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【インタビュー】原由実のアーティスト活動ラストアルバムは、これまでの感謝と愛が詰まった1枚

2018/3/12


 2012年にアーティスト活動をスタートした声優・原由実が、3月14日にリリースする3rdアルバム『YOU&ME』でアーティスト活動を休止することを発表。公私ともに仲のいい声優・今井麻美が作詞を担当し、ファンへの感謝の思いを込めた表題曲の制作についてや、活動休止を発表した今の思いをたっぷりと語ってもらった。

ファンのみなさんにも、きちんと区切りを届けたかった

――“アーティスト活動ラスト”と発表されたときには驚きがありました。いつごろから、“ラスト”については考えていましたか?
 9枚目のシングル『If you…』のリリースの少し前くらいからプロデューサーとは話をしていました。ちょうどここ1~2年くらいで、声優として新しい役柄であったりとか、朗読劇に初挑戦したり、1時間のTV番組のナレーションもさせていただいたんです。それで改めて、“声優業と歌手活動の両立”に向き合ったんですね。声優業と歌手活動をいいバランスでやれている方もたくさんいらっしゃいますが、いざ自分が、となったときに両方120%で臨むのは難しいかもしれないなと。どちらかに絞って全力で頑張ったほうが私らしく、やりたい仕事ができるじゃないかと思ったんですね。じつは『If you…』でひと区切りという話もあったんです。でも、長く歌手活動を続けさせていただいて、応援してくれる人もいるなかで「なんとなく、最近CDリリースないな……」みたいな感じで終わるよりは、ちゃんと区切りを届けたほうがいいと思ったし、みなさんに感謝の気持ちをきちんと伝えるという意味でも、はっきりとラストと言ったほうがいいだろうなと思っていて、アルバムも制作できることになりました。

――発表があった直後は、SNSなどで「キャラクターソングも歌わなくなるんじゃないか」と心配する声も見られましたね。
 スタッフさんから、「そう思っている方もいるよ」って聞いて、ちょっと驚きました(笑)。

――キャラクターソングは、これまで通り歌っていくんですよね?
 そうですね。私は歌うことの多い作品に関わらせていただくこともかなりあるので、今度からはキャラクターに集中して歌を表現していきます。自分の歌声をまったくお届けできなくなるわけじゃないということで、ファンのみなさん的の複雑な気持ちも少し解消していただけるのかなと思います。

自分らしさと思い出が詰まった「YOU&ME」

――表題曲の「YOU&ME」は、公私ともに仲がいい声優の今井麻美さんが作詞を手がけられていますね。
 本当は自分で詞を書けるなら書いたほうがいいなとは思っていたんです。でも、「あふれる想い」という曲の詞を書いたときに、1か月以上かかってしまって(笑)。今回はスケジュール的にも厳しいということもあって、麻美さんにお願いしました。麻美さんは普段の私のことやアーティスト活動についてもよく知っていますし、声優業と歌手活動を両方やっている先輩ということもあって、悩んでいるときに麻美さんに相談することも多かったんですね。もともと麻美さんの書く詞も好きでしたから、きっと麻美さんなら私の気持ちにピッタリな素敵な歌詞を書いてくれると思っていました。たしか「集大成になるような」とか「ファンの方への感謝の気持ち」とか、こういったテーマで書いてほしいというメモを渡してお願いしました。

――握手会やリリースイベントなどで起こった出来事のような、ファンの目線が感じられる言葉が入っているのも印象的です。
 私の伝えたいことはもちろん、歌手活動で大切にしてきた思いや、「おなかいっぱい」という私らしさが感じられる歌詞を盛り込んでもらえて、自分自身もこの歌詞に元気づけられる、宝物のような歌になりました。歌詞を見ているだけで思い出が蘇ってきますから、きっと聞いてくださる方にも、そう思っていただけるんじゃないかな。タイトルの「YOU&ME」は、私とみなさん、という意味はもちろん、私の名前「ゆみ」も入っているし、「夢(ゆめ)」とも取れるので、本当に深い言葉だなと感じています。

――原さんは曲選びのコンペにも参加していますが、「YOU&ME」もコンペで選んだのでしょうか?
 そうですね。アルバムに収録される新曲では「YOU&ME」と「夕凪」はコンペで選ばせていただきました。ただ「YOU&ME」は、原曲のキーが半音高くて、自分のベストのキーより少し高かったんですね。歌えなくはないけど、どうしようかと考えて原曲のキーと半音下げたキーの両方で録って、聞き比べて半音下げたものに決まりました。自分の得意なキーで歌ったバージョンのほうが、より思いを込められた気がしています。

――「YOU&ME」は明るくさわやかで前向きな曲調ですし、歌声もその曲にピッタリだなと思いました。
 曲の持つ未来への希望や笑顔感を感じつつ、握手会やお渡し会のことも思い出して歌いました。素直で私にとっても馴染みのある曲調だったので、レコーディングも比較的スムーズでしたね。

――「YOU&ME」のMV撮影はいかがでしたか?
 珍しく時間がかかって、朝9時ごろから22時くらいまで撮っていました。とはいっても、NGが多くて遅くなったわけではないんですよ。リップシンクのシーンは曲を覚えていないと間違えてしまうこともありますが、私は「先読み」という、スタッフさんに歌詞を読んでいただくスタイルで臨むので、NGは少なめでした。

――となると、何に時間がかかったのでしょうか?
 単純にカット数が多かったんですね。今回は「光と影」をテーマに、照明を使っていろいろな影を作っていったのですが、引きで撮ったあとにミドルサイズで撮り、さらに寄りで撮る……といった感じで何カットも撮っていったんです。時間はかかりましたがすごく素敵なMVになったので、ぜひその影の形もチェックしてほしいです。

――料理を作るシーンもありますよね。
 ポトフを作りますね。そういえば、ポトフの仕上がり待ちみたいなこともありました(笑)。キャラクターソングではMVを撮ることはまずないので、これが私の最後のMV撮影なんだな……と思いながら撮ったのは覚えています。食べ物が出てくるのも私らしいですよね。

――ちなみに、なぜポトフだったんですか?
 みんなとの思い出を、いろいろ煮込んで熟成させる……ってことですかね? 見ていてほっこりするし、色あざやかな感じもよかったんじゃないかなと思います。ポトフと言えば、最近はほとんど料理をしないんですが、上京してきたばかりのころは親から「自炊しなさい」と言われて、圧力鍋を持たされたんですね。それで、ポトフだけは作れたんですよ。この話はスタッフさんにはしていないので、最後のMVでそんなポトフと映像に残れたのは驚きですね。

――最近は作りませんか、ポトフ?
 圧力鍋がダメになっちゃって、その後圧力鍋って使うのが難しいな、爆発しそうだなとか、だんだん恐ろしくなってしまって。圧力鍋を使わなくなったら一気にポトフから遠ざかりました(笑)。

バラードになった2曲の新曲たち

――先ほど「夕凪」の話も出ましたが、ほか2曲の新曲が両方ともバラードだったのは驚きました。
 私もです(笑)。「夕凪」は映画の主題歌だと聞いていたんですが、レコーディングのときは、映画の全容を知らなかったんですね。アレンジ後の曲を聞いたら、レコーディングのときよりさらにしっとりしていたので、そういう映画なのかなと思ったらじつはヤンキーものだと聞いて、あれ? と(笑)。でも、エンドロールで流れると聞いて、納得しました。レコーディングは……じつはかなり前に録ったので、あんまり記憶がなくて(笑)。たぶん、それほど詰まったりしなかったので覚えていないんだと思うんです。最後のフェイク部分は頑張って録ったので、そこにも注目してほしいです。

――「いばらの灯々」はコンペで選んだのではないんですね。
 そうですね。でも、この曲は本当にお気に入りで、コンペだったとしてもこの曲を選んでいたと思います。どちらかというと、私はキャラクターソングではバラードを歌う機会が多いんですね。でも個人的には明るい曲も好きなので、ソロのときはロックや明るめの曲を選ぶようにしていたんです。「夕凪」のコンペのときもバラードが多くて、そのなかでも精一杯明るいものを選んだくらいなんです。でも、明るい曲にしたいというこだわりがなくなるくらい、「いばらの灯々」の曲が好きで。曲の持つ力が強いんだなと感じました。

――原さんのバラードは、聴くとやっぱりいいなぁって思っちゃうんですよ。
 自分でも、自分の声は若干しっとりめだなと思っているので、その気持ちもわかります(笑)。ファンのみなさんからもバラードが好きですという声も多くて、そういう意味では新曲のうち2曲がバラードになったことで、原点回帰のような気持ちになりました。「いばらの灯々」では、もともとキャストとしてTVアニメ『剣王朝』に参加することが決まっていて、そのあとでEDテーマをという話になったのですが、EDを歌わせていただくのも久しぶりだったので、すごくうれしかったです。

――「いばらの灯々」のレコーディングはいかがでしたか?
 『剣王朝』は戦いのシーンもかなり多いんですね。でも、「いばらの灯々」のメロディーには癒しの力みたいなものがあると思っているので、番組の流れで聞いてくださった方をいい眠りに誘えたらと思いながら歌いました(笑)。最初のレコーディングでは、ファルセットはあまり使わなかったんですが、プロデューサーから細かく「ここは表」「ここは裏」と指示があって、ファルセットもかなり使いましたね。この曲は、歌詞もすごく素敵なんですよ。私が作曲をした「HEART LETTER」という曲でも詞を書いてくださったワラビサコさんが今回も担当してくださって、本当に素敵な詞で「さすがだな」と感じました。

歌手活動はいろいろな挑戦をさせてくれた

――今回のアルバムは、『トワイライトに消えないで』から『If you…』まで3枚分のシングル曲(計9曲)も入っていますが、それぞれの思い出を教えてください。
 この3枚のなかだと、一番古いのが『トワイライトに消えないで』ですね。表題曲は『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』のEDにもなったこともあって、より多くのみなさんに知っていただけた楽曲じゃないかな。この曲はキーが高くてレコーディングでは苦労した記憶があるんですが、イベントなどで歌う機会がダントツに多かったので、どんどん歌いやすい曲に変化していきました。このCDに収録されている「BANG!BANG!」はゲーム『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』のOPということもあり、自分にしてはすごくラブリーなかわいい歌になりました。「水の中のファンタジー」は、睡眠音楽を作ろうと思って作った曲です。とはいえ、イベント前とかで緊張しているときは、これを聞いても寝られないんですけど(笑)。

――なるほど(笑)。次に古いのが『プリズムレイン』ですよね。この1枚は、和ロックあり、R&Bありとかなりバラエティーに富んだ1枚でしたね。
 この1枚では、さまざまな方向性の曲に挑戦できてすごく楽しかったです。曲の方向性が全然違っていたせいか、リリース後にファンのみなさんの好みがすごくわかれたのが印象的でした。曲の方向性が3曲とも違うというのは、この次にリリースした「If you…」でも流れを汲む感じになりましたね。

――「If you…」はEDMでしたよね。
 そうですね。これは私がEDMを歌いたいって言って選んだ曲です。そういえば、普段はカップリング曲は全部違うコンペで選ぶんですが、「If you…」と「moonlight story」は同じコンペで選んだという珍しい曲でもありました。あとは、「Oh, love to ya!」はとにかく作れてうれしかった曲で。

――すごくいい曲だなぁと何度聴いても思うのですが、毎回途中で「大戸屋の曲だ……」って気づいてちょっと笑ってしまいます(笑)。
 そうなんですね(笑)。この曲は“大戸屋愛”をとにかくこめたくて歌詞にこだわった楽曲で、すごく思い出に残っています。別の作詞家さんにお会いしたとき、その方にもコンペの依頼があったみたいで「原さん、大戸屋の曲作ろうとしてなかった?」って聞かれたのもいい思い出ですね(笑)。

――今回、アルバムの曲順についてはどうやって決めたのですか?
 これは、スタッフさんが決めてくれました。自分のなかでは「Place of my life」が自分を表したような大切な位置づけの曲だったんですが、「トワイライト」も柱のひとつになってきたイメージだったので、「YOU&ME」で始まる最後のアルバムを「トワイライト」で締めてくださって、すごく素晴らしい曲順だなと感じました。

6月は、とにかく素敵なライブを作りたい

――6月10日には下北沢GARDENでのラストライブの開催も決まりました。
 最初はライブをする予定がなくて、ラストアルバムを発表したあとに、たくさんの方から最後にライブをしてほしいという声をいただいたんですね。私自身も、みなさんと近い距離で、みなさんの声をたくさん聴いて活動をしてきたので、締めくくりのライブで素敵な思い出を作りたいなと思うようになって、スタッフさんにお願いしたんです。正直、会場が見つからなければ、リリースイベントで曲数を増やそうかという相談もしていたんですが、見つかってよかったです。ライブが決まったよと報告したあとにも、「本当はしてくださいって言いたかったけど言えませんでした」というメッセージもたくさんいただいたので、決まって本当にホッとしました。

――原さんとしては、ファンの方から意見は言ってほしいほうですか?
 そうですね。もちろん、言っていただいたことを全部かなえられるかといったらそれも難しいんですが、言ってもらえることで気づくこともたくさんあるので、ぜひ遠慮せずに言っていただきたいです。

――6月のライブでは、どんなことをしたいですか?
 まだ全然決まっていないので、もしかしたらここで言っていたことがかなっていないかもしれませんが、過去のライブで着た衣装を着られたらと思っています。みなさんから投票していただいて、みなさんのなかで一番着てほしい衣装を選ぶというのもやりたいですね。髪形がその時々で変わるので、今の髪形で昔の衣装を着るのも貴重かなと思って。あと、ライブでは弾き語りをしていたこともあるんですよ。ギターはもうたぶん3年くらい触っていないので、どうしようかな……と考え中です。

前を向いて進む気持ちを応援してほしい

――改めて、アーティスト活動をしてきての思い出は?
 リリースイベントではいろいろなコーナーを作ったんですが、やりすぎて何をやったか覚えていないんですよ(笑)。犯人当てゲームをやったり、ティッシュをこよりにして線香花火を作ってプレゼントしたりした気がする……。今考えると、なんだよこれって感じですよね(笑)。

――そこまでフレンドリーなイベントってなかなかないので、ファンのみなさんは、きっとうれしかったと思いますよ。アーティスト活動を続けてきて、何を得たなと思いますか?
 度胸は昔よりついたんじゃないかな。キャラクターソングのときは、基本的にキャラクターありきですから、スタッフさんの指示をていねいに表現することに気持ちを持っていくんですね。でも、個人名義だと自分の名前で世に放たれるので、後悔したくないという気持ちが芽生えるようになって。自分の意見を言うのってすごく得意なわけではないし、今でもバンバン言うタイプではないんですが、それでも自分が感じたことをちゃんと伝えて、どう思いますか?と聞くくらいはできるようになりました。

――率直にうかがいますが、「アーティスト活動ラスト」と発表してさびしさはありませんか?
 そうですね……。リリースイベントもライブも、ファンのみなさんと過ごす時間はすごく楽しいものだったので、さびしくないと言えばウソになります。でも、基本的に決めるまでには悩みますが、決めたら前に進むタイプなんですね。昔、郵便局を辞めるときも、周りはいい方ばかりだったし、「もったいない」と言われたりしてすごく葛藤したんです。でも、声優になると決めたからには前を向いて進もうと思ったので、今はそのときの心境に近いですね。事前にみなさんにラストだと伝えられたからこそ、この先のリリースイベントやライブで思いをしっかり届けたいという気持ちにあふれています。

――では、最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
 2012年から5年7か月の間、本当にたくさんの思い出ができましたし、たくさんの経験をさせていただきました。その想いを込めた作品にしたくてアルバム制作に臨みました。多くの方に手に取っていただいて、私のラストの思いを受け取っていただけたらうれしいです。今後は声優として新しいことに挑戦していけるように頑張っていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

<PROFILE>
原由実【はら・ゆみ】
1月21日生まれ。大阪府出身。アーツビジョン所属。2012年8月にシングル『HANABI』でソロ活動を開始。これまでにシングル9枚、アルバム2枚をリリース。声優としての主な出演作は『オーバーロードⅡ』(アルベド)、『ラーメン大好き小泉さん』(高橋潤)など。

<リリース情報>
アルバム『YOU&ME』
5pb.Recordsより3月14日発売
BD付数量限定盤:4,536円
DVD付盤:4,104円
通常盤:3,240円

<LIVE情報>
原由実ファイナルソロライブ「Message」
6月10日(日)東京・下北沢GARDEN
開演 17:00
開場 17:30

原由実公式HP
http://5pb.jp/records/sp/yumi/



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