjectGRANBELM

《超!アニメディア編集部》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集