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TVアニメ「ミュークルドリーミー」桜井弘明監督にインタビュー!コンセプトは「親子で楽しめる」、だからこそ作っている大人たちもおもしろがっている

2020/8/2


 テレビ東京系列にて毎週日曜午前10時30分から放送されているTVアニメ「ミュークルドリーミー」。本作で監督を務める桜井弘明にお話を聞いたインタビューがアニメディア8月号に掲載中だ。超!アニメディアでは、本誌に掲載できなかった部分も含めた長文版を展開する。

―—『ミュークルドリーミー』という作品の魅力について、最初どのように感じましたか?
 サンリオ原作アニメなので「明るい・楽しい・かわいい」ですね。主人公が中学生で、ティーンエイジャーのもっとも楽しい時期の始まりなので、“ぬいぐるみも含めた友達との楽しさ”という世界観を描けるのがいいなと思いました。

―—桜井監督は『ジュエルペット』シリーズ(※)でサンリオ原作アニメを手掛けられていますね。
 それらを踏まえて「明るい・楽しい・かわいい」作品を期待されているようなので、「これは楽しそうだな」と思って参加しました。

(※)『映画ジュエルペット スウィーツダンスプリンセス』(2012年)とTVシリーズ第5作『ジュエルペット ハッピネス』(2013年)

―—何か「こう作ってほしい」というオーダーはあったのですか?
 具体的なものはありませんでした。僕が呼ばれたとき、ぬいぐるみやメインの人間キャラクター、それに全体的な世界観はサンリオやシリーズ構成の金杉弘子さんたちが作ってくれていました。僕の仕事は、キャラクターの性格の掘り下げ。脚本に書かれた話の隙間をぬって、脚本では描ききれなかったキャラクターたちの関係性をさらに深めるようなネタをちょっと差し込むとか、そんな感じですね。
 思いつきでネタを追加する場合でも、観る人が不快に感じるものは避けようという倫理観は自分のなかにあります。あくまでも「かわいい」というサンリオのイメージを守りつつある程度自由にやらせてもらえるのが楽しい。作り手側が楽しんでいると、画面にも楽しさが伝わるんじゃないかなと思うんですよ。その点では「お任せください」という思いがありました。

―—制限やオーダーがあるのではなく、自由にやってという感じなのですね? 
 そうですね。さすがに止められないように僕なりには考えていますが、けっこう自由に楽しくやらせていただいています。でも、厳しいところは厳しいですよ。

―—では、キャラクター作りはどう膨らませていますか?
 みゅーやぺこの言い回しとか、言葉遣いはチェックしていただいています。「その言い方はどうだろう?」と判断に迷う場合は、実際に一緒にキャストの声を聞いてもらうようにしています。このように、作っているうちにどんどん転がって(成長して)いく感じがしています。ゆめもみゅーも、ここまでキャラが立つとはスタッフもみんな最初は思っていなかったんじゃないかな。でも、そんな部分が愛嬌としてうまく転がっていき、ぬいぐるみと人間キャラクターがどんどん噛み合っていくというか、どんどん楽しくなっています。

―—この作品ならではの、演出するうえで心がけているのはどんなことでしょう?
 それが、「明るく・楽しく・かわいく」。悪役としてブラックアビスを投げ入れて悪夢を生み出すゆにたちが登場しますが、彼らが巻き起こす騒動をあまり怖くしたくないと考えています。仮にクライマックスでゆめたちとラスボスとの戦いがあるとしても、そんなに怖くない(笑)。物語としては盛り上がるけど、観ている子どもが「怖い、観たくない」と感じるほど重たいものにはしたくないです。ゆにたちがやることにどこか愛嬌があるのは、そういう狙いです。

―—子ども向け作品ですが、大人が観ても思わず笑ってしまう部分がありますね。
 作品のコンセプトとして「親子で楽しめる」を大事にしているので、大人が観ても楽しめるものを目指しています。作っているのは大人だから、自分たちでおもしろがっているんです。楽しくないと続かないんです(笑)。

―—7話で朝陽が黒づくめの変わった扮装で登場するなど、スタッフのノリを感じました。
 あのシーンは脚本を担当した大場小ゆりさんのアイデアです。朝陽といえば、キャストの小林裕介くんは「朝陽は、ゆめのことをどんなふうに思っているのか、それをどこまで表現したらいいのか。その調整が難しい」と悩んでいて、ときどき相談に乗っています。

―—まじめなんですね。
 まじめですよ。いつも!(笑)。ふざけてるけど、まじめにふざけているんです。

―—朝陽の気持ちがどこまでゆめに伝わるのか、気になっています。
「朝陽はどこまでゆめのことを意識しているのか? 中学1年生だと、どのくらい幼なじみの異性を意識するか?」というのは、人によってまちまちでしょうけど、「そんなにベタベタしないだろう」とか「こういう関係だといいよね」というものを描こうとしています。

―—監督が心がけている作り手側の楽しさが観る側にも伝わってきますね。
 こちらの思いが伝わって、楽しんでもらえるとありがたいです。

―—作画に関して、監督からオーダーすることはありますか?
 崩し顔などのギャグ顔は、絵コンテのチェックのときに僕が入れ直していることが多いです。脚本の打ち合わせしているときだと、こちらも絵コンテを描いていないから、表情は「こんな感じかな?」という漠然としたものでしかない。それではほかのスタッフには伝わりません。ゆめの表情がころころ変わるとか、どんどんバリエーションが増えていくなどは、絵コンテに描いて「こういうのもありだよ。あくまでも、かわいい、愛嬌があるという方向だったらいいんだよ」と言っているのですが、なかなかスタッフに伝わりにくい。実際に絵で見せないと伝わらない部分はあるし、実際に見せてしまった方が早いですからね。
 でも、僕が「絵コンテに描いた絵を本気にして」と言っても、まじめな原画マンはなんとかキャラ設定に寄せようとするものです。そこでキャラクターデザインの古木さんには、最初からギャグ顔も作ってもらいました。さらに、キャラクター設定に変更や修正があると、新たに「総作監修正集」という資料が作画スタッフに配布されます。そこで、僕が絵コンテに描いた絵を古木さんのフィルターを通したものとして「ギャグ顔修正集」を作ってもらいます。それでも、動画をチェックする段階で「ちょっと方向性が違う」と修正指示を出したこともありますね。

―—ギャグ顔にこだわるのには理由があるのですか?
 キャラクターをかわいくするためです。また、キャラクター表という設計図に沿ってではなく、自由に表現豊かに描いてほしい。そうすることでキャラクターの個性を伸ばしてもらいたい、ということでもあります。でも10話では、ゆめがいろんな表情をするので、絵コンテに次々とギャグ顔を描き込んでいったのですが、最後の方はもう、ゆめなのかどうかもわからなくなりました(笑)。

―—作画スタッフへの規制やオーダーというよりも「楽しくやってね」というメッセージでもあるのですね。
 そうですね。たとえば、まいらが床に寝転がっているギャグシーン。普通の姿のままだと倒れているようで傷ましいものになってしまいます。そこでギャグの絵にするわけですが、僕が絵コンテに描いた絵を見たら、まじめな原画マンは「それでいいんですか!?」と思うでしょうね……。なかなか本気にしてもらえないんですよ(笑)。ただし、ぬいぐるみは「崩しすぎない」というルールがあります。原型とのバランスは気にしつつ表情をつけるので、人間のキャラクターよりもギャグ顔に悩みますね。

―—そういう苦労をしながら、表情などの表現を豊かにしようとしているのですね?
 ただし、「かわいければ大丈夫。おもしろければいい」と文字で書くと、それはちょっと違うところがあります。正確に文字で表現すると「おもしろければなんでもいいというわけではない。かわいければなんでもいいというわけでもない」という意味を含んでの「なんでもいい」ですね。または、「かわいければいい(でも、なんでもいいわけじゃない)」かな(笑)。文字で伝えるのは本当に難しいな。

―—まだ試行錯誤されている感じですか?
 そんなものですよ(笑)。最終回までのおおまかな流れは考えていますが、それまでにキャラクターが思いもよらぬ方向へ動き始めたら、全然違うところへは行かなくても、着地点の幅が微妙に変わるかもしれません。そういうことはどの作品でもあります。先の展開では「あのキャラがこんなことに!?」なんてことになっているかもしれません。でも、きっとひどいことにはなりません(笑)。

―—では、演出に関して、スタッフにオーダーすることはありますか?
 僕は、各話の絵コンテ担当者や演出家に自由にやってもらい、そうやってみんなが持ち寄ったアイデアをもらおうと思っています。たとえば、すうの「肉球認証ポッチーン」のエフェクトや見え方は、各話の演出担当者にお任せしています。もしも「ほかの話と違うんですけど?」と言われたら、「見え方は人それぞれと思えばいいんじゃないでしょうか」と答えます。また、クラスの席順。ある話では隣同士の席だったゆめとまいらが、別の話では前後の席になっていてもいい。原作作品できっちり席順が決まっているなら別ですが、オリジナル作品でもともと決まっていないのならば、その話ごとにそれぞれ芝居がしやすい席の並びにしていいことにしています。頻繁に席変えするクラスだなと思えばいいんです(笑)。

―—本当に自由度が高いのですね。
 本当に、本作は自由度が高い感じのキャラ配置をしているので、脚本作りでも「このキャラ、こういうふうに使いましょう」という提案もやりやすい。僕は作りながらキャラづけするタイプなので、できれば登場するキャラクター全員を印象づけたいと思っています。お話の都合上、出番がない場合でも、なんとか隙間をぬって出してあげる(笑)。たとえばゆめのクラス担任の青井先生はやたらかっこつける先生という設定ですが、大地丙太郎さんに絵コンテをお願いした3話の青井先生の「いいかい? いいだろう」というセリフ回しがすごく気に入ったので、ほかの話でもできるだけ入れるようにしています(笑)。
 調子に乗ってるとサブキャラに人気が出ちゃって主役キャラがかすむということが昔ありました。それは気をつけないといけません。今のところは大丈夫かな(笑)。

―—8話の林間学校のエピソードでもサブキャラクターが活躍しましたが、ああしたかたちでキャラクターを掘り下げていくのですね。
 全員で全体攻撃みたいな(笑)。人気作品は、すべてのキャラクターのキャラが立っているものです。「なんのために出てきたの?」というものにはしたくないんですよ。登場したからには、作品をふくらませる役割をちゃんと持ってほしいと思っています。

 ―—10話までで、監督の印象に残っているお気に入りのシーンは?
 毎回いいなぁと思っていますが、ゆめとまいらがことこの家に泊まる6話では、ゆめとまいらのやりとりを絵コンテでかなり遊んでいました。お腹をすかせたふたりがご飯を食べたいのに食べられない“おあずけ”状態になって、心の声で会話するシーン。気持ちを顔に出さないようにおすましして必死で聞いているフリをしているふたりがお気に入りです。その会話シーンは、演出の石田美由紀さんがゆめとまいらの輪廓線を色トレス(通常の黒色ではない色にすること)してくれたので、現実とは違う感じになっていました。まさに心と心で会話しているテレパシーのような感じになって、うまいなと思いました。

―—その6話ではことこの祖父と父が教育問題を討論するなど、世相をチクリと風刺するようなエピソードも観られますね。
 あのシーンで心がけたのは、ことこの祖父と父の討論のバランス。アニメの場合、設定の説明をしなくてはならない場面もあるのですが、そこをいかに退屈させないように観せるかが苦心するところです。単純に説明するだけだと、ちょっと話を聞いていないだけでわからなくなってしまいます。
 討論シーンは、視聴者が聞いていなくても大丈夫な話なので「早く『いただきます』したい」と心のなかで思っているゆめとまいらをメインで描き、討論も聞こえるようにする。そういう形でバランスを取っています。脚本を台無しにしたくないし、かといって退屈はさせないようにしなくてはいけない。絵コンテの打ち合わせの段階で「祖父と父が難しい会話をしてますけど、そっちメインよりも、ゆめとまいらをメインにして、その陰で祖父と父の会話が進んでいく形にしてくださいね」とお願いしました。やらなくてはいけないことはやりつつ、見せたいところををふくらませる。ほかのシーンでも、画面のメインのキャラの後ろでサブキャラが何かをやっているなど、けっこうあります。
 情報過多になるかもしれないけど、観る人が選んで、必要なところだけ拾ってくれればいい。再放送や録画したものを見直したときに気づいてもらえるかもしれません。今回、期せずして再放送をせざるをえなかったですが「再放送で、『こんなことやってたんだ』と気がついた」という意見がけっこうありました。僕が作る作品はだいたいそうなるんです。出来る範囲で、ついいろいろ盛り込みたくなる(笑)。

―—本当に楽しんで作業されているんですね!
 みんなに楽しんでやってもらって、なんとかつらい状況を乗り越えていただこうと思っております(笑)。アニメの仕事は「今回きつかったよね」の繰り返しだと思います。でもそのなかでひとつでも楽しかった部分があれば、次につながりますから。それは絶やさないようにしないと。そうやって作っていれば、出来上がった作品も楽しさが視聴者に伝わるだろうという感じでいつもやっています。

―—最後に、読者へメッセージをお願いします。
 今後の展開では、新たな仲間が出てくるかもしれません。楽しさがますますふくらんでいくので、ぜひお楽しみに!

プロフィール
桜井弘明【さくらい・ひろあき】手がけた主な作品は『デ・ジ・キャラット』シリーズ、『斉木楠雄のΨ難』ほか

取材・文/草刈 勤

TVアニメ「ミュークルドリーミー」作品情報
テレビ東京系列にて毎週日曜午前10時30分から放送中
【STAFF】
原作・著作/サンリオ 監督/桜井弘明 シリーズ構成/金杉弘子 音楽/川田瑠夏 アニメーション制作/J.C.STAFF 
【CAST】
みゅー/豊崎愛生 ぺこ/久保ユリカ すう/金元寿子 日向ゆめ/村上奈津実 月島まいら/伊藤彩沙 今井ことこ/幸村恵理 安西ときわ/ファイルーズあい 南川朝陽/小林裕介 ゆに/釘宮理恵 つぎ/久野美咲 はぎ/藤原夏海 お空の上の女王さま/井上喜久子 杉山遼仁/小越勇輝 ほか

アニメ公式サイト
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公式YouTube「ミュークルドリーミー」
https://www.youtube.com/channel/UCLcfDoS5Vqa6Y9nM9P5im2g

(C)2017,2020 SANRIO CO.,LTD. ミュークルドリーミー製作委員会・テレビ東京



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