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歌手デビュー50周年を迎える堀江美都子の“平成ソング”を集めたアルバムが発売中。50年間第一線で活躍できた秘訣とは?【インタビュー】

2019/5/29


 アニメ作品の主題歌を数多く担当し、アニソンシンガーの第一人者である堀江美都子が、平成時代に歌った楽曲を集めたベストアルバム『平成の堀江美都子』をリリース。30年間の平成時代に、堀江は音楽や技術の変化をどう考え、どう捉えて歌ってきたのか。その思いについて語ってもらった。


自分は昭和のシンガーだと思っていた

――リリースされた『平成の堀江美都子』は、平成時代の楽曲だけを切り取るという、堀江さんだからこその企画という印象です。

 2019年は、私のデビュー50周年ということもあり、年間を通してアルバムをリリースしようという企画が持ち上がりました。今までにもベストアルバムをリリースさせていただいているのですが、今回は記念ということで、今までのベストに入っていなかった新しいものを含めて作ったらどうだろうという話になりまして。そこで、元号も変わるしキャッチーだからということで、『平成の堀江美都子』というタイトルが決まったんです。改めて振り返ると、50年の活動のうち、30年が平成なんですよね。自分は昭和を歌ってきている印象が強かったので、平成のほうが長いというのは少し意外でした。

――アルバムを出すということが決まったときの感想はいかがでしたか?

 もちろんうれしかったです。50年間活動をしているからといって、必ずCDが出せるわけではない。そんななかで、記念の年だからということではあるけれど、リリースをさせていただけるのはとても幸せなことです。しかも、作品のOPやEDなど、ある程度みなさんに知っていただけている曲から収録曲を選べるわけですから、本当に恵まれているのだなと感じています。

――収録曲はどのように選んだのでしょうか?

 今回は、選曲も曲順も、すべてディレクターの方にお願いしました。私が作るとだいたいの流れが決まってしまうなと思ったのと、ディレクターの方がとてもお若いので、若い感性で作っていただいたほうが新鮮になるんじゃないかと思ったんですね。実際にセレクトされた曲を聴いてみると、デジタル録音の初期から過渡期に入って、技術が進歩していった時代でもあるので、曲作りやアレンジにも変化があって、面白いなと感じました。

――意外だと思った選曲はありましたか?

 『非公認戦隊アキバレンジャー シーズン痛』のED「キャプたんChu-Chu-Chu」かな(笑)。この作品には“堀美江都子”という元アイドル役で出演させていただいたんですね。そのときに鼻歌のように歌った曲だったので、まさか収録されるとは思いませんでした。それから、『ミラクルロボットフォース』のイメージソング「勇躍!ミラクルロボットフォース」や『りゅうおうのおしごと!』で水木一郎さんと歌ったキャラクターソング「和倉のあいの物語」など、私のアルバムに入っていなかった曲も多く、いつものアルバムとはだいぶ違った雰囲気になっているなと思います。

――CDには水木一郎さんや影山ヒロノブさんと歌った曲も収録されていますね。

 水木さんや影山さんと一緒に歌った歌が入っていることによって、余計にお祝い感が増していますよね。水木さんとは特にお付き合いが長いので、いつもいろいろなことを確認し合っています。コンサートに臨むときも、オリジナルを歌った時のまま届けるように努力しようとか、ちょっと歌が崩れていたときにはお互いCDを聴き直して、新鮮にしていこうとか。影山さんやささきいさおさんともステージでご一緒させていただける機会が増えているので、みんな同じように頑張っているのもうれしいことですね。

50年歌ってきたからこそ感じる、音楽の変化

――デビューから振り返って、この50年はどんな年月でしたか?

 私の人生そのものですね。学校の勉強よりも歌っている時間のほうが長かったですし、友達と遊ぶよりもお仕事をしている時間のほうが多かった。そう考えると、レコード会社の日本コロムビアさんが学校で、歌手のお友達が学校のお友達と同じだったんじゃないかなと思えるんです。

――50年という月日を経て、音楽制作の環境も大きく変わったかと思います。歌う側でも環境の変化を感じられますか?

 感じます。以前は生の演奏をバックに歌うのが当たり前だったんですよね。それが、1980年代に入り、デジタル録音されるようになって特に大きく変化をしたなと思います。デジタル録音が始まった当初は、演奏は生だったこともあり、デジタルに音が変換されることにすごく違和感があったんですよ。音が平たくなってしまって、チープに聞こえる気がしたんです。自分の声にすら違和感を覚えて、一度、「私、こんな声じゃありません」って言ってしまったくらいでした。でも、デジタル録音の流れが止められるわけではなかったし、私自身、そこで止まってしまっては先に進めませんから、折り合いを付けて歌っていこうと思うようにしました。今は、当時と比べるととても歌いやすくなっていて、生演奏のような“揺れ”感はないけれど、心地よく歌えるようになりました。

――アニメ作品の主題歌の流れも変わってきていると感じますか?

 アニメの主題歌に限らず、音楽にしても歌にしても、昔と今とでは違うと思います。録音のスタイルもそうですが、やはり時代の流れは大きいのかな。昭和の時代は、時間がゆっくり流れていたような気がするんですね。音楽も、譜面のなかに隙間がたくさんあったので、当時は「隙間を歌え」とよく言われていたんです。隙間に感情をのせて、それが人に伝わらなければ、いい歌とは言えないと。でも、今は機械で音をたくさん足せるようになり、メロディーの隙間がだいぶなくなっているなという印象です。音符のひとつひとつに言葉が乗っていて、息継ぎをする隙間もないなと。この時点で、歌の良さというのが変質しているんですよね。思いを込めて歌う隙間がないから、正確に歌うことが今の良さになっている。昔は、多少音程が狂っていても歌手の表現として認められていたんですが、今は正確に歌われる歌がいい歌だと思われるようになっていて。ただ、私はそれでも時間をかけて自分のなかに落とし込んでいけば、必ず隙間は見つかると思っています。以前のように、譜面のすべてに思いを込めることはできないけれど、どこかに自分の存在を置ける、それが今の音楽なのかな。

――変化をしてきていても、ずっと歌い続けている堀江さんから見て、アニメソングの魅力はどんなところにあると思いますか?

 私は、子どもの頃あまり子どもらしい明るさを持った子ではなかったんですね(笑)。でも、歌を歌うとみんなが褒めて、喜んでくれて。だから歌ってきたんですが、アニメソングにはシンプルだけど永遠になくならないようなワードがたくさん入っているなと感じていますし、それが魅力なのかなと思っています。私自身、活動のなかで自分のオリジナルソングを歌いたいと思ったこともあります。だけど、自分がどんな歌を歌いたいのかというところに立ち返ると、やっぱりアニメソングが一番合っているなと。アニメソングは、愛、平和、勇気、希望といったシンプルな言葉をまっすぐに歌える歌なんです。しかも、歌謡曲のようにその時代の流行を取り入れるわけではないから、とても普遍的。何十年経っても懐メロ感がないところが、本当に素晴らしいと思っています。

――堀江さんが担当される曲は、いつ聴いてもまっすぐで元気をもらえる気がします。だからこそ、若い方にも聴いてもらいたいなと。

 古い感じはしないので、きっと新鮮に聴いてもらえるかなと思います。ただ、お母さんより年上のシンガーの曲を聴いているっていうことは、大っぴらにしにくいかもしれないですね(笑)。でも、音楽って自由だから、自分が聴いていいなと思ったり琴線に触れたりした曲を、素直に「いい」とか「好き」という勇気があれば、普遍的に聴けるものだと思います。

音楽を聴く方には、ぜひ生のライブに行ってみてほしい

――近年はデジタル配信で音楽を聴かれる方も増えていますが、歌う側としてはどう感じていますか?

 とても便利だなと(笑)。ほしい曲が1曲から買えるのがいいですよね。お仕事などで資料として音源が必要になったときにとても助かっています。ただ、私はほとんどイヤホンで聴くことはしていません。

――それはなぜですか?

 音は体全部で受け止めたいからですね。ですから、感動したいなと思ったときには、コンサートに行くようにしているんです。なかなか生で音楽を聴くというのも大変なことですが、できるだけそうしたいし、若い方にもできればそういうチャンスがあればいいなと思っていて。先日も若い方が私の歌を聴いて「喉からCD音源」と言っていたんですね。それは、CDと同じように歌えるからうまい、という褒め言葉だそうなのですが、私からすると「コンサートはCDよりうまいよ!」って言いたくて(笑)。完璧に歌えることがうまいという視点なんだと思うのですが、一発勝負のコンサートは特別なものがありますから、ぜひ足を運んでもらえたらなと思います。

――ジャケットはとても豪華な感じになっていますね。

 今回のジャケット写真で、自分へのイメージって、人と自分で違うんだなと思いました。私は、コミカルなもののほうが自分らしいかなと思っているんですね。でも、今回のジャケットができあがったら、スタッフの方もファンの方もすごくいいと言ってくださって。なるほど、と。

――50周年の第一弾ということですから、この先の展開も気になります。

 毎年行っているコンサートに加えて、自分のプライベートライブのスペシャルバージョンや、2020年の2月には50周年を記念したコンサートも予定しています。アルバムも、うまくいけば第2弾、第3弾を予定していて、すでにジャケットも撮影したんですよ(笑)。今は本当にCDが売れない時代ですから、リリースしていただけるだけでも大変なことですが、やっぱり50周年となると感慨深いですね。50年現役で歌えていることも、そういう環境を作っていただけていることも、そして応援してくださる方もいて……。みんなからよかったねとお祝いしてもらえるのは、本当に幸せですね。

――今後の活動にも期待しています。

 ありがとうございます。私はアニメソングを専門に歌う歌手として育ててもらい、アニメソングの持つメロディーの美しさ、歌詞の普遍性、アレンジの奇抜さ、そういった楽しい娯楽性とクオリティーの高い音楽を選んでやってきました。だから第一人者して、できる限り自分を貫いて歌っていきたいですし、時代に応じて柔軟に変わっていきたいと思っています。これまで応援してきてくださっている方も、今回初めて聴く方も、ぜひ今後も応援していただけたらうれしいです。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

PROFILE
堀江美都子【ほりえ・みつこ】3月8日生まれ。神奈川県出身。1969年、テレビまんが『紅三四郎』の主題歌でアニメ歌手デビュー。これまでに数多くのアニメ作品の主題歌を担当。声優としては、『ひみつのアッコちゃん』アッコ役、『愛少女ポリアンナ物語』ポリアンナ役など多数の作品に出演。現在は、洗足学園音楽大学声優アニメソングコースの教授も務める。

リリース情報
アルバム『平成の堀江美都子』
日本コロムビアより発売中
2,500円(税別)

※画像ギャラリーはこちらです。クリックすると拡大できます。

 

堀江美都子公式サイト
http://www.micchi.net/

堀江美都子日本コロムビア公式サイト
https://columbia.jp/artist-info/micchi/

堀江美都子公式Twitter
@micchi_MH



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