東山奈央が考える“楽しむこと”の本質―「ANIMAX MUSIX 2023」スペシャルインタビュー | 超!アニメディア

東山奈央が考える“楽しむこと”の本質―「ANIMAX MUSIX 2023」スペシャルインタビュー

「ANIMAX MUSIX 2023」に出演した東山奈央にインタビューを実施。セットリスト選定に込められた思いから、歌手活動7周年に向けた活動、さらには2023年を振り返った自身の変化について語ってもらった。

特集
注目記事
東山奈央
  • 東山奈央
  • 東山奈央
  • 東山奈央
  • 東山奈央
  • 東山奈央
輝く舞台の光の中、優雅な和の衣装を纏い、歌声を響かせる東山奈央。それは彼女の内なる世界と外の世界が織りなす、心温まる物語のようだった。

11月18日に横浜アリーナで開催された「ANIMAX MUSIX 2023」。4年ぶりに声出し解禁となった本公演には、総勢19組のアーティストが出演。会場は例年以上に熱い盛り上がりを見せた。

アニメ!アニメ!では、本公演に出演した東山奈央にインタビューを実施。セットリスト選定に込められた思いから、歌手活動7周年に向けた活動、さらには2023年を振り返った自身の変化について語ってもらった。

[取材・文・撮影:吉野庫之介]

光り輝く「ANIMAX MUSIX 2023」舞台の裏側


――パフォーマンスお疲れ様でした! まずはステージを終えた感想を教えてください。

始まる前はいつものように緊張していたんですけど、ステージに立って、みなさんのペンライトの海を見た瞬間、その緊張がふわっと和らぎました。リハーサルのときにからっぽの会場を見たときは、ただただ広さに圧倒されていたのが、本番では“みんながいる安心感”をすごく感じて。そして、ステージセンターに向かって歩いている時にバンドメンバーのみなさんと目が合って、その時の温かい微笑みのおかげで、始めからリラックスして歌うことができました。

――本日の和テイストの衣装も素敵で、華やかなスカートのゆらめきも印象的でした。

今回の「ANIMAX MUSIX 2023」は“祭”がテーマということで、スタイリストさんがこの素敵な和柄の布をあしらってくださったんです。光沢感があり、ステージの照明の下でとてもよく映えるので、今日はいつもより多めに回っておりました(笑)。



――セットリストとして、「灯火のまにまに」「グー」を披露されましたが、まさに“祭”にぴったりの盛り上がる楽曲ですよね。

そうですね。セットリストを考えるときに、私の代表曲であり、アニメミュージックとしても親しまれている「灯火のまにまに」がまず最初に思い浮かびました。そして、先に「灯火のまにまに」を歌うとなると、それを超えたお祭り騒ぎができる楽曲を考えた時に「グー」だなと。

「グー」はコンセプトミニアルバムの収録曲なので、今回初めての方も多いかなと少し悩んだのですが、みなさんと一緒に盛り上がれるこの曲の持つパワーにかけてみようと選ばせていただきました。

実はまだ私のライブでも声出しで「グー」を披露したことはなくて、せっかくやるのなら、みなさんと一緒に遊べた方がいいなと思い、コールアンドレスポンスの練習のくだりをMCでやらせていただいたんです。

――練習の時点で会場が盛り上がっていましたね(笑)。

みなさんノリが良くて、あっという間に覚えてくださって本当に嬉しかったです。ただ、「グー」のかけ合いはサビだけでなく、曲全体にわたっていろいろなコールアンドレスポンスがあるんですよ。もし私のライブに来ていただけたら完全版でさらに盛り上がることができると思いますので、よかったらぜひ遊びに来てくださいね!

――2024年2月12日の歌手活動7周年記念ライブも楽しみです。また、「灯火のまにまに」は2018年リリースの楽曲ということで、東山さんの歌手活動の中でも長期間並走してきた楽曲になるかと思いますが、初期と現在を比較して、歌う際に込める感情の変化や、ご自身の成長を感じる部分はありますか?

私の中でもとくに回数を重ねてきた楽曲ということもあり、初期では苦戦していた部分も、現在では体が覚えて自然と安心感を持って歌えるようになっていますし、今回のようなフェスの場に持ってきた際にも、観客のみなさんと一緒に盛り上がることを堪能する余裕ができたなと感じています。

――とくに今日のステージは東山さんの弾むような高揚感が伝わってきました。

嬉しいです! 今日は本当にリラックスしてステージを楽しむことができたので、みなさんが盛り上がっているのを見て、「もっともっと、みんなにハッピーを配りたい!」という気持ちがあふれ、激しいロックナンバーを歌っているはずなのに、自分でもびっくりするぐらい私の顔が“慈しみ”でいっぱいになっていて……(笑)。それほどステージを堪能していたんだと思います。



――たしかにそのオーラは感じました(笑)。さらに、これからサプライズコラボ楽曲として「一度だけの恋なら」「回レ!雪月花」を披露される(※インタビューはソロとコラボの出番の合間に実施)ということで、こちらも楽しみですね。

そうですね。「一度だけの恋なら」は、6月の「ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~」以来となるのですが、まさかこんなにも早くまた歌える機会が巡ってくるとは思っていませんでした(笑)。

――ワルキューレファンのみなさんには本当に嬉しいサプライズですよね。

お客さんからの期待も感じていたので、内心「やりますよ~!」と思いながら、たくらみ顔で今日を楽しみにしていました(笑)。「ANIMAX MUSIX 2017」でも、JUNNAちゃんと「いけないボーダーライン」を一緒に歌わせていただいたのですが、今回は作詞をしてくださったTRUEさんも加わった3人で歌わせていただけることになり、このメンバーだからこそできるコラボレーションだなと思うので、すごく嬉しいです!

――もう一曲の「回レ!雪月花」は、東山さんがもともとお好きな楽曲なんですよね。

そうなんです。でも、自分で歌う機会があるなんて思ってもいませんでしたし、カラオケでも歌ったことがなかったんです。ほかにもやりたいカバー曲候補はあったのですが、最終的には、自分が好きで楽しんで練習できる曲をということで「回レ!雪月花」を選びました。

――非常に難易度の高い楽曲だからこそ、チョイスするには少し勇気がいりますよね……。

ええ……。お話をいただいたときは全く自信がなくて、ちょっと練習してみて歌える兆しすらなかったやめておこうと思っていたんですけど、「ギリギリできるかな、ギリギリ……!」みたいな感じで腹をくくって、ゴーサインを出させていただきました。……とはいえやっぱり緊張しているのか、実は今日も「回レ!雪月花」を歌うステージの夢を見たんですよ(笑)。

でも、アニメ好きなみなさんに愛されている楽曲だと思うので、イントロが流れた瞬間喜んでくれるといいなと思っています。プレッシャーはすごくありますが、最初で最後の機会だと思うので、たとえすっ転んだとしても、失敗を恐れずに思いっきり楽しんで、みんなと盛り上がりたいですね。



歌手活動7周年に向けて


――歌手活動7周年前夜祭企画として3カ月連続配信シングルの展開も始まっていますが、それぞれのコンセプトについて教えてください。

この3曲の配信シングルは歌手活動7周年に向け、それぞれが“私の自己紹介”になるような三者三様のラインナップになっているんです。「Shut Out My Lie」はダンスミュージック、「真夜中の怪獣」は声の魅力を届けられるような楽曲、「(前略)全人類へのファンファーレ!」はみんなでお祝いができるようなハッピーオーラを詰め込んだ楽曲になっています。

――「(前略)全人類へのファンファーレ!」の表題には驚かされました。(前略)部分がコンセプトの説明なのかな? と思いきや、まさかの正式タイトルで(笑)。

正式タイトル:「年越し蕎麦は麺類ならなんでも良い」というのが我が家、古くからの伝統でありまして。当然ながら坦々麺やらワンタン麺、はたまたソーキそばでめんそーれでも構わないのであります。申し遅れました。私、飛犬の東山と申します。

えーさてさて話は戻りまして、今年の年越し蕎麦はいったいなぁに?と申しますとあれが食べたいだのこれが食べたいだの毎度毎度の大騒ぎ。こっちの東山がラーメンと言えば、あっちの東山はナポリタンと言い出し、斜向かいの東山がわんこ蕎麦と言えば、3軒隣の東山はフォー!と言い張りもうすったもんだのヒトリーオンリーロンリー家族会議でございますがこれが大晦日の恒例行事、全麺類総選挙。押しつ押されつの激戦を勝ち抜き、栄えある第1位に輝いたのは、

ドゥルルルルルルルルルルルルルルル ダンッ!かた焼きそばの餡掛け。

料理は得意ではないもんで、頑張れと自分を奮い立たせるが、驚くなかれにゃんだって美味しく食べられる私がいるのであります。そろそろ餡掛けが完パケできそうになった頃、煩悩を消すための除夜の鐘が響き渡り餡掛けで願掛け、飛犬に幸あれ。

なんやかんやわーわー言うてますけど、おめでたいからとにかくファンファーレ!全人類へのファンファーレ!


そうなんです(笑)。私も7周年の中でいろいろな作詞作曲に挑戦しているのですが、私が作る曲は大体6分を超える長い楽曲になるんですよ。そこから逆転の発想で、「一番長いタイトルで、一番尺が短い楽曲を作りたい」というアイデアをスタッフさんが出してくださって。

ギネス記録も目指したのですが、今回はいったん申請は見送って(笑)。でも、今現在、日本のメジャー楽曲では最も長いタイトルになっているはずです。

――音楽配信サイトでのタイトル表示がどうなっているのかも楽しみです(笑)。7周年まわりでは10月に池袋でサプライズ登場もされていましたが、今後も楽しみな企画が用意されていたり?

まだ計画中の部分もありますが、すでにいくつか楽しい企画を予定しています!肩肘を張らずにみんなとパーティーを楽しんでいけたらいいなと思っています。

声優10周年や歌手活動5周年をお祝いしたのがついこの間のような感じもしますが(笑)、いろいろな節目をみんなと祝っていきたいと思っているので、一緒に笑顔になれる1年にしていけたら嬉しいです。2月のライブでも、おそらくみなさんに喜んでいただける嬉しいお知らせが出来るんじゃないかな~、と思っています。楽しみにしていてくださいね。

東山奈央が考える“楽しむこと”の本質


――2023年はどんな1年になりましたか?

今年はお休みを少しずつ取るようにしたんです。以前は365日営業のコンビニみたいにずっと働いていたのですが(笑)、休むことで表現の面でもプラスになるかなと思い、13年ぶりに家族旅行をしたり、謎解きに行ったり、カフェに行ったりしてリフレッシュできました。

――意識的にお休みを取ろうと思ったのは、なにか心境の変化もあったり?

人間として少し楽になったという部分が大きいかもしれないです。リラックスして生きられるようになったというか。変わらずお仕事は大好きなんですけど、「仕事=人生」という考え方から少し離れることで人生の幅が広くなった感じがします。

たとえば、人と接する際も、以前は仕事をしている時はコミュニケーションが取りやすかったんですけど、仕事の場でない時はどう接していいかわからないこともあって。でも最近は、仕事を抜きにしてどうでもいいようなことでも楽しく話せるようになったんです。その余裕が出てきたのは私にとって大きな変化だったと思います。

――余裕が出てきたことで、より楽しみを享受しやすくなったというか。

そうですね。ステージで楽しそうにしている時も、実は頭の中は真っ白!ということもあったりしたんですけど、最近は心の底から楽しい気持ちになって、ちゃんと本番をエンジョイできるようになった気がしています。人とのコミュニケーションもリラックスしてできるようになったことで心も表情も柔らかくなり、人間として成長できたのかなと感じています。

私、物心がついたのが中学生くらいからなんですけど(笑)、そこからずっと声優一筋の生き方をしてきたので、“それ以外の自分”というものを見つけることができなかったんです。オフの日に友達と出かけるよりも、お芝居を見て勉強したり、台本や原作を1秒でも長く読んでた方がいいみたいな考え方をしていて。

でも、仕事以外で誰かとなにも考えずに笑って過ごす時間もとても大切なんだと気がついてからは、“なんでもない私”みたいな部分も持っていいのかもと思うようになったんです。そうした“なんでもないけど豊かな時間”が、今のリラックスした自分を作ってくれているんだと思います。

――より人生が豊かになった1年だったんですね。ちなみに、2024年の目標は決まっていますか?

いやあ、だいたい毎年このくらいの時期には、翌年の目標が決まっているのですが、自分のどこに焦点を当てて頑張るべきかまだ考え中です。

でもそうですね、2024年も楽しむことはもちろん、お仕事に対してもっとひとつひとつ真摯に、じっくり向き合っていきたいと思っています。じっくり向き合うためには、自分自身にもゆとりを持つことが大切で……。あれれ、また余裕がなくなってしまいました(笑)。もっと器用に物事を考えられるようになったらいいのかな? 悩ましいですね。

――そうした真面目な部分も東山さんの魅力だと思います(笑)。でも、器用になることが仕事や表現にとってプラスになるのかというのは難しい問いですよね。

そうですね。器用になることで昔よりすぐにいろいろなことができるようになったぶん、吟味する時間が短くなるから、もっとほかに気づくべきことがあるのではないか? と不安になることもありますよね。

せっかく生き方が楽になってきても、そうやって別の悩みがやってきてしまう。ちょっと成長したと思ったのに結局追いかけっこですよね。 でも完璧なんてないと思うので、ちょっとずつでもいい自分になっていけるように頑張っていきたいと思います。

――素敵だと思います。やはり「楽しむこと」が東山さんの軸になっているのですか?

これはきっと人生をかけてのテーマかもしれないですね。「楽しむためにはなにをしたらいいか?」を考えるのはとても生産的で、良いサイクルを生み出してくれると思うんです。ただ、「楽しむことは、楽をすることではない」ですよね。同じ漢字なのに不思議ですよね。

でも、楽しい瞬間が多ければ多いほど大変なことが報われて、そのぶんハッピーになれると思うので、それを軸にして過ごしていけたら、自分も周りの人も幸せになれますし、きっとすごく刺激的で成長につながる1年にできるのかなと思いますね。

――最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。

6時間にわたる「ANIMAX MUSIX 2023」でしたが、久しぶりに声出しのできる満員の横浜アリーナでライブをすることができて、みなさんのアニメミュージックへの深い愛をあらためて感じることができました!

全体リハーサルの際、アニマックスのプロデューサーの小島さんからも愛にあふれたご挨拶をいただきました。そういった想いや空気感って、不思議なことにお客様にも伝わると感じています。今日のみなさんのあったかさ、すごかったなあ……!って思います。今回のライブを通して、みなさんと一緒に輪になって楽しむお祭りを作り上げられたことに感謝しています。

3月24日、31日に「ANIMAX MUSIX2023」の編集版を2週にわたってアニマックスで放送決定とのことですので、ぜひご覧いただければと思います。そして、春には「ANIMAX MUSIX 2024 SPRING」があるということが発表になりました。また素敵な時間になりますように!



『ANIMAX MUSIX 2023 ~LIVE & BACKSTAGE~』
「ANIMAX MUSIX2023」の編集版をアニマックスで放送決定!ステージの裏側やアーティストからのコメントなど特別なシーンを追加し、2週にわたって放送します。
[放送]アニマックス
放送日時:#1 2024/3/24(日) 20:00~、#2 2024/3/31(日) 20:00~ (予定)
《吉野庫之介》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース