16thシングルは『魔都精兵のスレイブ』EDテーマに―内田真礼『CHA∞IN』リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2024年2月号には、シングル『CHA∞IN』をリリースした内田真礼が登場。

肩の力を抜いて歌えた「CHA∞IN」

――テレビアニメ『魔都精兵のスレイブ』のEDテーマ「CHA∞IN」の曲を聞いた感想を教えてください。

　じつは、楽曲自体は2年くらい前に完成していました。制作当時は自分でもあまり歌ったことのないおしゃれな曲で、最初に聞いたときからフィットする感覚があったんですね。とくに、歌い出しの部分に、「肩の力を抜いてみようよ」と聞く人に寄り添うやさしさが感じられ、力強く励ます雰囲気じゃないところも好きだなと思いました。

――歌詞を見ると、寄り添ったその先がありますよね。

「離さない」というワードが出てきて、心地いいと思っていた場所に向かっていったら、蜘蛛の巣に絡め取られていた、みたいな雰囲気なんですよね。そのギャップもおもしろくて好きです。私は『魔都精兵のスレイブ』で出雲天花というキャラクターを演じていますが、彼女の恋への考え方と歌詞にリンク感があって、作品にマッチしているなと感じています。

――タイトルが「鎖」を意味する英語から取られていますから、まさに鎖で縛られたような雰囲気になりますよね。

　それでいて、リラックスできる雰囲気のある歌詞なので、きっと聞く方にもするっと染み入るんじゃないかなと思っています。

――レコーディングではどう歌おうと思いましたか？

　制作当時、私は自分らしい歌い方、自分の音楽とは何か、と向き合っている時期だったんです。ファンの方からすると、ライブで楽しくはしゃげて、前に進むのが内田真礼の音楽なんだろうけれど、歌の本質はなんであるかを考え、力を抜いてあまり飾らない声で歌うのもいいなと思うようになったんです。それもあって、「CHA∞IN」はかっこつけていない声を使った歌になりました。いま聞いても等身大で、のびのびと歌っている感じがします。ただ、そのなかでもどのくらいの距離でそばにいて、寄り添っているのかを考えて、全体を通してサラッと伝えることにポイントを置いたんです。そして、ラストの「離さないよ」にギュッと距離を詰めるニュアンスを込めました。ずっとベタベタしない距離だったのに、急に近づいてきた感じにできたんじゃないかなと思います。

――「離さないよ」というワードは、何回か出てきますが、そこだけ聞くとニュアンスの違いがわかりますね。

　サラッとしているように見えて、実は隠し持った心が見える……そんなふうに届いていたらうれしいです。

――内田さん的な楽曲の推しポイントと言われたらどこでしょうか？

　途中、英語の歌詞があるのですが、そこから日本語に戻るところは、術中にハマった感じが表現できている気がして好きな部分です。日本語の部分で目覚めて、英語の部分は夢のなかだったんだな……と思えるような展開なんですね。曲調もスローになるので魅惑的な感じに聞こえるんじゃないかな。

――「CHA∞IN」の初回限定盤にはMVも収録されます。

　MV撮影の監督から「今回のキーワードは『妖艶』です」とお話があって、それを１日中考えての撮影でした（笑）。バスルームのシーンもあるのですが、「笑わないで、どこかを見ていてください」みたいな指示だったのですが、実際にできあがった映像を見ると謎めいた雰囲気が出ていました。もっとこの人を知りたくなると思える映像になったなと感じています。

――ご自身も出演している『魔都精兵のスレイブ』という作品の印象を教えてください。

　かわいい女性キャラクターがたくさん登場しますし、バトルも全力でかっこいい作品です。女の子たちの制服姿もすごく素敵なんですよ。

――演じている天花の魅力は？

　天花さんは六番組の組長で、能力が高く、とても強い人。主人公の和倉優希くんを気にかけていて、彼に積極的にアプローチをするかわいさもあり、戦闘での強さもある。そのギャップに魅了されます。彼女はお姉さん的な立ち位置ですが、自分の気持ちを押し殺すことなく、オープンにして魅力を爆発させるところもよくて。美味しいキャラクターだなと思っています（笑）。

――天花のお芝居で心がけていることは？

　組長という立場柄、積極的に前に出て戦うタイプではないこともあり、余裕のある話し方を意識しました。それから、これまでの経験や自信もあって、気合いを入れなくても強い人なので、つねにほかのキャラクターとは一線を引いている気持ちでお芝居をしました。それでいて、女の子として自分の感情を伝えるシーンは、いつものカッコよさを崩すように意識して演じました。

――アニメのエンディングは見ましたか？

　見ました！　いろいろなキャラクターの日常を描いているんですが、突然天花さんが出てきてチェーンが登場したりベッドに寝転んでいたりするんです。彼女は冒頭には登場していないので、初めて見た方は彼女の正体が気になるんじゃないかな（笑）。

――通常盤のジャケットも天花が登場していますよね。

　そうなんです。限定盤の私の衣装やアクセサリー、爪の色などをそのままにイラストにしてくださって驚きましたし、天花さんの表情を見て、私もこういう表情をしてみてもいいかも……と勉強になりました。

――カップリング曲の「パパルラ」は、にぎやかな楽しさが伝わってきます。

　この曲は、ライブの打ち上げでバンドメンバーさんやスタッフさんとわいわいやっている様子をイメージしつつ、友達や仲間の集まりっていいよね、という気持ちを伝えたくて生まれた曲です。ライブで一緒に歌ったら楽しいだろうと思える曲になりましたし、「CHA∞IN」とはまた違った意味で肩の力が抜けた曲にもなりました。

――人によって見せる顔が違うけれど、今回は友達に見せる顔が歌になっている印象でしょうか？

　それに近いかもしれません。それから、私自身、大事なものは仲間だと思って音楽活動をしているので、その楽しい時間を改めて表現した曲になったと思います。なので、レコーディングも難関だったところはほとんどなかったんです。唯一、冒頭の「パパルラ」から始まる一節がしっくり来なかったくらいでしたね。冒頭部分は、普段お仕事では使わない、きれいな部分とは違う音で歌ってみたらしっくり来たんです。飲み屋さんで「ビールを一杯！」って店員さんに声をかけているときの音が近いかもしれません（笑）。

――歌詞はいい意味で庶民的な印象ですよね。

　そうなんです。だからこそ、肩の力が抜ける、聞いていて楽しくなれる曲になりました。

――初回限定盤のジャケットは、タイトルにちなんだ「鎖（チェーン）」のアクセサリーが印象的ですね。

　今回は、チェーンが主役だと思っています。だから、表情もチェーンに合わせてみました。だいぶ大人っぽい雰囲気になりましたね。顔にもチェーンを乗せていますが、タイトルが「CHA∞IN」じゃなかったらたぶん乗せなかったと思います。

――どんな1枚になったと感じていますか？

　レコーディングこそ2年前ですが、私の現在地を示す1枚になったなと感じています。いまちょうど、2024年4月に迎えるアーティストデビュー10周年に向けてバタバタしているのですが、感情が高まったり疲れているなと思ったときに聞くと癒しを与えてくれる曲になったなと思います。

――2023年を振り返ると、どんな1年でしたか？

　働いたなっていう感じですね（笑）。楽しかったこともたくさんありつつ、ギュッと予定が詰まった1年でした。先日コロナにかかって、寝て食べるだけという生活を数日していたのですが、そのときにベッドで寝るって大事だなと改めて思ったんです。なので、2024年はもう少し自分をいたわり、やさしい気持ちで過ごしたいです。ただ、私はとにかくすぐ予定を詰め込むタイプなので、部屋でゆったりと過ごすためにも、絵を描くなどのインドアな趣味を見つけたいですね。

――では、最後に改めて読者にメッセージをお願いします。

　2年間温めてきた大事な曲を、皆さんにお届けできる￥ことがうれしいです。アニメと一緒に聞くときは余韻を感じながら、曲単体で聞くときは「肩の荷を下ろしていいよ、私がいるから大丈夫だよ」というメッセージを感じていただきつつ、私の声とメロディーに癒されてもらえたらうれしいです。

（C）タカヒロ・竹村洋平／集英社・魔防隊広報部
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