連載最終回は田中公平先生と! 超!アニメディア「新サクラ大戦 月刊帝劇スタァ<新章>」第9號 | 超!アニメディア

連載最終回は田中公平先生と! 超!アニメディア「新サクラ大戦 月刊帝劇スタァ<新章>」第9號

最終回の今回は、サクラシリーズに誰よりも熱意を注いでいる田中公平先生と語り合いました。どんな思いで曲作りをされているのか、ぜひご覧ください。

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「新サクラ大戦 月刊帝劇スタァ<新章>」第9號
  • 「新サクラ大戦 月刊帝劇スタァ<新章>」第9號
  • 「新サクラ大戦-the-Stage-~桜歌之宴~」 ORIGINAL (C)SEGA(C)SEGA / エイベックス・ピクチャーズ
  • 広島県/ジョジム伯爵
  • 『新サクラ大戦』EDクレジット (C)SEGA/SAKURA PROJECT(C)SEGA
  • 『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』 Original Game (C)SEGA / (C)DELiGHTWORKS
 今回で最終回となる当連載。旧連載「月刊帝劇スタア」が100回を数える長期連載だったので、どうしても短く感じてしまいますが、復活して新たなサクラファンのみなさんと出逢えたことが、なによりの財産です。アニメディア本誌の連載は終わりますが、「超!アニメディア」では今後も情報やレポート記事などを扱えればと考えております。さて、最終回のゲストは田中公平先生。アニメV時代の連載「帝劇スタア」のころからお世話になった大恩人と、最後に熱く語り合いました。

アーティストとしてもこれくらいできるんだという矜持ですね


――2019年のアニメディア12月号に掲載した公平先生のインタビュー記事にて、新旧サクラファンが一堂に寄り添う場を作りたいという先生の思いも伺った上で、この連載が始まりました。今回で最後にはなりますが、いかがでしたか?

田中 今や投稿なんてなかなか来ないなかで、わりと来たよね。今は休んで、また新しいのが出るときに復活してくれればいいよ。

――残念だったのは、コロナ禍で編集部に入れず、ハガキが回収できなかったり、座談会形式でのインタビューができないといった不測の事態が重なったことです。

田中 結局、(東雲初穂役の)内田真礼ちゃんとはやってないよな。

――はい。(望月あざみ役の)山村 響さんともできませんでした。

田中 私、本当は真礼ちゃんの『サクラ大戦』への思いを引き出したかったんだけど。あの人サクラ大好きだから。

――本来なら2020年というのはサクラにとって久々に話題の多い年になるはずでしたが、コロナ禍の影響をもろに受けました。昨年12月のゲーム発売から始まって、3月の舞台、4月のTVアニメと次々に展開する予定だったのに、非常に残念だったという印象です。

田中 舞台のキャストはもちろん、制作の人もかわいそうだし、ファンの方もかわいそうだったね。でも、これを悪いほうに考えるよりも、これがあったからこそこうなったというように思わないと。舞台の人たちも今そのように思ってる。
 この舞台延期期間中にみんなゲームを今まで以上にやり込んでるじゃない。すべてのキャラでクリアした人も何人もいる。そういう意味では3月のころよりもさらに理解が深まって、キャラのこともよりわかっているという話ですよ。

――おかげで舞台版キャストのみなさんの、キャラクターとの一体化がすごいのですが、今後舞台用に新曲を書きおろすとしたら、歌のキーを舞台版に合わせるのか、オリジナルキャストに合わせるのかは気になります。

田中 本当にそうだね。一番違うのはアナスタシア役の平湯樹里さんなんですよ。すごく低い声が出るから、オクターブ下げてもいいくらいなんです。そうすると福原綾香さんのアナスタシアとは違うものになるけどね。でもそれはそれでいいんじゃないの?
 マリア(高乃 麗さん)が最初に「花咲く乙女」を歌ったときに、オクターブ下で歌ったんだよ。それを聴いてみんなが「大神さんが入ってる」って言ったんだよね(笑)。
 だから歌作りは難しいよ。どちらに合わせるのか。ただ、曲は足りないわけだから、舞台を続けるなら舞台用に新作を書いていくしかない。そのときは舞台の人に合わせるよ。

「新サクラ大戦-the-Stage-~桜歌之宴~」 ORIGINAL (C)SEGA(C)SEGA / エイベックス・ピクチャーズ
▲舞台キャストによるライブコンサート「新サクラ大戦 the Stage ~桜歌之宴~」2021年3月21日(日)開催決定! 往年の人気曲も舞台キャストで披露!
公演に関するお問い合わせ「新サクラ大戦 the Stage ~桜歌之宴~」公演事務局(平日11時~18時)03-6280-4670
ORIGINAL (C)SEGA
(C)SEGA / エイベックス・ピクチャーズ


――『新サクラ大戦』のファンの方もたくさん生まれましたが、配信コンテンツで昔の映像が手軽に観られるようになったおかげで、旧サクラの新しいファンという層も増えています。

田中 そうそう。OVAの『桜華絢爛』とかいいね。曲もサブスクになって、みんな聴いているし。

――曲を聴いて、カラオケで歌ってという楽しみ方をしていた旧サクラの新しいファンたちが、初めて生でサクラソングを聴けたのが、横山智佐さんの「桜の夕べ」(東京・浅草花劇場で9月25日、10月2日に開催)だったんですよ。

田中 12月19日に配信するセガの60周年記念ライブに横山さんが出演するから、そこでも生の音を届けられますよ。

『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』 Original Game (C)SEGA / (C)DELiGHTWORKS

ドラマチックRPG『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』
配信時期 2020年12月15日(火)予定
価格 無料※アイテム課金あり
対象OS
【iOS】
推奨・対応OS:iOS11.0以降(対応OSでない場合にはプレイできません)
対応端末  :iPhone6s以降、iPad mini(第5世代)以降、iPod touch 第7世代
※一部環境を満たしても正常に動作しない可能性がございます
【Android】
推奨OS :Android 9.0以降
対応OS :Android 5.1以降
推奨RAM:3.0GB以上搭載のスマートフォンおよびタブレット端末
必要RAM:2.0GB以上搭載のスマートフォンおよびタブレット端末
※一部機種に関しては推奨バージョン以上でも動作しない可能性がございます

Original Game (C)SEGA / (C)DELiGHTWORKS


―― 一方で、『サクラ革命』がサクラソングにも革命を起こしそうな感じがあります。『新サクラ大戦』の曲には、太正時代へのこだわりと、今の音楽の融合によって新たなサクラソングを作ろうという気概を感じました。
 それに対して『サクラ革命』は太正100年の話ですから、時代的なものは振り切っていて、音楽的にも一気に幅が広がった気がします。


田中 それは嬉しいですよ。畑 亜貴さんの詞が書かせてくれた、今風のサクラだよね。藤林(聖子)さんはすごくいい人で、『サクラ大戦』に最大限寄せようとしてくれたんです。「スタァ誕生」みたいに、サクラのなかで自分を表現しているのね。
 それが畑さんに任せた途端、もう全然違う。「SAKURA HIKARU Revolution」とか「Wonderful Future」とか、題名が全部英字というのはサクラではあまりないんですよ。

――『サクラ大戦V』のED曲「Kiss me sweet」や、紐育星組の舞台曲「Sakura Letter」「LOVE is」、あとは「Happy Day Happy X'mas」などもありますが、「オンリー・マン」みたいなカタカナ表記がほとんどですね。

田中 ほかにも「我らのイノリ我らのミライ」とか、アプローチが全部違うんだよ。広井(王子)さんのは「さくら」とか「つばさ」みたいな直球が多いんだけど、題名から中身まで全部ひねってあるの、畑流に。これはいい曲が書けると思ったよ。

――テンポも速くなりましたね。「檄!帝国華撃団<新章>」は、言葉が多くなったので速く感じますが、テンポは「ゲキテイ」と同じ。それに対して「SAKURA HIKARU Revolution」のテンポの速さは新鮮でした。

田中 「Wonderful Future」はBABYMETALに熱狂している世代というのを意識してるしね。行き切ってます。畑さんの詞の良いところは、行き切らせてくれるから、すごくやり甲斐がありますよ。

――これまでのサクラソングからいきなり畑さんになるのではなく、先に『新サクラ大戦』で新たな挑戦をしていたのも良かったと思います。「桜夢見し」のような限界を突き詰めた曲や、「鉄の星」のように強いこだわりを感じる曲もありました。

田中 「鉄の星」は私の趣味でもあるんですけどね。普通はこんなの書かせてくれと言っても無理だよ。

――この曲だけ、編曲まで先生がご自身でされているので、意気込みが違うとは感じていました。

田中 だから芸術をやっているんだよ。芸術家は「自分はこれを書いたんだ!」という曲を1曲残しておかないといけないんだよ。私は職業作曲家としてもできるけど、アーティストとしてもこれくらいできるんだと。
 器用すぎて、みんな職業作曲家だと思っているけど、私は本当はそっちじゃない。アーティストなんだよ。絶対に誰も書けない、自分にしかできないことを途中に散りばめるから。「鉄の星」もそうだし、「桜夢見し」も誰も書けないと思う。矜持ですね。

『新サクラ大戦』EDクレジット (C)SEGA/SAKURA PROJECT(C)SEGA

――そういう意味では、新サクラはかなり自由に曲作りができた場所だったんですね。

田中 そうだね。私、歌詞先でしょ。歌詞が(曲を)書かせてくれることがあるんだよ。
『ジョジョ』(ジョジョ~その血の運命~)も藤林さんが書かせてくれたし、広井さんの「ドリーム/夢の1ポンド」なんかもすごい歌だと思うよ。原稿用紙十数枚にシェイクスピアの言葉が並べてあったんだけど、ああいうのが来たときにアーティストとして燃えるんだな。

――「鉄の星」の圧倒的な蹂躙感というか、すごい曲は聴いていても身震いするほどです。ただ、歌うとなるとハードルが高いので、気軽に歌える曲がもう少し欲しかったなというのも正直あります。

田中 「忍者あざみ」と「スタァ誕生」くらいだね。ずっとサクラ大戦歌謡ショウの曲をやってきたけど、自分の作風がどんどんミュージカルになっていってる。みんなでハモって歌うとか、複雑な構成にどんどんなってますよ。それが時代の流れだしね。
 とにかくみんな、なんでも好きに意見してください。今後に取り入れていけるので。

――サクラファンの愛情の深さは、舞台自粛のときのハッシュタグでの応援などで、相変わらずだなと思いました。

田中 あれはすごかったね。舞台の俳優さんが全員泣いたという。

――また『サクラ革命』にも注目が集まっています。

田中 ヒットしそうだよね。もう登録者数が30万人突破しているし、面白いことになると思うよ。日本のひとつひとつの地域を解放していく話だから、ここは時代劇とか、ここは何々とか、全然違うジャンルを楽しめるんですよ。だから曲も幅広いし、あと何曲いるのかな? まだわからないけど。
 それに(脚本の)松崎(史也)君がすごいよ。ディライトワークスの(開発ディレクター)池(大輔)君っていうのもすごいんだけど、そのふたりでテーマ設定を作ってやってる。100年経っているんだから、全部自由に作ればいいんですよ。

――最後に連載最終回ということで、ひと言お願いします。

田中 アニメディアさんにはすごく感謝していますよ。旧サクラの100回を超える連載があり、新サクラも盛り上げようとして9回で終わったけど、新サクラのファンの意見も旧サクラのファンの情熱も手に取るようにわかったので、本当に感謝しています。
 今はSNSでも把握できるようになったけど、昔はまったくわからなかったからね。舞台が終わった後のアンケート用紙に熱い思いが書いてあったから、それをみんなで読んだり、あとはアニメディアに来るハガキの熱さで計っていたからね。そういう意味では素晴らしい企画だったと思うよ。またあるといいね。

プロフィール
田中公平【たなか・こうへい】2月14日生まれ。大阪府出身。イマジン所属。手がけた主な作品は『ONE PIECE』『ジョジョの奇妙な冒険』『勇者王ガオガイガー』ほか。

はみ出しスタァ


広島県/ジョジム伯爵
▲広島県/ジョジム伯爵(0020)いつもありがとうございます!


編集後記


 1996年8月号の学研アニメVでゲーム『サクラ大戦』発売前の紹介記事「サクラ大戦 帝劇通信」を書いたことをきっかけに、以後24年間、サクラの記事を書き続けてきました。
 1997年6月号の学研アニメVから「サクラ大戦太正浪漫倶楽部 帝劇スタア」、1999年6月号の学研アニメディアから「サクラ大戦太正浪漫倶楽部 月刊帝劇スタア(2002年5月号から「サクラ大戦ファンの広場 月刊花組スタア」に改名)」を連載。
 そして2020年5月号のアニメディアにて「新サクラ大戦 月刊帝劇スタァ<新章>」の名で連載復活が叶いました。
 超!アニメディアの連載企画である舞台「新サクラ大戦 the Stage」花組キャストインタビューを含めると、全部で140回を超える連載となります。
 ファンの皆様と一緒にサクラシリーズを全力で応援する。サクラの話題で盛り上がれる場所を作る。SNS全盛の時代でも、雑誌で行う読者参加企画に価値があると信じ、実際にたくさんの方から愛に溢れた投稿をいただきました。幸せな連載にしていただいたことに、改めて御礼申し上げます。
 2021年はゲーム『サクラ大戦』発売25周年を迎える記念イヤー。読者参加企画としてこれに寄り添えないのが心残りではありますが、情報媒体として可能な限り応援し続ける所存です。
 そしていつかまた連載復活の機会があった暁には、サクラ愛のつづきを語り合いましょう! 永遠に咲き誇れ、サクラ大戦!

[構成/帝劇スタ夫]

(C)SEGA/SAKURA PROJECT
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