『シンカリオン』うえだゆうじがシャショットに込めた想い「一番ハヤトに合うシャショットを模索しています」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『シンカリオン』うえだゆうじがシャショットに込めた想い「一番ハヤトに合うシャショットを模索しています」【インタビュー】

TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』で、主人公・速杉ハヤトの相棒ともいえる車掌ロボット・シャショット。一時はシャットダウンしてデータを失ったが、奇跡的にデータを取り戻し、新たな戦いに臨んでいる。そんなシャショット …

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 TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』で、主人公・速杉ハヤトの相棒ともいえる車掌ロボット・シャショット。一時はシャットダウンしてデータを失ったが、奇跡的にデータを取り戻し、新たな戦いに臨んでいる。そんなシャショット役のうえだゆうじに、シンカリオンのこれまでとこれからを語ってもらった貴重なインタビューが、「アニメディア5月号」に掲載中。超!アニメディアでは、掲載できなかった部分を含めたロング版をご紹介する。


――シャショットとして取材を受けていただくのは、今回が初めてですね。

 シンカリオンについての取材は本当に初めてです。ハヤトに「絶対取り戻す」とまで思わせながら、特に努力をさせることもなく、あっさり帰ってきたシャショットです(笑)。

――そもそも、どんな経緯でシャショットを演じることが決まったのですか?

 池添隆博監督の別作品にお邪魔した際にスカウトされてました(笑)。ご指名でしたが、製作委員会検討用にサンプル(ボイス)を録りました。その時点では、インターフェースはもっとオモチャっぽく、バトルプログラムはもっとイケイケワイルドなシャショットでした。その後オーダーが入り、都合10パターン程のシャショットが事前に存在しています(笑)。番組の対象年齢は小学生以下になると思いますが、この層は幼児になるほど、感じ方・捉え方がとても本質的で、セリフや感情のウソを、すぐに見抜くし途端に興味を失います。ですから、相当な内側の熱量で、本気で伝えなければなりません。また、大人や敵側でなく、主人公の子どもたちに混じる存在として配されることはもうないかもしれないな、最後かもしれないなと思って、やりがいを感じると共に、かなり思い入れ強く取り組み始めました。

 他のキャストを知った時が衝撃で、主役は自分の実年齢の半分以下だし、自分がこの仕事始めた頃まだ生まれていなかった計算で。それに気付いた時がめまいしました(笑)。まあ長く続けていればいつかはそんな事態に直面してしまいますよね。「マイク前ではキャリア関係なくみんな同じ」と考える方なんですが、今回、気付いちゃいましたね(笑)。設定上、子どもたちを導く形ではないので、その彼女が演じる小学生でしかも男子より未熟なくらいの存在として演じなくては。それに高度な学習型AI。てことはそこから成長させていかないと…?と、いろんなパラドックスが生じてさらにクラクラしました(笑)。

――そんなシャショットを演じる際には、どんなことを心がけていますか?

 大前提としてロボットであるといういこと。生き物的にはしないこと。そしてバランス。本作は運転士の子どもたちのドラマが視聴者に届くことが大切なので、特異な存在ですが、突出した印象を与え過ぎないよう、子どもたちの脇に控える演技を意識しています。そして学習型AIな点。「細かすぎてわからない」進度で、シャべりを成長させています。玩具の音声を起点に、ハヤトと出会って、他の運転士たちやさまざまな人物と触れての時系列で、表情はあっても平坦な段階から、じょじょに感情を立体的にしています。意識を傾けるべきはハヤトのみになりますが、(ハヤト役の)佐倉(綾音)さんとは、本格的に役同士がやり取りする作品での共演は今回が初めてで、彼女のスペックに関する知識が乏しくて……。演技の質や特徴。どんなハヤトにしようとしているか。本人もどんな人物で、どんな人、どんなことに、どう反応するのか。最初の半年くらい、ずっと「観察」していました。そこで得たものを反映させながら、一番ハヤトに合うシャショットでありたくて模索しています。

――観察ですか。

 実は、(アフレコでは)同時に収録しているものの、一緒の空間でじゃないんです。キャストが演技するフロアの奥に単独収録ブースがあり、全部ロボ加工するため、そこで。同じ映像は観ていますが、ヘッドホンからの音の情報を頼りにセリフを掛け合っています。これが、現場の空気が全くわからない。「体感」で芝居できない。演技がちゃんと成立してるか実感持てず不安になる。外の音は聞こえないがガラス張りで全体の様子は見渡せる……。という孤立感高まる環境で。だんだん情緒乱れてきて、なんらかをこじらせてます(笑)。先人として背中を見せる立場ですが、全員の背中を追いかけながら仕事してます(笑)。

――そんな苦労があったとは……。それをまったく感じさせない、かわいいシャショットになっていると思います。

 「もしかしたらシャショットは本当にあるかも」と観ているキッズが思ってくれるよう精魂込めてます。番組終了後に「あのシャショットでよかった」と視聴者にも関係者にも思ってもらえるよう、ひたすら頑張ってます。


――そんなシャショットが61話で消えたシーンは観ていてつらかったです。

 脚本の下山健人氏に謝らなくては……。(61話の)ハヤトとシャショットのシーン、私が……書きました。正確には下山氏の最終稿のリライト。けれど大改変して別物なほどになっています。その8か月くらい前に、すでに監督からこの展開(シャショットが消えること)の説明受けていて、そのころは具体的にどうなるかまったくの未定で。周辺話数のシナリオを事前に読ませてもらえるようお願いしていました。該当の61話最終稿を読むと、前後の流れや理屈やセリフが、それまでの内容に対し矛盾と疑問を感じて。池添監督に相談する際「こういうのどうですか?」と何度か書き直した原稿をお渡ししてみたら、採用に……。最終稿の一部とミックス&演出側で最終調整したのが、あのシーンです。矛盾をギリギリ解消できるよう創作してしまっています。シャショットに提言させて、いつものバトル中とは逆に、説得されるハヤトを描いてみました。のちにカイレンが握りつぶす“心”のデータが中途半端では意味がなく、「AIの育ちあがり」で心を表しています。自我をぶつけるだけから、一歩引けたり己から謝罪できるようになり、そして……という成長です。このとき、どういう結果を生むかシャショットは己でシミュレーションして認識しています。そのうえで、ハヤトと離れる事は内心では本当につらいが、一刻も早くこの窮地を脱させるために、ハヤトを不安にさせぬよう、悟られないよう、促すシャショットにしています。「感じる」などロボとしてはありえない言葉を使っていて、「ありがとう」に至ってはモノローグです。演技自体も“ヒトモドキ”な状態にしています。バトルプログラムからのハヤトへの思いが見える、“男っぽいシーン”になりましたかね……。


――シャショットとハヤトの関係性についてはどう感じていますか?

 ハヤトに対しては、初めての「E5」適合者なので、雛鳥のインプリンティングレベルで自分にはハヤトくんしかいない!と定義していますが、普段のハヤトくんの反応は結構ドライですよね(笑)。相棒という言葉が浮いてしまいそうなくらい(笑)。けれど「E5」を共に操る存在として、ハヤトはハヤトでシャショットが重要な存在だと思ってくれている……と信じています(笑)。……ビジネス相棒?!(笑)。シャショットはなんとも鬱陶しくアプローチしますが、ベッタリな関係ではなく、違う方向を見ていながら、いざ一歩足を踏み出す時になぜか同じタイミング!な通じ合い方になっているかな?と思っています。あと、なんとなくですが、味方のみならず敵をも説得できてしまう才能を見ると、『天然の人たらし』なのかもしれない……とも思っております。悪い意味じゃなくてですよ(笑)。熱意というだけでは説明のつかない度合で、周囲の人の心を惹きつけて納得させてしまいすから。

――うえださんは、ドクター・イザ/八代イサブロウも演じられています。

 そうですね。双方演じることでシャショットとイザの関係性の説得力が出ますよね。よくよく考えると、シャショットは所属する場所でもどういうマシンか未知で、人間との関係にも悩み、かたやイザは本人どういう意図で行動したかまだ明かされていませんが、たった一人地下に居る地上側の人間で。どちらも拠り所のない孤独な存在ですね(笑)。イザを演じる段階で、いずれ以前のイサブロウを演じる日が来るな……と覚悟もしました(笑)。

――上田アズサの父を含め、ほかにも多くのキャラクターを担当されていますね。

 巨大怪物体も結構な数やってます(笑)。クレアツルスに至っては担当してない数を数えたほうが早い(笑)。その他本編上のお遊びネタもご指名されて担当してますし。次の台本手にしたあとから一週間、習得のため「何かの動画を見続ける」という日々が続いております(笑)。

――うえださんは、『シンカリオン』という作品のどんなところが視聴者にヒットしたのだと感じていますか?

 昨今乏しくなっていたジャンルのキッズ向けプログラムなので、逆に目新しく感じられるでしょうか。オトナばかりをくすぐる要素満載なのはいかがなものかとも思いますが(笑)、主人公やそれぞれの運転士に、子どもたちが感情移入できる作品になっているといいなと思います。語られることが少なくなってきた『ロマン』も伝えられたらいいな。

――アニメディアでは、描きおろしのイラストも定期的にお願いしているのですが、うえださんはどんなシチュエーションのイラストが観てみたいですか?

 「E5」の運転席で、シャショットがどこに設置されているのかが気になってしょうがないです(笑)。

――最後に読者にひと言、お願いします。

 本作がどんな終着点を迎えるのか、いち演者として楽しみにしつつ展開を見守っています。よろしければ、どうぞ最後までお付き合い下さい。

取材・文/野下奈生

<TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』情報> 
TBS系全国28局ネットで毎週土曜あさ7時~7時30分放送中!

◆ストーリー 
鉄道博物館、京都鉄道博物館、リニア・鉄道館の地下深くに存在する特務機関「新幹線超進化研究所」は、“漆黒の新幹線”が生み出す巨大怪物体から日本の未来を守るため「新幹線変形ロボ シンカリオン」を開発した。「シンカリオン」とは、実在する新幹線から変形する巨大ロボット! その「シンカリオン」と高い適合率を持つ速杉ハヤトら子どもたちが運転士となり、研究所員ら大人たちと力を合わせて強大な敵に立ち向かう! 果たして“漆黒の新幹線”の目的は・・・!? 子どもたちは日本の未来を守れるのか・・・!? チェンジ! シンカリオン!

◆スタッフ 
監督 池添隆博 
シリーズ構成 下山健人 
キャラクターデザイン あおのゆか 
メカニックデザイン 服部恵大 
音楽 渡辺俊幸 
音響監督 三間雅文 
アニメーション制作 OLM 
アニメーション制作協力 亜細亜堂 
CGアニメーション制作 SMDE 
制作 小学館集英社プロダクション 

◆声の出演 
速杉ハヤト 佐倉綾音 
男鹿アキタ 沼倉愛美 
大門山ツラヌキ 村川梨衣 
シャショット うえだゆうじ 
上田アズサ 竹達彩奈 
速杉ホクト 杉田智和 
三原フタバ 雨宮 天 
出水シンペイ 緑川 光

公式サイト 
http://www.shinkalion.com/ 

公式Twitter 
@shinkalion 

シンカリオンTV 
http://www.shinkalion.com/movie/

©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS

《超!アニメディア編集部》
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