「東京アニメセンターinDNPプラザ」の移転1周年とアニメーション制作会社・ボンズの設立20周年を記念した特別企画展が2018年10月~11月に開催され、11月4日には2007年と2009年に2期にわたって放送されたTVアニメ『DARKER THAN BLACK』のクリエイター陣によるトークイベントが行われた。
DVD用の特典エピソードとして制作された『DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 』26話「桜の花の満開の下」の上映後、プロデューサーの大薮芳広による司会のもと、監督・岡村天斎、キャラクター原案の岩原裕二、キャラクターデザインの小森高博が登壇。TVアニメ第1期の放送から10年以上経つものの、集まった多くのファンを見た3人は「これだけ作品を大事にしてくださるファンがいてうれしいです」と口をそろえた。物語の本線では活躍の場が決して多くはなかった大塚真由の視点で描かれた、本編とはまた毛色の違う内容の26話について、岡村監督は「本編に入れる予定はなかったですが、『あってもいいかな』という気持ちはありました」と話すと、小森は「(ボンズの南雅彦)社長から『もっと主役がかっこいいエピソードが作れただろう』と怒られました」と苦笑いしながら語った。
その後、本作で「数えきれないほどのキャラクターを描いてきた」という岩原の原案イラストをスクリーンに映しながらトークが展開。岩原いわく「最初は大まかなプロットをいただき、設定も最初に聞いていたものとは少し違ったので、描いては監督に判断していただいたような感じです。今、思うと、モブキャラに近い人物も『もっとこうすればよかった』と考えることもある」そう。
岡村監督は「銀(イン)のデザインを見たとき、正直、迷いがありましたが、この方向でいかないと岩原さんにお願いした意味がないと思い、そこから自分のなかではマンガっぽく、派手な方向へとシフトしていった感があります」とコメントした。主人公の黒(ヘイ)に関しては、岡村監督から岩原に「絶対に美少年にしないでほしい」という発注があったそうで、岩原も「手探り状態で描きました。最初は黒目がもっと小さかったんです」と作画の苦労を語った。小森はアニメーション用に作画をする調整役として、「岩原さんの絵は線が整理されていてアニメにしやすいので、自分のなかで咀嚼して、自分で描けるようにすることに腐心した」とのこと。
ライブドローイングのコーナーでは、岡村監督は「黒」、岩原氏は「霧原未咲」、そして小森はイベント開催月にちなみ「ノーベンバー11」を即興で色紙に描き上げた。さらに「Newtype」や「アニメディア」などのアニメ誌に掲載された記事・イラストに関するエピソードも披露。来場者からの質問コーナーでは、思わぬ当時の裏話や設定に関する話も飛び出した。
最後に、イベント終了に際してファンに向けて贈られた3人のコメントを紹介する。
小森「3月に開催された『あれから10年―『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』トークナイト』では『10年後に会いましょう!』と言いましたが、思ったよりも早くお会いできました。また9年半後にお会いしましょう(笑)!」
岩原「自分のデザインしたキャラクターが動くことに感動しましたし、こんなに多くの人に愛されているのがうれしいです。これからも精進していきたいです!」
岡村「こんなにたくさんの人に来ていただけて、なんだか不思議な感じです。ボンズさんの作品では2019年4月放送の新番組『キャロル&チューズデイ』で絵コンテを担当させていただきますので、よろしくお願いします!」
(c)BONES・岡村天斎/DTB製作委員会
(c)BONES・岡村天斎/DTBG製作委員会