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大ヒット公開中の『ドラゴンボール超 ブロリー』について監督・長峯達也「悟空が前へ進むためにブロリーは必要」【インタビュー】

2018/12/19



 12月14日より公開された『ドラゴンボール超 ブロリー』が、公開3日間で82万人以上を動員し、10億5千万円以上の興行収入を記録。幅広いファンを集め、大ヒット公開中だ。より強い奴と戦うため、修行に明け暮れる孫悟空とベジータ。そこに、サイヤ人のブロリーが現れ……。サイヤ人VSサイヤ人の熱いバトルが展開する本作の監督・長峯達也のインタビューが、「アニメディア1月号」に掲載中。超!アニメディアでは、紹介できなかった部分を含んだロング版をご紹介する。

――今回、ブロリーの登場は、どの段階で決まっていたのでしょうか?
 僕が制作に参加した段階で、すでにシナリオは出来上がっていて、極力セリフは変えないでほしいという要望もいただいていました。もともと、ブロリーというキャラクターは、僕の師匠である山内重保さんが監督を務めた映画『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!! 熱戦・烈戦・超激戦』(1993年公開)に初めて登場していたんですね。その映画がとてもすばらしいものだったので、正直、恐ろしさもありましたが、引き受けたからには『ドラゴンボール』を届けなくてはという思いでいっぱいでした。

――長峯監督の考える『ドラゴンボール』とは、どのようなものですか?
 長い時間、多くの人に愛されて“みんなが大好きな『ドラゴンボール』像”がある作品でしょうか。ですから、今回の映画の制作にあたり、みんなで観て、すごく面白かったねと言ってもらえる、お祭のようなものにすることを意識しました。そういう意味では、長峯個人が考える『ドラゴンボール』はいらないと思っていたんです。実際、個人的な思い入れは作らず、なるべく客観的に、それでいてバトルシーンは観た人たちが熱くなれるものを目指しました。
 鳥山先生の描かれる『ドラゴンボール』って、僕はシニカルで突き放した部分も多いと思っているんですね。例に挙げると、チライのキャラ性ですね、若いので深く考えないで行動する。深みがないのがリアルで深い鳥山キャラクターで、チライ役の水樹奈々さんにも「力を入れすぎず、浅い芝居をしてください」とお願いして驚かれました。もともと演技の上手な方ですから、逆に結構苦戦されていましたね。

――バトルシーンを描くにあたって、特に工夫された点を教えてください。
 実は、いただいたシナリオ通りに作ると、予定していた上映時間の倍になっちゃったんですよ。セリフは極力変えられない、でも時間は縮めなくてはいけない……と考えて、いろいろと試行錯誤を繰り返しました。時間を短縮すること自体は、それほど難しいことではないんですが、ただ短くするだけだとただのダイジェスト作品で、見せ場も何もなくなってしまうんです。バトルシーンでの超サイヤ人への変身は、すごく簡単なように見えますが、変身シーンとかパワーアップシーンは作品の大きな見せ場でもありますから、簡単に変身したようには見せたくなくて、間や、変身する理由を考えながら演出をしました。

――後半になるに従って、どんどんバトルがハードになっていきますよね。
 それが『ドラゴンボール』らしさのひとつかなとも思います。今回の物語は、最終的にはブロリーが倒されずに終わってしまうので、カタルシスを感じられないんじゃないかという不安があったんですね。ではどうすればいいかと考えたときに、これは観ている人たちに「ブロリーに死なないでほしい」と思ってもらうしかない。それもあって、手に汗を握る展開を立て続けに入れこんでいきました。クライマックスのかめはめ波のシーンは、馬越(嘉彦※1)さんに原画をお願いしたんです。その前のシーンでは、林(祐己※2)さんとか久保田(誓※3)さんにも参加してもらったんですが、どんどん僕の描いた絵コンテとは違うものがあがってきて(笑)、でもすごいからいいや、みたいな感じでしたね。かめはめ波のシーンを撮影してくれた旭プロダクションの方は、「命をかけます」とまで言ってくれて。ものすごく熱量のあるバトルシーンを描いていけたと思っています。

――悟空たちとブロリーとのバトル中、かけ声のような声が入るのも印象的でした。
 海外だとバトルシーンって、敵味方関係がなく「どちらも応援しよう」という雰囲気があるんです。それにヒントを得て、悟空とブロリーを対等に盛り上げたいと思い、掛け声的な効果も入れてみました。バトルシーンはものすごく力を入れて作りましたから、何度も観てほしいんですね。それで、いろいろなギミックを追加した感じです。
 バトルシーンを始めたら、30~60カットは止めてはいけないという、山内さんの教えがあります。1カット2秒ですから、そうすると音楽は1分半。そのくらいないと、バトルを展開して盛り上がることができないと言われていました。ですから、今回、バトル中に音楽をかけるときは、なるべく音楽がかかる時間を長くすることも意識しました。アクションのコンテを描くときは気持ちとしては流れをできるだけ止めないように息を止めて潜水をしているような気持ちでしょうか。こうして振り返ると、バトルは気持ちよければいいといいながら、いろいろ計算して作っていましたね(笑)。

――悟空とブロリーの関係性については、どう捉えていますか?
 僕は、今回の物語は「サイヤ人の物語」だと捉えているんです。そして、悟空とベジータが、ブロリーを育て直す話かなと。ブロリーはお父さんのことが大好きだけど、お父さんはブロリーが暴走したら自分は殺されるかもしれないとおびえて、最低限しか接してこなかったと思うんですね。しかも、ブロリーをベジータ王への復讐の道具くらいにしか思っていない。そんなブロリーが、チライたちと出会ってメンタル的に成長し、悟空たちと出会ってフィジカル的に成長していく。抑圧のない喜びを、彼は感じていたと思います。悟空は悟空で、まだ強大な同胞がいたことで、自分はもっと成長できると感じただろうし、ブロリーが「純粋なサイヤ人」であることも認めたんだと思うんですね。だから、最後に「カカロットだ」ってサイヤ人としての名前を名乗ったんじゃないかなと。悟空たちが今後前へと進んでいくために、ブロリーは必要だったのかなと感じています。

――今回は、フリーザも面白い役どころだったなと感じました。
 現在のフリーザは、どうやって劣勢のなかから上り詰めようかを考えている最中だと思います。今回、フリーザ軍も復活して、宇宙船も増量しておきましたし(笑)、兄弟設定もあるし、今後も見逃せない存在になると思います。鳥山先生からも「スペース(宇宙)感を出してほしい」というご要望をいただいたので、そのあたりも工夫しましたね。

――ほかに、鳥山先生からはどんな要望がありましたか?
 「ウィスとビルスが出てくるときは、何か食べていてほしい」というオーダーがありました。ビルスが地球を壊さないのはおいしいものがあるからなので、それをしっかりと出したかったのかなと思っています。
 僕としては、とにかくまず鳥山先生の作ってくださったシナリオから加えない、引かないことを意識し、シナリオが要求するものを達成できるように頑張りました。スタッフもみんな頑張ってくれたと思うので、ぜひ劇場でご覧になっていただけたら幸いです。

※1
馬越嘉彦さん:アニメーター。主な代表作は『ハートキャッチプリキュア!』キャラクターデザインなど。

※2
林祐己さん:アニメーター。主な代表作は『京騒戯画』キャラクターデザインなど。

※3
久保田誓さん:アニメーター。主な代表作は『ワンパンマン』キャラクターデザインなど。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

〈映画『ドラゴンボール超 ブロリー』情報〉
12月14日(金)全国公開

■スタッフ 
原作・脚本・キャラクターデザイン:鳥山明
監督:長峯達也 
作画監督:新谷直大 
音楽:住友紀人 
美術監督:小倉一男 
色彩設計:永井留美子 
特殊効果:太田 直 
CGディレクター:牧野 快 
製作担当:稲垣哲雄
製作:「2018 ドラゴンボール超」製作委員会
配給:東映
配給協力:20世紀フォックス映画

■声の出演
野沢雅子
堀川りょう
中尾隆聖
島田 敏
久川 綾
古川登志夫
草尾 毅
山寺宏一
森田成一
宝亀克寿

■主題歌:「 Blizzard 」三浦大知(SONIC GROOVE) 
■製作:「2018 ドラゴンボール超」製作委員会 
■配給:東映 
■配給協力:20世紀フォックス映画

『ドラゴンボール超 ブロリー』公式サイト
www.DBmovie-20th.com    

『ドラゴンボール超 ブロリー』公式twitter 
@DB_super2015

 

©バードスタジオ/集英社 ©「2018ドラゴンボール超」製作委員会



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