女子高生のさとうと、彼女の家で同居している少女・しおの純愛と、その裏に隠された狂気を描く『ハッピーシュガーライフ』。さとう役の花澤香菜に、ふたりが織り成す甘くせつなく、そして痛々しいラブストーリーについて聞いたインタビューが、「アニメディア8月号」に掲載中。「超!アニメディア」では、誌面では紹介しきれなかったロング版インタビューをお届けする。
――作品に対する印象を教えてください。
私は怖い作品がすごく苦手なので、プライベートでは『ハッピーシュガーライフ』のようなマンガには、おそらく出会うことはなかったと思います。それが、原作マンガのCMのお仕事がきっかけで読ませていただきまして。すごく怖いんだけど、一度読み始めたら、続きが気になって仕方がないほど引き込まれてしまいました。アフレコに臨むときは、いつも原作マンガを読んで予習するんですが、夢中になるあまり、該当話数よりも先まで読んでしまうんです。もう何回も繰り返し読んでいるのですが、怖いものが苦手な私をその度にここまで引き込んでしまう、すごい作品だと思います。
――さとうへの印象や演じる際に念頭に置いていることを教えてください。
さとうは少々複雑な境遇を生きてきたせいか、「愛」というものを理解できずにいました。それがある日、しおちゃんと出会ったことで、初めて真実の愛に目覚めるんです。それはさとうにとって、モノクロの世界に色がついたような衝撃でした。しおちゃんの存在は、さとうにとってかけがえのないもので、本当に心から大切にしています。そこが唯一、さとうの人間らしさが垣間見えるところだと意識しながら演じています。一方、ほかの人といるときは、見た目は普通に接しながらもまったく心はこもっていない、冷えきった心をお芝居のベースに置くようにしています。なぜ、さとうはそこまで一途にしおちゃんに尽くすのか、彼女の過去を掘り下げていくと見えてくるんです。さとうにとってしおちゃんは、神様が自分に与えてくれた「ご褒美」なんです。そして、しおちゃん以外は本当にどうでもいい。しおちゃんといるときと、ほかの人に対応しているときのギャップを見ていただければと思います。
――では、しおに対する印象は?
しおちゃんは本当に純粋で、どんな人にも平等にやさしい子です。ただ、朗らかで健気ななかにも、どこか影を感じさせるところがあって、思わず守ってあげたくなるんです。そんなしおちゃんには、(久野)美咲ちゃんの声がぴったり。あの声で「いいこ、いいこ」されたら、さとうならずともメロメロになってしまうはずですよ。
――さとうとしおの関係や、それ以外での本作の見どころは?
本作を見ていると、ご覧になったみなさんもきっと「愛ってなんだろう」と考えるのではないかと思います。さとうとしおちゃんの関係は、掛け値なしに純愛。しおちゃんとの生活を守るため、さとうはときには「この子は名探偵か!?」と思うほどの明晰な頭脳を披露したり、色仕掛けを使ったりと、手段を選ばない。そんなさとうの姿はかっこいいですし、スカッとした爽快感があります。
また、演出面にも注目していただきたいですね。さとうとしおちゃんがイチャイチャしているシーンは、パステルカラーでかわいらしく描かれているんですが、さとうの心の闇が垣間見えるシーンになると、「これは同じ作品なのかな?」と思えるくらい雰囲気が一変するんです。ホワホワしたシーンから一転してサイコサスペンスに変わる、あのドキドキ感は他の作品では味わえない面白さだと思います。
――アフレコ現場で、印象的なエピソードはありましたか?
1話でさとうとしおちゃんがお風呂に入るシーンがありまして。美咲ちゃんは「今日はふたりでお風呂に入るシーンがあるので、花澤さんと一緒にお風呂に入った以前にもほかの作品を観て予行練習してきました」って言うんです。それを聞いて「この子は天使なの!?」と思いましたね(笑)。
――それは“ほっこり”なエピソードですね。ちなみに、さとうとしおのふたりにはどんな夏の過ごし方をオススメしたいですか?
しおちゃんを部屋の外には出せないので、必然的にお部屋の中で過ごすことになるでしょうね。だから、お部屋の中で水着を着て流しそうめん、なんていかがでしょうか? さとうなら、しおちゃんのためにものすごく凝った作りの流しそうめんの仕掛けを作ってくれそうです。
――花澤さんにとっての「ハッピーシュガーライフ(甘く幸せな生活)」について教えてください。
毎週、美咲ちゃんと一緒に臨む収録が、私にとっての「ハッピーシュガーライフ」ですね。美咲ちゃんはいつも私の隣に座ってくれて、ニコニコしてくれるんです。今日の収録では、キャストのひとりである中原麻衣さんとおいしいパン屋さんの話をしていたら、美咲ちゃんがニコニコしながら「香菜さん、幸せそう(笑)」と言ってきて。そんな美咲ちゃんを見て、私はさらにニコニコしてしまうという。これはもう、「ハッピーシュガーライフ」以外の何物でもありません(笑)。
――最後に、読者に向けてメッセージを。
原作マンガのファンの方には、本当に心からご満足していただけるものになっていると思います。また、原作マンガを知らない方も、1話を見ていただけたら、きっと作品世界にぐいぐい引き込まれていくはずです。ふたりだけの幸せな生活を送るさとうとしおちゃんが個性的すぎる人たちとめぐり逢い、関わっていくなかで、どんな運命を歩んでいくのか、見守ってほしいと思います。
取材・文/福西輝明
<「ハッピーシュガーライフ」情報>
MBS・TBS・BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送開始!
◆スタッフ
原作:鍵空とみやき (掲載 月刊「ガンガン JOKER」スクウェア・エニックス刊)
総監督:草川啓造
監督:長山延好
シリーズ構成:待田堂子
キャラクターデザイン:安田祥子
美術監督:谷地清隆
色彩設計:松原陽子
撮影監督:伊藤康行
編集:岡祐司
音響監督:立石弥生
音楽:亀山耕一郎
OP アーティスト:ナナヲアカリ
EDアーティスト:ReoNa
アニメーション制作:Ezo’la
製作:ハッピーシュガーライフ製作委員会
◆キャスト
花澤香菜 久野美咲 花守ゆみり 花江夏樹 洲崎綾
公式 twitter
@happysugarlifeA
©鍵空とみやき/SQUARE ENIX・ハッピーシュガーライフ製作委員会