累計発行部数2400万部超の大人気マンガ『東京喰種トーキョーグール』が実写映画化。喰種捜査官・亜門鋼太朗役の鈴木伸之に、アクションシーンの苦労や撮影秘話を語ってもらった。
――まずは、出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
出演が決まってからマンガを読ませていただいたのですが、すごく面白い作品ですし、赫子(カグネ)をどう映像化するのかワクワクしました。原作ファンの方も多いので、どうやって亜門を演じようか、楽しみ半分、不安半分という感じでした。
――原作を読んだ感想を教えて下さい。
喰種と人間が対立する世界で、どちらが正義なのか分からないという構図は、現代社会にも繋がる部分があるんじゃないかなと思いました。正解がないテーマなので、考えさせられる部分も多かったですね。と同時に、人の価値観って周りの環境次第で簡単に変わってしまうことがすごく怖いなと思いました。現実世界では人を殺すのはもちろんいけないことですが、作品世界のなかでは、当たり前のように人が駆逐と称して喰種を殺していて……。宗教じゃないですけど、何を信じるかによって、こうも変わってしまうのか、と驚きました。
――亜門鋼太朗をどのような人物だと捉え、役作りをされたのでしょうか?
とにかく亜門という男は正義感が強くて真っ直ぐなヤツで、喰種のことを悪と信じて疑わないんです。でも、その真っ直ぐさのなかにも葛藤があったり、揺らぐ部分が見え隠れしたりするので、その辺りは意識して表現するようにしました。
――肉体面はどのような役作りをされたのでしょうか?
撮影が始まる1カ月以上前からアクション練習を週に3、4回させていただきました。体育館を借りて、ランニングから始まって、パンチ、キック、後ろ蹴り、棒術など基本的なことからみっちり練習したので、今までのアクション練習で一番キツかったです(笑)。アクション監督の横山(誠)さんが僕の得意な動きを把握して演技に取り入れてくださったので、かなりこだわったカッコいいアクションシーンになっていると思います。実際のアクションシーンの撮影では初めてワイヤーアクションをして、30mくらいの高さまで飛び上がったりしたのですが……。僕は高いところが苦手なのでちょっと怖かったです(笑)。でも作品の世界観は表現できたんじゃないかなと思っています。
――萩原監督からはどのようなディレクションがあったのでしょうか?
「現場でも常に亜門でいてほしい」とおっしゃっていたので、僕自身、現場にいるときはなるべく亜門のような寡黙で真面目な雰囲気を出すよう意識しました。撮影がオフのときは完全にいつもの鈴木伸之に戻っていましたけどね(笑)。
――ご自身と亜門で、似ている部分や似ていない部分はありますか?
亜門は自分のなかに一本筋が通っている男なんですが、僕も好き嫌いがはっきりしているタイプなので、そういうところは似ていると思います。似ていない部分は……あんなに腹筋がバッキバキではないです(笑)。
――撮影現場の雰囲気や、印象的なエピソードを教えてください。
真戸役の大泉(洋)さんとは、ふたりのシーンが多かったこともありご一緒する機会が多かったのですが、休憩中に娘さんのお話をよくされていたのが印象的でした。すごく嬉しそうに「かわいい、かわいい」って(笑)。あとは、草場役の前野(朋哉)さんとは何度も共演させていただいていたので、CCGの3人はすごく和気あいあいとした雰囲気でした。
――完成した映画をご覧になった感想を教えてください。
最初にお話した「どうやって実写化するんだろう」という疑問が、映画を観たら「こんなカッコいい映像になるんだ!」という驚きに変わりました。すごくインパクトのあるシーンも多いですし、喰種の描写にリアリティがあったのが印象的です。
――人気作品の実写化に多数出演されている鈴木さんですが、実写化の作品を演じるうえで、気をつけていることはありますか?
まずは原作をしっかり理解すること。でも、同時に原作に引っ張られすぎず、監督がどんな作品にしたいのかを共有して、それをみんなで目指していくことが大切だと考えています。
――ふだん、鈴木さんご自身は、マンガやアニメ作品はご覧になりますか?
実は、仕事で関わる作品以外はあまり読まないんです。僕、圧倒的にバラエティ番組派なんですよ。『アメトーーク!』とか『さんまのお笑い向上委員会』とか大好きです! 唯一、自分から読んだマンガは『浦安鉄筋家族』(笑)。小学生のころ、周りで流行っていたので近くの本屋さんで立ち読みしたらめちゃくちゃ面白くて、自分でコミックスを集めてました。
――最後に、アニメディア読者へメッセージをお願いします。
マンガやアニメを観なおしてから観ていただいても、新たな発見があり、楽しんでいただけるんじゃないかと思います。迫力満点のアクションシーンはもちろん、映画のなかで少しずつ成長していく亜門に注目していただけると嬉しいです。ぜひ、劇場まで足をお運びください!
▲「もし自分が喰種になったら、嫌いな人から食べます(笑)。そう考えると、自殺者の遺体を食べているあんていくの人たちは、生きるためによく考えていますよね」
▲「ヒナミ役の桜田ひよりさんは、この映画のなかでも重要なセリフをたくさん言っていてすごく印象に残っています。幼いがゆえの純粋なセリフに胸を打たれました」
▲「カネキ役の窪田(正孝)さんは、作品の世界観を体現してくださったので、ご一緒したシーンはすごく演じやすかったです。窪田さんは、尊敬する俳優のお一人です」
▲「真戸役の大泉洋さんとは初めて共演させていただいたのですが、演技に関してアドバイスをいただくこともあり、いい信頼関係を築くことができたと思います」
◆プロフィール
鈴木伸之 すずき・のぶゆき
1992年、神奈川県出身。2010年「第3回劇団EXILEオーディション」に合格して俳優活動を開始。同年、舞台『ろくでなしBLUES』でデビュー。2014年ドラマ『水球ヤンキース』、2015大河ドラマ『花燃ゆ』、2017年ドラマ『あなたのことはそれほど』など、話題作に多数出演。
<映画『東京喰種 トーキョーグール』情報>
公開中
◆ストーリー
人の姿をしながら人を喰らう「喰種」が人間に紛れて暮らす東京。大学生の金木研(カネキ)は、ある事件をきっかけに半喰種となってしまう。喰種が集う喫茶店「あんていく」で働きはじめたカネキは、人間と喰種、ふたつの価値観のなかで葛藤を抱える。一方、喰種駆逐を目論むCCGの捜査官・亜門と真戸は、徐々にカネキたちに近づきつつあった。
■原作:石田スイ 「東京喰種 トーキョーグール」 集英社「週刊ヤングジャンプ」連載
■出演:
窪田正孝
清水富美加 鈴木伸之 桜田ひより 蒼井優 大泉洋
村井國夫 / 小笠原 海 白石隼也 相田翔子 栁 俊太郎 坂東巳之助
佐々木 希 浜野謙太 古畑星夏 前野朋哉 ダンカン 岩松 了
■監督:萩原健太郎
■脚本:楠野一郎
■配給:松竹
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