Uruが劇場版『夏目友人帳』主題歌を担当「夏目くんと妖(あやかし)の視点が重なる部分を歌に」【インタビュー】 | 超!アニメディア

Uruが劇場版『夏目友人帳』主題歌を担当「夏目くんと妖(あやかし)の視点が重なる部分を歌に」【インタビュー】

 ニューシングル「remenber」が発売されるUru。その制作秘話を聞いたインタビューが、発売中の『アニメディア10月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュ …

ニュース
注目記事
Uru_remember_apFIX
  • Uru_remember_apFIX
  • Uruが劇場版『夏目友人帳』主題歌を担当「夏目くんと妖(あやかし)の視点が重なる部分を歌に」【インタビュー】
  • Uruが劇場版『夏目友人帳』主題歌を担当「夏目くんと妖(あやかし)の視点が重なる部分を歌に」【インタビュー】
  • Uruが劇場版『夏目友人帳』主題歌を担当「夏目くんと妖(あやかし)の視点が重なる部分を歌に」【インタビュー】

 
 ニューシングル「remenber」が発売されるUru。その制作秘話を聞いたインタビューが、発売中の『アニメディア10月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。

ブースを暗くして雰囲気作りをしてレコーディング

──『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』の主題歌を担当することに決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
 たくさんのファンがいらっしゃる作品であることは知っていたので、プレッシャーもありましたけど、同時にすごくうれしかったです。最初に原作コミックスを読んだのですが、ひとつひとつのお話が心に染みて、劇場版はどんなお話になるのかと、脚本をいただくのがとても楽しみでした。私たちのリアルな世界と重ねることができて、どんな方の琴線にも触れることができる……『夏目友人帳』の世界観を壊さないように、むしろイメージを広げてもらえるような曲ができたらいいなと思って主題歌を作りました。

──劇場版の脚本を読んで、どんなことを感じながら曲を作ったのですか?
 この「remember」という曲は、物語に出てくるあやかし妖(あやかし)の気持ちを歌った曲でもあるんですけど、主人公の夏目(貴志)くん自身の曲でもあります。夏目くんは、自分と妖を重ねて見ているところがあって、今回の劇場版でも、妖と共感し合うシーンがあるんです。それで、妖側からの視点と夏目くん側からの視点が重なる部分を曲にしたいと思い、作詞しました。



──とても胸に響くバラードナンバーですね。劇場版制作サイドからは「バラードを作ってほしい」というの要望があったのですか?

 そういう要望は特にありませんでしたが、私はバラードが好きですし、物語の雰囲気に沿ったものをと考えて、自然とバラードになりました。先方からの要望としてあったのは、「サビは印象に残るメロディーを意識してほしい」ということくらいですね。私の楽曲はひとつのトーンで統一している楽曲が多いので、サビで少しキャッチーな部分があったほうがいい、と。

 実は最初に作ってみたものが、原作を読みながら聴きなおしたときに「ちょっと違うな」と思ったんです。そこで作ったものを一旦白紙に戻して、頭から作り直したのがこの曲です。曲が進むにつれて、最初は閉じていたものが開いていく感じにしたくて。それでAメロはしっとりしていて、Bメロの最後でキーが少し高くなって、サビでは自分の感情を爆発させる、といった流れになっています。

──実際にサビは、情感たっぷりの歌声ですね。
 そうですね。サビは、自分の感情があふれ出すイメージで歌いました。レコーディングでは、より楽曲に入り込めるようにブースを暗くして雰囲気作りをして、夏目くんや妖の気持ちを思い浮かべながら歌いました。

──歌詞のなかに、いちばん込めたかったものは何ですか?
 夏目友人帳のこれまでの物語のなかで、「旅立ちの日がきたとしても、それは決して別れの日ではない」という言葉があって。これでもう“さよなら”だとわかってはいるけれど、一緒に時間を過ごしたことは確かで、そこで感じた気持ちはずっと記憶に残るし、相手に対して絶対に“忘れないからね”という気持ちもあると思うんです。サビの歌詞には、そんな気持ちを込めています。

──また、歌詞にのなかに<リンドウ>という花が出てきて印象的でした。どうしてリンドウの花を?
 『夏目友人帳』シリーズの持っている、美しい自然の情景を描けたらと思っていて。何か花の名前を入れたいと考えていたところ、原作者の緑川ゆき先生の出身地である熊本県の県花がリンドウの花だったので、リンドウにしました。このリンドウが出てくるフレーズには、“ひとりぼっちだけれど凛と自分の色を持っている”という、孤独さと強さのふたつを掛けています。この曲が流れるシーンにもリンドウの花がちょっと出てくるのですが、曲を作るときに読んだ脚本には、リンドウの記述はなかったんですよ。きっとこの曲に合わせて、そのシーンを追加していただけたのだと思います。それを知ったときは、すごくうれしくて感動しました。

──今回の曲は、どんな人に聴いて欲しいですか?
 映画は夏の終わりのシチュエーションなので、この曲も夏の終わりの情景を歌ってはいますが、季節に関係なく別れの場面はさまざまなところにあると思います。そんな場面に遭遇したときは、送る側も送られる側も、きっと「さよならじゃないよね」とか「また会えるよね」と言いたいし、言ってあげたいと思うんです。もし、みなさんがそんな状況になったら、この曲を聴いて、みなさんの心が少しでも癒やすことができたらうれしいです。

カップリングでは、山崎まさよしと「フリージア」をカバー

──カップリングには3曲を収録。まず「ごめんね。」は、ファンキーなサウンドの楽曲で、恋愛観を歌った内容になっていますね。
 すごく強がりで、「言わなくてもわかるでしょ?」っていう感覚の男の人と一緒にいる、女の人の気持ちを歌っています。曲自体はデビュー前からあって、表題曲「remember」がしっとりとした曲調なので、明るい曲調も入れたいと思って選びました。歌詞は書き直していて、当時は「ごめんね」と言えない女の人の歌詞だったんです。でもそれをもう少しかわいらしく、愛おしさのあるイメージにしたくて、「ごめんね」と言えない男の人を包み込む女の人の歌だったら、聴いてほっこりしてもらえるかなと思って書きました。

──素直に「ごめんね」って、言えない男性は多いですよね。
 きっと、言えないうちにタイミングを失ってしまうのもあると思いますし、「ごめんね」って言うのがかっこ悪いとか恥ずかしいという気持ちが、男の人のなかにはあるんじゃないかと思って。でも、そういうところも好きだという、そんな気持ちを歌っています。

──3曲目には、山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」のカバーを、ピアノと歌だけで収録しています。
 デビュー前にYouTubeで、ピアノと歌だけでのカバー曲をたくさん歌っていたので、私に対して“歌とピアノ”というイメージを持ってくださっている方は多いと思います。これまでには、荒井由実さんの「ひこうき雲」、UNISON SQUARE GARDENさんの「シュガーソングとビターステップ」など、ジャンルを問わず100曲以上カバーしてきました。シンプルゆえの難しさもありますけど、同時に歌いがいも感じています。私の特徴のひとつとして、このスタイルも大事にしていきたいと思って収録しました。

──今回の「One more time, One more chance」は、1997年のヒット曲ですが、どうして今あえてこの曲を選んだのですか?
 気づいたら知っていて、歌えていたというくらい、私のなかに自然とあった曲です。同じメロディーを重ねていく構成で、最後はサビが3回繰り返されるのですが、そのサビのメロディーがすごく印象に残っていて、いつか歌えたらいいなと思っていました。

──カバーすることで、気づかなかった原曲の魅力を発見することもありますよね。
 たくさんあります。コード進行とか譜割りとか、「こうなってるんだ」と、実際に歌ってみて初めて気づくことが多いです。それに私は男性ボーカルの曲をカバーさせていただくことが多いのですが、サザンオールスターズさんの「いとしのエリー」は歌詞に「俺」と出てきたり、男性っぽい言葉遣いが出てくる曲がたくさんあって、そういう曲を歌うと自分としても新鮮で刺激を受けますね。

 今回の山崎さんの曲は、メロディーを歌っているのに会話をしているみたいに聴こえて、それが心に自然と響いてくるものを生み出しているのかなと思いました。カバーしてみたい曲の候補はほかにもたくさんあるので、今後どんな曲をカバーするか楽しみにしていてください。

──また、「フリージア」のセルフカバーも収録。「One more time, One more chance」と同じく、歌とピアノだけのアレンジで収録していますね。
 せっかくなら何か表題曲と共通点がある曲がいいと思って、アニメ主題歌つながりで、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のEDテーマ「フリージア」を選びました。ピアノとボーカルだけのアレンジにしたのは、単にオリジナル音源からボーカルとピアノだけを抜いただけみたいなものでは、収録する意味がないと思ったからです。せっかくやるのだから、ピアノもボーカルもこのバージョンならではの雰囲気にしたいと思って、新たに録り直しました。ところどころでオリジナル音源とは違った歌い回しになっているので、細かいところまでじっくり聴いてもらえたらうれしいです。

──では最後に、読者にひとことお願いします。
 アニメには、日常生活では言葉にしないようなセリフや、印象的な言葉が心に響くシーンがたくさんあって、それもアニメの魅力のひとつだと思っています。『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』にもそんなシーンがたくさんあって、その主題歌を歌わせていただいたのは、とても光栄です。ぜひ劇場で、観て聴いていただけたらうれしいです。

取材・文=榑林史章

<プロフィール>
【ウル】2013年から動画サイト「YouTube」で名曲カバーを発表し、その数は100曲以上。2016年に映画『夏美のホタル』の主題歌「星の中の君」でメジャーデビューして、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の第2期EDテーマ「フリージア」を担当した。ほかに『フランケンシュタインの恋』や『コウノドリ』など、人気ドラマの楽曲なども手がけている。

<シングル「remember」情報>
9月26日発売
Sony Music Associated Records
期間限定生産盤(アニメ盤):1,800円/通常盤:1,200円

 表題曲「remember」は、アニメ映画『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』主題歌で、聴く者の心に寄り添いながら、じんわりと胸を温めてくれるバラードナンバー。カップリングとして、ダンスサウンドのラブソング「ごめんね。」や、山崎まさよしの「One more time,One more chance」のカバー、さらに「フリージア」のセルフカバーなども収録している。

期間限定生産盤(アニメ盤)

通常盤

 

《超!アニメディア編集部》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集