昨夏のアニメ放送後も、ゲームアプリや舞台などでまだまだ話題を集める『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』から、スタァライト九九組が歌うニューシングルがリリースされた。今回は天堂真矢役の富田麻帆と大場なな役の小泉萌香に、聴きどころなど語ってもらったインタビューが、「アニメディア2月号」に掲載された。超!アニメディアでは、紹介しきれなかった部分を含めたロング版をご紹介する。 ――今月は天堂真矢と大場ななという、因縁のあるふたりに登場していただきました。アニメを振り返ると、一対一のレヴューで真矢を負かしたのはななだけですよね。
富田 そうですね。私もずっと「真矢は負けない」と言われてきていたので、台本を初めて見たときは、すごくシンプルに「負けるのか」と思って。少なからずショックもありました。
小泉 「まさか、負ける相手がななとは」ていう感じだよね。たぶん、真矢ちゃんは、なな以外の人に勝って、最後のレヴューでななに負けているんだと思うんです。そう考えると、ななの強さは相当のものですね。
富田 何回も勝っているもんね。だけどひかりがきて、愛城華恋が成長し、歯車が狂ってしまった。ただ、ひかりが来てからの真矢とななは、おそらくレヴューでは戦っていないんですよ。もしリベンジ戦があったなら、どうなっていたのかは興味がありますね。
――7話でななのことを呼び出ししていたように、真矢だけは、ななの実力に気づいていた感じがありましたよね。
富田 呼び出しとか、なかなかの番長っぷりでしたね(笑)。真矢の場合、「好き」というとちょっと意味合いが違ってくると思うのですが、基本的にクラスメイトを特別に思っていると思うんです。だから、あの呼び出しは、焚きつけだったと感じていて。ななに対しても愛があっての行動だったんだろうなと。
小泉 真矢ちゃんは「あなたのこういうところがいいと思います」ってはっきり言ってくれるますしね。
富田 「自分にないものが欲しい」「そこは影響を受けたい」っていうのが真矢だからね。ななに一目置いていたのは事実だと思うよ。ただ、どうしても(西條)クロディーヌが一番に来ちゃって。
小泉 優先順位的にはクロちゃん最優先だから(笑)。
富田 たぶんね、ななちゃんはやさしいじゃない? 真矢に突っかかってこないのが物足りないんじゃないかな。もし、ななちゃんが突っかかっていたら、クロディーヌよりもななのことを第一に考えていたかもしれない。
小泉 ななは、真矢ちゃんのことを唯一「真矢ちゃん」と呼べる人なので、レヴュー以外では比較的距離は近い気がします。そう考えると、場合によっては「大場なな」って言ってくれたかもしれないのか……。よし、じゃあ次の再演はそういう世界線にしよう(笑)。
――今回は、5枚目のシングル「約束タワー」についてうかがえればと思います。この曲は、アニメが終わった今だからこその曲という感じです。
小泉 最初に聴いたときから、作詞担当の中村彼方さんのこだわりが伝わってきました。どのフレーズも“この子にピッタリ”な歌詞が割り振られているんです。
富田 わかる! 真矢は「たったひとつの場所」というのが多いかな。聴いた瞬間から真矢らしいとしか思えなくて。
小泉 ななは「過去があるから見える景色がある」っていうフレーズがあるんだけど、そこからちゃんと前に進んでいるんだなってわかって、すごくうれしかった。
富田 みんなの成長の曲なんだよね。
――最初に曲を聴いたときの感想は?
富田 すごくキラキラしてかわいくて……難しい曲だなと(笑)。ハモりが多いし、後半転調してキーが高くなり……。それぞれの見せ場もあり、ライブで歌うときは緊張するんだろうなと思っていました。
――コーラスも、とても多いですよね。元コーラス部の小泉さんとしては?
小泉 私の得意分野だなって思いました(笑)。というのはさておき、ここまでコーラスが多めの曲って、あんまりなくて。
富田 舞台の『少女☆歌劇 レヴュースタァライト-The Live- #2 Transition』(以下、『#2』)でハモる曲が増えたけど、CDだと「星のダイアローグ」くらいなんですよ。だから、アニメの楽曲としては挑戦でもありました。でも、舞台少女だからこその高みを目指せる曲だったと感じています。
――真矢の歌のときに追っかけで歌っているのはクロディーヌですよね。
富田 そうですね。真矢が歌っているときはクロディーヌ、クロディーヌが歌っているときは真矢が追っかけますね。
小泉 ななも(星見)純那ちゃんとハモることが多いです。
富田 ペアの組み合わせはアニメを思い出してもらえるかなと思います。
――途中に入る高音のコーラスは?
富田 あれは、前半は(神楽ひかり役の)みもりん(三森すずこ)、後半は(花柳香子役の伊藤)彩沙ですね。
小泉 あれはすごく高いよね~。
富田 コーラスもそうだけど、全体的にキーが高かったよね。おかげで、キャラクターとして歌うのを忘れないようにするのが大変でした(笑)。
小泉 たしかに、歌に集中しちゃうとキャラクターを忘れがちで……。
富田 そうそう。もともと真矢は低めに作っていたこともあって、気がついたら「富田になってる!」みたいな(笑)。
小泉 抑えて、抑えて(笑)。私は、ななを演じるときには、それほど声を作っていないので、今回の曲に関しては歌うのはそんなに大変ではなかったです。むしろアニメのレヴュー曲「RE:CREATE」とかのほうが大変でしたね。
――カップリングの「舞台プレパレイション」についても教えてください。これは、舞台作りについて歌ったとても楽しい曲に仕上がっていますね。
富田 歌っていてもすごく楽しいです。
小泉 掛け声が今まで以上に多くて、舞台創造科(ファン)のみなさんも参加しやすい曲だと思います。
富田 じつは、自分の単独のパートってすごく少ないんですね。でも、歌詞を見ると、真矢は相変わらず上にいるなぁと思いました(笑)。ななは2番で、真矢と同じところを歌っているよね。
小泉 あ、本当だ! あと、ななのパートは演出側に回ることもあるから、それを見事に表現してくれていますね。
――この曲のレコーディングはいかがでしたか?
富田 パートが少ない分、収録中、曲の全体像が見えにくいところもあって、早くみんなの声が聞きたいなと思いました。
小泉 私、最初にレコーディングだったんですよ。テンション感もわからないし、もしかしたら私が基準になるのかもと思ってドキドキしたんですけど、完成したものを聴いてみて良い感じに仕上がっていたので安心しました。
富田 私は最後のほうだったのかな。クロちゃんの声を聴きながら歌った記憶がありますね。でも、こういうジャンルの曲は新しい気がするよね。
小泉 そうそう。でも、スタァライトっぽさも感じられる不思議な曲だよね。気持ちを高めるときに「舞台プレパレイション」を聴いてて、寝る前には「約束タワー」を聴いて癒されてほしいですね。
――アニメが終わり、舞台の『#2』も終わってもう3か月ほどになります。
富田 12月に『#2』のディレイビューイングがあったんですが、当日にSNSで「スタァライト」がトレンド入りしていたのがうれしかったです。演じていたのは私たちですが、こうやって舞台創造科のみなさんが応援してくださるからこそ、『スタァライト』はつながっていくんだと感じられました。
小泉 私たちも観に行きたかったけど、2ndライブのリハーサル中だったんです。
富田 ライブビューイングはどう頑張っても観られないので(笑)、次の機会にはディレイビューイングを観たいよね。
小泉 うん。そういえば、今回のディレイビューイングは香港でも上映されたんです。SNSで海外の方からメッセージをいただくことも多いし、最近は小さなお子さまがレヴュー服を模した服を着てくれていたりもして、世界に届く作品になっているんだなと感じました。
富田 私も、舞台のときに「兄弟で応援している」っていうお手紙をもらったことがあるよ。「弟と唯一趣味が合ったのが『スタァライト』なんです」って。あと、娘が応援していてハマったっていうお母さんからもお手紙をいただいて。お友達同士で盛り上がってくださるのもうれしいですが、こうやって身内に広まるのもすごく珍しいことだと思うので、それがとにかく印象に残っています。
――改めて『#2』を振り返ってみると、真矢の思考回路がなかなかに複雑だなと感じました。
富田 「お前は何しているんだ」っていう感じ、私もわかります(笑)。正直なところ、天堂真矢の思考回路は、自分でもわからなくなるんですよ。
――クロディーヌの実力を測るために青嵐総合芸術院側についてみるという真矢の行動理論について、富田さん個人としてはどう考えていますか?
富田 真矢はいろんなことが見える子だから、じつはいろいろなことに気づいていたんじゃないかなと思うんです。もちろん確証はないにしても、八雲響子先生が何か鬱屈とした気持ちを抱えていたとか、青嵐の子たちがそれぞれ聖翔音楽学園の子たちになんらかの特別な感情を向けていたとか。全部わかっていて、青嵐についてみるという選択をした……と思いたいなと。
小泉 思いたいのね。
富田 だって、あのままだとわがままなだけじゃない? それぞれの思いを察していたからといって、それを解消するために動くタイプではないし、彼女なりにバラバラになってしまった聖翔や自分の葛藤も見つめていたとは思うんです。ただ、それが本当に複雑に絡み合ってしまった結果、もう何が何だかわからなくなってきて、ああいう行動を取ったんだろうなと。青春しているなと思いました。
――なるほど。ななは中学時代のエピソードとさらなる成長が描かれましたね。
小泉 中学時代のエピソードはアニメにも少しありましたが、再演を繰り返す理由のひとつに、(穂波)氷雨ちゃんのこともきっとあったんだとわかる『#2』でしたね。ななとしては氷雨ちゃんに関わることを乗り越えたつもりでも、本人が目の前に現れれば、動揺もするし、いろいろ思い出すこともある。それでも純那ちゃんのおかげで負けなかったし、ちゃんと成長できていたからこそ、過去に固執する氷雨ちゃんも引っ張り上げられたんじゃないかなと感じています。
――本誌は2019年最初の号になるのですが……。
小泉 あけましておめでとうございます!
富田 おめでとうございます!
――(笑)ぜひ2019年のおふたりの野望などを聞かせていただけたらと。
小泉 夏まではいろいろ予定が決まっているんです。
富田 なので、夏に向けてどんどん汗をかいて、キラめきを飛ばしていきたいです。とにかく今は、夏に向けて成長して、何倍も花開いた舞台少女に慣れたらと思っています。それから、「約束タワー」のリリースイベントで、私は名古屋と大阪にうかがったんですが、『スタァライト』で地方に行ったことがないので、楽しかったです。
小泉 私、名古屋に行くの初めてだったんです!
富田 大阪出身なのにね。
小泉 通過してばっかりで……。
富田 おいしいものいっぱいあるのに。
小泉 お話はうかがっております~(笑)。おいしいものはメインじゃないけど、地方だけじゃなく海外に行くことも増えてきたので、『スタァライト』の魅力を日本全国はもとより、世界中の人に広めたいですね。あと、3月にオーケストラコンサートがあると発表されたのですが、「こういうのをやりたいな~」みたいなことを言っていたら決まりまして。あと、何をやっていないんだろう?
富田 運動会とか?
小泉 それもやりたい! それから、私たちは、横浜アリーナで今年中にライブができたらと思っているんですよ。
富田 それは、横浜アリーナが最初の場所だからですか、小泉さん?
小泉 そうです! 私たちが生まれた場所に帰ろうってみんなで言っているのでそれは叶えたいですね。個人的にはツアーで全国を回りたいし、海外公演もしたい。あとはみんなで旅行に行きたい。
富田 最後のやつは勝手に行けって感じだよね(笑)。
小泉 そうだね。でも、小さいことも大きいことも、9人でいるとやりたいことがたくさん出てくるんですよね。
富田 私は飛びたいな。
小泉 飛ぼう! それはやりたいことの1個目に書こう! 「富田、飛びたい」って。
富田 言っておくと、できるかもしれないもんね。
小泉 ライブなら、私はトロッコに乗りたいし、サインボールも投げたかったの。
富田 いやー……。
小泉 何?
富田 ななの歌とサインボールが似合わない。だって、リハーサルのときみんなから「真矢は王、ななは魔王」って言われていたじゃん?「RE:CREATE」でサインボール投げてきたら、みんな避けると思うよ(笑)。
――では、最後に読者にメッセージを。
富田 「約束タワー」は新年一発目のシングルになります。アニメを思い出せる楽曲で多くの人に聴いていただきたいですし、みなさんの2019年のナンバーワンの曲になってくれたらと思います。
小泉 2019年頭に発売なのに?
富田 1年って長いしいろいろあるけど、私は2019年の最後まで聴いてもらえる楽曲だと思うの。だから、ぜひ多くの方に聴いてもらいたいです。
小泉 「約束タワー」は、アニメを観ていただけると、より感動できる曲になっています。この先も『スタァライト』は途切れることなく進んでいきますので、ぜひみなさんにも付いてきていただきたいです。2018年は、九九組のメンバーは1月から12月までほぼ一緒にいたんです。なので、2019年も365日、ずっと一緒にいられたらいいなと思います!
富田 もはや一緒に暮らしてない?(笑)
小泉 ……じゃあ275日くらい?
富田 リアルな数字になったね。
小泉 それでも4分の3くらい一緒にいるから。2019年も9人で、夢を叶えていける年にできたらなと思いますので、応援よろしくお願いします!
構成/野下奈生
(CD情報)
約束タワー
発売中 発売元/ポニーキャニオン 1500円(税込)
スタァライト九九組
愛城華恋(小山百代)、神楽ひかり(三森すずこ)、天堂真矢(富田麻帆)、星見純那(佐藤日向)、露崎まひる(岩田陽葵)、大場なな(小泉萌香)、西條クロディーヌ(相羽あいな)、石動双葉(生田輝)、花柳香子(伊藤彩沙)
〈『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』情報〉
Blu-ray BOX第3弾、オーバーラップより2月27日発売
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』公式サイト
http://revuestarlight.com/
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』公式Twitter
@revuestarlight
(C)Project Revue Starlight