『ONE PIECE FILM RED』池田秀一インタビュー「シャンクスは多面性のある人物だから演じていて面白い」 | 超!アニメディア

『ONE PIECE FILM RED』池田秀一インタビュー「シャンクスは多面性のある人物だから演じていて面白い」

アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』シャンクス役の池田秀一さんにインタビュー。

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『ONE PIECE FILM RED』場面カット (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
  • 『ONE PIECE FILM RED』場面カット (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
  • 『ONE PIECE FILM RED』メインカット (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
  • 『ONE PIECE FILM RED』場面カット (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
  • 池田秀一
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 アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』が、2022年8月6日(土)より全国で公開。コミックスの全世界累計発行部数が4億9000万部”を超える原作マンガ『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏が総合プロデューサーを務める本作は、物語のキーキャラクターであるシャンクス、そしてその娘のウタが登場することで話題となっている。

 そんな本作について、シャンクス役の池田秀一さんにインタビュー。作品の見どころに加えて、本作のテーマとなる「歌」「家族」についてもお話を聞いた。

シャンクスは多面性のある人物

――『ONE PIECE FILM RED』というタイトル通り、本作はシャンクスが大きく関わってくる映画になります。

 シャンクスが映画に出るかもしれないという話はずいぶん前に聞いていたのですが、その時は「ルフィがちょっと思い出してくれるのかな」という程度の出番だと思っていました(笑)。ところが、制作が進んでいくうちにタイトルが『RED』になると発表されて、「えっ」と思いまして。これはちょっと思い出してくれる程度の話じゃないなと察しました。

――実際にシナリオを読んだときの感想を教えてください。

 素敵なシナリオでした。シャンクスにウタという娘がいたことを知らなかったので、これまでにない新鮮さを感じましたね。よく考えてくださったなと思います。ウタに関しては、アフレコが始まる前に尾田先生が描いていたウタの年表をいただきました。そこにはウタとシャンクスがいつ出会って、どういうことがあったのかという説明が書かれていたんです。監督とも1、2時間ほどアフレコの前にお話をしました。今回のシナリオについて丁寧に説明してくださり、すごく熱意が伝わってきましたね。「監督がやる気満々だからいい加減にはできないなぁ」と、僕も一層気合が入りました(笑)。

――本作を含めて、長年シャンクスを演じてきた池田さん。演じる身としては、シャンクスをどういう人物だと捉えていますか?

 ルフィに麦わら帽子を渡すエピソードでのシャンクスが印象的で、演じる際に戸惑ったこともよく覚えています。最初は「お前なんかが海賊になれるか!!」とルフィをからかったり、宴で盛り上がったり、山賊に酒を頭から浴びせられても笑い飛ばしたりしていて、豪放磊落な人物だと思いました。ただ、その山賊たちがルフィをいたぶりつけたときには「おれは友達を傷つける奴は許さない!!!!」と言い放つなどカッコいい面も見せます。

 その後、海に落とされたルフィを助ける際に自分の腕が近海の主に食われてしまうものの、どうってことないという表情でルフィを抱きかかえていました。一話だけでこれだけの表情を見せてくれたので、すごく多面性のある人物だと感じましたね。三枚目なところがあるキャラクターはそれまであまり演じたことがなかったので戸惑いもありましたが、とにかく面白かったです。

――これまではどちらかというと、一本筋を通しているキャラクターが多かった。

 例えば『機動戦士ガンダム』のシャアは、三枚目な面は出しませんからね。それはそれでいいんですよ。シャアはそういうところは絶対に見せないので。シャンクスと出会うまではシャアに似たエリートキャラクターを演じることが多かったので、新鮮でしたね。いいキャラクターと出会えました。

映画の注目ポイントはシャンクスの表情

――本作は「歌」がキーワードになっています。池田さんご自身はこれまで音楽から何か影響を受けた経験や思い出はありますか。

 20代の頃、好きな音楽を聞きながらお酒を飲んで、一人で勝手に「そうだよなぁ」と納得しながら泣いていました(笑)。ライブなどでその方々の音楽を聞くと、今でも当時の自分がよみがえってきます。その時の空気、匂い、風、思い出が戻ってくるんですよ。音楽って素敵ですよね。僕は中島みゆきさんや井上陽水さんをよく聞いていました。

――池田さんにとって音楽というのは、当時の記憶を呼び起こしてくれるもの。

 そうです。音楽って不思議ですよね。中学生の頃の音楽の授業で、レコード鑑賞する日があったんです。当時はクラシックなんて興味なかったし、既に子役として仕事をしていたので、「音楽鑑賞か、よかった。眠れる」くらいにしか思っていませんでした(笑)。ただ、ある日の音楽鑑賞の時間にベートーヴェンの『田園』を聞いて、衝撃を受けたんです。それまでは、クラシックなんて堅苦しくて冗談じゃないよと思っていたのに、いきなり目覚めたというか。それから、クラシックも聞くようになりました。何で突然あんな感覚になるんだろう。

――不思議な魅力がある。

 ですね。言葉がないじゃないですか。言葉がなくても感動するというのが、不思議だなって思うんです。音楽の力ってすごいな。

――本作は「家族」もキーワードのひとつとなっています。池田さんにとって「家族」とは、どのような存在ですか?

 僕は小学生になる前に親父とおふくろが離婚して、おふくろが片親でずっと育ててくれたんですよ。子役として仕事をしていると、仕事場で家族ができるんです。ディレクターさんやスタッフさんが一生懸命に色々とやってくれて、お父さんのような存在でした。

――家族は血のつながりで決まるものじゃない。

 うん。血のつながりも大事なのかもしれないけれど、それ以外に築き上げられるものもあると思います。

――映画『ONE PIECE』がいよいよ公開となります。最後に、池田さんが思う本作の見どころを教えてください。

 一足先に映像を拝見しましたが、まるでライブでした。物語中に歌がたくさん入ってきて、それをドラマと渾然一体とさせることは大変だったと思います。それが上手くつながっていましたね。また、シャンクスの表情が非常に印象的でした。本作には、シャンクスが「ニヤッ」っとするシーンがあるのですが、そこは顔全体を映さずに、あえて口だけのアップになっているんですよ。口のアップだけでシャンクスの気持ちを表現した監督はすごい。ここでこんなに監督を「よいしょ」してもしょうがないけども(笑)。でも、監督をはじめ、色々な方の熱がこもったフィルムになっているのは間違いないので、楽しみにしていてください。

取材・執筆=M.TOKU

プロフィール
池田秀一【いけだ・しゅういち】12月2日生まれ。東京都出身。東京俳優生活協同組合所属。主な出演作は『機動戦士ガンダム』、シャア・アズナブル役、『名探偵コナン』赤井秀一役、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」(語り)ほか。

『ONE PIECE FILM RED』作品概要
公開日:2022年8月6日(土)
原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:谷口悟朗
脚本:黒岩勉
音楽:中田ヤスタカ
キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤雅将
美術監督・美術設定:加藤浩
色彩設計:横山さよ子
CGディレクター:川崎健太郎
撮影監督:江間常高
製作担当:吉田智哉
≪キャスト≫
田中真弓 中井和哉 岡村明美 山口勝平 平田広明 大谷育江 山口由里子 矢尾一樹 チョー 宝亀克寿
名塚佳織 Ado 津田健次郎 池田秀一
山田裕貴 霜降り明星(粗品 せいや) 新津ちせ
主題歌:「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado (ユニバーサル ミュージック)
劇中歌楽曲提供:中田ヤスタカ Mrs. GREEN APPLE Vaundy FAKE TYPE. 澤野弘之 折坂悠太 秦 基博
配給:東映

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

《M.TOKU》
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