【インタビュー】『魔法使いの嫁』EDテーマでメジャーデビュー! 糸奇はな「環-cycle-」インタビュー | 超!アニメディア

【インタビュー】『魔法使いの嫁』EDテーマでメジャーデビュー! 糸奇はな「環-cycle-」インタビュー

放送中のTVアニメ『魔法使いの嫁』のEDテーマ「環-cycle-」を11月1日にリリースした糸奇はな。その制作秘話を聞いたインタビューが、11月10日発売の『アニメディア12月号』に掲載される。「超!アニメディア」では …

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 放送中のTVアニメ『魔法使いの嫁』のEDテーマ「環-cycle-」を11月1日にリリースした糸奇はな。その制作秘話を聞いたインタビューが、11月10日発売の『アニメディア12月号』に掲載される。「超!アニメディア」では本誌記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。

ーー“糸奇”という名前は本名ではないですよね。どういった意味でつけたんですか?
 糸と奇を合わせると「綺麗」の「綺」という字になるのですが、「綺麗」という言葉のなかに、奇妙とか怪奇、猟奇的といったゾッとする言葉に使われる「奇」が入っているのが面白いと思って。それと、刺繍をするのが好きなので、“糸奇”という名前にしました。

ーーなるほど。自然とか日常とかの美しいものがあって、その中には怖いものも潜んでいて……という、糸奇さんの音楽の世界とも通じるものを感じますね。
 はい。綺麗なもののなかに潜む、いびつさや影も含めた表裏一体のもの……美しいものが壊れるときの一瞬が、また美しさだったり。そういうものを表現していきたいと思っています。

ーー刺繍と言えば、アーティスト写真で、手に持っているのが刺繍用のハサミだそうですね。
 はい。私がいつも使っている刺繍バサミです。アー写は私の手をレントゲン撮影したものなんですが、どうしてこういう写真にしたかというと……物事の表面には表れない本質、神髄にあるものという意味で、顔とかではなく先にその本質や神髄=声と心を届けたい、という気持ちを込めています。

ーー独自の感性をお持ちの糸奇さんですが、『魔法使いの嫁』のEDテーマ「環-cycle-」でメジャーデビューが決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
 本当にとても嬉しくて、ジワジワくるような、風がフワ〜とくるような喜びでした。「環-cycle-」はzabadakさんの作詞作曲で、今までは自分でトラックも歌詞も作って歌っていたので、歌唱の部分のみでも必要としていただけたことも、とてもうれしかったです。

ーー「環-cycle-」は、歌ってみてどんな印象ですか?
 人間のエゴとか狭いものとはかけ離れた、山とか花とか水とか、すごく広いイメージです。歌詞からは“花が枯れて寂しいけど種になってまた咲く”みたいな生命の循環を感じました。その無情の繰り返しを嘆くことも飽きることもなく続けて、“何度でも新しい空を見せてあげよう”ということを歌っています。“いつか死ぬ”というあきらめが存在しつつも、前向きな希望がある歌詞だなと思いますね。色で言うと水色と白と透明みたいな。
 曲中に「還る場所」という言葉があるのですが、『魔法使いの嫁』のなかでも「家に帰ろう」というセリフが出てくるので、曲と作品とがリンクしていて、この言葉に温かみや安心感を覚えました。私が書くオリジナル曲では決して出てこない言葉もたくさんあったので、こういう歌が歌える人になりたいと思いました。

ーー民族的な感じやクラシックの要素がありながら、でも現代的なポップスとしても成立していて。どことなく、森のなかにいるような音楽だなと思いました。
 実際にレコーディングブースでは、自然のなかにいると思いながら歌いました。自然のなかの花や木になった気持ちで歌ったので、そういう印象を抱いていただけたのはとても嬉しいです。
 サウンドは、クラシックの要素もありますし、スタイリッシュな音色や雰囲気も感じつつ、でも完全にそっち方面というわけではなくて、日本的なポップさもある。ちょっとプログレっぽい音色とかも感じますね。聴くたびに新しい音に気づいてもらえる、素敵な曲だなと思います。

ーーハイトーンのウィスパーの歌い方は昔からなのですか?
 もともとは普通にロックシンガーやジャズシンガーなどが力強く歌う姿に憧れていました。音楽をやりたいと思ったときに、しっかりと発声の基礎や音楽理論を学んだ上でやりたいという意志があったので、声楽を学んでオペラなどをやっているうちに、地声で歌うやり方を忘れてしまって(笑)。
 5年前に初めて楽曲を宅録してアップしたとき、どう頑張ってもこの歌い方しかできなかったんです。でもその声を「いい声だ」とか「こんな歌い方をする人は初めてだ」と言っていただいて。この歌い方でもいいんだと思って、よりこのスタイルを突き詰めていった感じです。

ーーカップリング曲の「EYE」は糸奇さん作詞作曲のオリジナル曲ですが、こちらも「環-cycle-」と通じるものを感じました。
 私はこれまでの曲で、“何も見たくないし目を閉じていよう”と、そういうことばかりを歌ってきました。その私が、この曲では“僕は見たい”と真逆なことを歌っていて、それは私にとってすごく大きな変化でした。メジャーデビューが決まる前に作っていた曲ですけど、今回メジャーデビューシングルのカップリングにこれを選んだのは、きっと今の自分の前向きさを表したいというのがあったと思います。
 ただ、歌詞には「僕はまだこの世界を見捨てない」というフレーズもあって、これは主人公が世界も自分のことも見捨ててしまいそうなほど絶望していることの裏返しです。現実が醜いほど憧れがまぶしく映るもの。前向きだけではない、その裏側もしっかり描きたいと思いました。『魔法使いの嫁』の1話の冒頭に出てくる、(主人公)チセちゃんの諦めきった目ともきっと通じるかなと思います。『魔法使いの嫁』のEDテーマというところでこのCDを手に取った方にも、作品と通じるものを感じてもらえたらうれしいです。

ーー楽器だけじゃない、いろんな音が入っていますね。
 木のおもちゃを使った音、ベルのジリリリという音やネジを巻く音など、子どもの頃に戻ったような懐かしい音がたくさん入っていますね。オリジナル楽曲では初めて、ストリングスなどの生楽器を入れていただいたのもうれしかったです。実は、初めて動画投稿したオリジナル曲「夢日記」に出てくるピアノの旋律がそのまま出てきたり、ネジを巻く音は「夢日記」の「あの日ネジをなくしたオルゴールが鳴る」という部分に通じているなど、いろいろな仕掛けもあります。気づいた方がいたらうれしいです!

ーー漫画やアニメ、ゲームは、どんなものがお好みですか?
 現在進行形で買っているのは『累-かさね-』と『宝石の国』です。過去作品では、『魔法陣グルグル』がすごく大好きでした。アニメは『ノワール』と『少女革命ウテナ』ですね!
 ゲームも大好きです。ゲームは、物語があって音楽があってビジュアルがあって……、ある種オペラのような総合芸術性を感じます。最近では、今年日本版が発売された『UNDER TALE』が最高でした。音楽もストーリーも素晴らしくて、何年かぶりにゲームで泣きました。その勢いで作者のトビー・フォックスさんに「感動しました」とファンメールを送ったらお返事をくださって。そのご縁で、今年2月にリリースしたインディーズ2ndシングル「ROLE PLAY」にコメントをいただいて、本当にうれしかったです!

ーー糸奇さんは、イラストや映像などもご自分で制作されていて、pixivでもたくさん発表されていますよね。
 はい。浮かんだものを形にするのが好きで。美術の勉強をしてきた方にはかなわないのですが、自分のなかで浮かんだものを絵や音楽で形にすることが好きです。夢中になって作業をしている時間は、私にとってかけがえのない時間だと思っています!

(取材・文=榑林史章)

◆プロフィール
糸奇はな【いとき・はな】クラシックや声楽を学びながら独自の音楽世界を発展させ、2012年から動画投稿・共有サイトで楽曲を発表している。2016年にインディーズデビューを果たした。音楽、イラスト、動画、刺繍など、さまざまな表現手段を用いて創作活動を行うマルチアーティストである。

 

<シングル「環-cycle-」情報>
発売中
フライングドッグ
通常盤:1,296円
表題曲は、zabadakの吉良知彦が作曲、同じく小峰公子が作詞、編曲は吉良と共に元zabadakのメンバー上野洋子が担当。民族的な楽器を用いながらポップスとして昇華させた楽曲で、原作の世界観を見事に体現した。カップリングには糸奇のオリジナル曲「EYE」を収録。生楽器と打ち込みが自然に一体化したサウンドで独自の世界観を展開している。

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《超!アニメディア編集部》
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