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<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『進撃の巨人』でもカギを握る存在「巨人」の日本におけるイメージを探る

   アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」として …

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 アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は、現在放送中のTVシリーズで激闘が続いている『進撃の巨人』の‟巨人”という存在について、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
  

 巨人と人類との激しい戦いを描くダークファンタジー『進撃の巨人』が相変わらず人気です。本作では、巨人が人間を喰らうなどのシーンがなかなかに衝撃的で、私は初めて漫画を読んだ際に体がこわばった覚えがあります。TVアニメでは2019年現在、人類がウォール・マリア奪還を目指して巨人と死闘を繰り広げており、そのアツい展開には目が離せません。
 
『進撃の巨人』における「巨人」にはさまざまなタイプがいるようですが、その多くは人と意思疎通することが不可能です。とにかく強大な力を以て、人類に危害を加え続けています。本作の世界がいずれであるかは明らかではありませんが、旧約聖書や北欧神話、ギリシア神話など「巨人」については昔から世界各国でその話が聞かれます。
 
 日本における巨人についての言説は、古くは『播磨国風土記』などに記載があります。それらを読んでみると、巨人の動きによって丘や沼が形成されるなど「天地創造」としての性格を持っていたようです。また、巨人に近い存在として、日本の巨大なバケモノのひとつ「ダイダラボッチ」が広く知られています。各地にその話が伝わるダイダラボッチも、『風土記』に登場する巨人と同様に山を作ったり島を作ったりします。柳田國男などは、ダイダラボッチは「大太法師」であるとして、一寸法師の反対のような意味であると説明しています。
  
 ダイダラボッチをはじめ、日本における巨人は人間と直接的に関わるような話はあまり見られません。国外の巨人伝承のなかには人を喰らったりするものもありますが、『進撃の巨人』のように人類と闘うといった描写は珍しいように思います。『進撃の巨人』の巨人はいったい何者なのでしょうか……。日本をはじめ、世界の巨人伝説と比較しながら本作を鑑賞していただくのも面白いのではないかと思います。

 

解説:木下昌美
<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
 
●挿絵/幸餅きなこ
《超!アニメディア編集部》
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