映画「ダブルミンツ」の初日舞台挨拶が6月3日（土）にシネ・リーブル池袋で行われ、淵上泰史、田中俊介（BOYS AND MEN）、川籠石駿平、須賀健太、冨手麻妙、監督の内田英治が登壇した。
サブカル界のカリスマ、中村明日美子原作で、ダークBLと呼ばれる本作。高校時代に逆らえない主従関係で結ばれた「イチカワミツオ」という同じ読み方の名前の２人が、数年後に衝撃的な再会を果たし、犯罪と暴力の中で新たな関係へと変わっていくというストーリーだ。
淵上泰史
田中俊介
撮影現場では、壱河光夫を“白ミツオ”、市川光央を“黒ミツオ”と読んでいたそうで、舞台挨拶でもその呼び方でトークを展開することに。淵上は「初日を迎えることができて嬉しい気持ちと、作品と関わってくることが少なくなってきて寂しい気持ちがあります」と今の心情を語った。今作のために14kgの減量を行ったという市川光央こと“黒ミツオ”を演じた田中は「今日は愛を込めて作った作品がようやく世に放たれる、僕にとって特別な日。感無量です」と話した。冷酷で高飛車な黒ミツオの高校時代を演じた須賀は、「監督が『怖い』とか「本当の須賀健太を撮る」とか言われたんですけど、怖い人じゃないです（笑）」と前置きした上で、「役者として新しい挑戦。自分の中に今までにない役をやらせていただけるのは役者冥利につきるなと思います」と、普段のイメージとは異なる役を演じ、役者としての新境地を開いた作品だったことを語った。すると、須賀演じる黒ミツオの下僕となり、さんざんな目に遭う高校時代の白ミツオを演じた川籠石が「一番近くで本当の須賀健太に…」と続けると、「違うから！（笑）」とツッコみ、会場が笑いに包まれるひと幕も。
須賀健太
冨手麻妙
黒ミツオの彼女の麻美を演じた冨手は「登場人物の誰よりも監督が一番ドSだなと思いました。内田監督とお仕事をするのは３回目なので、ある程度監督の“鬼”具合は把握していたんですけど、それでも14kg減量したとはいえ、田中さんと戦うのは相当キツかったです。女性のお客さんが私の役に対してすごくムカついて、全員を敵に回せたらいいなって思いますし、そうなるように監督からも指示されていたので、痛かったですけど、楽しい現場でした」と撮影時の大変だったエピソードを語ると、「いやーあのビンタ痛かったよ」と田中がすかさず返していた。
内田監督は「撮影中は皆が持つ、本性みたいなのを知りたいなと思って向き合ってたんですけど、みんなの本性を知った今、あんまり近づきたくないなと（笑）」とジョークを交えながら「人は誰しも内面に違う自分がいて、役者も当然持っていて、それが引き出せた時にいい映画になると思うので、そこを出そうと作っていました」と作品への思いを語った。
また２週間という短い撮影期間の中、暴力シーンをはじめとした肉体的にも精神的にもハードなシーンが多かったという本作で「一番大変だったことは？」という質問では、田中が「市川光央になるための役作りの段階。気持ちをすり寄せていくのが大変でした」と振り返った。また、最初の段階では、白ミツオではなく、黒ミツオ役だと聞いて役作りの準備もしていたという淵上は「監督と顔合わせしたら話がずれてたんですよね。田中くんと挨拶したときも、明らかに黒ミツオで、『俺、白ミツオですか？』ってなって。切り替えて考え直すのが大変でした」と裏エピソードを披露した。さらにぶつかって桃を落とすシーンで、新鮮だった桃が黒ずんでくるほど何回もやったことや、屋外のシーンでは真夏で見たことのない大量の虫と遭遇して大変だったことも明かした。
一方、須賀は「倉庫に光夫を閉じ込めて『俺の犬になれ』って言うところは、楽しかったです（笑）。言えないですからね、そんなこと、（普段は）言わないですよ（笑）」と話し、内田に「映画を観た皆さんは君の本性分かってるから（笑）」とツッコまれ、全力で否定。さらに、川籠石が撮影当時を「なんかトリップしてたよね」と須賀に話しかけ、「俺らにしかわからないよね」と当時を振り返り、２人の間に独特の空気感が現場で流れていたことを告白。すると、司会者から「お二人の中で何かが芽生えたということで？」と質問が飛び、川籠石が「そういうことにしておいてもらってもいいです（笑）」と返すと、会場からどよめきが起こった。
川籠石駿平
また、撮影現場のエピソードを求められた冨手が、「（淵上と田中の）お二人は本当に集中されていて、合間の時間にお話するということもあんまりなかったんですけど、完成した作品を観た時に、麻美とのシーンで、私が撮影中に近くで見ていた（黒ミツオの）表情とは違う、白ミツオだけに見せる表情がたくさんあって、ちょっと切ない気持ちになりました」と、役に入り込んだいい意味でピリピリした現場であったことを明かした。
最後の挨拶では、「映画のことをぜひSNSで広めていただいて、その際は須賀健太は天使で役でダークな役をやっていたということでお願いします（笑）」（須賀）、「とても素敵な原作があって、その原作という一つの体に僕たちが気持ちを込めて魂を吹き込んで、この世に一つの命として、このように生まれたんだと思います。僕たち自身もそうですが、観てくださった皆さんと一緒に大きく育てていけたら、こんな幸せなことがないと思います」（田中）、「今日から公開になるので、寂しい思いもありますけど、一人歩きしていけるように、観ていただいた声が一番影響力があると思いますので、よろしくお願いします」（淵上）と続け、最後に内田監督が「全国の人たちに届けるためにも皆さんにはぜひ宣伝の一員になっていただきたいです」と話し、イベントは幕を閉じた。
＜映画「ダブルミンツ」情報＞
全国劇場で公開中
STORY
同じ“イチカワミツオ”の名をもつ壱河光夫と市川光央。高校時代、光夫は光央の下僕として主従関係を築いていた。そんなふたりが再会したのは、ある日、光夫にかかってきた「女を殺した」という一本の電話。電話の主が光央だと悟り共犯者となってしまう光夫。ふたりの関係はこの事件をきっかけに少しずつ変化していく……。
原作／中村明日美子「ダブルミンツ」（茜新社刊）
監督・脚本／内田英治
出演／淵上泰史 田中俊介
須賀健太 川籠石駿平 冨手麻妙 高橋和也 小木茂光 ほか
配給／アーク・フィルムズ、スターキャット
公式サイト
http://d-mints.jp/
R15+
（C）2017「ダブルミンツ」製作委員会 （C）中村明日美子／茜新社
