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『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』シリーズ構成・福井晴敏が名作をリメイクする際に念頭に置くのは「意識しないこと」【インタビュー】

2019/3/20


 不朽のSFアニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を現代の技術で蘇らせた作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)。2017年2月に第一章が上映された『2202』のシリーズも2019年3月1日より上映がスタートしている第七章「新星篇」<最終章>をもっていよいよ完結する。超!アニメディアではシリーズ構成を担当した福井晴敏にインタビュー。完結を迎えた心境や本作で伝えたかったことなどをうかがった。

ーー『2202』も第七章でいよいよ完結します。いまの心境を教えてください。

 よく映画はお客さんに観てもらって完成するといいますが、今回はそれを痛感しています。『機動戦士ガンダムUC[ユニコーン]』の最後が上映されるときと似ていますね。観てくださる皆さんの声が返ってこない限りは手ごたえも分からない。声を聴いてようやく「終えられた」とも思うんじゃないかな。ただ、やることは全部やりましたし、思った通りのものは出来上がったという安心感はあります。

ーーやることは全部やったとのことですが、そもそも『ヤマト』をリメイクしてほしいと言われたときはどんなお気持ちでしたか?

 まずどうしようかなと。『さらば』(1978年公開映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』)をやってくれと言われた訳ですから。しかも『さらば』は最後にみんなが特攻するという点で物議をかもした作品でもあった。今だとその点を映像化するのはよりシビアですよね。一方でその特攻に収斂するという物語でもあったので、それを現代に甦らせるにはどうすればいいんだろうと悩みました。ただ、これを逆手にとろうと思いついて描いたのが『2202』なんです。

ーーこれまでのシリーズにはなかった時間断層やキーマンというキャラクターもその思いつきには必要だった。

 そういうことです。結末を決めたときから必要なものしか作っていませんし、新たに描き起こしてもいません。

ーーとはいえ、過去の名作をリメイクするということで意識された点もあったかと思います。

 むしろ意識しませんでした。というのも、例えば自分が大好きな作品で思い入れがありすぎるもののリメイクだと、単にその人が作りたい、観たいだけの作品になってしまう可能性があるからです。今回、俺がシリーズ構成に選ばれたのもそこが理由のひとつかなと思います。もし俺が『ヤマト』マニアだったら、少なくとも物語づくりのところにはいないほうがいい。

ーー偏ってしまうから?

 そうです。俺が好きなものができるだけになっちゃう。

ーー『さらば』が好きなら、絶対にあの結末にしなければと固執していたかも。

 そういうことです。もちろん、そういう「好き」ということが求められるときもありますが、本作はそうじゃない。最初からお客さんの数が決まっちゃうような作り方ではなくて、より多くの方々が劇場に足を運んでもらえるようなものにしなくてはいけなかったんです。

ーー一方で、羽原信義監督をはじめ、『ヤマト』への思い入れが強いスタッフの方々も本作には参加されています。

 羽原さんは『ヤマト』に思い入れがありすぎなくらいでした(笑)。ただ、俺が「今回はこうするんだ!」という独断でやっていたら『ヤマト』じゃなくなっていた可能性があるので、結果的にはいいバランスで進めることができたんじゃないかなと思います。『ヤマト』というタイトルを使うからには、「これが『ヤマト』だよね」という要素がないとダメですから。その点で監督たちに助けられました。

ーー羽原さんと意見が対立することもあったのではないでしょうか?

 あったとしても、もうお互いにこの仕事も長いので。そこは問題が起きてもどのくらい押して引けばいいのかは分かっています。「もうお前とは仕事しないからな!」ということにはならなかったですよ(笑)。

ーー福井さんは『ヤマト』という作品にどのような印象をお持ちでしたか?

 私が知ったときはもう名作としてそこにありました。いわゆるヤマト世代というのは中学・高校生くらいに最初の『宇宙戦艦ヤマト』を観て、最も多感なときに『さらば』を観ていた、俺より少し上の世代でしょう。彼らが『ヤマト』によって受けたのはアニメーションという新しい娯楽の媒体ができたということだったと思います。それまでは子供向けのものがほとんどだったのに、大人になってからも追いかけていくであろうものがアニメでも作れるんだというのが『ヤマト』だったのではないでしょうか。

 俺くらいの世代だとそれがもう当たり前になっていました。とはいえ、『さらば』を最初に観たときは滂沱の涙でした。アニメでこんなにも切ない気持ちにさせられるんだと子供ながらに感じた記憶があります。お兄ちゃん、お姉ちゃんが夢中になっていたのも分かりました。ただ、この気持ちは俺世代ならみんな同じような気持ちになっていたんじゃないかな。そういう意味でも『ヤマト』への思い入れは人並みだと思います。

ーー『2202』は『さらば』をベースにしたリメイク作品ではありますが、他に参考にされた作品はありましたか?

 参考ではないのですが、この作品が出来上がったあとにこの映画は同じ発想で作られたんじゃないかと思ったのが『メッセージ』(2017年公開)です。

ーーそれは、どういった点が……

 それを言うとネタバレになっちゃう。まだ六章までしか観ていないお客さんが『メッセージ』と言われてもピンとこないと思いますが、結末まで観ると「あー」ってなるんじゃないかな。ひとつ言えるのはギミックとして似ています。今の時代、これまで荒唐無稽だった別の次元に目を向けるというのが、科学の理論や宗教観などからもそれらしい形になってきました。もしかしたら人間は本当にそっちのほうに向かうかもしれない、数十年後、今の時代を振り返ると予兆は始まっていたというくらい、大きな流れが世界中で起き始めている気がします。『2202』も『ナラティブ』(『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』)も間違いなくその渦中にはあります。これは、まだ何を言ったところで実証できるものではありません。ただ、10年、20年後に観たときに「こっちに向いていたんだな」と思うかもしれないという作品が作れたと思います。

ーーその発想の答えや『2202』で伝えたかったことは、結末まで観ればきっと分かるということですね。

 そうですね。伝えたい点でいえば、昔から『ヤマト』を見続けていた方はきっと自分が生きてきたこの年月は何だったんだろうと振り返るだろうし、過去シリーズのことを知らず、『2199』からご覧になったという若い世代の方々はこの7年は何だったんだろうと思い返すことにもなると思います。

ーー7年、ですか。

 7年というのは『ヤマト』には直接関係ないところ。人間が大きなことにぶち当たったときに、そのあとの変遷で何を手に入れて何を失ったのかを考えるきっかけになるのではないかと思います。

ーーここまでお話いただきありがとうございました。最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。

 今までの『2202』は劇中で必ず誰かが、愛する人か多くの人の命か、子供か仲間かなど悪魔の選択を突き付けられてきました。今回は悪魔の選択ではありませんが、最後に選択を突き付けられるのは皆さんです。別に画面の向こうからキャラクターが語り掛けるわけではありませんが、自分だったらどうするだろうというのをナチュラルに感じると思います。いま日常を過ごしているあなたが右か左かと言われ、その選択により未来が大きく変わるかもしれない、それを考えさせられる結末になっていると思います。

 『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』 第七章「新星篇」<最終章>は全国35館にて大ヒット上映中。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』公式ホームページ 
yamato2202.net
公式twitter 
@new_yamato_2199

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会



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