放送中のTVアニメ『魔法陣グルグル』のOPテーマ「Trip Trip Trip」を歌うORESAMA。作品についての思いを語ったインタビューが、2017年7月10日発売の「アニメディア8月号」で掲載されているが、その記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。
ーー『魔法陣グルグル』は、最初のアニメ化が1994年なのですが、小さい頃に見た記憶は?
ぽん もちろんリアルタイムではないのですが、家にビデオがあって。きっと母が好きでビデオを録っていたと思うんですけど、子どもの頃に勉強の合間に見ていたので、よく覚えています。そういう思い出の作品なので、第2弾のPVが流れたときは、『グルグル』の世界で私の歌声が流れているのが、とても不思議な気持ちでしたね。
小島 僕が見たのも子どもの頃で、小さいときに見ていた作品に関われるというのは、僕もぽんちゃんと同じく不思議な気持ちでした。でも同時に、子どものときは何をしていてもワクワクしていたな〜と思い出して、そのワクワクする気持ちを、この曲にも反映させることができたと思います。
ーー連載25年という歴史のある作品だけに、やはりプレッシャーもあったのでは?
ぽん すごくありました。お話をいただいて、うれしい気持ちと同時に「ああ、どうしよう〜」と思ったのも正直なところです。でも私自身も思い入れが強い作品だし、「やるからにはORESAMAのサウンドで作るだけだ!」と、腹をくくって臨んだ気持ちでした。
小島 僕は、過去の主題歌の印象が強くて。たとえば鈴木蘭々さんが歌った「MAGIC OF LOVE」とか。「当時の主題歌に負けない曲にしないと!」と、なおさら気合いが入りました。
ぽん 私は、奧井亜紀さんが歌ったEDテーマの「Wind Climbing 〜風にあそばれて〜」が好きだったな。それで最初の「晴れてハレルヤ」という曲は、僕はアニメの主題歌集のうちの1曲として知っていたんです。純粋に「良い曲だな〜好きだな〜」と思っていたんですけど、あとから『グルグル』のOPテーマだったと知って。そういうアニメに寄り添いながら、曲単体としても良いと思ってもらえる曲が、きっと『グルグル』の音楽に求められるものなのかなと思って。当時の主題歌に負けない曲にしないと! と、なおさら気合いが入りました。
ーーぽんさんは『グルグル』の、どんなところが好きだったんですか?
ぽん キャラクターのフォルムやアイテムのデザインが、どれもかわいくて。コマが進むたびに、笑ったり切なくなったりキュンとなったり、キャラクターの表情もこちらの感情もコロコロ変わる、そういうおもちゃ箱感とか、日常から連れ出してくれる感じがあって、そこがすごく好きです。青春チックなシーンのあとに、ギップルが出てきて「ウェ〜」って顔をするお決まりも、『グルグル』の世界観の一つで好きですね。あと、勇者ランチが食べたい!(笑)
ーーそんなORESAMAが手がけるOP テーマ「Trip Trip Trip」は、跳ねた感じのとても楽しい曲になりましたね。
小島 おもちゃ箱を開けるときの、「開けたらどうなるんだろう?」というドキドキやワクワク、「早く開けたい!」とはやるような気持ちを曲にしたいと思いました。たとえば子どものとき、ゲームソフトを買ってもらって、早くやりたくて待ちきれなくて、帰り道に開けて説明書を読み始めてしまうみたいな。ああいうワクワクを感じられるような、早くプレイボタンを押したくなる音楽というのがテーマのひとつとしてありました。それで、オチサビの前には、4拍子から3拍子に変わる展開を盛り込んでいて、そこではトイピアノという小さなミニチュアみたいなピアノの音を使っています。
ぽん 私は、改めて原作を読んだとき、魔法使いのククリちゃんのキラキラ感、未知の世界に飛び出して行く輝きがまぶしくて。私も何かを始めたときのトキメキって、ずっと持ち続けていたいと思うし。それで歌詞は、「冒険を始めるその瞬間」をテーマにして書きました。ククリちゃんたちは子どものパーティーなので、歌のレコーディングでは私の中にあるいちばん幼く純粋な自分を“召喚”して歌っています。ククリちゃんたちの冒険を想像してもらえたらうれしいし、聴いた人それぞれの中で、新しい出来事や恋にときめいた経験と重ねてもらえてもうれしいです。
ーー「Trip Trip Trip」というタイトルは、ぽんさんが付けたそうですね。
ぽん はい。『魔法陣グルグル』の物語は、小さな旅の積み重ねみたいだなと思ったんです。魔王ギリを倒すという目標に向かって、モンスターを倒したりアイテムをゲットしたり、ひとつひとつを積み重ねていくことで物語が生まれる。それは、音楽活動をやっている私たちも同じだなと思いました。みんなと音楽を楽しむという目標があって、そのためにリリースをしたりライブをやったりしていますから。『グルグル』の登場人物たちも私たちも、そういう小さな旅を重ねているんだなという意味で、「Trip Trip Trip」と付けました。この曲を聴きながら、みんなで「勇者ランチ」を食べましょう!
ーー『グルグル』には、魔法使いや勇者が出て来ますが、やるならどの職業がいいですか?
ぽん 絶対に魔法使いです。炎を出したりとか、やってみたい。
小島 僕は魔王がいいかな。「実は、この世界の命運を握っていたのは僕でした!」みたいな。最後に大どんでん返しで、正体が明かされるみたいな感じで。
ぽん え〜? ラスボス感が一切ないけど(笑)。
小島「あのヒット曲もこのヒット曲も全部、実はORESAMAの小島が作っていた!」みたいになったらいいなって。
ぽん うーん、なるほど(笑)。
◆プロフィール
オレサマ
女性ボーカルのぽんとコンポーザーの小島英也による2人組ユニット。アニメ『アリスと蔵六』OPテーマ「ワンダードライブ」でランティスからデビュー。PONは、『ACCA13区監察課』のOPテーマ「Shadow and Truth」にONE III NOTESのメンバーとして参加し話題に。小島は、他のアーティストへの楽曲提供も手がけている。
◆「Trip Trip Trip」 情報
7月26日発売
1,296円/ランティス
表題曲は『魔法陣グルグル』OPテーマで、キラキラとしたポップな音がハジけるナンバー。70〜80年代をほうふつとさせるシンセサウンドと、キュートさがありながら勢いも感じさせるボーカルが絶妙にマッチ。後半転調してワルツ展開になる他、トイピアノやストリングスなど様々な音が使われ、アイデアが満載されたおもちゃ箱のような1曲。
ORESAMA公式HP
http://www.orsm.jp/
TVアニメ『魔法陣グルグル』 公式サイト
http://guruguru-anime.jp
『魔法陣グルグル』 公式Twitter
@magical_grgr
©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会