【インタビュー】『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』原作者・愛七ひろ氏が語る作品の魅力 | 超!アニメディア

【インタビュー】『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』原作者・愛七ひろ氏が語る作品の魅力

1月11日(木)から放送がスタートするTVアニメ『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』。異世界に迷い込み、ひょんなことから最強の力と財宝を手にしてしまった主人公”サトゥー”が、 女の子達を助けた …

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 1月11日(木)から放送がスタートするTVアニメ『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』。異世界に迷い込み、ひょんなことから最強の力と財宝を手にしてしまった主人公”サトゥー”が、 女の子達を助けたり、デートしたり、観光したり、美味しいものを食べたり……という夢のような旅へと出かけるストーリーが多くの人から支持され、ウェブサイト『小説家になろう』で公開された原作は、5億PVを超え、シリーズ累計発行部数200万部突破の大人気作品だ。(2017 年 12月時点)。今回は、原作者である愛七ひろ氏に、本作を作ろうと思ったきっかけや作品作りについて、そして、本作の魅力などをたっぷり語ってもらった。(※『小説家になろう』は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です)

ーーまず、本作を執筆しようと思われたきっかけを教えてください。
 それまで執筆活動はまったくしていませんでした。『小説家になろう』というサイトに投稿されたいろんな作品を読んでいる中で、「なぜここはこうなってるんだろう?」と疑問に思ったり、ツッコミたいところが出てきて、「もし自分だったらどういう風に書くだろう?」と思って書き始めたのがきっかけです。あと『小説家になろう』というサイトはわりとどんな作品でも受け入れてくれる土壌という印象があったので、練習としてとにかく書こうと思って書き始めたというのもあります。なので、最初の方は3人称で書いてみたり、実験的にいろいろ挑戦していましたね。

ーー実際に作品をサイトで公開してみていかがでしたか?
 作品を公開して、最初の5日ぐらいはほとんど反応らしい反応もなかったんです。その中で、感想を書き込んでくれる人やお気に入りに入れてくれる人もいて、そのたびに狂喜乱舞していました。6日目くらいからサイト内でのデイリーランキングに載るようになって、それで一気に読者が増えてびっくりしましたね。最初は、1万PV達成や物語の完結を目標にしていました。それが今はありがたいことに5億超PV。こんなに増えるものなのかと驚いています(笑)。

ーーそれだけたくさんの人に読まれるようになると、練習という感じではなくなってくるのでは?
 プレッシャーはありましたね。ただ、それよりも最初の頃は毎日更新をしていたので、更新することにとにかく必死でした。「とりあえず書かなければ!」みたいな(笑)。「下手なのは当たり前なんだからとりあえず書こう!」と思ってやっていましたね。平日は夜遅くまで仕事があったので、土日で書き溜めて、平日でちょっとずつ足りない部分を埋めていくという形を取っていました。とはいえ、さすがに無理があったので、半年ぐらいで毎日連載は断念しました。

ーーちなみに今もそのお仕事は続けていらっしゃるんですか?
 今は執筆を専業にしました。といっても、それまでは仕事もしつつ、執筆するというスタイルでしたね。土日しか書く時間がない上に、ネットに作品をアップする作業と、書籍の仕事も並行してやりつつで、なかなか大変でした(笑)。それに加えて今回のアニメ化にあたって、いろいろしなければいけないこともあり、体力的にきついなと思って、今のスタイルに落ち着きました。

ーー執筆というと編集者と二人三脚で締切に追われながらやるというイメージが強いのですが、当時お一人でやる中で、半年間毎日書くモチベーションは何だったと思われますか?
 やっぱり読者の方からの感想ですかね。感想はどれもうれしいですが、やはり「面白い」と言っていただけるのが一番うれしいです。描いている世界について詳しい方から「あの描写はおかしい」というツッコミもたくさんいただきましたね。「都市と都市の間が離れすぎている」とか、「この間には村があるはずだ」とか。「なるほどな~」と参考にさせてもらいつつ、物語が変わらない程度に、書籍版では具体的な数字が出さないようにするなどして修正しました。

ーー連載を続けて行く中で、作品のアイデアはどういうときに浮かぶのでしょうか?
 別の仕事をしていたときは通勤中が多かったですね。あとは、散歩中とか自転車に乗っているときによくわいてきます。手描きでメモできるタブレットがあるので、思いついたらそこに書き込むようにしています。原稿もそこに表示して校正しながら作業していくのですが、そのときに浮かんだネタも一緒に書き込んで、家に帰ってから原稿に反映する、という形をとっていました。アイデアが枯渇することはあんまりないですね。大学時代にテーブルトークRPGをやっていて、そこで大量にネタを出すコツを覚えていたので、何かを見るたびにどれをネタにするかピックアップするクセみたいなのがついているんです。

ーーアニメ化が決まったときの気持ちはいかがでしたか?
 当時の書籍の編集長から「ライトノベルのアニメ化は下火になってきている」と言われていたので、いろいろとハンデの多い「デスマーチ~」のアニメ化は無理だなと思っていたので、いざお話をいただいたときは「え、そうなんですか」とどこか他人事みたいなところがありました。内心は床を転がるくらいうれしかったんですけど、表面は平静を装っていましたね(笑)。あと、アニメ化が実際に公に発表されたのが自分が聞いてから1年後ぐらいだったので、「しゃべりたい!」と思いつつ我慢する日々でした(笑)。

ーー(笑)。実際アニメ化が公表されてからは周りの反響はいかがでしたか?
 実は周りに小説を書いていることは話しているのですが、どの作品を書いているかは明かしていないんです。家族は「ふーん」くらいでした(笑)。たぶんアニメ化するということがどういうことなのかわかってないんだと思います。『小説家になろう』のサイトの読者の方や、小説家仲間からはいろいろ祝福の言葉をもらいました。

ーー今回のアニメ化にあたって、先生の方から何か要望などは出されたのでしょうか?
 わりといっぱい出しました(笑)。一番最初に大沼(心)監督と顔合わせして、「この作品はこういうもので、ここを大切にしているんです」みたいなお話をさせていただいて、その後はあがってきたシナリオをそのつど確認させてもらって「ここはちょっとサトゥーっぽくないです」と指摘させてもらったり。だいたい1話につき半日がかりくらいでやっています。監督がゲームにも造詣が深い方なので、理解していただきやすかった、というのはあるかもしれません。作品内で説明なしでゲーム用語が飛び交ってたりしますからね(笑)。

ーーちなみに普段アニメはよくご覧になられますか?
 深夜アニメはだいたい1話~3話くらいまではほぼ全作品見て、そこから自分の好きなものだけ追っていくという感じです。多すぎて結局追えないものが多いのが現状ですが…。ジャンルにはあまりこだわらないですね。前シーズンだと「妹さえいればいい。」と「ネト充のススメ」、「Just Because!」あたりを見ていました。

ーー主人公・サトゥーの現実世界での職業はプログラマーで、設定がかなりリアルな印象を受けたのですが、これはご自身の実体験も入っているのでしょうか?
 もちろん脚色はしてますが、半分以上は実体験です。仲間のプログラマーが逃げた経験はありませんが(笑)、「デスマーチ=過酷な環境」なところは実体験の部分が大きいです。若い頃、ゲームの開発者をしていた頃は、1ヶ月のうち半分以上は泊り込みで、朝5時に寝て9時に起きる、みたいなことをしてました。まさに鈴木一郎(サトゥー)の生活のようでした。実は最初の頃、プログラマーの鈴木を主人公に、現代のお仕事モノを書こうと思っていたときもあったんです。構想の間にいろいろ揺れて、「デスマーチ~」にも出ているアリサを主人公にしたものにしようかとか、いろいろ悩んで。練習としてやるんだったら、『小説家になろう』サイトでのテンプレートに近い設定でやった方がよりたくさんの人に読んで意見をもらえていいんじゃないかと思って、この作品が出来上がったんです。

ーーその中で、サトゥーを主人公にしようと思われた理由は?
 まず連載を始めたときが、女性主人公が流行らないと言われていた時期だったので、男性にしようというのはすぐ決まりました。あとは、何かの雑誌で、「女性が多く登場するゲームの主人公の男性はキャラがうすい方がいい」というのを読んだので、なるべくキャラがうすい人物になるようにしたんです。能力自体は高いですけど、熱い主人公でもないし、いろんな人を助けてやるんだという使命感にあふれたキャラクターでもない、なるべく等身大の普通の人、という部分に一番重きを置きました。

ーー逆にサトゥーを取り巻く女性陣は個性が際立っていますね。
 そうですね。ヒロインはわかりやすさを心がけました。書籍版になったときにより映えるように書き換えたキャラも多いです。ゼナも当初とはぜんぜん違います。もともとモブキャラでしたし、初登場時は名前すらなかったキャラクターですから。『小説家になろう』で書いているときは髪型もセミロングでした。ナナなんかもそうですね、今はポニーテールですけど、当初は違いますし、ミーアもツインテールじゃなかったですから。

ーー本作には多数の女性キャラが登場しますが、どういう風にキャラクターは生み出されているのでしょうか?
 いろんな作品の中で、「こういう子だな」っていうキャラクターっているじゃないですか? その中で、自分の好きなタイプのキャラを順番に登場させていった感じです。決してお気に入り順ではないです(笑)。ポチ、タマ、リザというキャラクターも最初は仲間になる予定はなくて、迷宮から出てきたら解放する予定だったんです。ところが、サイトですごく人気が出たので、「さすがに解放すると怒られる流れだな」と思ったので(笑)仲間に加えました。最初の構想ではアリサとルルしか一緒に来る予定はなくて、ミーアもナナもいなかったんです。 読者の意見をすぐに取り入れられるという点が、『小説家になろう』サイトでやっている強みでもありますよね。

ーーちなみに先生ご自身が好きなキャラクターは?
 一番好きなのはアリサですね。もともと主人公候補にもなっていたくらいですから(笑)。

ーー今回のアニメ化にあたって、原作と変わっているところはありますか?
 見せ方自体は小説とは違ってアニメ風にはしてもらっていますが、大きな変化はないのかなと。ただ、映像ならではの切り取り方といいますか、小説ではスルッと書かれていたところが映像ではしっかり描かれていたりというのはありますね。あと、第1話に少しオリジナルエピソードがあるので、楽しみにしていただきたいです。

ーーアニメのアフレコ現場も見学されたそうですが、いかがでしたか?
 サトゥー役の堀江(瞬)さんがとにかく大変そうだったので、「一人称ですみません」と思いながら見ていました(笑)。皆さん本当にとてもお上手で、「日本の声優さんの層は厚いな~」と思いましたね。

ーーご自身が描いたキャラに声がつくというのはどのような感覚ですか?
 最高ですね。一度書籍版でPVを作っていただいたんです。まだ役のオーデイション前で、偶然高橋李依さんがナレーションをしてくださっていて。そのときは「すごい!」と思って1日中ずっと聞いてましたね(笑)。その高橋さんがゼナ役でアニメに出ると聞いて、運命的だなと思いました。

ーー今回のアニメをきっかけに本作を知る人も多いと思います。あらためて作品の見どころをお願いします。
 この作品は、過酷な世界をのんびり観光するといいますか、RPGで言うと、一周プレイを終えて、やりこみプレイをしている感覚です。主人公以外のキャラからすると、滅ぶ寸前の世界みたいなやばさがある中で、主人公の周辺だけはほのぼのしてる、みたいな。そして、成長するのは主人公じゃなくて、主人公の周りの人物。そのあたりのちょっと変わった世界観を楽しんでいただきたいです。

<TVアニメ『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』情報>  
2018 年 1 月から TOKYO MX・BS11・AT-X・サンテレビ ほかにて放送!

◆TOKYO MX 1 月 11 日スタート 毎週木曜日 24:00~ 
◆サンテレビ 1 月 13 日スタート 毎週土曜日 25:00~ 
◆BS11 1 月 11 日スタート 毎週木曜日 24:30~ 
◆AT-X 1 月 11 日スタート 毎週木曜日 23:30~ 
※リピート放送:毎週土曜日 15:30/毎週日曜日 26:30/毎週水曜日 7:30

【スタッフ】 
監督:大沼 心 
シリーズ構成・脚本:下山健人 
キャラクターデザイン:滝本祥子 
制作:SILVER LINK. × CONNECT

【キャスト】 
サトゥー:堀江 瞬 
ゼナ:高橋李依 
ポチ:河野ひより 
タマ:奥野香耶 
リザ:津田美波 
アリサ:悠木 碧 
ルル:早瀬莉花 
マーサ:厚木那奈美

アニメ公式サイト 
deathma-anime.com 

アニメ公式 Twitter 
@deathma_anime

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《超!アニメディア編集部》
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