伊藤美来初のワンマンLIVEツアー「伊藤美来 Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU」が大阪・神奈川の2会場で開催。本ライブは2020年12月にリリースした3rdアルバム『Rhythmic Flavor』を引っさげて行われたもの。本稿では、2021年3月21日にパシフィコ横浜にて行われたライブの模様をレポートする。 新型コロナウイルス感染症予防対策として、大きな声を発することができなかったライブ会場。「間もなく公演がスタートします」というアナウンスが終わった数分後、明かりが徐々に消えていく。静寂に包まれる会場。そんな中、彼女の「声」が会場に響いた。「ワタシイロ」。1stアルバム『水彩~aquaveil~』に収録されていた本曲は、「未来に向かって進んでいく」という希望に満ち溢れた一曲。曲中の「みんな会いたかったよー!」という言葉には、ありったけの希望や思いが込められているようだった。 伊藤美来の「声」から始まった今回のライブ。前半戦は、照明や舞台の左右に配された「マスカット」を模したLEDライトによる光の演出、また、様々な形をしたボックスなどを使った演出はあれど、シンプルなものが多かったように感じる。その分、「声」や「音楽」をしっかり届ける構成になっているようにも思えた。 そんな彼女の「声」「音楽」を聴いていると、自然と色々な物語や情景が思い浮かんできた。カラオケなどで誰かが歌っているのを聴いているときに、こんなことを経験した記憶はない。きっと、彼女にそれだけの「表現力」があったのだろう。特にこのライブに向けて製作された特別な映像を交えて披露された「vivace」では、歌声、歩き方、手先の動きから独特の緊張感と不思議な魅力を感じられ、これまでにない大人な表現を魅せる。声優活動、アーティスト活動で培ってきたものが、確かにこの場で発揮されていた。 また、なかなか人に会えず悶々とした日々が続く昨今を鑑みて、「未来を見てもらえるように、希望になる曲を書きたい」という想いを綴った「いつかきっと」では、真っすぐに曲を歌い上げる。自身の「声」に自身が2020年に感じた気持ちを惜しむことなく乗せて、オーディエンスへと届けた。 マスカット色が取り入れられたオシャレな衣装に着替えた後半戦は、「Plunderer」「孤高の光 Lonely dark」など、アップテンポで盛り上がりやすいナンバーを中心に構成。ロック調で強気な心情を表す言葉が使われている「Born Fighter」では、舞台上に炎の柱が何度も打ちあがる。さらに、「恋はMovie」「Sweet Bitter Sweet Days」ではダンサーとともに軽快なダンスを披露する一方、駆け付けた方々とはクラップで楽しみを共有。楽曲だけでなく、演出の面でも前半とは変化をつけ、幸せを届けた。 ライブの終盤では、彼女が思いの丈を言葉にする。今回は初のツアーであること、お客さんの前で歌うのは久しぶりで不安な気持ちもあったこと、パシフィコ横浜は業界に入ってから初めて立った大きなステージであったこと……様々な思い出を振り返っていく。また、「一人で立っていることが、夢のよう」「16歳のときに見たときとは景色が違って見える。そのギャップに自分の成長ヒストリーを感じられて感慨深いです」と、胸の内を打ち明ける。そして、不安な気持ちを素直に出していた以前の自分、その気持ちを隠せるようになった自分、どちらもスタッフ、家族、皆さん(応援してくれている方々)が支えてくれて、この場に今も立てていることについての感謝を述べ、涙を流した。 自身でも溢れる涙に戸惑いつつも、「(以前に作詞した)『あお信号』では"こんな私だけど"と歌詞に書きました。今も自信がないままだけど、もっと成長しなきゃと思うこともたくさんあるけど、今は皆さんのおかげで『これが、私です』『これが、伊藤美来です』と胸を張って言えるようになりました」と、振り絞って言葉を紡いだ。そんな彼女には、この日いちばんの大きな拍手が送られる。その拍手の大きさ・長さから、声や表情が見えずとも「感謝」「感動」といった様々な感情が伝わってきた。 感動に包まれたライブ本編のラストナンバーに選ばれたのは、「Good Song」。「成長」をテーマに、自分のやっていることに自信を持ちたいというポジティブな気持ちも込められた本曲は、このライブの締めくくりに最もふさわしい一曲だっただろう。涙を流しながらも歌うときは笑顔で堂々と、それでいて最後まで丁寧にお辞儀したり手を振ったりする彼女の姿からは、これからの活動における「決意」を感じられた。 アンコールでは、TVアニメ『戦闘員、派遣します!』のオープニングテーマでもある8枚目のシングル「No.6」を初披露。ダンスが特徴的ということで、ここまでライブを一緒に作り上げてきたダンサーの方々と一緒に届ける。最後は「6ポーズ」と満面の笑顔で大団円を迎えた。「ワタシイロ」から始まった今回のライブ。振り返ってみると、最初から最後まで、彼女は「ちょっとした幸せ」を届けるとともに、自身の決意を表していたのかもしれない。デビュー以来、様々な作品に声優として出演し、アーティストとしてもデビュー、高校・大学も卒業した伊藤美来。「表現者」として何段階もステップアップした彼女の成長は、まだまだ止まらない。撮影:江藤はんな取材・執筆=M.TOKU「伊藤美来 Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU」パシフィコ横浜 セットリストM1,ワタシイロM2,all yoursM3,one's heartM4.hello new pinkM5.PEARLM6.いつかきっとM7.あお信号M8.ガーベラM9.vivaceM10.BEAM YOUM11.PlundererM12.孤高の光 Lonely darkM13,Born FighterM14.恋はMovieM15.Sweet Bitter Sweet DaysM16.Good SongEN1.No.6
伊藤美来が7枚目のシングル「孤高の光 Lonely dark」をリリース、ソロアーティスト活動を経て変わったことは「自分の音楽というのを意識できるようになった」【インタビュー】2020.6.17 Wed 19:00
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