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早見沙織、劇場版『はいからさんが通る後編主題歌「新しい朝」は「『メッセージを伝えるための歌』と考えて、工夫しました」【インタビュー】

2018/9/21


 早見沙織
 ニューシングル「新しい朝」が発売中の早見沙織。その制作秘話を聞いたインタビューが、発売中の『アニメディア10月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。

――「新しい朝」は、劇場版『はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~』の主題歌です。竹内まりやさんとは、前編の主題歌「夢の果てまで」以来、二度目のタッグになりますね。
 「夢の果てまで」でご一緒したときは、「レジェンドに会う……!」みたいな感じで、歌以外のところですごく緊張したんです(笑)。でも今回は、すでに一度お会いしていますし、まりやさんも私がどういった歌を歌うのかをすでに理解してくださっているので、安心感はありました。

――竹内さんとレコーディングにあたって何かお話をしましたか?
 じつは、今回は直接お会いできていないんです。でも、最初にデモと一緒にまりやさんからお手紙をいただきました。まりやさんは、「人というのは、人の手ではどうにもできないショックな出来事が起こっても、そういうものも受け入れて立ち上がることができる。新しい朝を迎えて、明日へつなげることを一生懸命に生きて繰り返していくものだ」ということに焦点を当ててこの曲を作ったそうなんです。でも「歌自体は沙織さんの思うように、感じたままに“らしく”歌っていただければ」と言っていただきました。

――レコーディングにはどんな気持ちで臨みましたか?
 この曲って、シンプルなぶん、とても難しい歌だと思うんですね。ボーカルが入っていますが、物語やメッセージを伝えるためにそれがあって、歌の技巧を聴かせるためのものではないな、と個人的には感じたんです。ですから、声と音楽とのバランスは足し引きを考えていきました。それから、言葉の響きにはとても気を使いました。「メッセージを伝えるための歌」と考えて、奥まって聞こえていたものを少し前に出してみるなど、言葉が聞こえやすいようにいろいろ工夫しました。

――おっしゃるとおり、歌詞はとても普遍的なものを歌っていますよね。
 そうですね。この曲を劇場で聴く人は、作品の主人公・紅緒や物語のなかで起こった激動の日々に思いをはせると思います。でも、作品と関係ないところでこの曲を聴いたときには、自分自身の過去に照らし合わせながら聴いてもらえるような曲なのかなと思いました。ですから、あえて作品のことをあまり強く考えすぎず、自分の内側と対話しながら「この言葉を歌っているときに、すごく心を揺さぶられるな」というような、そのとき感じたことを大切にレコーディングをしました。

――ちなみに、どのあたりでとくに心を揺さぶられましたか?
 全部です(笑)。しいて挙げれば、Aメロかな。1番のAメロはぽつんぽつんと置く感じで歌っていて、声もそこまで張っていないので、自分の思い出とのリンクに心を寄せやすくて、じーんときました。2番で過ぎていく時間の流れに思いをはせると、さらに涙が出そうになりました。大泣きしちゃうと声がボロボロになるので、とにかく頑張って歌いました。

――バラード曲は、とくに早見さんの声質にピッタリな気がして、聴くと胸に迫ることが多いですね。
 キャラクターソングを歌うときもバラードが多いですし、自分でもとても好きなジャンルですね。だからこそ、どうやって思いを込めていくのかは、いつもスタッフの方と相談しながら臨んでいます。

――MVは、ドラマ仕立てなんですね。
 もともとドラマ仕立てのMVが好きなんですよ。主役の子にスポットが当たるなか、ほかのたとえばセリフのない子たちが何をしているのかに思いをはせるのが好きで。そういった私の希望もありつつ、相談をしているなかで、私が「純喫茶がいい!」と言い張った結果、このMVになりました(笑)。

――なぜ純喫茶にこだわったのですか?
 こだわりのあるマスターがいて、モダンさもある純喫茶が単純に好きだったので(笑)。透明のガラスにペンで字を書いていくのは、撮影の監督の方が用意してくださったんですが、歌詞ともリンクしていて、すごく素敵だなと思います。私は主人公たちがいる次元とは別の次元から、俯瞰的に見守るような立場という設定です。

――今回収録されるカップリングは、2曲とも早見さんの作詞・作曲ですね。曲調のバランスは考えましたか?
 多少は考えました。表題曲がすばらしくて壮大かつ、身近なバラードですから、ほかの2曲もバラードにするのはちょっと違うかな……と。牛丼でいえば、増し増し&つゆだく&紅ショウガたくさん、みたいになっちゃうので(笑)、補い合うような曲になればいいなと思って作りました。

――「メトロナイト」も「SUNNY SIDE TERRACE」も、大人っぽい雰囲気の曲ですよね。しかも、歌詞を見ると、歌の主人公はどちらも強い人、というイメージでした。
 言われてみると、確かに「強い女」というのがしっくり来ますね。でも、そういうタイプの女性像を書こうと思ったわけではないんですよ。

――ではぜひ、カップリングの制作のお話もしていただければと思います。まず2曲目の「メトロナイト」。これは、歌詞も曲もやけっぱち感がありますね。斜に構えたような歌詞と歌い方が、とても印象的でした。
 この曲は、もともとはピアノで作っていたんです。でも、そのままだと落ち着いた感じになっちゃうので、アレンジの際に「グルーブのあるギターリフがかっこよく、シンセサイザーがメロディアスに入ってきて、ちょっと都会っぽい感じにしてほしい」とアレンジャーの倉内達矢さんにお願いしました。そうしたら、今みたいなやけくそ感がある曲になったんです(笑)。

――歌詞はどのように考えられたのでしょうか?
 サビの部分の歌詞は最初にピアノで曲を作っていたときに、無意識のうちに出てきていたんです。でも、最初は「なんだろうこの文章は」と思っていて。でも、それを置いて曲を完成させ、編曲もできて、いざ歌詞を完成させようとなったときに、レトロフューチャー感と近未来感、無機質でありながら都会っぽさもある曲に、その以前出てきた謎の文章がぴったりハマったんですね。じつは、アレンジができあがるまでは、「締切が来るー!」「もう終わった……」と悶絶していたところだったので、すごく助かりました(笑)。

――この曲は、歌い方も投げ捨てるような強い感じが面白いですね。
 やさしい曲はすごく好きなんですよ。「やさしくされたーい!」といつも思っているんですけど(笑)、毒があるのも人間だし、キツい部分もまろやかな部分もあわさってその人ができていると思うので、たまには投げ捨てる感じもあっていいかなと思って歌いました。歌い方もクセを付けすぎず、でも付ける、という感じでしたね。歌うことでなじんでくるので、何度もテイクを重ねました。

――3曲目の「SUNNY SIDE TERRACE」も比較的やさしい曲なので、「メトロナイト」が2曲目に入っていると、すごく変化が感じられますね。
 洋食と洋食の間に和食というか……老舗の和食とこじゃれたカフェの間にエスニック料理を持ってきました、みたいなイメージですね(笑)。

――では、そのこじゃれたカフェ感のある「SUNNY SIDE TERRACE」についても教えてください。
 
気負わず、背伸びしずぎず、でも子どもっぽくはなく、等身大の雰囲気があったらいいかなと思って作った曲です。アレンジについては、ピアノのイメージということと、曲全体の雰囲気を伝えただけで、あまり細かいことは言いませんでした。ただ、一回リメイクをしていただいたときに、キラキラした感じが強かったので、「もう少し素朴で、テーマパーク感はなくても大丈夫です」と伝えたくらいですね。大久保薫さんのアレンジは、広がりと生っぽさが出て、より情景が浮かびやすくなったなと感じています。サビのところは多重のコーラスにしたいな、と思いつつも伝えていなかったんですが、ハモリ用の譜面がきたらすごく多くて、“まさにこれだ”と思ってうれしかったです。

――歌詞のイメージは?
 この歌詞は、まりやさんの曲に影響された部分が多いですね。まりやさんは、女性が憧れる女性観のある曲を歌われていることが多いなと感じているんです。もちろん、性別を限定している曲ばかりではないですが、今回は少し女性らしい曲が入っていてもいいかなと思って書きました。

――1枚完成してみていかがですか?
 今回、初めて久々にカップリングが2曲入って全3曲になるんです。全2曲だと表題曲とカップリングの対比になるので、それとはまた違ったカラーの曲を作ることができたかなと思っています。

――「メトロナイト」はバーか居酒屋、「SUNNY SIDE TERRACE」はカフェの雰囲気がありますが、ふだん早見さんはバーやカフェに行きますか?
 カフェはそれなりに行きます。テラス席も好きです。バーは……ちょくちょくは行きませんが、両親がソウルミュージックが好きだったので、ソウルバーに連れて行ってもらったことはありますね。でも、あんまりお酒が飲めるって言うと、お酒のプレゼントが増えちゃうんですよ(笑)。

――早見さんは声優デビューから10年を過ぎましたが、ソロ以外にもキャラクターソングもたくさん歌われてきていますね。
 今はアーティスト活動もあるので、以前ほどキャラクターソングがたくさんあるわけではないですが、キャラクターソングって本当にいろんなジャンルがあって。ソロとしての自分だったら選ばないかもしれないとか、自分には合わないかもしれないみたいな曲もたくさんいただけて、その結果知らなかった音にたくさん出会わせてくれるんです。勉強をさせてもらったことが、ソロにも活きていくし、ソロ活動がキャラクターソングを歌うときの新しい味付けになることもあるので、本当にいい経験をさせていただけているなと思います。

――ソロとしてはシングルも5枚目になりました。今後はどんなジャンルに挑戦してみたいですか?
 今はアンビエント(環境)な感じの音楽ができないかなと試行錯誤しています。空間ミュージックというか、アップダウンはないけど、じわっといいなぁと思わせてくれたり、空間全体を感じさせてくれたりするような音楽が好きなので、そういったものにも挑戦してみたいなと思っています。

――さて、ついに平成最後の秋がやってきますが、この秋にやりたいことを教えてください。
 うーん……芸術と語学の秋にしたい! 秋は音楽制作の地下作業に入るころなので、ちゃんと肉づけできる力が欲しいですね。語学は……何度もやめては何度も始めるという典型的なスタイルで今まで来ているんです(笑)。でも、最近は海外のドキュメンタリーやディスカバリーチャンネル、アニマルチャンネルにハマっているので、聴き取って理解できるように頑張りたいです。私、小学校と中学校の必修科目にフランス語があったんですね。でも、いつも教科書の序盤までしか教えてもらえないんですよ。大学でもフランス語を専攻したんですが、やっぱり序盤だけで(笑)。序盤以降も知りたいし、最近は海外のゲームのクライアントさんも増えているので、いろいろな言葉を学んで、もっと世界を広げたいですね。どこにいってもちゃんとそこの国の人とコミュニケーションを取れるようになりたいです。でも、時間はかかると思います(笑)!

――では、最後にアニメディア読者にメッセージをお願いします。
 今回の楽曲は、聴く人それぞれのための曲です。その人の形に、この曲をフィットさせてもらいたいなと思っていますので、ぜひ各々の楽しみ方、聴き方で聴いていただければと思います。もしよければ、カップリングもそのお供にしていただけたらうれしいです。

<プロフィール>
【はやみ・さおり】5月29日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属。2015年「やさしい希望」でアーティストデビュー。現在までにシングル4枚、アルバム1枚、ミニアルバム1枚をリリース。12月19日には2枚目となるアルバムをリリース予定。主なアニメの出演作は『賭ケグルイ』シリーズ 蛇喰夢子役など。

<シングル「新しい朝」情報>
発売中
ワーナー ブラザース ジャパン
アーティスト盤:1,944円/通常盤:1,296円
 早見沙織の5枚目となるシングル。表題曲は、竹内まりやが作詞・作曲を担当。自身が花村紅緒役を演じる劇場版『はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~』の主題歌だ。カップリングの「メトロナイト」「SUNNY SIDE TERRACE」は、2曲とも早見自身が作詞・作曲を手がけている。

アーティスト盤

通常盤

取材・文=野下奈生(アイプランニング)



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