アニメ声優初主演の松岡茉優が語る『バースデー・ワンダーランド』での役作り「監督のなかの“アカネ像”に近づけたい想いがあった」【インタビュー】 | 超!アニメディア

アニメ声優初主演の松岡茉優が語る『バースデー・ワンダーランド』での役作り「監督のなかの“アカネ像”に近づけたい想いがあった」【インタビュー】

大人が泣けるアニメーションの名手・原恵一監督の最新作『バースデー・ワンダーランド』が、いよいよ4月26日(金)より全国公開。原監督本人が「自信作」と宣言した本作でヒロイン・アカネ役に抜擢されて、アニメ声優初主演を果たし …

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 大人が泣けるアニメーションの名手・原恵一監督の最新作『バースデー・ワンダーランド』が、いよいよ4月26日(金)より全国公開。原監督本人が「自信作」と宣言した本作でヒロイン・アカネ役に抜擢されて、アニメ声優初主演を果たした松岡茉優に、役作りや先輩からのアドバイスなど語ってくれたインタビューが、「アニメディア5月号」に掲載中。超!アニメディアでは、掲載しきれなかった部分を含めたロング版+誌面と別カットをご紹介する。


――今回、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズなどで知られる原恵一監督と2度目のタッグを組むことになりましたね。

 原監督が、ご自身にとって初めての実写映画『はじまりのみち』を撮られたときに一度ご一緒しているのですが、私のなかではやっぱり幼少期に観ていた『クレヨンしんちゃん』や『河童のクゥと夏休み』の監督という印象が強いです。今回の『バースデー・ワンダーランド』は、原監督の主戦場であるアニメ映画。だからオーディションのとき、私はまず監督に「少しでも違うと思ったら私にしないでください」と伝えました。すでに監督のなかで“アカネ像”というのは深く大きくあるはずだから、「ああ、惜しいなぁ……」と思いながらやっていただくのは本当に申し訳なさすぎるので……。そしてオーディションの2、3日後に「お願いします」という連絡が届いたので、私がとても尊敬している(声優の)山寺宏一さんにも報告しました!

――オーディションの話が上がりましたが、当日は原監督とおふたりで即興芝居をされたと伺いました。

 はい! いろいろやらせていただきました。アカネのお母さん(ミドリ)や、アカネの叔母のチィちゃんなど、監督ひとりで8役くらいしてくださいました。

――ほかにも、オーディション時の思い出や印象的なエピソードはありますか?

 私の前に、アカネと同じ年代の女の子たちもオーディションをしていたらしく、その子たちの音声を聴かせていただいたのを覚えています。その音声は、私が想像していた小学生の声とは全く違うなぁと感じました。小学校3年生〜6年生くらいの子たちがいたかと思いますが、もちろん声が未成熟な部分もありましたが、自分が思っていたよりもすごく大人びていたんです。私が「子どもっぽくやらなきゃ!」と思っていた子どもっぽさは、本当にどうしようもないくらい子どもすぎました。高学年の女の子は、想像よりももっと大人なんだと意識しながら収録したのが一番印象に残っています。

 あとはオーディションを終えて帰るときに、監督から「松岡のことは女優さんとして尊敬しているから、松岡にとっても僕にとってもお互いにいいと思えるような仕事をしたい。今日はありがとう!」というようなお言葉をいただいて、「あ、今回はよくなかったんだな」と思いました。女優として尊敬していると言ってもらえたことは本当にうれしかったですが、ダメだった人に向けた励ましの言葉のようにも聞こえるじゃないですか! だからこそアカネ役に決まったときは、うれしいというよりも驚きの方が大きかったです。

――オーディションの段階ですでに監督のなかで“アカネ像”ができあがっていたようですね。松岡さんは最初アカネに対してどのような印象を抱きましたか?

 自分に自信がなくて、優柔不断な部分がある子なのかなと思いました。ただ、自分だけでは物事を決められないところは私もそうなので、とても共感できました。


――キャラクターのビジュアルを初めて見たときの感想もぜひお願いします。

 “目”が印象的だと思いました。キャラクタービジュアルを担当されたイリヤ(・クブシノブ)さんのイラストは、画集を見てもやっぱり目の色が印象的で。本当の人間の目に近いような感じがするんです。やっぱり人の目を見ていても、光の加減で見え方が違いますよね。それを見事に描かれているな、と。あとは、大人が観ても子ども向けアニメだなと思わせないようなキャラクターデザインだと思います。

――目もそうですけど、今作は物語全体も“不思議な世界(ワンダーランド)”へ行くこと以外は、けっこうリアルに描かれているように感じました。

 確かにそうかもしれません! それと不思議なのは、不思議な世界(ワンダーランド)ではさまざまなことが起きますが、映像を観ているとなぜかそれらを体感している気分になるのです。例えば、アカネとチィちゃんが魚と一緒に泳ぐシーンがありますが、私はそこで、今まで体験したことはないし、今後絶対に体験できない景色なのに、水の冷たさが体感できました。今回の映画は“まったく別の世界を観て楽しい映画”というよりは、“別世界を体験できる体験型アニメーション映画”だと思います。

――では、そんな不思議な世界=ワンダーランドを大冒険するアカネを演じるうえで、どのように役作りをされましたか?

 監督からアカネに対しての愛情がとても感じられたので、監督の思う“アカネ像”になるべく近づけたいと思い、かつて“小学校高学年の女の子”という道を通ってきた私にも何かできないかと考えました。実際にオーディションでアカネと同じくらいの年齢の女の子たちの声を聴くと、想像以上に大人びているなぁと感じて。「私が高学年だったときも大人びていたのかな?」と振り返ったら、当時、私はすっかり自分が大人のつもりでいたところがあったのを思い出したんです。アカネの口グセは「できっこない」で、他人からすればワガママに見えてしまう言動が多くて。でも、アカネ本人は正しい行動をとっていると思っているし、当時の私と同じく、アカネは「自分は子どもじゃない」と思っているかもしれない。そこはずっと胸に刻んで、しっかりとお芝居にも反映させたつもりです。

――アフレコ収録日当日、原監督と何かお話されましたか?

 冒頭のシーンを録っていたときに「ああ、アカネだね」と言ってくださったのが強く印象に残っています。演者からしたらなによりもうれしい言葉ですし、そこでひとつ安心しました。あとは「ここはあまりふざけすぎないでほしい」とか、「ここは逆にもっとテンションを上げて」などディレクションをいただいたので、すぐに修正して演じるようにしていました。

――冒頭でお名前が上がった声優の山寺宏一さんにアドバイスを求めるなどは?

 私は声のお仕事が決まったら必ず山寺さんに相談しています。初めて吹き替えのお仕事をいただいた『ジュラシック・ワールド』のときは電話で2時間以上付き合ってくださいました。一緒に共演した『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ』では、ご自身が録る日ではなかったのに現場に来て、斜めうしろからずっと見守ってくださったり、レクチャーをいただいたり……。今回はカフェで120分くらいずっと一方的に質問をさせてもらいました(笑)。今まで私がやらせていただいたのは男の子や一国の姫だったので、山寺さんから「今までで一番演じやすいんじゃない?」と言われたときは「たしかに!」と思いましたし、その言葉のおかげで、あまり気負わずに収録に臨めたような気がします。

 あとは今回言われたわけではないのですが、「声優さんのお仕事も俳優さんのお仕事も同じ道にある。技術的なことはそれぞれ畑が違うかも知れないけど、“演じる”という面ではどちらも変わらない」と言ってくださったのも印象的で。その言葉は、ずっとジワーッと胸に落ちていますね。

――アニメのアフレコは久しぶりだったと思います。改めて楽しさや難しさなど、感じたことをお聞かせください。

 ありがたいことに、これまでにも何度か声のお仕事をさせていただきましたけど、ふだん私がしている映像のお仕事では演じることが不可能なキャラクターも(アニメでは)演じられるので、夢がありますよね! ただ、作品ごとに何もかもが違うのは、映像のお仕事と同じなのかなと。監督が違えば、作品の方向性や風景も変わりますから。

――松岡さんが最近注目しているアニメやマンガも教えていただけますか?

 TVアニメ『約束のネバーランド』は、毎週楽しみでしょうがなかったですね! 原作漫画を読んでいるから先の展開はわかっているのですが、いつもひとりで「あぁっ!」って叫びながら観ています。毎回エンディングが自然にスルッと入るから、「終わった〜!」と声を上げることも多くて。本当に毎週あっという間です。

――ちなみに、松岡さんが初めて好きになったアニメやマンガは何でしょう?

 最初にハマったアニメは、おそらく『あたしンち』です。『あたしンち』は子どものときに放送していた作品なのですが、原作漫画も大好きで、今でも読みます。私、寝る前に「寝なきゃ!」って思うと眠れなくなってしまうんです。逆に何かをしていないと眠くならなくて。だから『あたしンち』を大体3話くらい読むと、いい感じに眠くなるといいますか(笑)。この前最終巻まで全部読み終えてしまったので、また1巻に戻り、今、2巻の途中まで読みました。

――最後に、『バースデー・ワンダーランド』全体の見どころを教えてください。

 私はもう何度も台本を読んだり、絵コンテの映像を観たりしていたのに、改めて初号試写(制作関係者で観る試写)で観たとき、クライマックスのシーンで耐えられないくらいに涙が出てしまいました。というのも、元々泣きながら録っていたシーンでしたけれど、そこにmiletさんの歌声(イメージソング・挿入歌『Wonderland』)も相まって、より素敵なシーンに仕上がっていたからです。そこはぜひ、注目していただきたいですね。個人的には、今まで観たことのないシーンになっているような気がしています。悲しいことが起きるわけではないですし、特段うれしい気持ちになるわけでもない。それなのに、なぜか“気持ちのキャパシティー”が満タンになって涙がこらえられなくなってしまうはずです。

撮影/高旗弘之 取材・文/大村茉穂 ヘアメイク/宮本愛(yosine.) スタイリスト/有本祐輔(7回の裏)

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プロフィール
【まつおか・まゆ】2月16日生まれ。東京都出身。ヒラタインターナショナル所属。

〈作品情報〉
『バースデー・ワンダーランド』
4月26日(金)より公開

(C)柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」制作委員会

《超!アニメディア編集部》
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