『シティーハンター』の名コンビ・神谷明&玄田哲章が劇場版への思いを語る!ED映像のスクリーン右上に「総監督の愛があふれてます」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『シティーハンター』の名コンビ・神谷明&玄田哲章が劇場版への思いを語る!ED映像のスクリーン右上に「総監督の愛があふれてます」【インタビュー】

現在公開中の『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』。新宿を拠点にスイーパー(始末屋)を営む冴羽りょう(「りょう」は遼のしんにょうが、けものへん)を演じる神谷明と、傭兵として戦場を駆け抜けた昔から付き合い …

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 現在公開中の『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』。新宿を拠点にスイーパー(始末屋)を営む冴羽りょう(「りょう」は遼のしんにょうが、けものへん)を演じる神谷明と、傭兵として戦場を駆け抜けた昔から付き合いのある海坊主を演じる玄田哲章が、「アニメディア3月号」に登場し、20年ぶりとなる劇場版への思いなどを語ってくれている。超!アニメディアでは、本誌に入らなかったお話をご紹介する。


「Get Wild」フルコーラス!
こだま総監督渾身の名シーンに号泣必至!!

ーー20年ぶりの新作、というのが本誌としても驚きなので、最初にアニメ化決定の報を聞かれたときのいきさつなどからうかがえますか。

神谷 アニメ化の報せを聞いたときは、それはもうビックリですよ。企画が出ている、という話はそれまでも聞いてはいました。ただ僕自身も70歳を過ぎましたし、「まさかな」と思っていたので、正直あまり期待はしてなかったですね。そう思っていたときに本当にやると聞いて「えええええ!?」(笑)と本気でビックリしたのと、でもうれしかったのと、もうひとつ大きかったのは、不安でしたね。TVで演じていたときは、自分の一番脂が乗りきった時期だったので、その頃の滑舌の歯切れのよさとか、演技のテンポや緩急とか、今出せるだろうか、というのはすごく不安でした。そこで、一週間ぐらい、返事を待っていただきまして。そしたら、やっぱりやりたい気持ちのほうが勝ってくるわけです。で、あんまりビックリしてうれしくて、僕、フライングしちゃったんですよね。玄田さんと『ポプテピピック』のスタジオでお目に掛かったときに「玄田さん、来年やるそうだから、よろしくね」みたいなことを言ってしまったら、そのあとすぐにスタッフの方から「まだ正式には決まってないんですけど……」とか言われて、また「ええええ!?」と驚き(笑)。

玄田 僕のところにも、噂はいーーっぱい来てました(笑)。「やるぞ」「やるぞ」っていう噂だけは来ていて。でも、正式な決定というのは入ってこない。それに、海坊主というキャラクターがそもそも出るのかどうか、僕のほうはわからないわけですよ。で、とにかくオファーが来たら考えよう、みたいな感じだったんです。僕がアニメで演じたなかでも、とにかく印象に残っている作品ですから「やりたいなぁ、当時のメンバーでやれたら、もう最高だな」とは思ってましたよね。そしたら、来たんです、実際にオファーが。そして、収録の当日がやってきたら、スタジオ内では「不安だ」「不安だ」という声が聞かれて。一番言ってたのは香役の伊倉一恵さんで「とにかく第一声をやるまでは、不安です」と。

神谷 でも、そう言ってる伊倉チャンの声も話し方も、もう完全に香になってたんだけどね(笑)。

玄田 そう、そう(笑)。で、このメンバーが集まっちゃえば、ふーっとあの世界に入っていけた感覚があって。一瞬にして20年前に戻った感じでしたね。もちろん歳はとったので、肉体的な変化はあるんだけど、でも声は関係ないんだなと思いましたね。声自体の生命力というのが、みんなすごくあるんですよ。やっぱりオリジナルメンバー、すごいなと思いましたね。

神谷 あっという間に昔に戻って、やっぱりファミリーなんだなと思いましたね。

ーー普通、劇場版だと、ARには3日ぐらいかかると聞きますが、今回はいかがでしたか?

神谷 当初、プロデューサーとは3日ぐらいかけて収録してもいいんじゃないか、みたいな話はしていたんです。でも、実際には2日で録り終わりました。それも無理をした2日間ではなく、余裕を持って、落ちついて収録できましたから、よかったです。

ーー絵的にも、演じられてみても、TV当時との違いや新発見などありましたか。

玄田 キャラクターとして変わったという印象はないですね。演じてみればすぐに感覚も戻ってきたし、改めて意識したことはなかったと思いますね。

神谷 最後のアニメ作品から20年経つけど、どう新しくするんだろうって、僕等もファンの方たちと同じように気にはなっていたんですが、脚本の加藤陽一さんが本当にうまく書いてくださって。何しろ驚いたのが、それぞれのキャラクターをよくご存じで、ちゃんとファンの方にアピールするように、言ってみればファンの方に期待されるキャラクター像を見事に描きだしてくれてるんですよ。

玄田 確かに、それは感じますね。

神谷 りょうたちを取り巻く設定も、現代の新しい設定がありつつ、かつて僕らが動き回っていた時代の設定ときちんと融合されて描かれている。舞台となる新宿の街についても同様で、昔の雰囲気を残した新宿と、新しくなっていく新宿とがしっかりと描かれて、それが全然違和感なく、なおかつなんとも綺麗なんですよ。演出も素晴らしいんです。テンポとか、サスペンスタッチが後半に向かって盛り上がっていく感じとか、「すげえな」と思いましたね。音楽もすごいですよ。僕、実は音楽をミックスする初日に、録音スタジオのDB室でたまたま映像を観ることができたんです。劇場と同じフルサラウンドの音が聴けるんですけど、まだ調整箇所が残ってはいたそうですが、すごかったですよ。懐かしいあの曲も、この曲も帰ってくるし、今回のために作られた劇伴が、岩崎琢さんのサウンドトラックが動きにシンクロしてワクワクするようなできなんですね。完パケじゃないのに、感動してしまいました。


ーー総監督もオリジナルスタッフのこだま兼嗣さんということですが、ディレクションなど、収録の際に話はあったのでしょうか。

神谷 いや、別にないよね。

玄田 うん、なかったね。

神谷 去年(2018年)、スタッフの顔合わせみたいなのがあって、そこで久しぶりにお目に掛かったあとは、情報として総監督が「もっこりシーンを手直ししてる」とか(笑)、そういう話を聞いたくらいで。我々の芝居については何もおっしゃいませんでした。ただ「さすが、こだまさん!」と感激したことがあって。実は、あのEDテーマ曲「Get Wild」が今回はフルコーラスで使われてるんですが、その時のバックに、テロップだけじゃなくて、新しい映像が加わっているんです。スクリーンの右上に。きっと泣いてしまいますよ。「これは卑怯だよぉ」と思うようなグッとくるシーンの連続で、ファンの方なら号泣するんじゃないかな。ああ、これが、この映画で最後に言いたかったことなんだな、と思いましたね。『シティーハンター』への愛が、あふれてるんです。スクリーン右上です!

ーー今回の映画で、改めて「冴羽りょう」「海坊主」の魅力をどのように感じたのでしょうか。

神谷 りょうから言えば、男性も女性も理想とする人物像ってことなんじゃないかな。強さもやさしさも半端なくて、こんな人は絶対にいないとは思うんだけど、だからこそ憧れる、期待したくなる存在なんじゃないかと。だから僕も自分で理解できるところはそれを表現し、そうじゃない部分は想像で補って、みなさんが期待するような理想像を今回も演じたつもりです。

玄田 そうですね。りょうには、やっぱり今現実にはなかなかいないんじゃないかっていう、男のロマンみたいなものがぎゅうぎゅうに詰まってるんでしょうね。

神谷 そういう意味では海坊主も同じですよ。今回、本当に海ちゃんにはいくつも嫉妬してますよ。例えば「ふんっ」て言うだけで、もう存在感が広がっちゃうし。

玄田 そう!?(笑)

神谷 海坊主は硬派なところは、やっぱり男としてうらやましい。海ちゃんが冒頭で登場するシーン、それから大家さんと対面するシーン、後半のバトルシーン、それぞれ異なった面を見せてくれて、それがどれも海坊主であったので、期待を裏切ってないよね。

玄田 僕なんか、やっぱりりょうちゃん、うらやましいなと思うんですよ。あれだけやる時はやって、遊ぶ時は遊ぶ、みたいなものが徹底してるじゃないですか。最後にハンマーでやられたって、そこで終わるわけではなくて、またいい女を見ればまたそっちに行っちゃうし。ああいう積極的な行動というか、おおらかさというのは、海坊主にとってはなかなか……いつもうらやましいと思ってるんだよ(笑)。

ーーさまざまなアクションの見せ場もあるようですが、演じてみて面白く感じられたことなどありますか。

神谷 りょうは割とハプニングに恵まれて、それを乗り越えていくんですけど、支援する海坊主というのは実は行き当たりばったりじゃないんですね。相手の動きを前もって読んで、しっかり計算して戦っていく。そこがりょうとの違いなんだなと思って、僕は見てましたね。

玄田 確かに、海坊主は自分の武器を事前に要所要所に置いたりしてます。目が不自由という設定もあって、すごく計算して行動してるんですね。ただ、相手の攻撃次第では“本番”に計算違いが生じたりするわけで、それでまた新しいアクションの面白さにつながっていくこともあるんですよ。

ーー本作は新設定も面白いです。仕事を依頼する暗号「XYZ」の伝え方が今風になっていたり、流行りのAIやドローンがバトルの鍵になっていたり……。

神谷 そうですね、新しい設定が従来のキャラクターの魅力とうまくミックスされてる感じなんですよね。新しいというべきか、同じ北条(司)先生原作の『キャッツアイ』のメンバーがアニメ『シティーハンター』に登場するのは初ですし、新鮮な驚きもいろいろありました。ただ、りょうたちは本当に変わらない。依頼人にはやさしく語りかけるりょうですが、香にはやさしくしてあげない。あれは逆に言えば「何もいわなくてもわかるだろう」という男のポ-ズですよね。香だって、幼なじみの御国と話すなかで、でもやっぱりりょうに対する思いがポロッと出てきたり。互いに押しつけがましくなくて、でも本音が見え隠れする、あのまどろっこしいふたりの感じも全然変わってないです。

玄田 先程も話に出た新宿という街の面白さ、これも見どころだ思いますね。渋谷じゃない、池袋じゃない、新宿。摩訶不思議な、でもみんながよく知ってるこの街を戦場に選んだことで生まれた見せ場がたくさんあるので、楽しみにしてほしい。

神谷 あと、僕らとしてはもうひとつ大切なことがあって。今回、ゲストとして出てくれている山寺宏一さん、茶風林さん、大塚芳忠さん、山崎たくみさん、この4人は『シティーハンター』初期のころからの仲間なんですよ。最初は名もない役で登場してくれていたのが、どんどんほかの作品でもメインのキャラクターを演じるようになって。そして今回、重要な役をみなさんが演じられて。当時の浦上靖夫さんという音響ディレクターが、将来を見越していたのかと思うぐらい、名もない新人を使って、その人たちが今回この作品を支えてくれたことがとても印象的でした。彼らもファミリーの一員として帰ってこれたことを喜んでくれて、うれしかったです。当時の彼らのように若い声優たちが、今回も20人くらい出ていたんですが、ほぼ全員、『シティーハンター』を「子どもの頃、見てました!」という世代で(笑)。

玄田 でしたね。録音スタジオのマイクの後ろに椅子が並べてあって、若い子がずらーっといて。

神谷 40名以上いたと思うよ。

玄田 でも、部屋から誰も出ていかないんだよね。自分の出番がないときは外に出ても構わないんだけど、みんな先輩たちの芝居を食い入るように見てたもんね。

神谷 そう、これだけのベテランたちと一緒に仕事ができるという機会は今、そうはないですからね。僕らの時代はそうだったんです。ベテランがしっかり固めてくれて、若手がいる。だから先輩たちの芝居を見ながら、僕たちは技を盗み、すばらしい演技に触れ、そして育つことができた。今の彼らにとっても刺激的な現場になったんじゃないですか。

玄田 そんなことも含めて、スタッフ、キャスト、みんなの努力は並々ならぬものがあって、一生懸命作ってきましたので、ファンのみなさんにはぜひ楽しんでいただきたい。と同時に、今後許されるならば、これをまた時代の流れに合わせたシリーズとして、具体化できないかな、というふうに自分自身はやっぱり望むわけです。

神谷 そうですね、たくさんの方に足を運んでいただければ、その後の展開が望める、かもしれない。それだけの魅力のある作品に仕上がっていますので、より多くのみなさんに味わっていただきたいと思いますね。

〈『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』情報〉
現在公開中
4D版(4DX/MX4D)3月1日(金)より上映開始

[CAST] 
冴羽 リョウ:神谷 明 
槇村 香:伊倉一恵 
野上冴子:一龍斎春水 
海坊主:玄田哲章 
美樹:小山茉美

[STAFF] 
原作:北条 司 
総監督:こだま兼嗣(『シティーハンター』『名探偵コナン』)
脚本:加藤陽一(『妖怪ウォッチ』) 
チーフ演出:佐藤照雄・京極尚彦 
キャラクターデザイン:高橋久美子 
総作画監督:菱沼義仁 
美術監督:加藤 浩(ととにゃん) 
色彩設計:久保木裕一 
音響監督:長崎行男 
音響制作:AUDIO PLANNING U 
音楽:岩崎 琢 
編集:今井大介(JAYFILM) 
アニメーション制作:サンライズ 
配給:アニプレックス

映画『シティーハンター』公式サイト 
https://cityhunter-movie.com/

(C)北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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